2009/12/28

おんな浮世絵 紅之介参る

昔のテレビドラマや映画を久しぶりに観ると、その完成度の高さに惚れ惚れするというのに最近良く出くわす。最近、ちょっと個人的に嵌っているのが、「おんな浮世絵 紅之介参る! 」だ。日テレ系で1974年10月6日~1975年3月30日の半年間、日曜夜9時からの1時間枠で放映されたものであるが、実はリアルタイムでこのドラマを見たことはない。何度か、夕方の再放送の時間枠で見たことがあったが、その痛快さと、おいおい!と突っ込みを入れたくなるような箇所がいくつかあって、結構おもしろいドラマだなと思ったのである。

それが2007年にDVDとして発売したという話はチラッと聞いていたが、自分で買うまでも無いと思っていたし、そのうちネットでも流れるだろうとおもっていたところ、なんと友達が「買った・・・」という話を聞いたものだから、もう観るしかないと思い立ち、ここしばらくは頭の中に「紅の介」一色になっている。

このドラマは、江戸時代に町の蘭学医者として、貧しい人に無料で治療を行っていた奥山千絵が、夜は、私腹を肥やす悪党どもに立ち向かう女義賊・紅之介として活躍する痛快劇である。おんなねずみ小僧と怪傑ゾロを合わせたような話である。

また、出演している演者たちがすばらしい。主役の奥山千絵を演じるのは小川 眞由美。文学座出身の彼女らしいしっかりした演技もそうなのだが、太刀振る舞いのところが日舞をやっていたことを証明するほど、実に巧い。それと、副主役の「花川戸の夜太郎」を演じているのはあおい輝彦。とにかく若い。あと粋がいいし、勢いがある。岡っ引きの役柄としてはとてもすばらしいと思った。その手下の下っぴきを演じていたのが、漫才師の青空球児・好児だ。そう、昔はお正月の「爆笑ヒットパレード」には司会者として絶対君臨していた、あの「げろげーろ」でおなじみの2人である。これもまた息がぴったりだ。千絵先生の周りもすごい。まずは、診療所の助手をしている石部金吾役が三ツ木清隆で、薬の行商人の顔をしつつ、
町のなかの偵察や、夜には紅の介の手助けをする抜け忍・伊賀栗の源八の役をするのが井川比佐志とは、これまた渋い。

ドラマの中でたまに出てくるジングルがしばらく頭から離れなかったこともあったくらい、しばらくは紅の介の面白さに改めて脱帽した。が、何気に聞いていると、台詞回しがとても難しい言葉を使っていることに気づく。たとえば、男を門付(かどづけ)、女は鳥追(とりおい)と言ったりする箇所もある。いまだともう存在しないので、その言葉自体を聞いても「???」と思うのだろうが、江戸時代にはかなりたくさんの人がいたので、普通に使われていた言葉だ。ただし、現代だと差別用語につながると、うるさいどこかのヤクザまがいの団体が文句を言うため、現代の時代劇や江戸を舞台として人情物のセリフでは、絶対出てこない言葉だ。そういう言葉を聴けるというのも、昔のドラマのほうが良かったという表れなのだろうと思われる。なんでもかんでも日本語として成立している言葉を「ダメダメ」と禁止するのは、個人的には許せない。その身分の子孫の人たちにとっては嫌だとは言うのだろうが、実際に子孫の人はその言葉を言われる職業についているわけでもなんでもないのだから、無駄に「差別だ」と騒ぐほうがおかしいのだ。

番組がスタートするとき、小川真由美がしゃべる「昼の恨みを夜晴らす」というセリフはどうしても覚えられないが、口調としてはとても楽しいものである。

おんな浮世絵 紅之介参る!の批評サイト
http://www9.big.or.jp/~rokugen/ingen/beninosuke.html

丸の内イルミネーション2009

毎年、丸の内界隈でクリスマス時期に行われているイルミネーションを今年も行ってみることにした。年々、その規模が縮小されてきて、今年はどれだけショボいイルミネーションになっているのだろうと思っていたが、やはりそのとおりだった。金が無いのか、それともエコブームによるライトの削減を行っているのかわからないが、ディズニーランドを思い起こさせるような、カラフルで大規模でダイナミックなイルミネーションを拝むことができなくなったのは悲しいことである。どうせだったら、シンガポールのオーチャード通りの、派手でケバケバしく頭の悪そうなくらいのライトアップのほうが楽しげだと思うし、金のあるシンガポールで同時期は過ごしたほうが楽しいかもしれないと再認識してしまった。
しかし、今年の趣向は丸の内の通りだけでは終わらず、皇居の公園も利用して光のオブジェを演出していたところが、例年と違うところだ。流し灯篭ならぬ、静止灯篭が皇居の公園のところにたくさん飾られており、入り口に近いところは、有名・著名人のサイン入りの灯篭が飾られていた。何の意味があってそんな宣伝まがいなことをしているのか不明だったし、中途半端な数の著名人だったので、やるんだったら、もっとたくさんこれでもかーというくらいの人間に声を掛けてやるべきなのではなかっただろうかと感じたが、それでも訪問してきている人たちにとっては「あの人がいる!」とか「この人発見!」というような声をあちこちで聞けたのは、まだまだその著名人も廃れたもんじゃないなとおもった。著名人といっても、どういうひとがいたかというと、俳優や歌手、スポーツ選手や芸術家、そして政治家である。鳩山由起夫はもちろんいたし、パラリンピック状態になっている長嶋茂雄なんかの名前も見つけた。久しぶりに名前を見たなーという中には、幸田シャーミンとジュディ・オングがいた。やはり混んでいたのだが、以前に比べて規模も小さくなったこともあり、それほどめちゃくちゃ混んでいるというわけじゃないので、気持ちよく観ることができたが、中途半端な規模でやるんだったら、もっと集中的に金を掛けてやったほうがいいんじゃないのかなとおもう。表参道やお台場などと、分散的に金をばら撒いているような気がしてならない。丸の内を仕切っている三菱地所が総決算としてここに金を集中してライトアップをするということをすればよかったのに、あっちでもこっちでもと欲張ったために、いまいち盛り上がらないイルミネーションになったのではないかとおもう。そういえば、神戸のルミナリエのほうがよっぽど規模が大きいし、豪華さと華やかさはあるとおもう。あれは見事だ。丸の内も、かつて「ミネラリオ」を開催していたときのような派手さを戻してほしいと思う。

てんぷらと和食・山の上

せっかく山の上ホテルに宿泊したから、なんでも山の上ホテルで用を済ませてしまいたいとおもい、これまで、ホテル内のレストランは昼には利用したことがあっても、夜は全く使ったことが無かったから、夕食もいくら掛かるのか見当もつかないと思っていたのだが、おもいきって、東京の中でも「てんぷら」を食べるのであれば名店中の名店といわれている、ホテル内に存在する「てんぷらと和食 山の上」で食べてみることにした。

事前にメニュと値段を調べていけばよかったのだが、そんなの実際に行ってみてから考えればいいじゃんと思ったのが、甘かった。やっぱり名店のてんぷらはとても高かった。群を抜いて高いのであれば、もう腹をくくるしかないとおもい、ここはいくつかの定食メニュはあったのだが、十分だろうと思われる量と、提供される内容を考えて、次の定食を選ぶことにした。■天ぷら定食(No.2) 13,650円
    活巻海老(3)、魚(4)、野菜(7)、かき揚げ(天丼又は天茶)、
    赤出し又は澄し椀、御飯、香の物、果物又は抹茶アイスクリーム

おまかせメニュなんかもあったのだが、これだと刺身がついてきて、別に刺身なんか食べたいとは思わなかったので、これは全く選ぶ余地がなかった。結果としては量はちょうどいいと感じたのだが、やっぱり油で少し胃もたれした気がしたので、どうせなら、てんぷら定食(No.1)というものにしておけばよかったかなとあとで後悔した。しかし、ここの油は、他のてんぷら屋にくらべると、それほど思ったほど胸焼けするような気持ち悪い油を使っているわけじゃないので安心だ。神保町界隈にあるチェーン店である天丼屋の「いもや」のような油だと、同じ量のてんぷらを提供されたら、その油だけで油酔いをしてしまいそうになるのだが、ここのてんぷらはそこまでひどくは無かった。むしろ、綺麗な油だったと言っていい。今回の提供されていたてんぷらは下記の通りである。

まずは、カリカリの海老のてんぷらからスタートした。衣が厚すぎず、そして薄っすらと素材を包み込むようなくらいの厚さだったことに、まずはびっくりした。海老が3匹とメニュに書いてあったので、巨大な車えびみたいなのが3匹も出てきたら、それだけでおなかがいっぱいになるだろうとおもっていたのだが、そんなのは気にする必要も無かった。海老の一番美味い腹の部分を3匹分利用して、中身だけではなく、殻もつけた状態で揚げたものが出てきたのだ。足もバリバリ食べられるくらいの揚げ方なので、美味かった。魚類のてんぷらとしては、アジ、キス、アナゴ、牡蠣だ。アナゴは、個人的にはてんぷらより、こってりとタレのかかった丼物や寿司のほうが断然いいのだが、肉厚な分だけ、塩と一緒に食べると、その味わいが深く感じられた。驚きなのは牡蠣だ。牡蠣が苦手な人は多いと思うのだが、生牡蠣として本当は食べたいところではあるような、大きな身の牡蠣が出てきたときにはびっくりした。もっと小ぶりのものが出てくるものかと想像していたし、以前、広島の宮島に牡蠣を食べに行ったときには、地元なのに牡蠣が小さくてがっかりしたこともあったので、その牡蠣の大きさから考えるとあまりにも大きかったからびっくりしたのである。野菜類としては、れんこん、ぎんなん、茄子、たまねぎとXXXという野菜だった。レンコンは定番なので割愛だが、茄子のてんぷらは、茄子の瑞々しさが全く劣ってなく、むしろ水分がそのまま熱湯になったような感じのままであがっていたために、まるで小籠包でも食べているかのように、熱々だったし、ジューシーな味わいだった。たまねぎは、一口サイズの小さいたまねぎを利用しているのだが、これがまた丸ごと1個を使っている形で揚げていたために、齧ると中が分解されてしまい一瞬焦ってしまった。しかし、たまねぎであることは変わりなく、あの甘みたっぷりのたまねぎの味をそのまま衣で封じ込めた状態だったので、十分楽しめた。ご飯物としては、掻き揚げ丼にするか、掻き揚げをご飯と混ぜて、混ぜご飯のようにするか、またはお茶漬けのようにするかの選択ができる。一番オーソドックスの掻き揚げ丼にすることにしてみた。友達は混ぜ物のご飯を注文する。なお、掻き揚げ丼の場合は、上に掛けるタレについても選ぶことができるようで、甘口か辛口の二系統だった。今回は辛口を選ぶことにしてみた。大きな海老が歯ごたえあるぷりぷりした掻き揚げであり、あまり衣が厚くないというのは、他のてんぷらのときと同じだった。それゆえ、掻き揚げに含まれている具が大きいので、咬み答え十分である。デザートは、果物とアイスの二種類を選べ、果物は季節の果物とメロンの選択だった。このときの季節の果物とは、なぜか柿だった。時期が少し遅いのでは?と思ったのだが、いまが旬の柿を使っているらしい。店の中は、お座敷も存在するいかにも高級なてんぷら屋だという雰囲気を持っているところだった。おもしろいのは、店員の服装で、てんぷら屋という超日本的な店であるなら、前掛けでもした店員が右往左往するような様子が見られると思ったら、全く違っていて、洋食の高級レストランで給仕をしているような、蝶ネクタイと黒タキシードを着た店員が給仕をしていた。女性のウェイトレスについても、なぜか着物で提供しているひとと、あたまにナイチンゲールのような王冠みたいなのを飾っている、洋食レストランのウェイトレスのような人が出てきて、一体ここは何屋でなにを提供している店なんだろう?と戸惑ってしまうような空間だった。

客は常に満員で、美味さでひとがやってきているんだなというのが良くわかった。特に土曜日の夜だったからかもしれないが、席が全部埋まっていて、事前に予約していて良かったと思った。待ちぼうけをするなんていうのはどうしても嫌だったからである。カウンター席もあるのだが、それだと店の大将と一言二言は話さないといけなくなるし、どちらかと言うと、そういう席は常連が座る席だということがあるようなので、一元さんだと、テーブル席を案内されるようだ。大人数でワイワイやりたいのあれば、座敷席のほうがいいかもしれない。が、やはり高級てんぷら屋なので、それなりの態度で接したほうがいい。少し背伸びをして、大人の世界を体験したと感じた。是非、他の人にも勧めたい。


山の上ホテル てんぷら山の上
場所:本館1階
Phone : 03-3293-2311(代表)
朝 食 / AM7:00~AM10:30(LO)
ラ ン チ / AM11:00~PM3:00(LO)
ディナー/ 平 日 / PM5:00~PM9:00(LO)
土・日・祝 / PM3:00~PM9:00(LO)
禁煙区分/ 全面禁煙

山の上ホテル

神保町界隈に勤務地があったときには、よく神保町のいろいろな店にご飯を食べに行ったり、サボりにいったりしたこともあって、大変よく知っている町並みであるのだが、どうしても利用したことがないところがあった。それは東京に住んでいるから東京にあるホテルに泊まるということである。それも神保町・御茶ノ水界隈のホテルに宿泊である。知り合いが宿泊しているのであれば、遊びにいくという名目で利用するのもありだが、そんなことはまずない。となると、強引に宿泊するというイベントを作るしかないなとおもいたち、クリスマス時期にどこ、贅沢な宿泊として、御茶ノ水のかの有名な「山の上ホテル」に宿泊してみた。

このホテルは、歴史的にはとても古く、場所柄、たくさんの著名な作家が缶詰になって作品を書き上げるために宿泊する定番の宿として利用されていたことで有名である。出版社からの担当者が「○○さーん、まだできませんかぁ?」とドラマにも出てくるような光景をこのホテルの中で行われていたと考えると、生々しいし、いまにも作家たちの「いま書いているんじゃい。黙っとけ!」と罵倒していたりする様子が見えてきそうだ。このホテルを利用していた著名中の著名作家として、ホテル内のいたるところに記念品が置かれていることでもわかるように、まずは池波正太郎が上げられるだろう。それから、ホテルのメニュにも記載されているのだが、三島由紀夫もここの常連で、ホテルの従業員のもてなしに大変感動している様子が残っている。川端康成もここで作品をしあげたことでも残されている。

また、このホテルは、お客さんへのもてなしかたがとても上品であり、かつ懇切な対応をしていたことと、東京都内には昔は、旅館は存在していたが、ホテル呼べるような宿泊施設が皆無で、東京オリンピックの際にホテル建設ラッシュでホテルは作られたのだが、そのときにどのように外人と接客をしたらいいのか、ホテルらしい接客はどのようにしたらいいのかということが誰もわからず、この山の上ホテルの従業員が、いまでは有名になったホテルオークラや帝国ホテルなどに対してレクチャーをしていたというくらい、東京のホテルの中ではその存在に対して一目置かれているホテルでもある。(詳細については、「山の上ホテル物語」に載っている)

実は、神保町勤務のときに、このホテルに昼ごはんだけ食べにはよく来ていた。オフィスがあった場所からは少し離れていたので、関係者が絶対にこんなところまではご飯を食べにくるわけが無いということと、名前の通りに駿河台の丘の上にあるため、こんな坂の上まで上ってきてまでご飯を食べに来る人なんか会社の人間にはいないだろうということを想定していたからである。想像通り、在勤中は昼ごはんに関係者に遭遇したことは全く無かったので、のんびりご飯が食べられた。ホテルの中のレストランだから、めちゃくちゃ高いだろうと想像されるだろうが、そんなことはない。ランチメニュであれば、1000円くらいで食べられたので、お財布にもやさしかったのである。それに美味いし。まずくてこの値段だったらリピータにはならない。

ただ、昼ごはんにきたことはあっても、作家たちが使われる宿だと知っていても、中に泊まった事はなかったので、頭の中では作家たちの怨念と熱気が渦巻いているホテルなのだろうと勝手に想像していたが、実際に宿泊してみて、そんなことは微塵も無いことがわかる。

ホテルは、本館と別館の2つの建物から成り立っており、本館は戦前から建てられて由緒正しいコンクリート建築である。中に入ると、真っ赤な絨毯と、昔から使われているだろうと思われる、重厚なソファセットを使った応接ロビーに出くわし、一般素人からみたら、いきなりド肝を抜かれてしまう。こんなところに若造が泊まることは、100年早いわ!とホテル側から客を選別されているような気になってしまうくらい臆してしまう。しかし、そんなビビリの客に対して、即座にホテルスタッフのひとが気づいて、客があたふたしないように、そしてどっしり構えていてほしいという意味をこめて(いると思うが)、宿泊者および訪問者に対してフレンドリーな対応をしてくれるところがうれしい。大きなホテルだと、客が右往左往してどうしたらいいのかわからないような状態に陥ったり、またはホテル側が、「お前みたいな奴がこんなところによく泊まれる資格があるよなー」というのを無言で訴えてきたりするところがあるのだが、ここでは全く存在しない。むしろ、「ようこそ、我が家へ」という、田舎の民家で経営している民宿のような雰囲気を出してくれるところがいいのだ。しかし、民宿と決定的に違うのは、スタッフの躾の良さだろう。身だしなみから、接客態度、そして姿勢があまりにも正しいのだ。まるで台北の忠烈祠にいる衛兵のように、普段、客を応対していないときの姿勢が見事なまでにシャキッとしていることに驚かされた。こういう光景を見られるのであれば、リピータができるのは必然的だと感じた。
今回泊まったのは、別館7階にある、こだわりの家具とAV機器を設置したスタイリッシュな空間を演出したといわれる「アート・セプト・フロア」の中にある「セプトハリウッド・ツイン」に泊まってみた。本館の作家たちが使った歴史ある部屋にもとまってみたいとおもったが、あまりにも宿泊料が高いので、やめた。このハリウッド・ツインという部屋はなにがハリウッドなのかと言うと、薄型の液晶42インチテレビと、DVDプレイヤの設置、そして、壁掛けのバング&オルフセン製のおしゃれなAVプレイヤが装備されていた。もちろん、iPod 保有者なら iPodも接続することができる仕様である。今回は壁掛けのAVプレイヤはほとんど利用しなかったのだが、DVDプレイヤは非常によく利用した。エロ系ではなく、ここでは、昔のテレビ番組である「紅の介」のDVDを観ていた。部屋の中のAV関連は以上のとおりだが、ベッドはそれほど広くは無いが外人サイズのツインベッドがあり、簡易リビング用のソファが備え付けられていた。アメニティとしては、食器類とセルフ用の茶・コーヒーが用意されている。ところが湯沸かし器はない。じゃ、どうしたらいいのかというと、ルームサービスにいって「お湯ください~」と言えばすぐに持ってきてくれる。なお、ポットは常設されているものには「おみず」、そして持ってきてくれるポットには「おゆ」と書かれているところが面白い。寝巻きやガウンも用意されているので、何も持たなくてもここで泊まってもいいだろう。また、全室100Mbpsのネットが使いたい放題になっているので、PC持参できる人は便利だと思われる。なお、LANケーブルはフロントで頼めば無料で貸してくれる。しかし、無線LANを利用したいとおもっているひとにとっては、全館無線LANは利用できないため、残念ながら有線LANが利用できる端末持っている必要がある。

浴室は、昔ながらのユニット系の良くそうなのだが、ちょこちょこと現代風にリノベートしているのでおもしろい。まずは、シャワーのところだが、一般的なシャワーの口ではなく、最新のシャワータイプの、細い管形式になっていた。また、洗面台はとても低い位置にあるのだが、蛇口が一般的な廻すタイプではなく、壁からスイッチが出ているものを押して出すタイプになっていて、これはすごいと思った。また、トイレは当然ウォシュレットだし、アメニティもRENOMAブランドで統一されたものが用意されていた。朝食はレストランで食べるスタイルと、部屋へ持ってきてくれるタイプと選ぶことができる。その際には、和食と洋食の2種類を選択することができる。今回は和食を選んでみた。実は単なるルームサービスで洋食の朝食と和食の朝食を選んだ場合、断然和食の朝食のほうが高かったからである。なんと1名分2500円。値段で選ぶというのはケチ臭いのだが、2500円の朝食って一体なんなのだ?と興味深かったので、選んでみたのだ。時間指定で朝食は部屋へ持ってきてくれるのだが、これが驚いたことに時間ぴったりで部屋に持ってきてくれるので、なんとしっかりしているところなんだろうと感激してしまった。今回は9時に持ってきてと頼んだら、9時ちょうどにドアをたたくノックが聞こえて、びびった。山の上ホテルの徹底したサービスに驚愕で
ある。部屋を担当していたお姉さんは、どこか田舎臭いところがまだ残っていて、言葉遣いもまだ都会言葉になっていないというのも愛らしい。実際に提供されたご飯は、好みの薄口味で、丁寧に作られていて、とても満足であった。減点のつけようが無い朝食というのは、久しぶりのことだった。

ホテル自体は決してあたらしいものではないので、建物自体はどことなく野暮ったい気がする。しかし、それは歴史をはぐくんできた証拠として、ホテル全体を楽しんでもらえればいいと思う。なお、ホテル全体は、禁煙・喫煙を徹底的に分けているため、タバコ嫌いの人にとってはとてもいいホテルだ。ホテルをくつろぎの空間ととるか、エンターテイメントの一部と観るかは、その人の主観によるのだが、いずれにしてもこのホテルが日本のホテルの中で一目置かれているという理由が、実際に宿泊をしてみて今回はっきりわかった。もし、東京に住んでおらず、東京で宿泊しなければならないのであれば、是非このホテルに宿泊したいところである。どの外資系ホテルに比べても遜色はなく、むしろ勝っているのではないかと思う。

山の上ホテル
URL : http://www.yamanoue-hotel.co.jp/
Address : 〒101-0062東京都千代田区神田駿河台1-1
Tel(03)3293-2311

山の上ホテル物語

常盤 新平(著)
出版社: 白水社 (2007/02)

2009/10/26

米子空港バス(米子)

米子空港からの松江に行くバスは、米子空港に飛行機が到着する時間に合わせて出発される。到着後、ほぼ10分以内に出発するので、「時間が少ないな」と思われるかもしれないが、所詮、米子空港はANAしか発着しない地方空港であるため、降機したあと、すぐに空港ターミナルから外に出ることができるくらい小さいから、羽田空港みたいに飛行機から降りても外に出るまでめちゃくちゃ時間がかかるという心配が無いだけいい。ただ、飛行機を降りた後に、トイレに行きたいと考えた場合には、結構あわただしくバスに乗り込まなければならないのは注意だ。だから、できれば、機内にいる間にトイレは済ませておきたい。

空港から松江駅までの片道運賃は960円であり、電車・バスを滞在3日間の間では好きなだけ乗れるパスを持っていない場合には、乗車前に空港ターミナルで切符を買う必要がある。最近は、複数台の切符を買える機械が出来たので、それほど混むことはなくなったが、以前は買うだけでも時間がかかったので、なお面倒くさい。また、事前にパスを持っていなくても、空港バスの切符売り場の隣にあるカウンターでパスを買うことができるので、そこで買ってもいいだろう。が、同じことを考えている人も多いので、これも時間がかかる。できれば事前に手に入れておいたほうがいいだろう。

バスは松江駅に行くまでに、途中、中海に架かる大橋を通っていくのだが、その橋を渡っているときに「あぁ、またこれでどこかの土建屋が設けたんだろうな」というくらい、その橋があまりにも高さが高く、立派な橋になっているのがすぐにわかる。それとその橋を渡る寸前までに、中海近郊のあたりの田舎道をうろうろバスは走るのだが、なぜそんな狭い道ばかりいくのだろう?とかなり嫌がらせに近いように、ちんたらちんたらと走る箇所がある。あの走行区間をもっと改善すれば、もっと早く松江駅と米子空港の間を結ぶことが出来るのではないかと思う。

松江駅は北口バスターミナルのところに空港バスは到着し、発車する。なので、ここからJRに乗って出掛ける人は便利だろうし、また一畑電鉄に乗って移動する人は、松江しんじ湖温泉駅まで、普通の路線バスを使って移動するのもいいだろう。

松江駅から米子空港へ戻る空港バスも、飛行機の出発に合わせた形で空港に到着する。道中、混むような箇所はほとんどないので、時刻表に書かれているような時間でほぼ正確に到着することができる。これは、行きも帰りも同じだ。バスなのに時間が正確に運行されるとなると、よほど交通量が少ないのだろうと想像されるだろうが、その通りだと思っていい。松江駅から米子空港に戻る場合、バスの出発15分前くらいにバス停に着いていれば十分だと思う。なぜなら、バスは発車5分前くらいにしか到着しないからだ。待つのが好きな人、またはバスのなかで特等席に座りたいと思っている人であれば、早めに行った方がいいだろう。

米子空港⇔松江駅のバス時刻表
http://www.yonago-air.com/access/

神魂神社(松江)

八重垣神社の参拝の後、そのまままっすぐ松江駅に向かってもよしだが、出来れば、そのあと神魂神社への参拝もしたほうがいい。なにしろ、歩いていけるような距離であるからだ。神魂神社は「かもすじんじゃ」と読む。神が居(お)わすところという意味から名づけられたと言われているところだ。

「歩いていける」なんて生意気なことを言っていたが、実は歩くと結構大変だと思う。八重垣神社の鳥居を出ると、通りに面するのだが、その通りを越えて、鳥居からまっすぐ伸びている道をひたすら道沿いに歩いていくと到着できるのだが、この距離が約2kmくらいある。元気がある場合には歩いていけるのだろうが、自分たちは八重垣神社に頼んでタクシーの手配をしてもらうことにした。神主にタクシーを呼んでーっと頼んだのだから、なんだか神に申し訳ないと思いつつも、瀬に腹は変えられないとおもったので、頼んでみた。もちろん、素直に応対してくれたのでうれしい。

神魂神社は、他の神社とは少し異なり、丘の上に存在する。そのため車で来た人は、必ずと石段を登らなければならない。石段は2つの構成になっており、下のほうの石段については、本殿手前につながる大きな通りを形成しつつも、足幅が広い石段を組んでいる。だから、なだらかな石段という雰囲気がある。ところが、上段の石段は、前者と変わって、修行のための石段の組み方をしているので、底を本機で登れたのであれば参拝を許そうと神が申しているとしか思えないような石段であった。しかし、この石段を登らなくても「女坂」と呼ばれる遠回りの別の石段が存在するので、そちらを利用してもいいと思う。さて、八重垣神社に比べると参拝者数が圧倒的に少なくなるという条件もあるが、神社全体の雰囲気が「パワースポット」と一部のマニアに騒がれているくらいとてもいい雰囲気を感じる場所だ。空気が澄み切っているというか、言い換えると俗世感の感じがしないと思われる。異次元の世界に飛び込んでしまい、周りの時間とは違い時間で流れているのではないかと思うような静寂と趣を感じた。通称「男坂」の石段を登ると、すぐに立派な本殿が待ち構えている。この本殿の裏側に神様が奉られており、その神殿が本殿よりも数段高いところに存在し、誰も通ることが許されない階段で接続されている。出雲大社とは性別が逆の神様がここには存在することは、社殿のトップに備え付けられているバッテンの尖っ先の形でわかる。ちょうど天に対して手のひらを開いたような形に先端が切られている場合と、天に対して指を刺しているように先端が切られている場合では奉られている神様の性が違うのである。どこの神社に行っても実はこれは同じで、その社殿の先端をみれば一目瞭然である。その本殿の隣には、なぜか稲荷が奉られており、こうも系統が異なる神様がなぜ並んでいるのかがとても不思議だ。また、本殿の隣には小さい祠ふうの社がいくつかあるが、そのなかでも社と社の間に風穴があり、この風穴が迷信好きな日本人であれば一度は拝んでおきたい、パワースポットの中心地であるのだ。中はなんのことはない、注連縄が飾られていて、人が座ってここで瞑想でもするようなくらいのスペースしかない。それがパワースポットと呼ばれる場所になった経緯はわからないが、何かを感じることができるひとは感じるのだろう。何かを。