2010/09/29

デスカルサス・レアレス修道院(Madrid)

マドリードで宿泊したホテルから歩いて50歩以内に、デスカルサス・レアレス修道院 (Monasterio de las Descalzas Reales)がある。開いている時間がとても短く、それも変な時間帯しか開いていないので、普通に前を通った時には、ここは永久に閉まっているのかな?と思うような建物だが、実は立派な建物で観光客としては行くべき観光地の1つになっている。

フィレンツェの元メディチ家の邸宅で今はフェラガモの本店になっている建物のように、めちゃくちゃ分厚い大きな石の壁で作られた重厚な趣の建物がこの修道院である。入口は、1箇所だけで、それも屈んで入らないとだめなくらいの高さである。朝は10時半から1時ちょっと前までしか開館していないのだが、その時間帯なら誰でも好き勝手に入れるかというと、そうではない。見学はかならずガイドツアーに参加せねばならず、ツアーは人数制限があるために、それに洩れたら、その日はあいにく見学ができなくなるというオチである。そんなこともあまり知らないで10時半開館の時間に合わせて、ホテルを出てみたところ、既に入館のための長い列ができていた。全員観光客である。並んでいる列を見て、「ここってなに?」と言っているたまたま通りかかった観光客も居た。10時半の開館時には、自分たちの後ろにも結構列ができていて、すごい人気だなーと思ってしまった。

チャッチャか列が進んでいくものかとおもっていたら、あまり列が進んでいかない。また、どうせ入館料の5ユーロを払う手続きで、グタグタやノロノロしている奴が並んでいたのかなと思っていたのだが、実際は全然違った。腰を屈めないと入れない入口のところにおばさんがひとり立っていて「English guide? Spanish guide?」と入館する人に全員聞いていた。事の要領が分からないので、まぁ普通に「English guide」と答えると、「英語のガイドだったら11時45分ね」と言ってきた。1時間ちょっと待たないといけないのも面倒くさいものだ。おばさんに英語ツアーの時間を伝えられると、そのまま中に入って予約カードをもらいなさいと言われるので、そのまま料金支払い兼予約受付台のところに行く。前に並んでいた人も、英語ガイドの要求をおばさんに頼んでいたのだが、時間が気に食わなかったのか、嫌な顔をしていて、料金を払うときになにか受け付けの人と話をしていた。何を話をしていたのかわからなかったが、こちらも半分待ち時間が気に食わなかったので、だめ元で「スペイン語のガイドだったら何時になりますか?」と聞いてみたところ、11時30分のツアーなら空いてますねと言われた。英語だろうが、スペイン語だろうが、早く中に入って勝手に見学するほうが懸命と思ったので、「じゃぁ、スペイン語のツアーでよろしく」と予約のほうに伝えた。もちろん、スペイン語のガイドなんかに参加しても、何言っているのかちっともわからない。

予約券をもらったあとは、それまでどこかぶらぶらしているしかない。建物を出てうろうろしていた。予約の時間の5分前までに戻ってきてと言われたので、11時25分を目処に戻っていこうと思ったのだが、他のところに行こうにもそれほど時間が無い。ホテルの部屋に戻って時間までのんびりしていようかなと思ったが、どうせ清掃中の時間帯だろうから、戻ってしまうと邪魔になるのでダメ。なので、プエルタ・デル・ソルのほうにフラフラ歩いてみた。暇な人たちが他にも居るようで、何をしているのかわからないような人たちが結構たくさんいたのは面白い。

10分くらい前に修道院に戻ってみると、予約券を確認して中に通される。バッハですか?というような凄いパーマの髪型をしたおじさんが予約券を確認するのだが、あなたいつの時代ですか?と日本語で聞いてしまいそうになった。

中に入ると、荷物検査が行われ、手荷物はすべてX線のボックスを通される。そして、内部でのカメラ撮影はすべてNG。同じツアーに参加する人たちが集まるまで、前室のようなところで待たされる。

ここで、大失態を犯してしまい、この後、この建物のなかでの素晴らしい美術品の展示や絵画について、全くどうでも良いとおもってしまうようになってしまう。それは建物の中に入った途端に、急にトイレに行きたくなってしまったことだ。建物に入ったときに、どうせ中に入ったらトイレくらいあるだろうと思っていて、前室に入ったときにトイレを探しにちょっと建物の中を探してみたが、はっきり言って無い。そのショックはでかかった。もうガイドのツアーなんか参加しなくていいから、ここから出してくれーと言いたかった。それでも最初のころは、ちょっと我慢したら良いだろうと思っていたのだが、修道院の中は夏でも結構ひんやりしている。そのヒンヤリ感が余計にトイレに行きたくなる気持ちを高ぶらせてしまう。入ってすぐのところにある、17世紀のフレスコ画が描かれた凄い豪華な階段では、いかにこれが素晴らしいものかというのをガイドがスペイン語で説明している(と解釈した)のだが、この説明がめちゃくちゃ長い。半分自慢したいという思いもあるのだろうし、「どうですか、みなさん!」といわんばかりの熱の篭った説明のため、その説明が終わるまで、ツアーに参加したひとたちの移動は無い。この待ち時間が一番辛かった。階段のフラスコ画なんか、もうどうでもよくなって、いっそ、ここで漏らしてしまおうかなと思ったくらいである。

ところが、もっと事態は酷かった。

ガイドの説明がある間は基本的にツアーに参加したひとは、ガイドと共に移動することになるのだが、そのガイドの説明の間に建物のどこかにトイレがあるんじゃないのかと思ったので、常に説明とは全然関係ないところばかりを気にしていた。が、この怪しい行動がどうやら本当に怪しいと思ったのか、ツアーに参加した客が展示物に余計なことをしないように目を光らせる警備員が一緒にツアーに一番後ろから同伴していて、その警備員が「どうかしましたか?」と声を掛けてきたのだ。まさか恥ずかしくて「トイレに行きたい」とは、なぜか言えず「いえ、別に・・・」と口ごもってしまった。なぜそこで「トイレに行きたい」と言えなかったのだろうか?と聞いたところで、建物の中にはトイレは無いというのを後で警備員から聞かされる。

そんな危機迫る状態であったにも関わらず、記憶に残っている印象深かったところを記載したいと思う。

上述したが、まずは入ってすぐの大階段は素晴らしい。まるでここが王宮ではないのか?と思ってしまうようなくらいの豪華さがあった。壁という壁には天使の肖像画が書かれており、大天使ミカエルを中心にケルビムの絵もたくさん掛けられているのが、悪い言い方をすると悪趣味に見えてしまう。そのすべてが色落ちしないように油絵で描かれているというから凄い。さすが修道院だから、宗教色のものばかりがここでは描かれているのをじっくり堪能したいところだ。

階段のすぐ傍に小さな礼拝堂群が回廊にあわせて出てくる。これ1つ1つに修道僧が修行等をしていたところなのだそうだが、その礼拝堂に飾る煌びやかなモニュメントが1つ1つの窓から見えるので、それを観ているだけでも、美術的な価値を堪能することができるのではないだろうか。ただ、この小さな礼拝堂のところも、1個ずつじっくり見ようと思っても、見学ツアーに参加しているところで観るために、じっくりと観ることはなかなか難しい。人気があるような窓のところには、たくさんの人が我先にと見ようと迫ってくるからだ。

上のフロアに行くと、多少大きな礼拝堂に出てくる。ここでは修行を行っている修行僧たちが一同集まってミーティングや説教を聞くための部屋になっている。正面にマリアの像が立っているのが印象的で、部屋の真ん中に聖書等を設置する台も存在するのだが、この彫刻もまたすごい。

さらに奥の方の部屋に行くと、大きなタペストリーや大きな絵画を掲げている場所にやって来る。ここまで来ると、もう終了である。

個人的はこの部屋に来ていたときには、もうほとんど限界寸前になっており、早くここから退出したくてしたくて仕方なかった。止まっていると、もう漏れてしまうとおもったので、絵を観るふりをして、うろうろ歩き続けることにしていた。

今度はできれば、用を済ませてすっきりした状態でもう1度じっくりと訪問したいところである。途中の場所もかなりたくさんいい場所があったのだと思うが、定期的な波でやってくる限界に、そのときにはただ耐えるだけしかなかったために、その状態での記憶は全くないため、ここでは記載できていない。

子供じゃないんだから、どこかに出かけるときにはちゃんとトイレに行くようにしなくてはだめですね。

デスカルサス・レアレス修道院 (Monasterio de las Descalzas Reales)
URL: http://www.patrimonionacional.es/Home/Monasterios-y-Conventos/Monasterio-de-las-Descalzas-Reales.aspx
Open : 10:30~12:45, 16:00~17:45 (火曜~土曜)
    11:00~13:45 (日曜、祝日)
料金:5ユーロ
そのほか:ツアーはだいたい1時間の予定

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