2013/05/11

ケーブルカー・ラブラ線(リスボン)


リベルダーデ通りの両側には、ケーブルカーがあるが、天正使節団が訪れた教会がある丘のほうは人気があっても、同じような丘なのだが、住民利用のほうが多く、観光客があんまり近づかないケーブルカー路線がある。それがラブラ線(Ascensor do Lavra)というほうだ。このラブラ線、すごい地味な路線なのだが、他のケーブルカー路線よりも先に運転開始になっており、開業はなんと1884年4月19日。Largo da Anunciada と Travesa da Forno do Torel という2つの場所を結んでいる路線だ。営業距離はたったの188メートルなのだが、坂の勾配がめちゃくちゃきつく、平均22.9度もある。ちょっとしたスキー場のゲレンデよりも結構きつい。だから、斜面を歩いて上ろうとすると結構しんどくて、ケーブルカーの路線と平行かつ途中から兼用の歩道があるのだが、そこの階段を歩くのも結構大変だ。途中でうんざりしてくるような勾配なので、よほど上った先にご褒美になるような観光地が無い限りにおいては上る必要はないだろう。

日本ではそこそこ有名になっているポルトガル人作家モラエスの生家が、このケーブルカーのあがったところに存在する。それ以外は全くと言っていいほど見所が無いのだが、これが観光客にとってあまりこのケーブルカーを使うことが無い理由なのかもしれない。もちろん、このケーブルカーの上の部分にある地域は、リスボンの普通の市民が住んでいる居住区であるために、民家がたくさん並んでいるところである。

モラエスの生家といっても、特に、モラエスに関する記念が展示されている記念館があるというわけじゃなく、普通のアパート風の集合住宅が存在し、その壁にポルトガル語と日本語で書かれたアズレージョの看板が掲げられているだけである。もちろん、モラエスが住んでいたという部屋には、いまでも普通に他人が住んでいるから、写真撮影でやってくるような観光客が毎日毎日自分の家を撮られているな気分になるので、住民にとっては不快だろうとおもうのだが、それは住んでいる人が解っていながら選んだのだから、観光客を責めても困る。
 
さて、ケーブルカーのことに戻すと、このケーブルカーがある場所は坂の片側は民家で、別の側面は壁になっている。この壁のほうは、隙間が無いくらい全部落書きで埋め尽くされている。それが品が無いという落書きばっかりなので、リスボンの町は実は治安が悪いんじゃないのかと思われがちになってしまう。しかし、リスボンは犯罪を犯すほど元気がある街じゃない。なんだか街全体がのんびりしているようだ。
行きはケーブルカーに乗っていき、帰りは歩いて坂道を下りて来るというようなことをしてもいいんじゃないのだろうか?

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