海南天后廟(Chua Ba Hai Nam)は名前のとおりに海南地方の人たちが立てた海の神様を祀った寺院である。この海南人も、また東南アジアでは1つのコロニーを作っていた集団であり、独特の文化を形成していたグループだ。今ではすっかり中国の中ではリゾート地になってしまったところだが、それまではヤクザの集団か、または流れ者が集まるところだったことはいうまでもない。台湾が日本の手によって文化的になったのと対照的に、中国では一番大きい島なのに、最後の最後まで文化的に成長しなかった場所でもある。
海外に出ないと生きていけなかった運命をもつ海南人にとっては、その団結力が他のグループに比べると一段高いことも有名だ。だから、こういう寺院を作ることによって、一種の情報交換や一時的な避難所という意味をもつ役割だったのだろう。広東人や福建人が他にも住んでいるこの地域で、海南人が生きていくための努力としてはたいへんなものがあったのではないだろうか。ところが、海南人にとって、やはり故郷というのは大切なもの。どこにいって住んでいようとも、常に故郷のことを思っているのは誰よりも強い思いを持っている。だから、他の寺院では見られなかった、孫文の文句「為國為民」というのを大切にしているところがなんともいじらしい。海の神様・天后を収めているところは、全体的に赤を基調としたケースのなかに鎮座している。派手だなーとおもったのだが、神様のためならいくらでも金をかけるという中国人に思いがあるので、文句は言えない。
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