2010/09/29

王宮(Madrid)

スペインは王様がいるところだ。だから、正式名は「スペイン王国」である。いまの国王フアン・カルロス1世はフランスのブルボン王朝から分かれた王家の血筋であり、かつてスペインを支配したハプスブルグ家とは関係が無い。ハプスブルグ好きとしては、いまのスペインには興味が無いのだが、かつてのスペインへ文化を根付かせたいろいろな習慣・文化・風習というのには興味がある。そんな国王も、もうそろそろ引退の時期か?

さて、そんな国王がかつて住んでいたところが王宮(Palacio Real)である。しかし、現国王はここに住んでいるわけではない。国賓を迎えるときの公式行事のときだけはここを利用する。従って、普段からこの建物は観光客に解放されている状態なのだ。そういう意味ではむやみやたらに警備員が居て、緊張の中訪問しなければならないというわけじゃないので良いと思う。

そうは言っても、王宮のなかが何でも解放というわけではない。他のスペインの施設でも同じなのだが、スペインの場合、建物の内部や博物館類における写真撮影は一切合財禁止である。入場する際に、荷物検査が行われたりするのはよくあることだが、写真撮影まで禁止にするなんていうのはケチだと思う。日本の施設に良く似ている。写真撮影を禁止にして、ガイドブックを強制的に買わせるようにしているのかどうかはよくわからない。さらに言うと、王宮のすべての部屋を見学できるというわけでもないのだ。もちろん、見学通路というのが確保されているために、どこを通ればいいのかというのは観光客にはわかるようになっている。しかし、その中でたぶん目立つところの部屋だけは解放しているのだろうが、細かい部屋については全然解放されていないというのは少し残念である。王宮の入口は、正面のところから入れるというわけではなく、横にあるアルムデーナ大聖堂(Catedral de Nuestra Senora de la Almudena)との間のところから入る。入場料金は1人8ユーロ。しかし、入口はとてもたくさんのひとたちが並んでいる。それもタバコ吸いながらの馬鹿もたくさんいるので、待っている列の下は、消しタバコの吸殻で結構汚い。門を入ると、全面的に禁煙であるのは良いことだが、そうじゃないところでの喫煙のマナーの悪さは世界共通なんだなというのが良くわかる。入場券兼入場口を通り抜けると、すぐにお土産コーナーのところに出くわす。すぐにお土産コーナーがあるのだが、ここで王宮のガイドを買っておいたほうが実は良いと思う。中に入ると、ほとんど説明がないので、なんの部屋なのか、なんのための名品なのかというのが全くわからない。それに、写真を撮ることもダメなので、あとで見ようにも記録が無いからわからないのである。ということは、先にガイドを持って、それを見ながら訪問するのが良いと思われる。多少、日本のガイドにも記載されているのだが、あまり参考にはできないだろう。しかし、残念ながら王宮のガイドは日本語版は無い。英・仏・独・西の4種類である。

実際の建物の内部に入る前に、いくつか紹介したいところがある。それは王宮の袖口にあたるところになるのだが、王宮の正面からみて右側のところの回廊に、王室薬局の名残が残っている。フィレンツェのサンタ・マリア・ノベラ薬局には負けるとしても、王室が研究兼治癒のために設置したものであり、当時は最先端の材料と研究機関だったと思われるものが、ここにはある。建物の中に入ると、中にはたくさんのフラスコやビーカーが並んだ部屋がいくつもある。そして、ラテン語で表記はされているが、見たことも聞いたこともないような薬品や薬草、そして化合物をそのなかに入れていたのであろうという名残を垣間見ることができる。いつから残っているのかわからないが、ビーカーやフラスコの中には、まだ薬品が残っているのもある。ただ、それがいまでも効能があるのかどうかは不明である。そして、この薬局の歴代の責任者が壁の上のほうに肖像画として残っているので、どういうひとがいたのかというのを観るのも楽しいだろう。すべては王のためにあったのである。薬局を見終わって、ようやく王宮の本体への見学となる。最初は荘厳な階段がお出迎えになる。その階段というのは、ヨーロッパの王宮だと、だいたいどこでも同じようなものだとは思うのだが、総大理石と豪華な宝飾で飾られたものと決まっている。このマドリードの王宮も同じだ。天井が高く、天井の真ん中にはどうやって書いたのか難しいキリスト教系統のフラスコ画が書かれている。口を開けながら上をみて階段を上がっていると、結構危ないので注意だろう。

いくつかの見所のある部屋はあるのだが、玉座の間とカルロス3世の私室は、絶対見るべき場所だろう。玉座の間は、玉座の右側から部屋に入ってくるようなかたちになるので、想像としては部屋に入ったら目の前に玉座が現れるほうが、実は感じが良いとおもう。だから、玉座の間だと言われても、はて?玉座どこ?と思いっきり探してしまった。縦長の玉座の間ではなく、横長になっているためにそう思うのだろうと思う。玉座は、複数の大きな鏡があり、謁見をする際には、部屋の真ん中にやってくるという手法だ。

カルロス3世の部屋は、中央に丸い形をした座椅子があるのだが、これがベンチ形式のようになっており、どうしてこんなものが部屋の真ん中にあるのだろうと不思議におもう。ただ、部屋全体は、床から壁まで全面的に花柄の模様を特徴としたデザインになっており、はっきりいってこんな部屋に居ると気がめいってくると思う。当時のイタリア・ルネサンスの影響からこんな部屋を作ったのだろうと思うのだが、悪趣味だなという感じがする。

部屋の中で意味が分からないとおもったのが、喫煙の部屋。壁全体に陶器が埋め込まれているのだが、その色のセンスがめちゃくちゃで、黄色と紫と緑をつかったものが、中途半端に離れて埋め込まれている。こういうデザインを「好き」とおもった王様がいたのかどうかしらないが、日本の陶器をスペインに持ってくること自体が珍しいものだっただろうとおもうので、こういう部屋ができたんだろう。しかし、喫煙の部屋と言われるだけあって、部屋の大きさがそれほど大きくない。いまのビル内にある喫煙室と同じくらい、タコ部屋スタイルだったのは、今も昔も変わらない。

一度建物から出て、門内の敷地に立って見ると、建物が三方向を囲んでおり、そして一方向を大聖堂が見えるような形になっているのが良くわかる。床も壁も全面的に大理石を使っているので、これは天気がいいときにここに立っていると、きっと目がまぶしくて開かないだろう思う。あとは、大聖堂の2階から王宮を望む景色を楽しんだらいいと思う。王宮 (Palacio Real)
URL : http://www.patrimonionacional.es/
Open : 9:00 - 18:00
Admission Fee : EUR8.00

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