2009/05/16

自然史博物館(ウィーン)

自然史博物館(Naturhistorisches Museum)は、マリアテレジアの像を挟んで、美術史博物館と向かい合っている建物である。マリア・テレジアの夫であるフランツ・ロードリンゲンが集めた大コレクションが基になっており、先史時代からの動物、植物、鉱物、人類学に関する展示物が、これでもかーというくらいの量で並んでいる。これがまた半端じゃない。その分野でのすべての物質を集めたのではないかというくらい、生の図鑑であるといえよう。

鉱物の分野では、水晶の巨大な原石や、金・ダイヤの巨大な原石が普通に展示しているところだろう。これが観たことも無いような大きさで展示されているので、最初は透明の大理石でも置いているのかと思ったくらいである。宝石類の磨く前の原石については、同じ宝石でも原石の色が全く違うものをすべての種類でそろえているのも圧巻だ。ただ、これだけたくさんの原石があったら、宝石の価値なんてどうでもいいやと思ってしまうものなのだろう。つづいて動物の剥製の展示コーナーだった。これも昆虫から哺乳類まですべての動物が展示されている。猫類ばっかりとか、サル類ばっかりとか、バッタばっかりとか、同じ種類を固めて展示しているのは、同族他の動物との比較ができるのでとてもおもしろいとおもった。しかしなんとなく昆虫のコーナーはグロテスクすぎて怖い。特に、馬に集るハエをテーマにしたところなどは、そのままハエが蠢いているのではないかとおもうくらいに思えた。鼠類の展示では、小さい鼠が、まるでいなり寿司のように展示されているのには笑った。なお、ヴァッハウ渓谷から出土した紀元前約25000年頃の「ヴィンレンドルフのビーナス」像は、フランツ・ロードリンゲンが一番大切にしていたものだそうで、暗室で貴重な雰囲気を出しながら展示している。

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