2010/05/13

マレーシアにおける敬称

マレーシアの新聞を読んでいると、名前が本当に長い人が多いということに気づく。中国系の人の場合は、どこが苗字でどこが名前かというのは想定できるが、マレー系の場合はあまり苗字についても知らないのでよくわからないのだ。ただ、これまで新聞紙上で名前だろうと思っていたものが、どうも違うと気づいた。

それは、マレー系の人の記事だけではなく、当然華人の関する記事も新聞紙上に出てくるのだが、英字新聞の場合に、登場する華人の名前に余計なものが付いているのに気づいたからだ。マレーシアの中華系女優で、映画「Sayuri」でごつい顔の「おねえさん」役で登場していたミシェール・ヨー(Michelle Yeoh Choo-Kheng)や、マレーシアでは大変人気のバドミントンで、イケメンプレイヤーとしても大スターになっているリー・チョンウェイ(李宗偉)が新聞に出てくるときにも必ず、なぜか Datuk というのが付いている。

実はマレーシアはイギリス文化と王侯文化が非常にミックスされたおもしろいところで、マレーシアは貴族社会制度がまだ残っている場所なのである。だから、日本では廃れてしまい本当につまらない国になったのだが、イギリスと同じように、名前を利用する際に、爵位を持っている人たちに対しては、必ず爵位をあらわす称号をつけねばならないことになっている。これはとても複雑で、マレーシアの人たちにとっては、これは1つのステータスであり憧れでもあるようなものになっている。マレー人だからとか華人だからとかというのは関係ない。爵位はすべての民族の人に与えられるものである。

基本的には称号は国王または州の藩王から授かることになり、それぞれによって与えられる称号の名前が違う。あとおもしろいことに、貰った人が男で結婚しているのであれば、その配偶者も同じような称号をもらえることである。そして、イギリスのように代々世襲として保有することができる称号と1代のみに通用できる称号ににも分けられる。それからおもしろいことに、称号は、マレーシアで人数制限がされていること。Datuk を使うことができる人は、マレーシアで270人しか存在しないことだ。そのうちの誰かが死なない限り新しいDatukは生まれないのである。ちなみにDatukが一番上の称号ではない。これは国家称号のうち9番目から10番目の資格受賞者にのみ与えられる。そのうえの称号として知有名なのはTun。マハティールなどの国家的英雄者に送られるもので、それでも国家称号は4番目から5番目だ。もちろん一番上は国王であり、その下は州の藩王であることは言うまでもない。

国家的な称号のほかに、一般人でも使う称号が他にもたくさんある。博士号を所有しているひとに使うDr.は日本でも使われるが、公式の場で「博士」と言われるように、マレーシアでも使われる。ちなみにマハティールは、医学博士でもあるため、先ほどの国家称号のほかにこの博士の称号もつくため、Tun Dr. Mahathir となる。

そのほかイスラム国家なので、メッカに巡礼をした経験があるひとなら全員 Haj という称号が付く。

詳しくは「KL生活思いつく記」にも記載してあるので、そちらを参照してほしい。

ただし、最近ではマレーシアでも称号を金で買うというのが横行している。まるで中国の大学の学位を金で勝っているのと同じだ。どうしてこういう称号があるといいかというと、結局国家的に認められた人というのは非常に名誉であり、そしてその土地の支配者として君臨する権利を得られる場合もあるからである。実際に金で買収を行ったことによって、ある場所の行政長官になったマレー人がいる。そこで不正になんでも金を得ることに、周りは貧乏な家ばかりなのに、その人の家だけはめちゃめちゃ豪華な家になっていて、住民からの不満が爆発が起こったということがある。それで裁判の結果、正式に称号を得たものではないことと、どんだけ不正を働いたかが暴露されたが、最後までこのマレー人は「自分は地域に大変貢献した」としらばっくれていたらしい。これくらいの詭弁を使う人間じゃないと、称号をもらってまでなにかをしようとするのはないのだろう。


マレーシアの称号
http://malaysiaboleh.blog70.fc2.com/blog-entry-55.html

0 件のコメント: