2010/05/12

イーストコースト(Singapore)

タクシーのおっさんに「今は営業していない」と言われてしまったイースト・コースト・シーフード・センタ(East Coast Seafood Centre)も、イースト・コースト・ラグーン・フード・センタ(East Coast Lagoon Food Center)からホテル方向に歩いていけば到着するということはわかっていたし、なんとなく近いのかなと思って、ホテルまでは歩いていくことにした。だが、これは大失敗。道中の風景が変わるのはおもしろかったのだが、炎天下で日陰が少ないエリアだったので、クソ暑いので、長く歩いているとだるくなってくる。ホテルから持ってきたミネラルウォータだけではぜんぜん足らない。後で後悔したが、途中で止めること自体も面倒くさいという意味不明なジレンマに陥ってしまった。ところがこれまでイーストコーストの海岸を歩いたことが無いので、まぁ、二度と歩くことは無いとおもえば、今だけ苦労すればいいかなと、自分で言い聞かせて歩いてみた。それにしても雨が降るかもと言われていたのに、ぜんぜんそんな素振りも見えない、真っ青の空に白い砂浜がまぶしい。そして、海岸から海を見ていると、沖合いにたくさんのタンカーや貨物船が停まっている事に気づく。これが世界最大の貨物を流通させているシンガポール港の実態である。横浜や神戸のような港もかつては巨大港なんて言われていたが、そんなものに比べると、シンガポールのほうは超超巨大港だ。これだけの船が停泊しているということは、それだけの貨物量を処理しているということを意味する。何も生産しているわけでもないシンガポールでは、金融か流通で金儲けをするという基本姿勢は前から変わっていない。日本も港を集中化して他国から何歩も遅れてしまっている国際競争にまずは追いつくようにするべきだと、しみじみ感じた。建設業界のおっさんたちばかりを太らすような、インフラばっかり作るのではなく、もう少し広い視野を持って、分散化した港を集中処理するべきだ。できれば、開国時のように日本は5つの港のみにしちゃえばいいのにとおもう。しばらく行くと、最初の目的地であるイースト・コースト・シーフード・センタあたりにやってきた。タクシーのおっちゃんが言っていた通り、すべての店のシャッターが閉まっていて、やっぱりオヤジの言うとおりだったかと、ここで初めて納得したのだが、これまでタクシーのオヤジの言葉を信じていなかったというわけではない。むしろ、先に見てしまったラグーン・フードセンタがあまりにもしょぼかったために、そのショックのほうが大きかったため、心の底では「もしかして」という少しの期待があったからかもしれない。ちなみに、ここでは大きなレストランがたくさんあり、有名な店も結構あるので、行くならぜひ夜に行ってほしい。さて、海岸沿いを歩いていくと、いくつか「???」と思うようなことが出てくる。まず定期的に看板が掲げられているものとして、キャンピング・エリアの標識だ。どうやら、このイーストコーストは、テントを張ってキャンプをすることができる場所にも指定されているらしい。しかし、むやみやたらにキャンプとしてテントを張ることができない。事前にAXSステーションを経由して許可申請をしなければならないのだ。AXSステーションというのは、2000年からe-トランザクションの一環として、公共サービスやトランザクションサービスを電子化することにより、なんでもオンラインで処理できるという動きがあり、その処理を受け付けるためのATM装置みたいなもんである。これにより世界中で住んでいてもシンガポールのサービスをネット経由で受けられる仕組みを整うことができたという画期的なものである。そのサービス経由で許可をすれば、普通にキャンプはここではすることができる。キャンプに必要な水道やトイレ、そして簡易台所みたいなものは用意されており、好き勝手なところでテントを開くことは禁止されているものだ。この日もいちおう数個のテントが海岸沿いに立てているのが見えたが、いったいこのクソ暑いときにテントを立てている人はどこのどいつなんだろうと疑問に思った。海岸沿いの遊歩道は、ちょっとしたサイクリングロードになっており、歩いていると頻繁にサイクリングを楽しんでいる人に出くわす。が、こんなクソ暑い炎天下でサイクリングをしたいという気持ちが全くわからない。スーパーMっ子じゃないと、そんな拷問みたいなことに耐えられないような気がした。サイクリングロード沿いに、至る所に貸し自転車やがあり、どこで借りても一律1時間あたり10SGD。これもたぶん民間でやっているのではなく、半民半官の政府系会社がやっていることなのだろうと思う。それと看板で目に付くのは「犬のクソの掃除は飼い主としてちゃんと処理しろ」という看板。違反者は2万SGD相当の罰金を請求されるという意味の可愛らしい宣伝が掲げられている。こういうサイクリングロードでは、犬の散歩をするのにも、ちょうどいい環境なんだろうと思う。日本では犬の糞ごときで罰金というのは無いような気がする。日本でも同じような罰金制度を導入したらいいのだろうと思うが、だいたい日本の罰金は全体的に金額が低すぎる。そんな違反は二度としたくないと思うようなくらいの高い金額の罰金を払わせるようなほうが絶対効果的だと思う。あとこの制度をどうしても導入してほしいのは、フランスとイタリア。至る所に犬の糞がこんもりともられているのがあり、ほぼ絶対に1度は犬の糞か跡を踏んでしまって、げんなりする場合が多いからだ。まぁ、ヨーロッパの場合は、ペストの原因となる自分たちの糞尿を窓からポイ捨ての習慣は近年まで行われていたので、犬ごときの糞なんか誰も処理をしないということなのだろうか。海岸だけを見ていたら、いったいここはどこに居るんだろう?という気分には確かになる。しかし、それは砂浜と椰子の木と海と青い海が見えるからそうおもうのであって、実際に海を見ると、お世辞でも奇麗な海ではない。ここで海水浴をしようなんておもうのは、きっと炎天下を経験できないヨーロッパ人観光客だけだろうと思う。

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