2010/05/15

マラッカ・スルタン・パレス (Malacca)

セントポールの丘の麓に、典型的なマラッカ王国時代の王宮の建物が存在する。名前はマラッカ・スルタン・パレス(Melaka Sutanate Palace)である。1456年から1477年の間に統治していたスルタンである Mansur Syah の時代に建てられた王宮の建築様式を残された文献を基に復元して建てられた建物である。建物自体は横長に広いつくりになっており、全体は木造建築になっている。そういう意味もあるのだが、この建物に入る際には、靴を脱いで入らねばならない。建物の入り口で入場券を売られているのではなく、そのずいぶん手前の独立宣言記念館のすぐ横にチケット売り場があり、そこで金を支払う。そして、靴を脱いだときに入れる袋を貰うのである。建物の入り口では、終わることない世間話に華を咲かせているおじさんとおばさんが番をしており、たまに土足で上がろうとする馬鹿に対して「脱げ!」と叱っている。仕事をしていなさそうで仕事をしている状態がおもしろい。そして、建物のことについて述べ忘れたが、この建物は2階建てになっており、全体が展示物で埋まっている。

この中には、かつてのマラッカ王国が交易をしていた国々に対して、どういうものを輸出入していたかという説明と、マラッカ国内をそれぞれ統治していた地域ごとの民族衣装というのが陳列されている。それがかなりの種類のものが飾られているので、服飾にとても興味が有る人はぜひ見るべきだと思う。その鮮やかな服飾は、今でも遜色ないデザインになっているため、現在のイスラム教の国で着てもおかしくはないだろう。ただ、衣装はやっぱりイスラム教の風土に合わせたものになっているため、東京都内で着ていると変態扱いされるに決まっている。そのあとは、各州の紋章が展示しており、それぞれおもしろいデザインになっている。このデザインが今でも有効なのかはわからない。武器系統についても展示があった、王族が必ず身に付けているというクリスを中心に、江戸時代の岡っぴきが持っていた十手に似ている釵(さい)と呼ばれる武器がおもしろい。大きな武器が展示されていないところもおもしろいが、これらの武器がどのように使われていたのかというのがよくわからないので、武器専門家のひとが居たら教えてほしい。2階にあがると、マラッカ王国の王様謁見の場の風景をマネキンを用いて説明している。このマネキンたちを見ていると、かなり興味深い。正面のところにはもちろん王様が鎮座している。両側には軍隊の元帥と首相が座っているのだが、皇太子がなぜか王様の隣ではなく、間に首相を挟んで座っており、それも端っこに座っているというのがおもしろい。皇太子といえども、政治には無知だから、口出しはするなということなのだろうか。あとはイスラムの国のこういう謁見の間では、全員が座って対応するというところもおもしろい。これがキリスト教の世界だったら絶対座ることはないだろう。中華の世界も同じである。実質の並びを忠実に再現しているとは思えないが、一番末席に囚人が後ろに手を回されて座らされているのもおもしろい。謁見の間の隣には、王の寝室と居間が展示されている。あまりごつごつしているわけでもなんでもないので、普通にいまでも使ってもおかしくないだろう。が、やっぱりちょっと派手かな。建物の外側に行くと、王様しか楽しむことができなかった巨大な庭園が広がっている。たくさんの種類の植物が所狭しと植えられているので、それを楽しむのもいいだろう。が、このときにはかなり天気が良すぎて、あまり長居をここではしたくないと思ったのは言うまでもない。マラッカ・スルタン・パレス(Melaka Sultanate Palace)
入場料:RM2.00
Open : 9.00 am - 6.00 pm (月曜日定休日)

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