2010/05/12

エアーアジア

シンガポールからコタキナバルへ移動する際には、今回、生まれて初めてマレーシアの格安航空会社であるエアーアジアを利用することにした。この会社は格安航空として運行するための、余計なものは全部排除している点ではかなりおもしろい会社だといえる。すべての予約はネットの専用サイトから行うため、どこからどこに行くのかというのを選べばいいだけだ。予約が早ければ早いほど、値段がめちゃくちゃ安い値段で売り出しをしているときもある。それも競合他社があるような路線の場合は、赤字覚悟のような値段で売り出しているのを良く見かける。こういう路線で、早めに旅程が決まっているのであれば、ぜひエアーアジアを使ってみるのも良いかもしれない。エアーアジアはマレーシアの会社だと記載したが、その路線は、なにもクアラルンプールを基点としたものばかりではなく、タイのバンコク、インドネシアのジャカルタも基点になっており、シンガポールのジェットエアなどとは競合することになる。もちろん、大手のマレーシア航空やシンガポール航空とは競合するが、格安航空会社とメジャー航空会社をどう利用するのに違いをつけるかは、何をその航空会社に求めるかによって違う。というのも、エアーアジアが利用するターミナルは、どこの空港でもターミナル利用料金が安いところばかりを選んでいるからである。特に顕著なのはクアラルンプールの空港で、一般的な海外からの旅行者が使うターミナルとは違い、どこかの工場か掘っ立て小屋みたいなターミナルがエアーアジアの飛行機が到着・出発するターミナルなのである。あとは、機内でのサービスについても違いがあり、一般の航空会社では無料で提供されているものがすべて有料である。飲み物はもちろん、食事についても、つまみについても全部有料。毛布のサービスなんかもちろん無い。必要ならそれは有料。徹底してコストダウンしているという意味では、不必要なサービスが嫌だなと思っている人には良い航空会社だと思われる。

さらに一般の航空会社と違うところを言うと、予約時に、「荷物をどの程度載せますか?」という質問が出てくる。出張や単なる移動のために利用する人は、預ける荷物なんかなく手荷物で移動することが一般的だろう。そういう人でも、でかいトランクを預ける場合でも、普通の航空会社であれば同一料金を取るが、エアーアジアは違う。なにも荷物を預けることは無い人は、値段が安い。15kgまで/15kg~20kg/20kg~25kg/25kg以上と4段階で追加料金が取られるようになっているのだ。さらに、事前にネットで申請した場合は、実際に空港に行ったときにカウンターで「超過料金として払ってください」と言われるより半分以下に抑えられる。さらに言うと、事前座席予約についても、事前に予約を取りたい人は200円程度の追加料金を払って席が確保できる。座席予約ができるところは、前から5列目までのプレミアシートと前から6列目から10列目までのシートだ。プレミアシートだからといって席が広いというわけではない。単なる優先搭乗ができるということと、ご飯のサービスが出てくるという感じだ。JALのJシートにちょっと近いかもしれない。

空港へ到着してカウンターで搭乗手続きする際には、ネット予約をした際に打ち出した予約確認書を提出すればよい。この予約確認書には、バーコードも印刷されているため、カウンターのひとは、バーコードをスキャニングするだけで、どこのどいつが搭乗しようとしているのかが確認できる。国際線の場合にはもちろんパスポートの提示が必要になってくるので、カウンターの人は提示されたパスポートと照らし合わせて搭乗券を発券する。

しかし、発券されたものは、よくありがちな硬い紙で発行されるわけではない。まるでコンビニで買い物をしたときにもらえるレシートみたいなシートだ。これがまさしく搭乗券。二枚組みになっているのは、搭乗する際に、二枚のうちの1枚を搭乗口の係員に提出するためで、もう1枚は「お客様控え」みたいなものだ。だから、同じようなことが2枚記載されている。荷物を預けている場合には、このレシートみたいなところにペロンと貼り付けられるので、このレシートは絶対なくせ無い。なにもかもケチ臭く見えるが、それは経費削減を徹底している表れであるだけで、サービスには全く問題なし。エアーアジアの飛行機は整備の関係上、サウスウェスト航空と同じように同一機種しか保有していない。だから、どの路線を乗ってもすべて同じ座席数だ。横に3-3のシートになっているので、そんなに機体としても大きくない。ただ、座席はほとんど革張りシートになっており、汚れが目立たないような黒いシートになっている。これなら、シートが汚れたとしても、さっとひと拭きすれば奇麗になる。頭が当たる場所に紙シートを敷く航空会社もあるが、そんなことしたら、毎回手間だから、そんなものは用意しない。シートポケットの中にはお決まりの機内誌のほかに食事メニュというものが備えられている。通常、機内でご飯を食べたいとか、飲み物を飲みたいというのであれば、予約時にその入力をすればいいのだが、なかには予約時になにも登録しないで、当日になって食べたり飲んだりしたいという場合がある。そういうときにはこのメニュから選んで、その場で現金払いすればいい。まさしく、飛行機の中で行われる車内販売状態だ。意外に機内でニコニコ現金払いをしている人たちが多いのがわかった。ただし、このときに現金が使えるのは、マレーシアリンギットかインドネシアルピーか、タイバーツしかダメ。シンガポールから乗るからといって、シンガポールドルでは受け取ってくれないのだ。メニュとしてはなかなかバリエーションに富んでおり、これらのメニュが全部搭載されて飛んでいるとはとても思えない。弁当タイプのご飯なら300円程度のものなので結構安いことは安い。だから、このときに注文しても良かったのだが、まるっきり食べたいという気にならなかったので注文しなかった。それと驚いたことに、エアーアジアがどこからか到着して、次のフライトとして出発するまえのインターバルは、なんと30分程度しかない。その間に、前の乗客を降ろして、次の乗客を乗せるということをし、荷物の上げ下ろしを行い、機内の簡単な清掃を行うというからすごい効率だ。ただ、その効率はどうやって行われているかを観察してみると、到着間際になって、客室乗務員が機内清掃を行っていることで、その清掃時間を短縮しているというのがわかった。あとは、むやみやたらにごみが出ないように、上記の通り、なんでもかんでも客にサービスを提供しているということをしないというのもひとつなのかもしれない。だから、もう着陸するっていうとき、つまり一般の航空会社ではシートベルト着用サインが出ているときでも、客室乗務員があわただしく掃除をしているのである。こういうやりかたをしているのであれば、1日に同じ機材をなん本も飛ばすことができるんだろうなと思う。JALの運行もこれくらい効率的にすれば、赤字脱却ができると思う。

しかし、このようなぎりぎりのフライトスケジュールを組んでいるために、午前中は時間通りに発着を行っていても、夕方になったら、多少の遅れが絶対出てくるようで、夕方便は概して遅れるらしい。自分たちもシンガポールからコタキナバル行きの飛行機が夕方であったのだが、出発が結局40分くらい遅れた。代わりの機材が停まっているのであればそれを利用するように航空会社も考えるのだろうが、シンガポールにはベースがないので、着陸してきた機材を利用する以外、方法がないのである。こういう遅れが生じるかもしれないという意味では、格安航空券のリスクはある。絶対時間厳守で発着しないと嫌だというひとにはぜんぜん向いていない。

ちなみに、エアーアジアのイメージカラーは真っ赤。制服についても真っ赤である。でも、オーストリア航空も同じ赤の制服だが、オーストリア航空のような上品さは無い。

エアーアジア
URL : http://www.airasia.com

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