シンガポールなんかにも観光の風物詩の一環として、トライショーという人力車がある。昔のタクシーなのだが、こんなものに乗るのは、よほど奴隷と支配者の関係が好きな人か、もしくは、他人から見られることに興味がある人じゃないと、あんなものに乗るのは絶対嫌だと思う。
初めて乗ったのは上海に旅行した際、周荘に行ったときに、移動手段として使った。だが、所詮、人力車であり、自転車に客を乗せる椅子をくっつけているわけで、運転手の脚力のみが移動手段のパワーでしかない。ドライバーと呼ぶべきかわからないが運転手のおっさんの汗水流している背中を見ながら、たまにはおやじの息遣いを聞きながら、乗るというのは深い極まりない。また、自分たち以外の人たちからは好奇な目で見られるからだ。あんなものに金を出して乗りたいという人は本当に狂っているとしか思わない。
マラッカにも観光用のトライショーは存在する。観光客の呼び込みも大変すごいが、それよりもトライショー自体が、めちゃくちゃ派手な装飾になっているのである。ほとんどチンドン屋の世界である。さらに、客を乗せて走っている様子を見ていると、中には大音量の音楽をかけているのもあり、これが非常に迷惑。うるさすぎ。珍走団も大音量で道路を走っている様子をたまにみかけるが、あんなものは可愛いと思う。なにせ動いているのが自転車であり、客を乗せているということは、猛スピードで自分たちの傍を突っ切っていく珍走団とは異なり、遠いところからでも大音量が聞こえ、しばらくの間は、その大音量が消えないからである。トライショーに乗っているひとにとっては、楽しいのだろうか?耳がおかしくなるのではないだろうか?とおもう。それも選曲がオヤジの好みで決まるので、ロックの場合もあるし、日本の演歌だったりするときもある。どうみても客は台湾人か香港人を乗せているのに、掛かっている音楽が日本の演歌だったときには、なんだこれ?と思ったのは言うまでも無い。
トライショーが溜まっているのは、サンチアゴ要塞の傍と、オランダ広場のところと決まっている。それ以外の場所ではマラッカでは見ることが無い。それに、夜になるとまず居ない。
呼び込みも激しいのだが、だいたい呼び込みのときの掛け声が「Sir! Sir!」と言ってくる。それが「ささっ、どうぞ、どうぞ」と言われているみたいでなんだか笑える。あと値段はいちおう相場料金というのが決まっているらしいが、だいたいは値段交渉。相場を知っていないと吹っかけられる。あと、乗るのは1台につき2人まで。3人組みの場合には、それぞれ別に乗車することになる。だから、トライショーの集団が走っているのを見かけたことがあるが、それは、その集団自体が全体のグループになっている場合である。
面白半分に乗ってみるのも良いだろう。
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