プロチェ門近くにあるドミニコ会修道院(Dominikanski Samostan)はとても立派なつくりの建物なので、なんだか入りにくいなと思うかもしれない。それに、なぜかこのあたりまで観光客があまり来ることはないようで、時間を忘れてぽかーんとするには絶対良い場所だと思う。だいたい修道院というところは、修行僧が勉強をするようなところなので、一般開放するような入口のつくりになっていないことは多い。ここの修道院でも例によって入口が裏口みたいなところを入っていく。その入口のドアらしきところを通る際に、足元を良く見ると、実は1つ1つがそこそこ大きな石になっているのだが、それが最初は単なるフローリングを構成している一部だと思っていたところ、実際には石の棺おけだったことに吃驚。よく王様や西洋の墓地に行くと似たように石の棺おけをそのまま床にしているところに出くわすのだが、それと同じだった。たぶん、ここに置いている持ち主(要は死人)は修道院で亡くなった僧侶に違いないのだが、特に僧侶のような人たちは政治家になるようなことはないので、名前があっても東洋人にはなんのことだかちっともわからない。そんな入口なのだが、そこは単なる入口「その1」くらいのところである。本当の入口はもうちょっと先にある。
その入口のところにいくと、内覧費を払うところが出てくる(値段は20HRK)。さて、この内覧費が高いと思うか安いと思うか、それは訪問者の気持ちしだいだとは思うのだが、修復費用や維持管理費用を考えると、この内覧費を一種のお布施と考えれば安いものだろうと思う。
中には回廊とそれに囲まれた中庭があり、建物としてもいろいろな形式がミックスされているようなつくりになっているので、どこまでがバロックでどこまでがゴシックでとかの区別が全くよくわからない。ただ、どころどころに装飾として彫刻があったり作品が会ったりするのだが、それがなんとなく面白いなと思ってしまうのはなぜだろう?神聖な場所なのに。それで、一般の見学者はこの回廊の部分しか見ることができないのだが、実は内部には宗教美術館が存在する。入口を入ってすぐのところに別の入口があるのだが、そこがこの宗教美術館である。この美術館では一切カメラ撮影は禁止。狭い空間なのにあらゆる場所に監視カメラが設置しており、中に人が居ようといないと関わらず、入口にいる係員が、監視カメラのモニタに眼を凝らして観ているのである。これだけ監視カメラに見られているところで隠し撮りをするようなことはさすがにできないなと感じた。この美術館に展示されているものは、15世紀から16世紀にかけての宗教画である。題材はよくあるキリスト教に関するものばかりなのだが、まだルネッサンスではない描き方のものが多いため、肖像画に描かれている人物像の顔が結構間抜けな漫画家が描いたような顔ばかりになっている。精悍な顔つきになるのはどうしてもルネサンス以降の作品になるので、それでも作品の時代の違いがわかる。あとは、顔だけではなく絵全体で奥行きを感じるかどうかだ。年代の古い絵画の場合、どうしても二次元的にモノを観る傾向から抜けないらしく、絵画の背景や奥行きは全く粗末なものになるが、ルネサンス以降は奥行きがまるっきり三次元にみえてしまうような描き方をするからだ。ドミニコ会修道院 Dominikanski Samostan
Open : 9:00am - 6:00pm (5:00pm in winter)
Holiday : なし
Fare : 20HRK
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