2014/01/03

大浦天主堂(2013年)

大浦天主堂は長崎の観光名所の中の1つであることは間違いない。しかし、実は大浦天主堂について、あんまり知られていない。だいたい正式名称からして「大浦天主堂」ではなくて、石像にも大浦天主堂とは書かれているのだが、実際には違う。正式名称は「日本二十六聖殉教者堂」というもので、秀吉の命令で京都に住むフランシスコ会員とキリスト教徒全員を磔の刑にあわされた26人の殉教者たちを偲んで建てられた物である。26人は京都に住んでいた日本人と、日本に布教をしていたひとたちだが、目鼻をそがれたあと、京都から長崎まで歩かされて、長崎にある西坂の丘で処刑されている。これはゴルゴダの丘にちなんで処刑の場を望んだらしい。しかし、教会として完成したのは開国後の1865年のことなのだが、26聖人の処刑は1597年の出来事。実に268年も経過して建てられた物である。
もう1つ歴史的にはここの教会に起こった出来事がある。それは信徒発見という出来事である。教会が出来てすぐのときに司教として赴任したフランスのカトリック宣教師のところに浦上地区から隠れキリシタンがやってきて、司教に対して「カトリックを信仰している」ということを告白する。日本には居ないと思われていただけに、このときの司教の驚きは大変なものだったことだろう。早速ローマのサンピエトロに連絡し、当時の教皇ピウス9世の耳に入ったときに「東洋の奇蹟だ」と言われたことは有名。

そういう歴史的事実を知った上で、この教会を訪れないと、単なる観光名所であるしかなく、なんのこっちゃということだけに終わってしまいそうだ。なにしろ、開国後のキリスト教解禁に伴って、最初に建てられたのがこの教会だということも名所になるひとつの要素だとは思うのだが、モノとして現れていない部分での歴史遺産を知ることが観光旅行の必要要素だとは思っている。

ヨーロッパの教会の多くは、信者のお祈りの邪魔にならないような程度であれば、写真撮影は特に文句を言われない。もちろんフラッシュは絶対禁止。たまに馬鹿みたいにフラッシュを焚く人がいるのだが、あぁいう無知で無能な人は写真を撮る行為自体を行ってはいけないと思う。ここの教会はその写真撮影自体が全面的に禁止。禁止なのは内部だけなのだが、それはここが神聖な場所だからと言うこともあるのだが、どちらかというと、無知で無能な観光客がフラッシュを焚いて信者の祈りの邪魔になるのを防ぐためなんだろうとは想像できる。だが、申し訳ないのだが、隠し撮りをさせていただいた。すみません。
内部の様子は他のアジア地区にあるようなカトリック教会とは違って、少しヨーロッパの田舎にある教会の雰囲気を残している。アジアの教会の特徴としては、後発的にキリスト教が布教されたということもあるのだが、キリスト教に対してお布施を初めとする集金術がそれほど発達していなかったために、教会の装飾がそれほどヨーロッパ大陸のカトリック教会に比べて派手にならなかったというのが特徴だ。日本もヨーロッパの植民地になったわけでもなく、他のアジア諸国によりも更にキリスト教が鎖国後に改めて布教再開されたのであれば、もっと簡素になってもいいとおもうのに、実に教会内部が温かみがありつつ、豪華ではないのだが、質素すぎないというデコレーションになっている。もちろん窓は全面的にステンドグラスで被われているところも教会の雰囲気作りを後押ししていると思われる。なぜか教会の窓から日本式墓が見えるという、アンバランスが面白い。
天主堂は高台あるところに建てられているが、教会の本堂だけではなく、周りには少し広場にもなってる。その広場にはヨハネパウロ二世が長崎にやってきたことを記念して建てられた胸像も建てられているので、それも観ると良いだろう。ここ近年ではもっともよく知られている教皇の1人であり、非イタリア人にして史上最初のスラブ系民族(ポーランド人)からの教皇であるし、在位が27年もあったことが長く知られるようになったのだろうとは思われる。またもう1人、これ誰?と思うような人の全身像が建っているのが分かるだろう。これこそ、「信者発見」をしたフランス人カトリック司教のプティジャン(Bernard-Thadée Petitjean)である。
 
 
 
天主堂にいくまでの参道についてもちょっと言及したい。ここは天主堂とその先にあるグラバー邸にいく道でもあるのだが、道の両側はたくさんのおみやげ側があるのだが、その中でも異色の場所が存在する。それが「カステラ神社」だ。神様はいったい何なのか?ということは言及してはいけない。おみくじがあったりするが、それがいったいなんのご利益や忠告を与えるものなのかも言及してはいけない。1つのキャラクターショップであるということで見逃したほうが良い。
 
天主堂はその坂道参道を真っ直ぐ上ったところにあり、さらに敷地内に入ると長い階段があり、そのてっぺんに教会の建物が存在するというものだ。
そういえば、大浦天主堂に来たのはこれで2回目だったんだが、前回も来たのに全く覚えていない。

大浦天主堂
URL : http://www1.bbiq.jp/oourahp/
住所:長崎県長崎市南山手5番3号
拝観時間:08:00 - 18:00
拝観料:300円
TEL:095-823-2628

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