2007/06/02

騎士団施療院(ヴァレッタ)

ヴァレッタのほぼ先端に近いところに騎士団施療院がある。元来「マルタの騎士団」と呼ばれる人たちは、本来は「聖ヨハネ騎士団」と呼ばれ、聖地エルサレムへ巡礼するキリスト教徒の保護と、異教徒との戦いのために設置された十字軍の一派である。その傭兵的な役割から、徐々に十字軍で負傷した人たちの看護や貧者に対する大きな貢献を行うようになった。その騎士団たちが負傷した兵士などの治療を行ったときの様子をここでは、マネキンやミニチュア人形を使って当時の様子を再現している。また、建物自体は、当時はオスマントルコ軍のヨーロッパへの進出で負傷したひとたちが、ヨーロッパの本国に帰る前に、マルタが地中海の真ん中に位置することからまずここに運ばれるようになり、そのために使われたようだ。当時としては最先端の医療設備が整っており、ヨーロッパでは名の知れた治療院だったようだ。

入り口を入り、建物は地下にどんどん深く潜っていくように階段を下りていくと、そこに展示物などが掲げられている。
途中で騎士団の面影を残す兵士の鎧一式をまとった人形が階段途中であるので、びっくりするのだが、もっとびっくりするのは、当時は電気があるわけでもないので、蝋燭をもって行き来する看護のおばさんの蝋人形も階段の途中にあるので、こちらのほうも吃驚する。
蝋人形の様子があまりにも生々しいので、途中で息が詰まるようなものもあるが、あぁいう様子を惜しげも無く再現しているのはヨーロッパらしいとおもう。等身大の様子を表現しているのは当時の様子がわかりやすいので良いと思う
等身大の蝋人形だけじゃなく、その他にミニチュアの人形もあるのだが、これはガラスケースの向こうにあるので、よーく見ないと見れない。
マルタの騎士団というと、グループであるのは良いが、なんとなく人間らしさが見えてこないというのが難点。こういう当時の統率していた団長の人形があると、当時の洋服や貴族社会の様子というのが見て分かる。
医療院であるので、当然薬による治療を行っていたため、薬の調合の様子も人形で表現されている。
ただ、建物の中には、展示物用の場所とそれ以外の場所というのがあって、なかなか全部の概要は見ることができないが、たまに柵で通れなくなっている通路を柵越しでフラッシュを焚いて写真撮影してみると、意外と昔のまま、残骸が散乱しているところがある。写真に起して初めてわかる様子は、現場ではなかなか見ることが出来ない。
展示通路の最後には、大きな部屋を見ることが出来る。ここは今でも政府で何かのイベント(首相就任など)のときに使われるホールのようで、普段はなかなか入ることはできない。たまたまドサクサでこの部屋に入ることが出来た。

マルタ空港

マルタの空港はとても小さい。国際空港であるのだが、やはり人口が少ないのでそんなに大きな空港を必要としないのだろう。空港ターミナルも必要最小限のようなつくりになっている。あまり早く空港に到着してもチェックインができないのである。つまり、チェックインする時間帯が、出発する飛行機によって決まっているからで、早く行けば良い席が取れるかもしれないというのは、全くここでは通じない。好きな席にしたいのであれば、事前チェックインをするほうがいいだろう。
さて、空港カウンターだが、せいぜい10個くらいしかない。まさにこれで全部である。カウンターがある場所には、本屋があるので、出発前になにか書物を手に入れるのであればここで手に入れたほうが良い。その本屋というのが、たぶんヴァレッタ市内で見た本屋のどれよりも大きな本屋になっており、これがそのまま市内にあれば良いのにとおもうようなものだった。だが、ここで売っているのは雑誌か地図かガイドブックなのである。少し変なのだが、出発ロビーになぜマルタのガイドブックを売っているのかかなり疑問だ。別にこのロビーが到着便のロビーも兼ねているというのであれば話がわかりやすいが、全くそうではない。 出国手続きをするのは、カウンター横にある手荷物検査場を潜ったあと、エスカレータを上った所に有る。空港の規模と同様、ここでも出国手続きのカウンターは小さい。EU諸国用の人たちとそれ以外というような区別は無いので、どこでも良いだろう。これを潜った後は、飛行機に乗るだけ。

お土産類はここで売られているので、お菓子、酒ならここでゲットだろう。ただし、化粧品の免税店はここには何故か無い。あと、ご飯を軽く食べたいなーというのであればそれは無理だ。その代わりに、レゴに似た組み立て玩具の売り場があった。空港使い方にかなり疑問だと思いつつも、その空港の小ささに感銘する。

搭乗開始時刻まではここで待つしかない。アナウンスがなったら飛行機に乗り込むのだが、ターミナルと繋がっている形式ではなく、かならずバスに乗って飛行機が泊まっている場所まで行かねばならない。本当にそれほど小さい空港なのである。でも、慣れると、成田空港のような規模の空港が「大きくて気持ち悪い」とおもってしまうのは変だろうか?

ジャンニーニ(マルタ)

マルタでは政財界のひとたちにもよく利用されている名店の中の名店といえば、マルサイムシェット・ハーバーを望むところに有るジャンニーニ(Giannini)だ。地中海料理とマルタ料理を堪能したいのであれば、絶対にここに来るべきだと思う。ただ、ガイドブックにはどれにも載っているはずなのに、客は異様に少ない。というのも、まず、地球の歩き方に書いている地図が全然間違っている。だから、この地図を信用して行こうと思っても、このレストランには絶対に辿り着かない。住所だけはあっているので、Windmil Street というのだけを手がかりに行くべきである。


レストランの入り口に入ると、そこはレストランではない・・・というと、不思議がられるが、実はバーとレストランが一緒の建物の中に入っているところだと思えば分かりやすい。1階にはバーがあり、それを横目でエレベータに乗り込むといける。
エレベータで上に行くと、感じのいい雰囲気のレストランが見える。そして、窓からはマヌエル島が見える風景が見えるのだが、夜暗くなってくると、実は島自体が真っ暗になってしまうので、あまり良い景色じゃない。

しかし、政財界の人が使うといわれるくらいの場所であるために、ワインリストに掲載されている量はとても多かった。
今回ここで食べたのは次のもの。

・アンチョビーやレーズンを燻製した太刀魚で巻いて、それをルッコラのペーストソースでコーティングした前菜


・前菜パスタとして、豚肉の角煮を細かく切ったものとトマトを混ぜて、デミグラスソースで合えたスパゲッティ
・太刀魚のムニエル ・焼きラムステーキ ・デザート2種(名前は不明)

いずれも超美味かった。またいきたい。それよりも、メニュの名前を覚えておきたかった。

マラタ(マルタ)

ヴァレッタのパレス広場に面しているところにレストラン「マラタ」はあるのだが、ここは昼間も夜もオープンテラスになっているので、どこにレストランがあるのかは分かりやすい。でも、できれば、表通りではなく、地下が本当の店になっているので、そこに行って食事をすることをお勧めしたい。そちらのほうが絶対的に落ち着くからだ。
地下に下りていくと、壁一面にマルタで有名な政治家や俳優の似顔絵のイラストが飾っていることがわかるだろう。 もちろん地下のレストランは一流のレストラン風におしゃれな感じであり、地元の人たちが何かのお祝いをするときには、よく使われているといわれているレストランだけある。だが、全然堅苦しい感じはしないし、フォーマル絶対着用というわけではない。そしてお店で給仕している人たちもマナーがとてもよく、てきぱきとしているのは見ていて気持ちがいい。

ここで出される付け合せのパンはとても美味い。見た目はフランスパンのように固く見えるのだが、実際に食べてみると全然固くなく、むしろ柔らかいし、何といっても、皮の表面にある胡麻がいいアクセントを出していると思った。
ここで食べたのは以下のとおり。


・ホウレンソウのフェットチーネ。最初は別のフェットチーネをお勧めとされていたのだが、給仕が自分でお勧めといったわりには、その日は「枯らしている」ことを分かっていなかったのはちょっと残念。ただ、このホウレンソウのフェットチーネはそのもちもちとした麺とホウレンソウベースのホワイトソースがめちゃめちゃ相性がよく、選択して正解だったと感じた。


・フォラグアのテリーヌ。鶏はマルタでは代表的な名産の一つであるが、まさかフォアグラまで作っているとは思っても居なかった。ここのフォアグラは、パリあたりの脂コッテリというわけではないために、フォアグラをテリーヌにすると、その脂で胸焼けしてしまう人でも大丈夫なものだ。テリーヌでも美味かったのだから、きっと焼いた場合にはもっとうまみが出てくるのだろうと想像した。


・牛肉のトルネード。イギリス統治であるためかわからないがビールで牛肉を柔らかくした料理がある。でも、これははっきりいってベルギーの方が断然美味い。しかし、牛肉臭さがないので、あまり牛肉好きではない自分でもこれは美味しいと思う。


・なぜか眼についたので頼んでしまったのが、ウサギの料理。以前、フィレンツェに行ったときに名店イル・ラティーノでウサギ料理を注文したのは良いが、メインの料理が来る前にお腹が一杯になってしまって、肝心のウサギをあまり食べなかったという記憶があるため、このときがリベンジである。骨がたくさんあるので、なかなか食べ難いものではあるが、本当に昔の日本人が「ウサギは鶏肉みたいな味がする」というのを言っていたように、ウサギといわなければ全然分からないものだと思った。淡白な鶏肉料理を食べているようである。


マルタの赤ワインをボトルで1本と、ガス抜きの水750mlを合わせて、全部でLm29.85だった。

ディ・ロバーティス(マルタ)

ヴァレッタの門を通り抜けて、ヴァレッタ中央のリパブリック通りから右に登っていくと豪華ホテルに見える建物が見えてくる。これがなんとマルタの首相官邸だ。だけど、日本のように警官が周りをうようよ囲んでいるというような物々しい雰囲気は全く無い。それどころか、夜になると、そのライトアップはまさに綺麗そのものなので、是非建物観賞をするのに出て行きたいところだ。


その首相官邸のすぐ傍にあるのが、カスティーユホテル(Castille Hotel)。こちらはマルタを訪れる外国人にはとても人気があるホテルである。地球の歩き方にもこのホテルは載っているのだが、やはりマルタを訪れる日本人観光客の多くが団体旅行のために、あまりこういうホテルを使うことは無いのだろう。



そのホテルの最上階のフロアに、とてもいいレストランが有る。それがディロバーティス(De Robertis Restaurant)だ。レストランに行くには、ホテルの中を入らなくてはいけないのだが、似たようなレストランがここにはたくさんあるため、入り口を間違えてしまいがちだ。基本的にはホテル内のレストランなので、ホテルに泊まるような顔をしていけばいいわけである。ホテル入り口には、まるでマンションの管理人のような人が入ってすぐのところにいる。とても気さくで「レストランへ」と言うと、奥のエレベータを案内してくれる。


最上階のレストランに行くと、ホテルの大きさに比べると、とても広いレストランがあることに気付く。バイキング形式の朝食を提供するその場所は、夜に行くととても最高である。というのも、そのレストランからヴァレッタに面したグランドハーバーとその向こうに見えるセングレアやヴィットリオーザの景色が最高で、花火の季節であれば、この場所が最高の花火観覧会場に変わるからである。ちょうど自分達が食事をしているときも、花火大会ではないのだが、マルタのメーデーを祝うための花火が上がり、テラスに出てみれば、一番贅沢な観覧場所として楽しむことができた。

肝心の料理はどうかというと、これがマルタの伝統的料理をテンコ盛りで盛られてくるから、嬉しい。ここで食べたものは次の料理だ。


・いわゆるブイヤベーススープであるアリオッタ(Aljotta)。魚と野菜をたっぷり使い、さらに米とトマトを使って煮込んでいる。ニンニク風味も多少隠し味で使っているので、味が複雑で美味しい。

・海の幸スパゲッティ(Spaghetti fruiti di Mare)。定番中の定番だと思うが、海老、イカ、白身魚などをたっぷり使ったスパゲッティ。トマトベースであるため、落ち着く味だ。 ・豚肉のフィレ。料理のメニュからわかりやすい内容だったので、これを選んでみた。ジャガイモがたくさんサイドメニュとして盛られているのも満腹感を増すものであるが、一番吃驚したのは、苦手なパルメザンチーズを固まりで焼いていて、それを豚肉のソースと一緒に掛けられており、豚のフィレとミックスされていたことだろう。これを知らずに口に入れたとき、最初は「キノコ?」と思ったのだが、かめばかむほど、あの嫌いな塊のチーズの味がしてきて、思わず吐き出してしまった。チーズ好きな人にとっては美味いとおもうかもしれないが、塊のチーズが大嫌いな自分にとっては拷問の何者でもない。豚肉のフィレ自体は味が上品でとても良い ・白身魚のホワイトソースかけ。こちらはマルタが海に囲まれている国であることを分からせてくれる料理だった。白身魚は鯛の一種なので、ほとんど日本料理と変わらない。このほか、ワインと水を頼んで全部でLm19.55だった。量のわりには値段がリーズナブルでお得。でもなんといっても、あの「景色」は最高だった。また、ホテルをでてすぐ目の前にあるとおりを夜に歩くと、とても風情があるので、感じて欲しい。