2010/05/12

コタキナバルからクアラルンプールへ (Kota Kinabalu)

コタキナバルからクアラルンプールへエアーアジアで移動しようと、搭乗手続きのあとの手荷物検査も終わったので、さて搭乗口のほうへ行こうとおもった。

手荷物検査の係員に「吉隆坡?」と聞かれたとき、なんで聞くんだろう?と思ったのだが、係員のひとは早口の中国語でなにか喋っている。さすがに早口だと理解不能だったので、困った顔をしていると、今度は英語で「クアラルンプールは、こっちに行ってね」というではないか。でも、そちらのほうは、国際線に搭乗する人がいく方向で、その先に出国審査のカウンターが存在するのが見える。

自分たちはマレーシアという国内のなかで、コタキナバルからクアラルンプールへ移動するということをするだけなのに、なぜ出国審査を受けなければならないのだろうか?と疑問に思った。しかし、ちょっと先に「Kuara Lumpur⇒」という看板が出ており、その方向へ行こうとすると出国審査を受けるところに出ざるを得ないので、ここは素直にカウンターのほうに行ってみた。搭乗券とパスポートを渡せば、「おまえら違う」とかなんとか言ってくるだろうと思ったのである。

出国審査のカウンターの人は、マレーシア入国時に記入した半券みたいなものにスタンプを押しただけで、特にパスポート本体にはスタンプを押さず、そのままパスポートと搭乗券を返してくれた。何も質問もされなかったし。その先には、今度は搭乗券を見て、どの座席番号の人が乗ろうとするのか確認する人が、飛行機の座席シート一覧表と照らし合わせてチェックを入れている。

さて謎解きである。日本人の感覚では、東京から沖縄みたいな遠距離だろうが、島への移動においては、同じ日本国内だから、特に身分証明になるようなものを搭乗前に提示することはまず無い。日本の国内線では、たまに搭乗券に名前が無いパックツアー用の航空券が配布される場合もあるくらい、日本の国内ではどういう人が乗っているのかというのはいい加減になっている。ところがマレーシアでは異なる。

マレーシアの国家の形成にとても関係することなのだが、そもそもマレーシアは、マレー半島とボルネオのマレーシア領土とは、同じ国家の中にあるという感覚が無い。たまたまどちらもイギリスを宗主国とした領土内にあって、独立時に、最初はマレー半島の各スルタンが管轄する領土が連合して1つの国家を作った。あとから、スルタンが存在しないボルネオの旧イギリス領土が半島のマレー連合国家に参加する形になって、最終的にマライ連邦という国家を作ったという経緯がある。だから、ボルネオから移動する際、渡航先が外国ではなく、たとえマレー半島のマレーシア領土の場合、ボルネオから見たら「そこは外国」という意識になっているのである。だから、出国時に必ずパスポートを提示しなければならない。

おもしろいことに、コタキナバルからクアラルンプールへ移動する場合、クアラルンプール側ではどうなのかというと、特に入国審査のようなことは全く無い。逆にクアラルンプールからコタキナバルに来る場合にも、コタキナバル側ではパスポートの提示が求められるのである。つまり、ボルネオが国内に存在する1つの独立国家みたいな感じになっていると思われると良い。なので、空港で「Domestic」と書いているのは、あくまでもボルネオ内という意味であって、「International」はボルネオではないそのほかの場所という意味を表す。

さらに言うと、ボルネオの住民はボルネオからマレー半島に移動する際に、パスポートの提示は不要である。となると、同じマレーシア人と言えども、マレー半島に住んでいる住民はボルネオに来る際にはパスポートの提示が必要で、ボルネオ住民であれば不要ということになる。ボルネオの住民という書き方は、民族をあらわすものではない。ボルネオに住んでいる中華系の人でも、ボルネオの原住民の人たちでも、その待遇は同じで、ボルネオに住居を持っている人は、ボルネオからマレー半島に行くときにはパスポートが不要なのである。

この仕組みはコタキナバルの空港だけではなく、南部のクチンの空港でも同じ仕組みだ。
外国人から見たら、空港でのこのような仕組みは、まるで関所でのチェックを受けているようなものに似ている。

しかし、ここで疑問に思ったのは、同じマレーシア人でも、パスポート提示するべき人と提示しなくてもいい人と、その区別はどうやっているのだろうか?このあたりについては、今度マレーシア人に聞いてみて、また追々記載したいと思う。

0 件のコメント: