2009/02/25

国立シンガポール博物館(Singapore)


何度も行った事があるシンガポールなのに、意外に行っていない場所もちらほらある。その1つが国立シンガポール博物館(National museum of Singapore)である。しばらく建て替え中だったこともあり、いつになったらその建て替えが終わるのかわかったもんじゃないとおもって、ほとんど今までは無視していた。ところが、これがリニューアルオープンになったことを知ったので、どういう内容のものを展示しているのか見たくなったのだ。

シンガポール博物館は、常設展示場だけでもかなり十分に楽しめる広さがある。

最初の部屋には、一般的なシンガポールに住んでいる普通の華僑が、昔どういう屋台を出して商売をしていたかというのを紹介していた。いまではすっかりシンガポールに定着したラクサやチキンライスの屋台の紹介を、実際に使われた道具と一緒に展示されている。続いて、シンガポールに住んでいた色々な民族の人たちの紹介を主に女性の視点から紹介したものである。日本人もシンガポールに昔から住んでいた。が、だいたいその日本人は、本国で人さらいかまたは借金の肩に入れられて売られてきた「からゆきさん」である。からゆきさんについては、別途紹介したいところであるが、その写真をみると悲しくなってくる。単なる「股で稼いだ日本人」と下劣に見るものではない。彼女たちも好き好んでこんな遠くまできたわけじゃないことを汲んで欲しい。それから中国人の男性とマレー人の女性が結婚するのは昔はよくあったことで、それはペラナカン文化という独特の文化を生み出した。ペラナカンを知るためにはマレーシアのマラッカに行かないと深くは知ることはできないが、シンガポールでも片鱗だけは見ることができる。あわせて、結婚したあとの証明書みたいなものも豪華なデザインで展示されていた。服飾のエリアもあったのだが、いまいち撮ってきた写真が悪かったのでここでは掲載しない。中華系のチャイナドレスと、マレー系のドレスのほか、ペラナカンとして生まれてきたドレスなど、変わった服がたくさん展示されていた。いまシンガポールで着ていたら、見た目が暑苦しくて可愛そうになるが、日本で着ていたらかなり派手に見えることだろう。

さて、だんだんとシンガポール形成にむけたフロアにやってきた。

それまでオランダの独占上だった東南アジアのエリアにイギリスが乗り込んできたのは、中国向けの貿易をおこないたいという思惑と、オランダ領地から奪い取ってイギリスに利益をもたらしたいという東インド会社の影響が強い。ラッフルズはそのためにシンガポールを拠点にしてオランダ軍からほとんど奪略した形で、貿易には重要な拠点である、ペナン島・マラッカ・シンガポールの漁港を奪ったほか、現在のマレーシアとインドネシアが分割してしまう結果となった取り決めをオランダと行い、現在のマレーシアエリアをイギリスに、インドネシアエリアをオランダの領土とすることにしたことは、当時のマラヤ王国にとっては、後世こんなふうになるとは思っても見なかったことだろう。
そのあと打倒清朝を目指した孫文が出てくる。広東人だったこの医者は、もちろんシンガポールにも立ち寄り革命資金を調達している。
主にインド人が警官として働いていたシンガポールでは、その警官の服装がとてもカッコ良い。今でも十分通用するだろう。なぜインド人を警官としてシンガポールを治めたか、イギリス人の腹黒さを知っているともっとこの展示物は楽しく見えるだろう。第2次世界大戦の時期になると、日本がシンガポールまでやってきて、イギリスはほとんど何も抵抗することなく無条件降伏してしまう。イギリス自体が当時、ナチスドイツ軍の攻撃に必死になっていたところであり、こんな遠いところの土地まで手が廻らなかったのが原状である。だから一番戦ったのはマレー人であり、中国人は形成が不利になると、シンガポールを捨てて、故郷の中国大陸のほうへ大量に帰っていったというから、どこにいっても中国人は汚い民族だ。連合軍が結集して枢機軍を戦おうというポスターがあるのだが、どこがどこの国だかメモってくるのを忘れた。いまではなくなってしまった国もこの中に書かれている。その後、マライ連邦としてイギリスから独立したのだが、さらに中国人がたくさんいるため、マレー人の国家を目指していたマライ連邦から捨てられた形で独立したシンガポールが出来上がる。この先の展示物は、「シンガポール万歳!」「リー・クワンユー万歳!」のプロパガンダになっているので、ほとんど興味なし。一応、国旗と国家の楽譜だけは写真に収めてみた。シンガポールの歴史というのは、イギリスの東南アジア侵略の歴史と連携しているので、その背景を知っていると面白い。福建省や広東省からどんな人達がシンガポールに集まってきて、組織を作っていったかという裏社会の様子も知っていると更にいいだろう。

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