2014/01/03

岩永梅寿軒(長崎)

長崎市内の中心地にある商店街をさらに北上していくと、近くには有名な観光スポットである眼鏡橋が見えてくる。その眼鏡橋の傍に店舗を構えている老舗があるのがわかるが
そこが「岩永梅寿軒」という店だ。

だいたいふらふら歩いていたら、廻りの景色と違って、1軒だけすごい古めかしい建物が見えてきたら、たぶんその店が該当する店だと思って良いと思う。それくらい古くからこの店は店舗として開業しているのだ。
1830年にはこの店は開業していたようなのだが、そのときには現在の場所に存在してはおらず、違う場所で営業をしていた。現在の場所で営業を始めたのは1902年。日英同盟の年に開業というから、もう軽く100年は越えている老舗である。今も昔も、現在の店舗が存在する商店街は1634年から続く中通商店街というところなので、長崎の代表的な商店街であることは言うまでも無い。だから、昔の人がこの通りで商売をしようと店舗を移転してきたのは当然のことなのだろうとは思う。建物自体を観に来るだけでも実は観光の価値があるんじゃないのだろうか。

この店舗の名物は「もしほ草」という和菓子。素材は求肥と昆布でその表面に砂糖がたっぷり振りかけられていると言うもの。港町・長崎ならではの食べものだと思うのは、昆布は海が近いので、地場で用意できるという意味では簡単だし、長崎は南蛮貿易拠点にもなっていたため、簡単に南洋特産の砂糖を輸入することができたということだろうと思われる。もちろん、薩摩藩が琉球王国にいちゃもんをつけて奪い取った奄美以北の旧琉球領地でも砂糖は当然作られていたので、これを日本全国の藩に売りさばいて薩摩藩の莫大な財産を作る原動力になっていたわけだが、長崎は天領であるので、薩摩藩から買うこともあれば、貿易商を通して海外から直接砂糖を買うことができた環境ではあったかと思われる。
もしほ草は、素朴でありながら、味が結構濃厚なもので、この食感が求肥ではあるのだろうが、台湾人的表現で言うと「QQ」な感じであり、食べやすいものだ。たぶん、一度はどこかで名前を知らなくてももしほ草を誰でも食べているんじゃのだろうかと思う。本当のもしほ草ではなく、ニセモノかもしれないが、それでも類似品であることは変わりない。だいたい「もしほ草」の「もしほ」って何?と思われるだろうが、これは「藻塩」が訛ったものらしい。

料金は箱入りだと1袋800円(+消費税)である。

岩永梅寿軒
URL: http://www.baijyuken.com/
住所:長崎県長崎市諏訪町7-1
電話:095-822-0977

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