2010/07/05

Marina Barrage (Singapore)

シンガポールのマリーナ地区は開発が激しい場所であり、常に何かを作っている場所ではあるから、シンガポールに行くたびになにか新しいものが建っているのが分かる。何もなかったところに埋立地として広大な土地を設け、そこに客集めのハコものを作っていると言えよう。

そのひとつとして Marina Barrage というのがある。ここに行くには、MRT の Marina Bay 駅から無料の送迎バスがあるので、それを乗るのがいいと思う。ただし、バス停というのが知らない人にとっては、どこにあるのか良くわからないと思うので、人の流れについていけばいいと思う。とは言っても、誰の後を付いていけば良いのかが、人ごみが多いシンガポールでは分かりにくい。では、どういう人の後についていくかというと、それは凧を持っている人を付いていけばいい。というのも、この Marina Barrage という場所はとても広い場所であるため、実は地元のシンガポール人にとっては憩いの場所になっているのである。その娯楽のひとつとして、周りに何も高いところがない場所であることから、凧揚げのもってこいの場所になっているからである。日本で考えると、そんなのほかの場所でもやれるだろうとおもわれるが、考えてもらいたい。シンガポールは小さい土地であるが、超高層ビルが狭い間隔で競り建っている。そんなところで凧揚げができないというのが理由だろう。
Marina Barrage がただ単なる広い場所というのには理由がある。ここの本来の理由は、治水対策の設備が存在するということだ。こんな小さい島国にもいちおう川というのが存在する。ご存知シンガポール川だ。そして、シンガポールは熱帯雨林地帯に属するよく雨が降る場所なので、実は雨が多い時期になると、至る所で洪水なみの水量が道路を覆ってしまうことがよくある。あのオーチャードでさえもたまに雨が降ると洪水になって、車が半分水に埋まりながら走っている光景を見られるだろう。そんなときでも実は水は地下を走るMRTのほうには流れないように治水対策は採られているところがシンガポールのすごいところ。しかし、水はどこかに逃さない限りにおいては、いつまでたってもシンガポールから出て行かない。となると、どこかで巨大な治水コントロールをしなければならないというのが、長年のシンガポールの苦労としていたところだった。なぜなら、洪水の後のシンガポールは、鼠とゴキブリの大量発生による悪臭の溜まり場になるので、商売をやっている人、特に食べ物系をやっている人たちにとっては、毎回頭の痛い課題ではあった。

そんな治水対策として考えられたのが、簡単に言うと「邪魔な水は、海に流しちゃえ」作戦だ。あぶれた水を海に流せば、市内は水浸しになることは無いと考えたのは良いが、なかなかそれを実現するには時間がかかったようだ。しかし、海に捨てると言っても、干潮時と満潮時では、海面の高さが異なるため、捨てる水との調整が難しいだろう。それを解決するために作られたのがこの Marina Barrage である。一種のダムのような役割をして、その貯められた水をどのように処理をするかがこの場所で行われているのだ。

建物の中に入ると、シンガポールの治水と灌漑用水の確保の歴史を紹介した博物館から始まる。内容としてはたいしたことが書かれているわけじゃないのだが、そのたいしたことではないところを、誇大広告のように光とデザインと迷路状にして紹介することで、来訪者に対して水に対する意識を高めてもらいたいという意図があるのだと思う。Marina Barrage の仕組みを模型化してデモをしている場所もあるので、ぜひそれは見てもらいたいと思う。屋外に出てみると、周りには高い建物が無いと上述したとおり、何も無い。だから、ピクニックに来ている若い人も多く、凧揚げをしているひとが異様に多い。シンガポールではなぜかいま凧揚げが流行っているのだろうか?いずれにしろ、最近のシンガポールの若い子たちにとっては、この Marina Barrage にきてピクニックをするのが流行りのようだった。
Marina Barrage
URL : http://www.pub.gov.sg/marina/Pages/default.aspx

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。Marina barrageについて気になっていましたが、説明いただいて、目的がわかりました。大変わかりやすかったです。ありがとうございました!hana

おきらくごくらく さんのコメント...

お役に立てて嬉しいです。