マレーシアのお札は、基本単位である「リンギット」以上だとお札になっており、それ以下の補助単位である「セン」になるとコインだ。大きさも小さい数字から徐々に大きくなっていくような感じであり、紙幣として利用できるお札は、1・5・10・50・100の5種類である。以前はこれに2リンギット紙幣があったのだが、いまはほとんど流通していない。
全ての紙幣の表には、独立当時のアゴンであったアブドル・ラーマン(Tuanku Abdul Rahman ibni Almarhum Tuanku Muhammad)の肖像画が掛かれているのだが、裏面になると、東南アジアの工業国をアピールするために、あまり自然とか歴史に関係するものではなく、工業的なデザインをモチーフとした図柄になっている。
1リンギット:マレー凧、キナバル山、ピナクルズ
5リンギット:KL国際空港とペトロナス・ツインタワー
10リンギット:マレーシア航空機、プトラLPTの列車とマレーシア国際海運の貨物船
50リンギット:ペトロナス社の海上油田掘削
100リンギット:国産車プロトンの自動車生産ライン
シンガポールドルとの関係だが、シンガポール独立時は、いちおう、本当にいちおう、マレーシアリンギットとシンガポールドルは、対等の貨幣価値であることを条件に独立した。しかし、マレーシアリンギットは、ドルとの固定相場制を採用し、シンガポールドルは変動相場制を採用したことと、経済的な発展の速度の違いから、いつのまにか1シンガポールドル=2マレーシアリンギットになってしまった。しばらくは、両国の通貨は固定相場を通用していたのだが、経済的格差と変動性の流動為替には通用できず、結果的には、マレーシアリンギットとシンガポールドルの関係は、格差がついてしまったのが結果である。
その結果どうなったかというと、シンガポールからは物価が安いように見えてしまっているマレーシアへ、週末は買物に出かけるという、週末大渋滞と民族大移動の現象が起こってしまった。シンガポール人がシンガポールに金を落とさず、マレーシアに落としてしまうというのだから、シンガポール政府は困った。さらに、もともと資源も何もないシンガポールは石油と水をマレーシアから購入しているため、シンガポールで石油を買うと結構高い。それで、週末はマレーシアへガソリンを買いに出かけるシンガポール人も増えてしまったのである。何でもかんでもマレーシアで買物されたのでは、資源のないシンガポールとしては経済が発展しない。そこでシンガポール政府は、MBA取得者のスペシャリストの脳みそを使って、「マレーシアに行く場合には、車のガソリン残量が一定以上なければいけない」という法令を出す。
マレーシアの紙幣を見ていると、どうしてもシンガポールドルの紙幣と比較してみてしまう。やぱりマレーシアとシンガポールは、相互でいろいろと意識してしまう国家間なのだろうと思う。
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