国立博物館(Muzium Negara)は伝統的なマレー建築の大きな建物であり、とてもよく目立つ。まず入口は、マレーシアの歴史を簡単に壁画して表現しているところがあるのだが、これを見ると、日本が占領したところが悪く書かれているので気分を害してしまう。しかし日本の南侵は事実だから仕方ないとしても、本当にマレーシア人にとって悪いことばかりだったのかというのは、なかなか疑問を消してくれる明確な回答を見た事が無い。単なるイギリス人と、そのおこぼれを貰っていた華僑の人間が、財産を日本軍に取られた事に腹いせとして憎んでいるだけなんじゃないかということしか想像できない。まぁ、そんなことは置いておいて、この博物館はマレーシアの歴史をモノという事象を通じて知ることができるのでかなり勉強になる。屋外には乗り物に特化した展示物があり、馬車から機関車まで展示されている。建物の入口もちょっとイスラム風というような装飾が色々なところにある。まずは建物の上のほうに、学校なんかにもある用に目印となる時計が飾っているが、これもイスラムモスクで見たのと同じようにイスラム時計が掛かっている。また入口の壁のところに閉館後の入館用暗証番号キーがあるのだが、これも模様がイスラム風。面白い。入口入ってすぐは、第2次世界大戦後のドサクサで始まった独立を勝ち取るためのゲリラ戦争がはじまったが、そこからマレーの歴史が始まったみたいな感じで展示が始まる。でも、なぜかその中に毛沢東のクソ本である、いわゆる「赤本」もおかれていたが、マレーシアにも共産党の流れを汲むゲリラ団体がいたことの証拠である。そんないきなりの戦後マレーシアを見せられても面白くも無いのだが、さっさともっと多くに行くと、インドネシアを含む大きなマレー王国の歴史を顧みる宝の倉庫みたいなエリアにやってくる。ここは見ごたえばっちりだ。
マレーシアの歴史を知らないとあんまり分からないことだと思うが、基本的に古来のマレー人の住むところに、アラブ人がやってきたり、中国人がやってきたり、イギリス人がやってきたり、それに伴ったインド人がやってきたりして、歴史が形成されているという基本的なことさえ知っていればなんとなく大きな歴史がわかるだろうと思う。
アラブ人が商売のためにやってきたときにコーランとイスラム教が一緒に入ってきたから、マレーシア全体はイスラム教を中心とした文化を形成していく。そんなアラブ人がマレーの土地にやって来たときの様子が人形で紹介されていた。アラブ文化が入ってきたあとのマレーシアは、金属工業やデザインという分野で強くアラブの匂いを感じさせるものを形成していく。金属製品はとても洗練されていて、その芸術性は目を見張るものがあるので、是非その芸術を堪能して欲しいと思う。もちろんそれは金属製品だけではなく、服飾分野や生活スタイルとしての食器にも影響してくるのが面白い。広い室内の真ん中には、王様のベッドが展示されている。イギリスがやって来たころの歴史を展示している歴史のところは、イギリス人がマレー人と交渉して植民地化するところから始まる。もちろんこのときに一緒に強力の武器も一緒にやってくることになる。マレーシアとイギリス人の関係は結構緊密なのだが、その1つとしてボルネオ島に位置するサラワク州(Sarawak)の歴史のなかでサラワク王国(Kingdom of Sarawak)を作ったジェームズ・ブルック(James Brooke)を外すことは出来ないだろう。ブルネイで起こった現地人の反乱に頭を悩ましていたブルネイのスルタンが、強力の武器を持っているブルックに鎮圧を依頼。もちろん鎮圧は成功するが、その報酬としてサラワク州を割譲させて、自らそこの王様になってしまったという、ほとんど泥棒みたいな探検家を抜かすことはできない。マレーシアの1州になっているサラワクの歴史にも関係するので、その展示も簡単ながら載っていた。そのあとは植民地化したマレーシアでの産業の歴史が展示されていたが、中でもゴムの木からゴム樹脂を採取している模型は見ていて面白い。同建物のなかには現在の王様が紹介されているエリアもあるが、これは別のカテゴリーで記載したいと思う。
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