2013/05/11

パスティス・デ・ベレン(リスボン)

ポルトガルの代表的なスイートといったら、日本でも一時期大流行したエッグタルトであるのは外せない。そして、このエッグタルトはポルトガル全土でだいたいどこでも食べられるものであるため、ポルトガル国内でちょっと小腹が空いたかなーとおもったときに入ったカフェやら売店では絶対エッグタルトが売られているのを見つけることが出来るだろう。

もともとへジェロニモス修道院の修道女たちによって作られたと言われているのだが、修道院以外で作り売り始めたのが、ジェロニモス修道院のすぐ傍にある店「パステル・デ・ベレン(Pastel de Belem)」である。(Pasteis というのは複数形)
半球型の形をしたパン生地に、中心にはたっぷるとカスタードクリームが入っており、そのパン生地の表面がカリッと焦げ色が付くくらいに焼かれたものが、典型的なエッグタルト。どこに行ってもこのエッグタルトは同じだろうと思っていたのだが、ところが店によって「独自の味」があるらしく、店ごとに本当に味が違うからビックリした。パステル・デ・ベレンの作り方は、ジェロニモス修道院から伝わる作り方や材料の配合の仕方は、見事なまでに守りきっているため、本当の元祖というのはここ以外にはない。じゃ、他の店のはなんなのかというと、はっきりいってパクリであることは否めないが、そのパクリがどこに行ってもほとんどハズレなしだから恐れ入る。

ちなみにポルトガルで「エッグタルト」と言っても、全くと言って良いほど通じない。エッグタルトではなく「ナタ(Nata)」と言わないとダメなのである。エッグタルトというような言い方をしたのは、イギリス人が使い始めた言葉で、イギリス人がここの店の技を盗んで、そのままマカオの自分の店で出したことから始まるようだ。ポルトガルの植民地であったマカオでもエッグタルトは売られているのだが、それはポルトガルの植民地だったからというのではなく、このイギリス人がマカオで広めてしまったので、マカオの人たちがまねをしたというのが本当のところのようである。

本場のエッグタルトで食べるならパステル・デ・ベレンで買うのがいいだろうが、ここで買おうとする場合にも、実はすんなり買うことができない。なにしろ、ジェロニモス修道院にくる観光客のほぼ全員がここに来るため、いつもずっと混雑しているし、エッグタルトを買うためだけに並んでいるひとの列が凄すぎる。1個1.05ユーロのエッグタルトはもちろん生ものに近いため、こんなものを日本に持って帰ることは無理。だから、その場または数時間後に食べられるくらいの量しか買って帰れないのが残念なのだが、それでもここで買って帰るひとたちが、1回あたりに買って帰る個数がめちゃくちゃ多いのでビックリする。10個や20個は普通のように売れていくのだが、一体それだけを誰が食うのか?という疑問はここで買う人たちに言ってはいけないと思う。それだけみんなが我先にと買うのだ。
買うときにはまずレジのところで「何個買う」ということを言う。なにしろ、この店ではエッグタルトしか売っていないのだから、種類を言う必要がない。だから、個数だけが注文するべき単語であり、それを知っていれば何語であろうとレジの人は通じる。さすがに日本語は通じない。そして、お金を払ったときに貰うレシートが重要。このレシートに、個数が書かれているので、左に少しずれて商品を箱詰めしている人に渡せばいい。ここでは全くことばは必要がない。あとは店の人に任せれば、欲しい個数を上手に箱詰めしてくれるのだ。しかし、このレジのところで、隣りのレジに並んだ中国人か台湾人かわからない中国系の女の子が「エッグタルト3個」と頼んだのはいいのだが、現金がなくてクレジットカードで払っていたのには笑えた。おまえ、3個ということは、全部で300円だぞー!

持って帰らないで、この店の中でも実は食べることが出来る。カフェとしての機能もこの店にはあり、結構店の奥のほうまで椅子とテーブルが並んでいるのだが、これがまたどこもかしこも満員。そして、誰も店の中を案内してくれないで、自分で勝手に空いている席を探してそこに座るしかないのである。座ったら、中を縦横無尽に歩き回っているウェイターを捕まえて、コーヒーとエッグタルトを注文したらいいだろう。まるで学食の席取りに似ているような感じがする。

更に言うと、エッグタルトの厨房も覗くことができる。ここでは毎日一体何個のエッグタルトを作っているんだろうという膨大な数のエッグタルトを作っている現場が見られるのだ。それを見ているだけでも涎が出てきそうになるから、困ったものだ。
また日本でもエッグタルトが流行ったらいいと思うのだが、なぜエッグタルトが恒久的に日本では定着しなかったのだろうか!?やっぱり作るのが面倒くさいからなのだろうか?謎だ。

パスティス・デ・ベレン(Basteis de Belem)
URL : http://www.pasteisdebelem.pt/
Address : Rua de Belem 84-92
Open : 9:00~23:00
Holiday : なし

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