2006/09/08

共産党と国民党

 中国大陸の共産党政権と台湾に逃亡した国民党は、昔は犬猿の仲とさえも言われていた。双方とも、中国大陸の正統政党だと主張しているから困ったものだ。台湾が早々と「中華民国」という名前をやめて「中華」を国名から外してしまえばよかったのだ。いつかそのうち大陸を支配できるかもしれないなんていう馬鹿な妄想を持っていたことが、いまの中途半端な中国と台湾の関係を生んだといえる。民進党が政権政党になり、陳水扁が台湾総統になった途端、それまで君臨していた国民党は、その存在自体が「意味なし」としばらく思われるようになった。中国といつまでも関係を結ばず、かつ、台湾人本来の権利を全部吸収してしばらくデカイ顔をして支配していた巨大集団に対する台湾人の生理的な拒否は、この時点で陳水扁に味方したのだろうと思う。困った国民党は「存在自体が拒否」されたものと同じなので、なんとかして復権したいと思い始め、ここ数年、歴史的な対立をすっかり忘れ、挙句の果ては、「元々我々は一緒だったじゃないか!」と共産党政権に擦り寄るようになった。中国自体が自力で経済成長したわけじゃないのだけど、外国企業が中国に進出したことで、必然的に中国は繁栄し始め、さらに中国に進出した企業は大成長した。共産党政権にとっては、外国資本とくに同じ華人としての台湾人資本は大歓迎である。日本が台湾から撤退した際に強制的に接収した企業を基本資本して成長していったのが、国民党が絡んでいる大企業。それらが中国市場を目指したのは当然のことである。双方の思惑が合致したことで、2006年4月に行われた国民党党首の北京訪問が実現された。

 泣きっ面に蜂とは民進党に対して言える言葉で、運悪く、陳水扁の親戚が金銭面で不祥事を起した。金に対して厳しい考えを持っている台湾人は、政治家が金を隠して儲けていたことについては、怒り爆発。いまでは、すっかり陳水扁の名声は地に落ち、挙句の果ては、先日、総統府の前で台湾総統の罷免を求める100万人集会が行われてしまった。民進党を中心とした政権は、いまいち中国政権とは仲が宜しくない。民進党が悪いのではなく、台湾と大陸という関係をいまだに引きずってしまっているからなのである。これを改善できる能力とコネが民進党に無かっただけだとおもう。国民党が先に北京に乗り込み、宿敵ライバルだと思っていた共産党と仲良くなってしまったのだから、民進党としては悔しくて仕方なかったことだろう。

 その悔しさのためだったのか分からないが、台湾政府は、国民党主催の政治フォーラムに参加しようとした共産党の幹部の入国(?)申請を拒否したと発表した。入国拒否されたのは、対台湾政策の責任者である陳雲林・中央台湾弁公室主任。台湾政府が拒否した理由がいまいちわからない。「共産党に対し、担当者を台湾に派遣して具体策を協議するよう書簡で3回求めたが、対話を拒否した。(中台)両岸関係を改善する誠意がない」だと説明しているのだが、台湾政府はなにか両岸関係を改善する方法として何をしたのだろうか?三通?三通なんかなくても、元来、経済活動に国境の意識が無い中国南部出身の子孫たちは、如何様な方法でも儲けられる場所に移動し、経済活動を設立し、金銭の流れや物資の流れを障害なく確立させる能力は身につけているので、政府主催の政策なんてあまり意味が無いと思われる。

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