2013/09/28

大英博物館(ロンドン)

ロンドンに来たのであれば、古今東西あらゆるものが展示されている巨大な博物館である大英博物館(British Museum)に行かないという手段はない。というより、大英博物館に行かないでロンドンに来ましたという人は、何をしにロンドンを旅行しているのか全く意味が分からない。教養が元々ゼロの人であれば、もしかしたら大英博物館なんか興味がないということも出るだろうし、数回ロンドンに来た事があるというのであれば、大英博物館なんかには興味がないというのであれば分かる。でも、普通の人であれば行くと行ったで、いろいろな興味を触発させてくれるところではないだろうかと思う。
なにしろ、イギリスが植民地時代に、世界中のあらゆる場所にいって略奪しまくってきたものを、保管するところがなく邪魔になってきたから、とりあえず博物館として作ってみましたというのが今の大英博物館なのである。従って、旧植民地地域だったところで貴重なものは結構多くこの大英博物館にやってきているということになる。植民地時代の時には、自分たちの歴史の遺物であるにも関わらず、宗主国の意向には逆らえないということもあり、イギリス本国に持ち出されることは渋々承諾するしかなかったのだろうが、もう現代ではイギリスの植民地はほとんどが独立国家と存在しているため、そうなると一独立国家からイギリスに対して「返せ」と主張してくれるのは当然の権利だろうと思う。特に最近のイギリスは、以前みたいな威厳というものが感じられず、ヨーロッパに居ながらにしてその存在価値が小さくなってしまった。かろうじてユーロと一線をとるような形でポンドが存在するので、イギリスってまだあったのかと他の地域から見られる始末になってしまった。こうなっては、かつての植民地からの言い分に対して強く返答ができないという状態でもある。

特にエジプトあたりの遺物については、エジプト政府が返せと何度も主張しているのは有名。だけど、イギリスは何度も何度もこういう要求に付いてはのらりくらりとはぐらかせて来た。エジプトの関連でいえば、ちょうど先日エジプトで内戦あたは革命が起きてしまったため、これによってまともな博物館がエジプトで生存しなくなったのだが、これを機会にイギリスは「ほれみろ。エジプトに返したら、強奪があったり壊されたりするから、やっぱりイギリスで大切に保管する」と態度を硬化してしまったのは記憶に新しい。

そのほかイギリスはアラブ地域、インド全域と、東南アジアと中国を征服していく。中国は征服というわけじゃなく、表向きは中国皇帝を残したままにした状態で貿易と占有を行った。ついでにいうと、イギリスが本格的に植民地を獲得する前には、スペインとポルトガルがその植民地域を拡大していったわけだが、そのうち没落。その没落したのをきっかけにイギリスが金と武力を盾に、スペインやポルトガルが略奪したものを、今度はイギリスが略奪し始め、その戦利品も大英博物館にある。要は、超巨大な略奪物大バーゲンというのがここの博物館である。
 
 
 
その膨大な量の展示物をもっている博物館を維持するのは大変な労力が必要だとは思うのだが、なんとこの博物館は入館料が無料。いかなる人たちも無料で入館ができるのである。となると、今日は暇だわーという場合でも、ふらっとこちらにやってきて、お気に入りの場所があればその場所にきて展示物を見るということも出来るのである。展示物の物品を集める費用が基本的にゼロ円ということがその入館料を抑えることにも繋がっているのだろうとは思うのだが、じゃ、展示物をどうやって維持しているかというと、それは寄付と他の博物館への借用料で賄っているようだ。

この広くてたくさんの展示物を見るためには、全部を一気に見ようとしていたら絶対に途中で厭きてくるか、すごい疲れちゃうと思うので、是非数日に分けて見るほうが良いだろう。なにしろ、時代が石器時代から近代まで、そしてヨーロッパからアジアからアフリカと古今東西の時代と場所がめちゃくちゃになっているので、今日はこれを見ようという意識がないと、なにがなんだかわからなくなってしまうことだろう。実際に簡単な目録くらいしか普通は置かれていないので、是非大英博物館に来た場合には、多少は重いかもしれないが、日本語で書かれた展示物の写真つき解説本を買うほうが良いと思う。ここに書かれているのは絶対大英博物館で見るべきもの一覧として含まれているものだからであり、そのほかのものは、この本に記載しているものを拡張した類似品だったりするので、余裕があれば、未掲載の展示品を見るということをしたらいいとおもう。だいたい、その本に記載されているような品数だけでも、それを全部見るだけでもすごい時間がかかるのだ。

無料で入館できるということは、ほとんど公園化したところになるのと同じであるわけで、いつでもこの博物館は入場者が多い。特に人気の展示物の前は、ショーケースの前には何重にも列ができて並んでいることは多い。特にロゼッタストーンのところの前は、常に満員状態である。
展示物の中で顕著に多いのは、エジプトとメソポタミアから展示品。ここはイギリスが征服した場所でもあり、歴史的に古い地域であるため、それまでの歴史的な遺物の多さは多くなるのはあたりまえ。それらを戦利品という形で全部イギリスに持って帰ってきたから、展示コーナーがめちゃくちゃ広くなってしまうのは当たり前。なにしろ、エジプトだと、ミイラは当然あるし、あの有名なロゼッタストーンだって展示されているんだから。それが生で見られるという喜びは、ミイラが1体だけ日本にやってきて、大々的に「ミイラ展」と称して上野あたりの博物館で開催されているちっぽけな状態なんかは笑ってしまうくらい、ここではあれもこれもとたくさんのミイラが勢ぞろいしている。
 
 
 
カフェテリアも館内に数箇所用意されているので、おなかが空いたり、喉が渇いたというのであれば、そういうところで休憩を兼ねて飲食するほうが良いだろう。特に二階中央にあるレストランは、なんとここでイギリス料理が食べられるので、そこでマズいと評判のイギリス料理を堪能するのも良いだろう。しかし、そこは意外に混んでいるし、15時からはアフタヌーンティの時間帯になるのだが、その時間になるほうが余計混んでいる。

そういえば、ここ大英博物館は非常に複雑な館内構造になっていることが注意だ。自分がいまどこにいるのかというのが全く分からなくなる。なにしろ、二次元表記されている館内見取り図が全く役に立たないのである。地図上では、そこを真っ直ぐいって右に曲がればいいのね?というような見え方に見えるが、実は三次元的に言うと、数段ある階段を上って、渡り廊下化した部屋を通ったあとに、下がって右に曲がる・・・というようなことになる。だから、1階なのか2階なのかという程度ではなく、中2階や、場所によっては、1と2/3階という場所もあったりするので、常に頭の中に三次元地図を描いておかないといけないということと、ちょっとやそっとで目的の展示がある場所にいけるかというと、そう簡単にはいけないのである。一度入ったら二度と出られないダンジョンのようになっているのだ。

大英博物館(The British Museum)
URL : http://www.britishmuseum.org/visiting.aspx?lang=ja
Address : Great Russell Street, London, WC1B 3DG
Open : 10.00?17.30

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