2010/03/27

黄沙の被害(台湾)

宜蘭に行った日、もともとの天気予報としては、朝から大雨が降っていると日本を出発前もそうだし、前日の台湾でのテレビ番組でも言っていたし、そして、当日の台湾の朝のニュースでも言っていたのにも関わらず、まったく雨が降らず、晴れていた。でも、晴れているくせに、なんだかすごい霧みたいなのがかかっているなーというのは、ホテルの部屋から見て良くわかったのだが、それが何で起こっているのかは、あとで知るまでまったくわからなかった。

普通に出かける格好をして、宜蘭へ向かうバスに乗り、バスの中での悶絶を経過したあと、宜蘭市内を歩き回っていたのだが、なんだか街中がすべて曇っているようであった。さらに、行きかう車や路肩に止まっている車やバイクがめちゃくちゃ汚く、この状態を見て、最初はイタリアの街中に止まっている車と同じなんだと考えた。というのも、イタリアでは、自分の車が盗まれないように、わざと洗車せず、路肩に駐車しているという習慣がある。あと、日本とは異なり、車は財産であるという考えがまったく無く、単なる道具の一種であるから、日本の車オタクのひとたちのように、休みのときになったら洗車にいそしむというような習慣が無い。ここ宜蘭でも、最初はそのイタリアの習慣と同じようなことが実際に敢行され、そのためにこんだけバイクが横付けされていたりしても、だれもバイクを取っていく人もいなければ、車もぶっ壊されてしまうということもないだーと勝手に想像していた。それだけ、どこの通りを歩いていても、車やバイクが汚らしく放置されていたのである。どれだけ汚くなっていたかというと、車の場合には、ボンネットが埃みたいなのにまみれているし、最後はいつ乗ったのかわからないのだが、フロントガラスのところは汚くなっている。バイクの場合は、座椅子のところが埃だらけになっているし、こんなのに座ったら汚いだろうなーと思ったからだ。
ところが、これ、実はひどい黄沙が原因であることがあとでわかる。
東京にいても最近はたまに黄沙の被害があるようになったが、それは少し空気にごみが混ざった感じがして、薄っすらと黄沙の灰というか砂の粒というか、そういうものがベランダの手すりや車のボンネットに一様に覆っているのだが、今回台湾で見た黄沙の被害というのは、そんな甘いものじゃなかった。まるで、どこかの火山が爆発して、その火山灰が積もっているのではないかというくらいの積もり方だったのである。そして、空気もなんだかにごっているなー、ちょっとのどが痛いなと思っていたが、これも全部黄沙の被害。花粉症の影響から、台湾にいても普通にマスクをしていたのだが、そういえば、街中に台湾なのにマスクをしている人たちがたくさんいることにあとから気づいた。バイクに乗っている人は常にマスクをしているので別にして、歩いている人がマスクをしているというのはあまり台湾では普通見かけない。実は、黄沙の影響のためにマスクをしている人が多発していただけなのだ。

それにしても、黄沙というのは、確か北京郊外の砂漠地帯から偏西風に乗ってやってくる小粒の砂のはずだが、なぜ日本より南方にある台湾のほうが被害がひどかったのだろう?と考えた。この答えは、当日の台湾のニュース放送でよくわかった。北京郊外の黄沙は、そのまま真西に飛んでくるというのではなく、南東方向に風は吹いて飛んでくるらしい。地球の自転のため本来なら真南に飛ぶところが、東にややずれて飛ぶことになって、日本で起こる被害よりも、香港や台湾、そして上海のほうが断然被害が大きいことになる。だから、台湾では中国大陸に近い台北のほうが黄沙の被害が大きいと思われがちだが、実は台北よりも、台中以南の台湾中部・南部のほうが被害がひどい。南のほうが被害がひどいという事実を知ったときにはびっくりした。実際に、台北市内は1日はひどかったが、台中や高雄では、それから数日間も黄沙の被害は続いていて、滞在中ずっとニュースで「台中以南の人はマスクは必須です」とテレビで報道していたのを覚えている。それにしても、中国政府はいったい何をしているんだろう。金を持っているくせに、黄沙対策をまったく行っておらず、これも中国の伝統的な金の使い方のひとつで、金儲けになならないものに対して金を使うことはないという習慣に従っているのだろう。個人の満足を満たすためというものであれば、喜んでか、または強制的に金を使うことはあっても、誰のためでもないような、いわゆる「公」のために金を使うということはまず考えたことが無い中国のことなので、黄沙対策は永久に中国政府は実施しないだろう。日本のイオングループが、自虐的にせっせと、黄沙発生地帯に緑地化運動を実施しているが、おまえらば、中国の奴隷か?とまったくいつも思ってしまう。中国は、常に外部からなにか中国が気に食わないことを指摘すると「それは内政干渉だ」と馬鹿の一つ覚えで対応するが、黄沙対策についてだけは何も答えない。対応する気が無いが、文句を言われて、いつものように「内政干渉だ」と答えると、多大な被害が自国も含めてある。しかし、イオングループのような奴隷集団が自虐的に黄沙対策をしてくれるという気の毒な人が出てきてくれるから「黄沙問題は内政干渉だ」とは絶対に言わない。こういう悪い知恵だけは中国は世界一だと思う。

ちなみに、今回の旅行中の台湾で報道されていた黄沙の被害のひどさは、ここ30年で最悪の状態だとしきりに放送されていた。

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