2010/05/15

IONショッピングモール (Singapore)

以前MRTのオーチャード駅のところは、典型的な工事中を絵に描いたようなもので、とてもじゃないが、駅らしい機能が全くできていなかったので、オーチャードに行くのがとても嫌だった。だから、隣のサマーセット駅から歩いてオーチャード通りの各ショッピングモールに行ったものだが、今回改めてオーチャード駅に降りてみて、吃驚した。新しくイオン・オーチャード (ION Orchard) という巨大ショッピングモールができていたからである。それもオーチャード駅直結である。改札を出たらすぐにショッピングモールになっているのは、こんなにたくさんショッピングモールがあるシンガポールの中でも唯一といって良いのではないだろうか?新しくできたハーバーフロント駅にもVivo Cityというショッピングモールができていて、これもいちおう駅直結にはなっているが、直結の具合が全く違う。ION Orchard は駅の真上にあるので、Vivo Cityよりも駅に直結である。

さらにこれは素晴らしいと思ったのは、改札を出たらすぐにION Orchardのショッピングモールを案内する案内員がいることで、自分で調べることより他人に聞いてしまえば早いとおもっている現地のせっかち中国系の人たちにとっては、かなり便利な存在に違いない。通常のショッピングモールなら、1階のメインフロアのところに総合案内所があって、各フロアに何があるかという紹介や困ったときの相談場所というのが定番である。しかし、ION Orchard はもちろん1階にも総合案内所は存在するのだが、外部と出入りできる場所であれば、1階に限らず、駅の改札口がある地下2階のフロアにおいても案内所があるところが、新しい試みだとおもった。

ただ、少しウザイなと思ったのは、ここを訪れた当日だけなのかもしれないが、「なぜION Orchard に来ましたか?」などを聞いて廻るアンケートのお姉ちゃんたちがたくさん居たことだろう。おそらく、ION Orchard とすれば、訪問客がION Orchardに何をしに来て、何をしたか、そして、ION Orchard に満足したのかということは気になることだろうし、そのアンケートの結果を基に、よりよいサービス提供を行ったり、テナントの店の入れ替えをしたりする試みをしようとしているのだろう。

このION Orchardは、ショッピングモールだけではなく、住居である The Orchard Residences を含めて開発されたエリアである。The Orchard Residencesのほうは住居なので、ここを購入したお金持ちの友達が居れば部屋のなかがどうなっているのかを知ることができるが、残念ながらそんな金持ちシンガポーリアンの友達は居ないので無理。じゃぁ、このION Orchard は誰が建てたのかというのを調べてみると、シンガポールの総合商社であるアスコットグループの不動産投資会社である CapitaLand 社と香港の新鴻基地産發展有限公司 (Sun Hung Kai Properties)が共同で建設したものである。この CapitaLand という会社が曲者で、ここのCEOをやっている廖文良(Liew Mun Leong)は実はシンガポール民間航空庁の長官として現在も在籍しており、シンガポール民間航空庁自体があのチャンギ国際空港を管理している政府関係団体である。なので、この人も結局は政府関係者であり、政府と結託して不動産投資をしているセマテク社とやっていることは変わらない。

不動産資本としては、先に記載した中国系の企業ではあるが、実際にION Orchard を含めたエリアを建設したのは、日本の五洋建設である。そして、奇抜なデザインを考えたのは、イギリスのBenoy社が行ったものだ。このBenoy社はアジア各国で最近近代的なビルを建てる際には、かなり活躍している建築デザイン会社である。また、五洋建設に関しては日本ではあまり経営がよくないが、シンガポールでの建設プロジェクトでは、各方面で五洋建設の名前を聞くことができる。あのドリアンの形をしたデザインの建物であるエスプラネードシアター(Esplanade-Theatre)についても、五洋建設の作品である。

では、この新しくできたION Orchardの中を見てみることにしよう。地下2階にあるMRTの改札口を出たら、いきなり天井に魚が泳いでいるようなデジタルディスプレイに圧倒されてしまった。これは季節ごとに表示する内容を変えるようで、ようやく最近日本でも騒ぎ始めてきたデジタルサイネージ技術である。館内は他のモールと同じように、ブランドのショップがたくさん入っていて、どこも広い。しかし、ブランド物の店は、互いが競争意識が無いために、狭いシンガポールにたくさん同じブランド物の店があるのに、どこに行っても同じ値段である。しかし、モールによって、並び方が違うのは、それぞれのモールの特徴が出てくるものである。この ION Orchard にはシンガポールの高級ティーサロンである TWG Tea が入っている。最近、東京の自由が丘にも出店したことでも話題が出てきているが、ION Orchard のTWG Teaは、すごい高い値段なのにも関わらず、常に満員御礼状態である。食べ物は安いと思われているシンガポールでさえ、通常のティータイムの紅茶が、なんと最低24SGDからなのである。これは高い。日本の紅茶屋でもここまで高いのはまだ見たことが無い。実際にここには入ったことが無いので、どんなに素晴らしい紅茶が提供されるのかは不明だ。ただ、紅茶の種類はとても多いということが評判を呼んでいるので、少しは興味が有る。
そのほか注目するべきところは、シンガポール航空のオフィスがあることだろう。ここではどんなサービスが提供されるのかはよくわからないが、航空券の発券、リコンファームなどの通常業務のほか、搭乗券の半券を持っていれば、それなりのサービスの提供を受けられるらしい。ION Orchard で特に注目するべきところは、やはり夜のライティングだろう。デザインとライティングが最先端の製作であるために、青を基調とした入り口のライティングは見事だとおもう。ちなみに、ION Orchard は日本のイオングループから引用されているわけではない。あれはAEONだ。特にIONに意味を持たせているわけでもないのだが、地元のシンガポールでは「I On Orchard(私はオーチャードに居る)」を意味する略だということで知られている。

イオン・オーチャード (ION Orchard)
URL : http://www.ionorchard.com/

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