2010/07/05

インド系のひとの溜まり場 (Singapore)


リトルインディアをぶらぶらしていると、やっぱりここがインド人街なのだということが良くわかる。道を歩いているひと、ちょっとした広場で屯っているひとたちの99%がインド系の人たちばかりであり、肌が黄色い華人や日本人ぽいのはほとんど見られない。シンガポールは人種の坩堝だとはいうが、ここだけ見ると、坩堝じゃない。ここはまさにインドだ。チャイナタウンでさえ、観光地化されているからかもしれないが、華人だけではなく、インド系のひともご飯を食べにやってきたりしているのが目に付くのだが、ここでは逆は一切無い。金持ち華人お気に入りのブランド物のショッピングモールが無いというのが最大の欠点なのだろうと思う。

夕方だからなのか、そういえば、異様に道や広場や芝生になっているところにインド系の男の人があちこちと、これから祭りでもやるのかと思うくらい、人が居て、でも、誰もが統一的な動きをしているわけでもないような場面に出くわした。それも男ばかり。女性の姿はほとんど見かけず、全くというわけじゃないのだが、見かけたとしてもその女性はもちろんインド系ではあるが、ちょっと訳ありのような人だというのは良くわかった。

タミール語を主体とするインド系の人たちは、インド最南部の地方からイギリス人の植民地政策とともにやってきた人たちの子孫であることは明白であるが、最近は本国インドから知識を買われてやってきているというインド系の人たちもたくさん居る。もともとインド南部の人のコロニーがこのリトルインディアに作られたが、そのあと、インド全体および最近ではスリランカやバングラディッシュやパキスタンと、南アジアの人たち全体がここシンガポールにやってきて、タミール語やその派生言語で会話をしているということで徐々に広がりが出てきているのではないかと思う。でも、シンガポールの公用語の1つにタミル語は属されているので、いちおう英語のほかにこのあたりの人はタミル語を喋る人たちだ。

長くシンガポールに住んでいる子孫の人は別にして、だいたいの肌の赤黒いインド系の人たちは、肉体労働系を主とした就職として働いているのは、シンガポールを歩いているとすぐに分かる。豚や牛を運ぶように、トラックの荷台に乗って仕事場へ移動している姿を見ても、だいたいそれはインド系の人たちであり、決して華人ではない。さらにいうと建設現場のいわゆる3Kのところでは、インド系・バングラディッシュ系の人たちがメインで働いている。もっというと、カーストの流れがここまで残っているのか良くわからないのだが、掃除や洗濯そしてごみ収集を行っている職についているのも、だいたいインド系の人である。ただ、シンガポールにやってきているインド系の人の多くは、非カーストの子孫である。というのも、非カーストでなければ、奴隷のように宗主国のイギリス人とともに遠方シンガポールに連れてこられなかったからである。これは日本でも同じで、からゆきさんがシンガポールまで人身売買のような形で連れてこられて売春を強要されていたのと同じで、人身売買として売られてきた家庭は、だいたいが貧乏農民が口減らしのために子供を売ったか、もしくはえた・非人に属していた家庭である。解放同盟の人たちがいくら隠しても当人たちが自ら過去を各メディアに記載しているので、いまでは普通にみることができる。(詳しくは『からゆきさん・おキクの生涯』を参照)

普段は安月給として危険・汚い・辛い仕事に従事しているインド系の人たちにとっては、やはりこういうに仲間が集まる場所にやってきて、日ごろの鬱憤や本国インドやスリランカなどの地域の情報を交換するために、人が多く集まっているのである。その情報交換の場として話題になっているのは、良い仕事の紹介・斡旋、住居や習慣などの相談、本国との連絡というのが該当するのだろうと思う。

しかし、その数の多さには驚かされる。シンガポールに居るインド系の人たちの人口分布としては、約550万人が住んでいるといわれているシンガポールの中では8%くらいしか住んでいない。その8%の全体がここリトルインディアにいるのではないかというくらいの人たちが居た。ただし、男ばかり。女性はどこにいっているのかというと、だいたいがショッピングモールでの買い物である。だから、City Square Mall にいくと、インド系の女性が子供づれで買い物をしているのが良くわかる。男は一緒に買い物をするのがつまらないので、外で知り合いと喋っているという感じだ。

1人でも臭い体臭を持つインド系の人たちが、大勢集まると、やっぱり臭い。これもきっと馴れると気にならないのだろうと思うが、臭いものには敏感なので、まず馴れないだろう。

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