2010/05/13

独立宣言記念館(Malacca)

ホテルの傍にある独立宣言記念館(Memorial Pengisytiharan Kemerdekaan)はマラッカの歴史というよりも、マレーシアが独立するまでの足跡が、時代とともにわかりやすいモノで展示されているので、あんまりマレーシアの歴史を知らなくてもわかるところだ。なんといっても、この記念館、無料で入館できるところがいい。入り口にはいちおう警備員がいるが、それも暑くてやる気ないという顔をして入り口に立っている。建物全体はイギリス統治時代のコロニアルスタイルの建物で、これはシンガポールにでも見られる「ちょっと気張った感じを建物に出すとき」に使われている形式である。だから、建物を外から見るととても立派に見える。特に白い壁で作られている建物は、ほぼ真上に太陽があがるマラッカにおいて、その太陽の光に反射して、目がまぶしいくらいの輝きを持っている。建物入り口には、ここがイスラム教の国であり、さらに中華の匂いもさせているところであることを象徴するように、三日月と虎のデザインがある看板が掲げられている。マラッカはイギリス統治以前から、マラッカ王国と呼ばれる国家が形成しており、マラッカ海峡を中心に、マレー半島からインドネシアの広範囲を統治していた。その本拠地がマラッカであり、これだけ王国が反映したのは、海洋王国だったからだというもの。それを説明するために、帆船やマラッカを中心にどこまで交易をしていたのかというのを説明する図があるので、それをみるだけでも「へー」だ。マレーシア独立には、どうしても統一マレー国民組織(通称:UMNO)のことははずせない。1946年5月11日に発足したUMNOは、翌月の6月29日から30日にかけてマレー半島のイポーで開催されたUMNO会議で、UMNOの旗が決められた。この旗を見たときに、「おやっ?これってシンガポールの国旗と似てる?」と思った。もともとシンガポールもマライ連邦の一部だったが、そのときにUMNOと関係したのかなと想像した。これについては別途記載。すんなりこの旗が決まったわけではなく、候補として揚がった4つの旗のうち、クアラルンプールが掲げた旗が決まった。旗のデザインには意味があり、赤は勇気の印、白は純粋の印、黄色の円は国王の偉大さを尊重する印、緑はイスラム教の宗教をあらわし、真ん中のへんてこりんな形は短剣「クリス」の形であり、これはインドネシアやマレーシアを中心とした旧マラッカ王国の勢力地域に広く分布した霊的なシンボルである。旗にこのクリスを埋め込んでいるのはこれは伝統を意味することを残したいからである。ちなみにシンガポール航空のマイレージプログラム「Kris Flyer」の「クリス」はここからの引用。

中を進んでいくと、1956年にイギリスから完全独立を宣言することになったロンドン会議の様子についてジオラマで見せていること。このジオラマをみて思ったのは、マレーシアからやってきた代表者たちは、マレーの伝統的な帽子「ソンコ(Songkok)」を被っていることだろう。マレーシアでは公式の服装としては、必ずこの帽子を被ることになっているようだ。ただし、マレー系のみ。中華系は被らない。だから、各州の王様の写真を見ても、絶対にこのソンコを被っている。被っていない偉い人の写真は存在しないのだ。その先に行くと、変な部屋に出くわした。壁や天井すべてがマレーシアの国旗とマレーシアの各州の州旗で埋め尽くされているものだ。マレーシアの国旗は、少しデザインが違うが、なんとなくアメリカ合衆国の国旗に似ている。イスラムの国だから、三日月を必ず持っていないといけないというところが違うだけで、紺色、赤と白のストライプは本当に似ている。これが中国みたいに真っ赤だったら気持ち悪いだろう。牛じゃないんだし。
さらに進むと、マレーシアの歴代の首相の顔写真と略歴が掲げられている。独立宣言を声高らかにトゥンク・アブドゥル・ラーマン(Tunku Abdul Rahman Putra Al-Haj ibni Almarhum Sultan Abdul Hamid Shah)から始まって、日本でも有名なマハティール(Mahathir bin Mohamad)もあり、現首相のナジブ・ラザク(Mohd Najib bin Tun Haji Abdul Razak)までの6人が掲げられているから、勉強になる。そのあと、また出た・・と思うのが、マレーシアの各州の現在の王家ご紹介ゾーンだ。これはクアラルンプールの博物館でも見たことがあるので、またかー本当に思うのだが、ちょっと思ったのは、どの王様も必ず先ほど書いたソンコを被り、クリスを持っていることだ。あと気づいたのは、だいたいの王様は夫婦で写っているのだが、2つの州の王様はちょっと違う。1つはTerengganu州の王様。また子供である。世襲制だから仕方ないのだろうが、こんな子供が搭乗することになったTerengganu州の事情をちょっと知りたくなった。それと、もう1つはSelangor州の王様だ。配偶者をなくしたのか1人で写っているのだろうか。年齢も年齢だし。まさかマレーシアでご法度のホモであることはないだろう。あと、思ったのはもともと王様が居なかったサバ州とサラワク州にも王様らしい人がいるのが不思議だ。このひとたちはいったいなんなんだ?ウィキペディアをみるといちおう君主がいることになっている。いつから君主を置くことにしたのだろうか。

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