鬱になることは決して恥ずかしいことではない。誰にでもちょっとしたきっかけで鬱になることはあるものだ。実際に、今考えれば軽度の鬱になっていたのだとおもう。家族や医者を含めて、本人に「あなたは欝だ」ということを決して言わなかったことはありがたいことだったと思った。たぶん、あの時点で「鬱ですね」と言われていたら、きっともっと精神的に参ってしまい、二度と復活することは無かったかもしれない。なぜなら、鬱になるのは精神的に弱い人がなるものであって、自分は決して鬱になるタイプじゃないと思っていたからである。そのように勝手に思っていたために、人格的に否定されてしまうような宣言を受けることは生きているのに値しないと、これまた短絡的に考えてしまい、きっともっと悲惨な結果になっていたことだろうと思う。
自分の場合の症状は、最初は耳が痛いというところから始まった。そのときに、中耳炎かもしくは虫でも耳に入ってしまったかと思ったくらいのものだと思っていたのだが、実際に調べてみると、突発性難聴だったことが発覚した。異動先の部署は、プロジェクト自体が破綻していたようなところで、なんとかして立て直さなければならないという圧迫が各方面から強く訴えられていた部署だった。そこへ何も知らずにのほほんと異動してきたのはいいのだが、プロジェクトとして責任者の上長はいるのだが、正式な上長のほかに、アドバイザーみたいな形で他に2名の上長が存在しており、上長同士が全く意思疎通が出来ておらず、さらにその上の部長クラスとも話が出来ておらず、まずプロジェクト内の意思確認を進めるために、自分が媒酌人にならないと全く先に進まないというひどすぎる部署だった。最初のころは面倒くさいなと思っていたのだが、あまりにも4者4様で好き勝手なことを言って、決めることも決めないで「んで、なんでそれにしようとしたの?」と責任の押し付け自体も担当者に振りかぶるようなやり方が続いてきたので、途中で不満は爆発してしまった。他部署からはプロジェクトの早期建て直しの圧力は掛かるし、内部では方針を全く決めない・責任は取らないような人たちがふんぞり返っているという世界だったために、ちょっとしたことも全く前に進まないというものだった。決して自分のフットワークが悪かったというわけじゃないと思うのだが、あまりにも内部にいる肩書きの偉そうな人たちが非協力的だったことが原因でストレス性の突発性難聴になってしまったのだとおもう。異動して3ヶ月目のことだった。
それでもがんばろうと思っていたのだが、症状がだんだん酷くなってきて、次に頭痛もしてきた。偏頭痛の始まりである。このときも、最初は、左右の視力のバランスがもともと悪いので、長時間のデスクワークのせいによる凝視で偏頭痛が始まったのかと思っていたくらいである。小脳の左側の奥が痛くて、医者にも診てもらっていたのだが、あまり効果はなかった。いまでは一般的に出回っているロキソニンを服用していたが、それでも偏頭痛が出るときは出た。
さらに酷いことに、今度は心臓が圧迫されるような痛みがたまに出てきたのである。水泳をやっていたので心肺機能は強いと思っていたのに、この痛みはいったい何なのだろうか?とかなりあせったのは言うまでもない。早速心臓専門の病院に掛け合ってみるのだが、特に決定的な症状が出ているわけじゃなかった。でも、ニトログリセリンは絶えず持ち歩くように言われていたので、財布に持っていた。
この時点で、なにかがおかしい・・・と自分では思っていたのだが、まさか鬱だとは決して思わなかった。たぶん疲労によるものなんだろうなと思っていたのである。しかし、心身ともに疲れているのであれば、睡眠もすぐにぐっすり寝るということになると思うのに、全く寝られないのである。寝られないから、疲れが取れない。疲れすぎて、打ち合わせのときにも居眠りをしてしまう。そして家では寝られない・・という悪循環が続いた。もうこの時点でもっと早く気づけばよかったのに、体の調子が悪いのは業務が大変だからと勝手に思ったのは失敗だった。生まれて初めて睡眠薬を服用したのもこのときである。しかし、睡眠薬による睡眠は実はそんなに自分には効果が無かったと思う。飲んでも寝れないときは寝れないのだ。
いままでは自分の身に起こったことばかりを記載したが、この状態の自分に対して家族や友達はまともに向き合ってくれたことは、非常にありがたかった。たぶん、家族に対してもすごい喧嘩っぽい口調で接していただろうと思うし、もちろん業務が忙しかったので、毎日夜12時すぎの帰宅で朝は7時には家を出るという生活が続いたから、それに対応してくれた家族には本当に感謝している。おかげで付き合った親は、体調を悪くしてしまい、迷惑をかけてしまったことは自分に原因があると思うので、いまは感謝の意味も兼ねて世話になった分を恩返ししようと努めている。友達の場合も、できるだけ一緒に遊んでくれたのはありがたかった。これも口調としてはあまり優しくないような言葉遣いを結構使っていたことだと思う。自分に余裕が無かったから。そんな口調に対しても嫌がらずに接してくれた友人たちにはお礼を言っても言っても言い切れないところだ。励ますとか、ハッパをかけるとか、そういう接し方ではなく、今まで通りなんの変化もないような接して方をしてくれたことが良かったのかもしれない。会社の同僚に関して言えば、愚痴によく付き合ってくれたと思っている。
ブログをめちゃくちゃ書き始めたり、短期間ながら旅行にも行き始めたのは、ちょうどこの精神的に病んでいるときだったと思う。たぶん、自分なりには、文章化したり、生活環境とは違うところへ逃避することによって、現状から打破したいという思いがあったのだと思う。でもこれが既に鬱の状態だったのだが、それをもっと早めに認めていたら気が楽だったのだろうと思う。
周りの人たちの協力無しには鬱の状態を回復させる方向に持っていくことはたぶん不可能だ。自分ひとりでなんとかしようと思っている人がいたら、それは絶対無理だといえる。何とかしても何にも出来ないし、むしろ悪循環に陥ることになると思う。是非、味方になるサポータをつけるべきだとおもうし、見つけるべきだと思う。受け入れ側も鬱になった人を責めたり、「がんばれ」というような言い方をして励ましあうのも良くない。すべてを聞き流すくらいの聞き上手にならないといけないと思う。そして、鬱になったひとは、極力がんばらないようにしたほうがいい。上手く表現できないのであるが、他人と比較して自分の劣っていることを悔やんでいても仕方がない。その比較をすればするほど、現実と理想とのギャップに悩み苦しむことになる。理想は高く持ったほうがいいが、あまり真剣に持たないほうが良い。たまには息抜きをするべきである。そして、息抜きをするときには、上手な息抜きをすることが良いのだが、これは個人差があるので、一概にこの方法が良いというのは無いので、残念ながらアドバイスができない。
そういえば、一番自分が病んでいたと思うときには、ヘミシンクにも手を出して、脳の世界から現実逃避しようと試みたことがある。しかし、もともと妄想癖がないので、脳内麻薬がバンバン出てきて、妄想の世界にどっぷり嵌れるヘミシンクは全く効果が無かった。ヘミシンクは幽体解脱を音の周波数のずれにより幽体解脱できるというものだったが、全くこれは出来なかった。素晴らしい妄想の世界を持っている人は、このヘミシンクは大変有益な現実逃避手段に使えたことだろう。
2012/03/21
新浪微博を使ってみた
一般的なツイッターを中国国内からはアクセスできないようになっているため、中国大陸では、新浪微博という名前の同じような機能を持ったツイッターを利用するのが一般的だ。中国政府が、政府転覆を狙っている情報が飛び交うのを阻止するために、中国のネットワークに外と繋がる境界に大防火壁(Great Firewall)を設置して、外から中国政府を非難したり打倒するような情報が中国国内に入り込まないようにするために、日々数万人という規模で情報管理を行っている。そのため中国国外にあるツイッターでは情報統制が取れにくいということもあるが、中国国内の人も馬鹿じゃないので、外部のツイッターの存在は既に知っていた。それと同じような機能を中国国内でも作れーという希望があったようで、結果、中国政府支配下のネットワークサービス企業がサービス開始をしたのがこの新浪微博である。
通称「ウェイボ(微博)」と呼ばれるこのサービスは、全部中国語であるというだけで、基本的にはインタフェースもやれる機能も全部、本家ツイッターと全く同じである。飛び交う言語が中国語であるので、中国語を解せるひとであれば、その情報の波に乗ることができるであろう。なにしろ、ウェイボのユーザ数は、2012年3月8日に易現国際が発表した情報によると、2011年第4四半期現在では2.49億人が登録されており、四半期ごとに18%増、2010年の同時期に比べて146.5%増というくらいの伸びでいまでも増えているくらいのユーザがいる。しかしながら、2012年3月16日以降は、一番最初に北京市から発表された『北京市微博客発展管理若干規定』により、新奇ユーザ登録時に、本名での登録と住民番号の登録、そして携帯電話の登録も必要になってきており、どこのどいつがどんなことを微博でつぶやいているのかを政府が監視しやすいように仕向けているということになっている。微博のサービス自体、北京市にサーバが存在するために、北京市の規定に従わねばならないということになっているのだが、この動きは広州市や上海市でも同じ条例が発布されたことにより、微博ユーザにとっては使いにくいものになったのではないかと思われるが、そんなことではネットユーザはへこたれない。
なぜなら海外からも当然この微博にはアクセスすることができるようになっており、海外在住の人はこの掟に縛られないからである。新奇ユーザ登録時に「何省に住んでいるか?」なんていうのは「海外」というのを選択すれば良い。携帯電話の番号も適当にかいておけばいいのである。ただ、ミクシィみたいにガチガチに正しい携帯電話の番号を入れないとユーザのアクティベーションができなくなるというような仕組みになるのかどうかは不明だが、これをしだすと、微博自体のサービスがミクシィみたいに衰退することが目に見えている。
デフォルトでは、中国大陸の人たちが記載しているものだから、標記も簡体字標記になっている。しかし、台湾や香港からの書き込みも当然行われており、その人たちは当然のように繁体字を使っているので、その人達用にサービス内の標記を繁体字に変更することも可能だ。ただし、これはメニュだけで、各ユーザが記載した中身までは変更できないみたいであるが、もしかしたらできるかも。自分でまだ設定していないので。
ユーザが約2.5億人もいると、それなりに情報が飛び交うことが多く、人気のある人なんかは、数千万単位のフォローがついていたりするのを見つけることが出来るだろう。日本で10万単位ですごいー!と言っているのが馬鹿馬鹿しくなる。中華圏で活躍しているエンターテイメント系統のひとたちは、ほとんどこの微博を使っており、ファン獲得やマーケットとして利用している模様だ。てっきり大陸のアーティストくらいしか使っていないのだろうと思っていたのだが、台湾や香港、シンガポールやマレーシアの華人たちが、Facebookと微博を駆使して、ファンへの情報展開をしているのをよく確認できる。もちろん本家Twitterのほうにも書き込みがある人も居るのだが、華人のユーザの多くはFacebookもTwitterも同じような使い方をしている人が多く、それは写真と動画と文字を同一アプリ上で掲載できるということもあるのだが、140文字という制約でやり取りすること自体が面倒くさいと思っている人が多いらしく、とにかくFacebookを利用しているひとが多く、そこでのメッセージやコメントの量はハンパない。しかし、中国国内ではFacebookが普通の人は使えないので、中国国内用に微博で情報提供しているということなのだろうと思う。
ところが微博では1つ困ったことがある。なにもかも本家ツイッターと同じなのだが、サーバとクライアントの間では、twitterもfacebookもgmailもいまではSSLで通信するのが当たり前になっている。SSLで通信するということは、途中で傍聴することができないような仕組みになっているということだ。これをまともに微博で行った場合、中国政府としては情報が書き込みされる前に情報発信元を探り当てて、その通信を傍受したいと思っているらしいから、SSL通信はさせないようにしている模様。そのあたりの注意事項を念頭に微博に対してはツイートしなければならない。
最近の動きとしては、微博で情報があっという間に拡散してしまうことの恐ろしさを中国政府はたびたび経験することになった。特に顕著なのは、日本から技術をパクった中国の新幹線の脱線事故が起こったとき、中国政府は情報隠蔽することに努めていたが、微博ユーザが独自で事故現場の写真や列車を埋めようとしている動画をバンバン載せたことによって、中国政府がふざけたことをしているということに猛烈に反抗したことを経験した。テレビで放映を規制しても、ネットでの情報拡散までは頭が廻っていなかったみたいで、ネットユーザ恐るべしとそのときに思ったことなのだろう。最近も、北京市内でフェラーリを乗り回していた中国共産党幹部の息子が事故って死んでしまったことを、微博であっという間に情報が広がったのだが、検索キーワードとしてフェラーリの中国語である「法拉利」を入力しても、この言葉を使ったツイートが全く結果なしという結果で表示されるようになったのもある。ただし、アルファベットのFerrariや日本語のフェラーリで検索しても全然規制には引っかからないのだ。つまり、情報のコントロールを中国政府がここではめちゃくちゃしているということである。
ユーザのほうも馬鹿じゃないので、露骨に本当の語句を使って情報を掲載しているわけではない。特に中国共産党を冒涜するようなことは基本的には中国の憲法で死刑にも値することなのだが、それに引っかからないように、同じ発音をする違う語句に変換して記載したりとか、隠語のようなものを使って記載したりとか、漢字の国ならではの工夫が見られる。だから、中国語を習いたてのひとが微博にアクセスしてきたときに、その言葉の意味はいったいなんなのだ?という語句に出くわすことはめちゃくちゃある。日本でもコギャル文字の仲間に入るかもしれないが、漢字を部首ごとにばらばらにして1つの漢字を複数の漢字にして表記するような方法も、ここ微博でもよく使われている。だいたいこういう言葉を使っている場合には、中国政府にとって好ましくないような内容が出ているときばかりである。
基本的に規制対象は中国政府および共産党を脅かす記事を記載した場合である。決して、真っ裸の写真だったり、暈し無しのセックス写真だったり、脳みそ砕けてスプラッターになっている写真だったり、ロリータ系の写真だったりとかのようなものは、全然規制になっていない。素っ裸の写真に、「中国共産党死ね!」と書かれていた場合には規制対象になる。規制対象になった場合には、さきほどの検索からアクセスは出来ないようになるのが面倒くさい。写真も動画もツイッターと同じように別アプリと連携してアクセスできるようになっているので、リンクを切られない限りにおいては、一度アップロードされた記事はずっと保存することが出来る。
1つ使いにくいなーと思ったのは、リツイートの機能である。本家ツイッターの場合、公式リツイートをすると、リツイートした人をフォローしているひと全員にその内容がいくが、既にフォローしている他のひとが同一内容をリツイートしている場合には、タイムラインが同一ツイートで埋められないようにうまく制御されている。しかし、微博のほうはそれが全く効いているわけじゃないみたいで、常にリツイートもツイートも表示されるようになる。だから、「またこの記事か」と思うことは何度もある。
新浪微博
URL : http://www.weibo.com
通称「ウェイボ(微博)」と呼ばれるこのサービスは、全部中国語であるというだけで、基本的にはインタフェースもやれる機能も全部、本家ツイッターと全く同じである。飛び交う言語が中国語であるので、中国語を解せるひとであれば、その情報の波に乗ることができるであろう。なにしろ、ウェイボのユーザ数は、2012年3月8日に易現国際が発表した情報によると、2011年第4四半期現在では2.49億人が登録されており、四半期ごとに18%増、2010年の同時期に比べて146.5%増というくらいの伸びでいまでも増えているくらいのユーザがいる。しかしながら、2012年3月16日以降は、一番最初に北京市から発表された『北京市微博客発展管理若干規定』により、新奇ユーザ登録時に、本名での登録と住民番号の登録、そして携帯電話の登録も必要になってきており、どこのどいつがどんなことを微博でつぶやいているのかを政府が監視しやすいように仕向けているということになっている。微博のサービス自体、北京市にサーバが存在するために、北京市の規定に従わねばならないということになっているのだが、この動きは広州市や上海市でも同じ条例が発布されたことにより、微博ユーザにとっては使いにくいものになったのではないかと思われるが、そんなことではネットユーザはへこたれない。
なぜなら海外からも当然この微博にはアクセスすることができるようになっており、海外在住の人はこの掟に縛られないからである。新奇ユーザ登録時に「何省に住んでいるか?」なんていうのは「海外」というのを選択すれば良い。携帯電話の番号も適当にかいておけばいいのである。ただ、ミクシィみたいにガチガチに正しい携帯電話の番号を入れないとユーザのアクティベーションができなくなるというような仕組みになるのかどうかは不明だが、これをしだすと、微博自体のサービスがミクシィみたいに衰退することが目に見えている。
デフォルトでは、中国大陸の人たちが記載しているものだから、標記も簡体字標記になっている。しかし、台湾や香港からの書き込みも当然行われており、その人たちは当然のように繁体字を使っているので、その人達用にサービス内の標記を繁体字に変更することも可能だ。ただし、これはメニュだけで、各ユーザが記載した中身までは変更できないみたいであるが、もしかしたらできるかも。自分でまだ設定していないので。
ユーザが約2.5億人もいると、それなりに情報が飛び交うことが多く、人気のある人なんかは、数千万単位のフォローがついていたりするのを見つけることが出来るだろう。日本で10万単位ですごいー!と言っているのが馬鹿馬鹿しくなる。中華圏で活躍しているエンターテイメント系統のひとたちは、ほとんどこの微博を使っており、ファン獲得やマーケットとして利用している模様だ。てっきり大陸のアーティストくらいしか使っていないのだろうと思っていたのだが、台湾や香港、シンガポールやマレーシアの華人たちが、Facebookと微博を駆使して、ファンへの情報展開をしているのをよく確認できる。もちろん本家Twitterのほうにも書き込みがある人も居るのだが、華人のユーザの多くはFacebookもTwitterも同じような使い方をしている人が多く、それは写真と動画と文字を同一アプリ上で掲載できるということもあるのだが、140文字という制約でやり取りすること自体が面倒くさいと思っている人が多いらしく、とにかくFacebookを利用しているひとが多く、そこでのメッセージやコメントの量はハンパない。しかし、中国国内ではFacebookが普通の人は使えないので、中国国内用に微博で情報提供しているということなのだろうと思う。
ところが微博では1つ困ったことがある。なにもかも本家ツイッターと同じなのだが、サーバとクライアントの間では、twitterもfacebookもgmailもいまではSSLで通信するのが当たり前になっている。SSLで通信するということは、途中で傍聴することができないような仕組みになっているということだ。これをまともに微博で行った場合、中国政府としては情報が書き込みされる前に情報発信元を探り当てて、その通信を傍受したいと思っているらしいから、SSL通信はさせないようにしている模様。そのあたりの注意事項を念頭に微博に対してはツイートしなければならない。
最近の動きとしては、微博で情報があっという間に拡散してしまうことの恐ろしさを中国政府はたびたび経験することになった。特に顕著なのは、日本から技術をパクった中国の新幹線の脱線事故が起こったとき、中国政府は情報隠蔽することに努めていたが、微博ユーザが独自で事故現場の写真や列車を埋めようとしている動画をバンバン載せたことによって、中国政府がふざけたことをしているということに猛烈に反抗したことを経験した。テレビで放映を規制しても、ネットでの情報拡散までは頭が廻っていなかったみたいで、ネットユーザ恐るべしとそのときに思ったことなのだろう。最近も、北京市内でフェラーリを乗り回していた中国共産党幹部の息子が事故って死んでしまったことを、微博であっという間に情報が広がったのだが、検索キーワードとしてフェラーリの中国語である「法拉利」を入力しても、この言葉を使ったツイートが全く結果なしという結果で表示されるようになったのもある。ただし、アルファベットのFerrariや日本語のフェラーリで検索しても全然規制には引っかからないのだ。つまり、情報のコントロールを中国政府がここではめちゃくちゃしているということである。
ユーザのほうも馬鹿じゃないので、露骨に本当の語句を使って情報を掲載しているわけではない。特に中国共産党を冒涜するようなことは基本的には中国の憲法で死刑にも値することなのだが、それに引っかからないように、同じ発音をする違う語句に変換して記載したりとか、隠語のようなものを使って記載したりとか、漢字の国ならではの工夫が見られる。だから、中国語を習いたてのひとが微博にアクセスしてきたときに、その言葉の意味はいったいなんなのだ?という語句に出くわすことはめちゃくちゃある。日本でもコギャル文字の仲間に入るかもしれないが、漢字を部首ごとにばらばらにして1つの漢字を複数の漢字にして表記するような方法も、ここ微博でもよく使われている。だいたいこういう言葉を使っている場合には、中国政府にとって好ましくないような内容が出ているときばかりである。
基本的に規制対象は中国政府および共産党を脅かす記事を記載した場合である。決して、真っ裸の写真だったり、暈し無しのセックス写真だったり、脳みそ砕けてスプラッターになっている写真だったり、ロリータ系の写真だったりとかのようなものは、全然規制になっていない。素っ裸の写真に、「中国共産党死ね!」と書かれていた場合には規制対象になる。規制対象になった場合には、さきほどの検索からアクセスは出来ないようになるのが面倒くさい。写真も動画もツイッターと同じように別アプリと連携してアクセスできるようになっているので、リンクを切られない限りにおいては、一度アップロードされた記事はずっと保存することが出来る。
1つ使いにくいなーと思ったのは、リツイートの機能である。本家ツイッターの場合、公式リツイートをすると、リツイートした人をフォローしているひと全員にその内容がいくが、既にフォローしている他のひとが同一内容をリツイートしている場合には、タイムラインが同一ツイートで埋められないようにうまく制御されている。しかし、微博のほうはそれが全く効いているわけじゃないみたいで、常にリツイートもツイートも表示されるようになる。だから、「またこの記事か」と思うことは何度もある。
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