2009/08/02

旅の雑学ノート・ウィーン


ウィーンに関してのガイドは名著はあることはある。その代表的なものは、やっぱり「旅の雑学ノート・ウィーン」だろう。同名のフィレンツェ版は大変名著で、ずっと変わらぬフィレンツェの見えないところまでの細かい歴史的遺産を知るためには、本当に良く書かれた本である。その著者・山口俊明が書いたウィーン版がまさしくこの本である。

そんじゃそこらのウィーンに関するガイドブックには引けも取らないし、ましてやバイブルにしても良いような濃い内容が書かれている本である。

この本、ウィーンに行く前には絶対に手に入れたかったのだが、なにぶん出版されたのが1996年であり、そのあと数版が出てくるわけでもなく、初版しか出なかったこともあり、新刊で本屋で探すことはまず無理だった。といって、古本屋に至ってはほとんど見かけることがなく、いつになったらこのウィーン版を得ることができるのだろうと本当にやきもきしたのであるが、ウィーンへ渡航するちょっと前に手に入ることが出来た。それもやっぱりイーブックオフである。

とても参考になる本であるのだが、出版された当時はオーストリアは通貨単位がシリングであるため、何かの美術館やレストランの紹介には、このシリングで書かれているので、参考にはならない。いまでは立派にユーロで通貨統合されているため、シリングをユーロに変えて考えなければならないのだが、物価も当時とは異なっているので難しいところだ。

まず、章立てが良い。最初は、お決まりの環状道路のリンク沿いにある歴史的建物や注目するべき事項を紹介した後、通り毎に「散歩感覚」として眼につくようなものをいろいろと紹介してくれて居る。

・ケルントナー通り
・グラーベン
・コールマルクト
・シェーンラテルン小路
・クレント小路
・ブルート小路
・ナーグラー小路
・バーミューダ・トライアングル
・ウィーンツアイレ
・フンデルトヴァッサー
・ウィーンの森とハイリゲンシュタット

そして、所々で挿入されるウィーン文化の基礎となる食べ物に関するものがとても参考になる。ウィーンは音楽の都であるため、ウィーンでオペラを鑑賞するための基礎知識はどこのガイドにも記載されていないため、これはとても参考になる。それからオーストリアは実はワイン天国でもある場所なのだが、日本にいると、その生産量が少ないためなのかそれとも敢えて輸入しないからなのかわからないが手に入りにくい。しかし、現地オーストリアでは、水なみに安く、そしてとても品質の良いワインが手に入る。そのワインの種類の紹介と、御s―ストリア料理とどういうワインをあわせるべきかを、ソムリエ的な感覚で紹介しているのも参考になる。それから、もちろんウィーンとカフェは斬っても切れない関係であるのだが、その数々のカフェの紹介と、それぞれのカフェが歴史的な舞台でどのような関係で居たかというのを克明に説明しているのは、とても参考になるだろう。どこのカフェに言っても、自分がかつて歴史の舞台として使われたカフェにいることを考えただけで考え深くなるに違いない。

本は、あまり大きくないが写真をある程度挿入しているために、分かりにくい説明についても、写真が捕捉してくれる。ただ、白黒写真しかないため、どこまで参考にするべきかは個人個人の趣向によるものだろうと思う。


このガイドを片手に、各小路を、とてもよく観察しながら歩くということをやってみてはいかがだろうか?ブランド物の店ばかりにいくときだけ、歩くスピードを緩めるのではなく、何気ない建物の飾りや道路に埋め込まれた記号を歴史的にどうして生まれたのかということを時間を気にせず推敲してみながらというのはどうだろうか?

ウィーン旅の雑学ノート
山口俊明 著
出版社:ダイヤモンド社
出版日:1996年6月28日

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