2013/09/28

ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)

大英博物館でさえ、なんでもありであり、その量の多さで面食らったところではあるのだが、ヴィクトリア&アルバート美術館(Victoria&Albert Museum)というところだ。名前のとおり、ヴィクトリア女王時代から始まった建物なのだが、この建物はなんといっても、古今東西のなんでもありの展覧会とニックネームをつけたくなるくらいの雑踏感と、そのハンパ内量の展示物だろう。もちろん、たてものも迷子になるくらいの広さがある建物だ
 だいたいこの建物、まともに真っ直ぐに歩けることがなく、どこにいるのか全く分からなくなるような建物の作りになっており、いちおう見取り図が存在するのだが、整然と並んでいるように各区画が収まっているわけじゃなく、ダンジョンのように、あちらが入口、こちらが入口、ともうめちゃくちゃなのである。

ただここの展示物は、特別展を除けばすべて写真撮影はすべてOK。へんなものがたくさん展示されているので、それを写真に撮るのは全く問題なし。
日本のものも展示されているところがあるのだが、ここには皇室や武家の名残となるようなものが展示されているというわけじゃなく、なんとなく一般庶民や下級武士くらいのひとたちが所持していたものを展示品として展示しているので、一般的な博物館に展示されている日本のものに見慣れている日本人にとっては、ショボいと思われるくらいの印象があるだろう。しかし、ここを訪れるのは必ずしも日本人だけとは限らない。アフリカのひともいれば、ヨーロッパのひともいれば、東洋・西洋問わずのひとたちが入り乱れる。そういう人たちにとっては、日本文化にそんなに精通していなくても、日本「らしい」ものがあるだけで、それで日本を堪能できるというものだから、一流品を高い金をだして仕入れてこなくても、ありモノでも間に合うのだろう。ちなみに、こちらの並んでいる日本の製品の多くは、イギリス在住の日本人からの寄贈で集められたもののようだ。
 
 
日本のモノが幾分ショボいなぁと思ってしまったが、それでは他の文化についてはどうなのかと思って、それも調べてみた。他国の文化としては一番近いものであり、日本人にとっては見慣れているものという意味では、中華文化が挙げられるだろう。いきなりアフリカや南米のような見慣れていないものについては、自分も比較対象となる基準がわからないので批判はできないだろうが、他国でも中華文化だったら、日本人でも許される範囲だろうと思う。その中華文化の展示物も、よくよくみると、代々の皇室が持っていたものとか、いつの時代の皇帝に縁のものと言うものでもないし、宮廷に使えていた人のものというものでもない。じゃ、何が展示されているかというと、一般民衆だが、ちょっと金があった人たちが所有されていたものを展示している感じがした。金があった民衆ならまだマシなのだが、これってジャンク船に乗っていたようなひとたちが持っていたものでしょう?という、中国人が見たら、自分たちの汚点の物品がイギリスで展示されているとしか思えないようなものまで展示されている。
 
 
韓国については、元々は分からないし、実際にこの博物館に展示しているものについての価値が全く分からないのでここでは言及しない。ところが、インドとアラブに関するものは、植民地にしていたこともあるので、そのときにかき集めてきたガラクタものから、ちょっとまともなモノだったりまで、かなり幅広いということもあるが、その展示物たるや量がめちゃくちゃ多い。もしかしたら、インドやアラブ国内の博物館にある量よりも多いのではないのだろうか?という思いがした。もちろん、中華や日本のものに比べると、品質がめちゃくちゃいいに決まっている。しかしあまりにも量が多すぎて、どれもこれも同じように見えてきて、だんだん厭きてきた。
 
 
 
 
 
ここでの見所は、建物の中央部に置かれているのだが、数階をぶち抜いて、広い展示室にしているのはいいのだが、そこに置かれているのが、石像や石塔、そして門を、まったく整理していないで設置しているところだろうか。おそらく、街の中心に普通に以前設置されていたオベリスクをそのまま現地からロンドンに持ってきてしまったものを展示しているようだ。だいたい、こういうその街にとっては大切なものを、よくもまぁイギリスの勝手な思いで持ってきたものだと感心する。
 
 
 
だいたい一番ビックリしたのは、スペインのサンチアゴ・デ・コンポステーラの正面門をそのまま現地からロンドンに持って帰ってきてしまって、それを展示フロアに設置していること。あまりにも巨大すぎる門を、だいたいどうやって現地から持ってきたのかというのが素朴の疑問でもあるのだが、この博物館に持ってきたということは、現在サンチアゴ・デ・コンポステーラにある全く同じ門は、一体なんなのか?新しく作り変えたため、古い門は要らなくなったからイギリスが買い取ったとか?そういうのを考えると、漫才師のネタじゃないのだが、夜も寝られなくなる。
そのほか、これは通常教会にあるべきものなんじゃないのか?というものが、博物館内に存在していたりする。そういう宗教的儀式に必要なものも、イギリスの権力によって勝手に陳腐化させ、宗教色を全く無くさせ、ひとつのモノにさせることができんだろうか?しかし、フロアに立って展示されたものを見たのでは、あまりにも巨大すぎるので、フロアを上がって、上の階から見下ろしたほうが、実はよく見えたりする場所がここだったりする。

もうひとつビックリするところがある。それはガラスに関する展示物のところだ。世界中からあつめたガラスが展示されているのだが、これがまた時代と場所がめちゃくちゃになっていて、たぶん乞食が適当に集めてきたんじゃないのか?という品物が適当にショーケースに中にたくさん並んでいる。これがウィーンだったら、同じ色の瓶ばかり並ぶとか、同じような形のものばかり並ぶとか、用途は同じなのだが場所が異なるとこんなに違うのだ?というようなテーマもここには存在しない。なんでここまで無秩序に並んでいるのかがわかんない。しかし、大きなエリアを使ってガラスのコーナーで何を表現したいのかがわかんない。
 
そのほかは、建物全体を飾るような装飾をしている場所もあったり、どこかの家の壁をもってきたんじゃないの?というようなものを展示しているところがあったりと、展示物の一貫性がないので、おもちゃ箱をひっくり返したような内容だった。1日いるだけでも楽しいと思う。
 
 
 
 
 

ヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria&Albert Museum)
URL : http://www.vamuseum.jp/
Open : 10:00~17:45(金曜日は22:00まで)
Admission Fare : 無料

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