2013/05/11

ソラール・ドス・プレズントス(リスボン)

リスボン滞在中に2度行ったレストランが、レスタウラドーレス広場から東側にいき、ケーブルカーがある乗り場のすぐ隣りにそのレストランがある。名前は「ソラール・ドス・プレズントス(Solar dos Presuntos)」。海鮮ものから肉料理まで幅広いポルトガル料理を目と舌と雰囲気で楽しめるレストランである。そして、この店、いつ行ってもめちゃくちゃ混んでいるのである。ミシュランに載っているのかどうか知らないが、地元の人や観光客もみんなが並んででも食べてみたいとおもうようなレストランである。できれば予約を入れていったほうが並ばなくて済むとは思うのだが、店内は奥と二階の部分とでたくさん席があるので、結構席数は店内に存在するから、ちょっと待つ気でいくのでも問題ないだろう。
レストラン店内は、正装をしなければいけないというわけじゃないため、気軽に入ることは可能だから、毎日でも行っても良い場所だと思う。所狭しとテーブルが並んでいるし、その間を店員があちこちと駆け回っている。この中にいる店員は、誰もがポルトガル語、スペイン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、英語の6ヶ国語は誰もが話せるんだということ。だから、メニュにもこの6ヶ国語が書かれているので、それぞれで理解できる言語で料理の注文をすればいいようになっている。しかし、言語によって微妙に言い回しが異なるようなので、その違いを見てみるのも面白い。あと、ワイン類の注文だが、これも一応メニュはある。ただし、本や冊子のようなワインリストを渡されるというわけじゃなく、なんとこの店、iPadを渡されて、そこから好きなものを選べとのこと。これだと、ワインのリストだけじゃなく、そのワインのウンチクについてもiPad上で表現できるからソムリエ要らずということができる。だったら、料理も写真付きで載せればいいのにおもったが、料理のほうは季節ごとに頻繁にメニュを改定しなければいけないから、そのため電子ファイルのメンテナンスが面倒臭いと思ったのだろう、料理のiPad用リストは無かった。
入口のところにはライトアップされた大きな水槽が存在しているのだが、これが料理を食べているときに目に付いて、気になって仕方ない。だって、ここに大きなロブスターがちゃくちゃたくさんいるわ、食材になる魚がたくさん泳いでいるし、お客さんからの注文があった場合、そこから網で魚を掬い、網から逃げたい一心で最後の足掻きを魚がしているところも見られるのも楽しい。

1日目と2日目の料理は下記の通り。

■1日目

・ロブスターのごはん(2人分)
・たらの焼き物(ちょっと塩辛い)
・たこの焼き物
・85.25ユーロ

 
 

■2日目

・パエリア
・コーヒー
・プリン
・錦糸玉子みたいなもの
・75.20ユーロ
 
 
 
どちらも品数としては少ないんじゃないのか?と思われがちだろうが、いやいやそんなことはない。1品の多さはかなりのもので、それだけでもかなりお腹が一杯になる。とりあえず、食べてみたい料理を言ったあとに、お店の人に「足りますかね?」と聞いてみるとよい。たぶん返答としては「それは食べすぎです」と言われる。2日目のメニュはメインの料理としてパエリアしか頼んでいないのだが、本当なら他にも実は頼みたかったのである。ところが注文したあとに「パエリアだけでも(ジェスチャー付きで)すごい腹いっぱいになるので、もうやめとけ」と言われた。確かにこれは店の人の言うことは正しかった。でも、チャレンジしてもうちょっと他のものを頼んでも良かったかなという気がする。しかし、パエリアだけでも十分満足しているような様子を見てか、注文をとりにきた店員が「ほら、俺の言うとおりだったろ?」と追い討ちをかけてきたときには、ムッとは思ったが、おっさん、あんたの言うとおりだよと本当に思った。

さて、それぞれのご飯のことに付いて言及したい。

1日目のロブスターのごはんは、2人前からの注文になる。大皿にロブスターの肉をリゾット風にした料理が運ばれてくるのだが、これを店員がテーブルで取り分けてくれる。やっぱりエビ類は味が濃いわ。とりわけられた量も見た目には少ないと思ったのだが、皿自体が大きすぎるので少なく見えるのも実はそこそこの量だったわけだ。リゾット風なので胃もたれするような料理が続いているひとが食べるには丁度いい。

タラとタコの焼き物は、見た目がどちらも同じ盛り付けになっているため、どっちがどっちか分からないような感じだが、白身魚のタラと、大きく太い脚の部分を使っているタコでは、味が全く違う。どちらもポルトガルの名物食材に使われるものであるため、両方とも美味い。オリーブオイルで炒めただけのものだが、タラもタコもどちらもオリーブに負けない素材のようなので、じっくりオリーブがいい味付けになって口の中がパラダイスになる。

2日目の料理はデザートで締めることにした。この店のデザートは絶品。メインの料理だけじゃなく、最後のデザートまで食べてみることをお勧めしたい。それに気づいたのは2日目だったので、なぜ初日に食べなかったのかというのを今でも悔やむ。ここでは、定番のクレーム・キャラメル(要はプリン)と錦糸玉子風のデザートを食べたのだが、まさか錦糸玉子がこんなポルトガルに存在するとは思わなかったのでビックリしたし、九州にポルトガルから伝わったんじゃないのか?というのが実感できる美味さだ。

そういえば、2日目にパエリアにしようとおもったのは、1日目に来たときに、1人で来ている日本人客がパエリアを頼んでいるのをみて、そんなに量が多くないのかなと勝手に思っていたのだが、実はその日本人観光客は男性だったのに、最後の最後のほうではあまりにも量が多すぎたようで食べるペースがかなり鈍化していたのにあとで思えば気づいた。だが、1人で食べても美味いんだろうという理由から選んだのが、あの日本人の観光客はそういえば最後まで食べられることができたんだろうか?

そういう1人でもこの店には来る人がいるようなのだが、大体の場合、1人でレストランなんかに来る人は日本人くらいである。ヨーロッパ人の多くは基本的にご飯は1人で食べるものではなく、誰かと食べるものと考えているわけだ。常連の店があるならそこに1人で来るというのはあるかもしれない。が、それは店員と話をするためにきているということも意味しており、決してモクモクと食べるだけ食べて、さっさと帰るというようなことは無い。だから、日本人が1人でレストランに来た場合には、邪魔にならないように部屋の隅のほうに追いやられるのが普通のようだ。上述の日本人は入口に一番近いところにある2人席のところに座らされていたのだが、あの場所、空き席を待っている客が入口付近で他人の料理を恨めしそうに見られてしまう最悪の位置であるから、あんな場所でご飯を食べているなんて絶対イヤだと思った。2日目に行ったときにも、言葉があまりできない日本人老夫婦が座らされていたようで、いつまでたっても店員を呼びつけることができない状態だったみたいで、自分たちがご飯を食べて出て行くまで、まだ料理がきていなかったのは記憶にある。あの人たちはご飯を食べることができたんだろうか?

短期間に2度行ったからかもしれないが、あんなに頻繁にお客さんの出入りが激しい店なのに、2度目に行ったときに「また来たねぇ」と言われたときには、その記憶力の良さにはビックリした。あぁいう細かい心配りが出来るようなお店というのは、人気が出て当然なんだろうなと思った。リスボンの夜を楽しくするんだったら、このレストランで店員も含めて団欒をするのも楽しいだろう。ほんと、たくさんの人がこの店で楽しんでいる。なにしろ、店員は料理によっては自分たちで調理をして客席を魅了してしまうという演出もあるから、店全体を見逃せない。あとは、店内のあらゆる壁には、この店にやってきて絶賛していったひとたちのサインと顔写真が飾っている。こういう写真とサインが置かれている店は概してダメな店だったりするのだが、この店は違った。写真やサインは単なる飾りと思っていればいいだろう。

 

ソラール・ドス・プレズントス(Solar dos Presuntos)
URL: http://www.solardospresuntos.com/
Facebook : https://www.facebook.com/solardospresuntos
Open : 月 - 土: 12:00 - 16:00、18:30 - 23:00

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