2014/01/03

茶碗蒸し・吉宗(長崎)

長崎での昼ごはんに選んだのは、繁華街の中にある老舗の「吉宗」というところだ。この漢字名を普通に読んでしまうと、徳川吉宗のことから「よしむね」と読みそうなのだが、この店の名前は「よっそう」と呼ぶ。開業者である「吉田宗吉」の名前からつけられている。その吉宗は「茶碗蒸し」がとても有名なところ。この茶碗蒸しを食べるためにこの店に来ているといってもいいだろう。

建物は見た目からすると、どっかの芝居小屋か?と思ってしまうような佇まいである。実際に入口を入って店内に入っていくと、これまたお座敷料亭とか、または遊女がいるような入口だったりするので、一瞬ギョッとする。しかし、それは昔ながらの店だから、そのようなつくりになっているのであるが、ちゃんと靴を整頓する専門の番頭が居て、客層や予約ありなしに従って、誘導するところを進めているところが格式高い店であることを語っているだろう。
実際に店舗は椅子を中心とした1階部分と、大広間のお座敷タイプになっている2階部分に分かれている。2階のお座敷の様子というと、浅草にある「駒形どぜう」の店のような感じだと思ってもらったら良いだろう。しかし、駒形どぜうのような古めかしい内装にはなっておらず、近年リニューアルしたようなので、店内はとても綺麗だ。1階のほうは1人また2人できているような客を積極的に入れているようなところだった。2階のほうは団体客を率先して入れているということで、どうやら客を区別しているようだ。

常に混んでいる店内は、お昼の時間帯に行ったら、本当に待たされることになる覚悟はいる。それだけ、この店は長崎では有名なところであり、一度は食べておきたいと思っている店と思われているからなのだろう。自分たちがこの店に行ったときに、店内に入ったら先に来ている客がずらっと並んでいたのだが、どのひとたちもどうやら団体客だったようで、二階席にいくことが目的だった。自分たちは少人数なので、別に1階、2階なんか気にしていないので、番頭のひとから「1階でもいいですか?」と質問されたときに「いいっすよ」ともちろん返答したから、さっさと店内に着席することが出来た。

さて、ご飯だが、こちらの名物料理である茶碗蒸しを中心とした定食か、長崎の伝統的料理である卓袱料理が食べられる。もちろん、普通の和定食も食べられるのだが、この店にきてそんな邪道なものを食べる人は、もう来ないほうがよく、どっかその辺の店に入れば良いんじゃないのかと思う。それで卓袱料理のほうは注文していないのでわからないのだが、茶碗蒸しの料理を昼にいただいたので、その点について記載すると、店名にもなっている「吉宗定食(2000円+税)」をぜひ注文して欲しいと思う。店内のメニュは写真つきになっているので、どういうものがどの程度あるのかというのは想像しやすいようになっているが、その写真をみて、自分にはどうやら量が多いなとおもうようであれば、「御一人前(茶碗むし、蒸寿し揃)(1200円+税)で良いと思う。どちらの料理であっても茶碗蒸しがついてくるからだ。
しかし、茶碗蒸しと簡単にいうが、ここの茶碗蒸しを舐めて貰っては困る。なんといってもその量が想像以上に多いのである。だいたい茶碗蒸しなんて、コースだったりするところの最後のほうにおまけのように出てくるようなものであり、ちょこっと食べるから良いと思うのだが、ここの茶碗蒸しはどんぶり鉢みたいに大きな茶碗蒸しなのだ。だから、これだけ食べていると、半流動食とは言え、かなり満腹感が出てくることだろう。そして、なんといっても、量だけが自慢であったら、そんなのアメリカ人並みの脳みそと味覚のあるひとたちだけが行けば良いのだが、ここの茶碗蒸しはめちゃくちゃ味が巧い。出汁の味がとても利いているのがその特徴だ。

ご飯は3色のそぼろが乗っているタイプなので、ご飯の量が多いなと思った人が居たらそれは残せば良いと思うのだが、吉宗定食のもう1つの隠れたお勧めは、角煮だと思う。ここの角煮は、自分にとって世界一だと思っている台北・極品軒の角煮に一番近い味付けと柔らかさと噛みごごちを感じることが出来るものだったからだ。あのこってり感をここで食べられるというのは本当の贅沢だと思う。

常連も頻繁にやってくる店でもあると思うが、食べているときに、昔からこの店にやってきているであろう足の不自由な老婆がいた。老人特有の「昔はよかった」的な発言を連発して、店員もまわりの客も困惑していたのだが、おそらくサービスも味も昔から変わっていないのだとおもう。変わったのは年齢とともに味覚が変わっている客のほうなのであることは客はほとんど気づいていない。

長崎にやってきたときには、夜でも昼でも1度は絶対この店に行くべき名店中の名店だと思う。東京でも、銀座にその支店なのかのれんわけなのか「銀座吉宗」があるので、長崎本店の味が恋しくなったら、銀座の店に行くと言うのもありだと思う。



茶碗蒸し・吉宗
URL : http://yossou.co.jp/
住所:長崎市浜町8-9
電話番号:095-821-0001
営業時間:11:00 - 21:00

ぎんざ・吉宗
URL : http://www.ginza-yossou.jp/
住所:東京都中央区銀座8-9-16 長崎センタービルB1階
電話番号:03-3572-7686
営業時間:平日 11:30~22:00(L.O.21:00)
     土・日・祭日 11:00~21:00(L.O.20:30)

1 件のコメント:

履歴書の書き方 さんのコメント...

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!