2009/05/16

カールスプラッツ駅(ウィーン)

カールスプラッツからリンケ・ウィーンツァイレにかけての一角は、時代の転びようによっては、アールヌーヴォーの建築で埋め尽くされた可能性があったとおもう。というのも、実際に、ウィーンのアールヌーヴォーの申し子であるオットー・ワーグナー(Otto Wagner)は、カールスプラッツを自分で設計した駅舎や噴水、市立美術館、デパート、ホテルなどで埋めるプランを発表しており、その構想図も残されているからである。

ドイツ圏では一般的にアールヌーボーのことをユーゲントシュティル(Jugendstil)というのであるが、ウィーンでは特別にゼツェッション(Seccesion : 分離派)と呼ばれることが一般的のようだ。カールスプラッツ駅のすぐ傍に、気持ち悪い建物があるのもその総長である。

しかし、ウィーンほどアールヌーヴォーに愛着を持っているところは無いんじゃないだろうか。他に、このようにアールヌーヴォーを大切にしているところはブリュッセルくらいしか記憶にない。観光のインフォメーションにいっても、アールヌーヴォーの建築マップを常設しているくらいだからだ。まぁ、それだけアールヌーボーの建物があるからというのも関係する。

その代表的な建物が、このカールスプラッツ駅の駅舎である。いまは地下鉄になっているのだが、地下鉄が出来る前は、路面電車の駅であった。いまでも路面電車の名残は残っており、線路は道路に残されたままで、現在は普通にその道路を車がびゅんびゅん走っている。ただ、駅舎だけは建築物として歴史に名を馳せるものとして残されており、とても絵になる駅舎だと分かる。ちなみに、いまは駅舎跡の前には常設カフェがあって、これが邪魔だ。近代化の波とあわせてやってきたアールヌーヴォーの建物が華やかに彩られていた時代というのはどういう景色だったのかを妄想してみたいところである。

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