2008/06/07

Duran Duran


80年代のポップスを久しぶりに聴くと、懐かしいとおもうのと同時に、全部知っている~と思うのと、やっぱり落ち着くなぁという、なんだかよくわからない気持ちになるのはどうしてだろう。以前、80年代に売れた曲・1000曲が収録された圧縮ファイルをネットでダウンロードできたときには、超ラッキーと思い聴いてみた。4GBもあったファイルをダウンロードするのは大変時間が掛かったが、こういう曲もあった、あぁいう曲もあったと懐かしく聞いた。

その中で自分には一番合っていたのが Duran Duran である。Culture Club と二分するくらい日本では超大人気だったにも関わらず、あるときからパタッと音信不通になってしまったバンドである。確か、昨年の年始のNHKのライブ番組で、本当に久しぶりに動いている Duran Duran を観て、「さすがにおっさんになったんだなぁ・・・」と彼らの老けぶりに吃驚した。そして映像を見たときには、かつての興奮が全然よみがえってこなかったのがとても不思議だった。やっぱり音だけ聴いているほうが断然良いバンドだった。

さて、そのDuran Duranであるが、別にいままでアルバムを買った事があるということは全くないのであるが、全部の曲を知っている。友達にカセットにダビングして貰って、ウォークマンでよく聞いていたことを思い出す。以前、カラオケによく行っていたときにも、必ずといっていいほど、Duran Duranの曲のどれかを歌っていたし、歌詞と音階がとても分かりやすいので、カラオケでも歌いやすかったのだ。

そのベスト版があるのを発見して、聴いてみた。全部で19曲収録されているこのアルバム「Greatest」は、一気に全部を聴いてしまえるほど、往年のヒット曲ばかり入っているので、あの頃によく音楽を聴いていた人は絶対にお勧めである。

Duran Duranの曲はどれもが好きなのだが、個人的には、New Moon on Monday が好きだ。タイムリーに聴いていたときにはそれほど好きとは思わなかったのだが、鶴光のオールナイトニッポンを聞いていたときに、「空耳」のコーナーがあったのだが、そこでこの曲が出てきた時からファンである。もう随分前の話だ。あとは、007のテーマ曲にもなった、A View to a kill も良い。

それにしても、ボーカルの渋い声は Roxy Music と同じくらい耳に残りやすい。あのくらいの声質が好きなのだろうか?ちなみに、人気を二分していた Culture Club は当時余り好きじゃなかった。周りは結構 Culture Club ファンが多かった気がするが、好きじゃないということは友達にいえなかった自分が有る・・。

Duran Duran - [Greatest]
1. Is There Something I Should Know?
2. Reflex
3. View to a Kill
4. Ordinary World [Single Version]
5. Save a Prayer [US Single Version]
6. Rio [US Edit]
7. Hungry Like the Wolf
8. Girls on Film
9. Planet Earth [Single Version]
10. Union of the Snake
11. New Moon on Monday
12. Wild Boys
13. Notorious
14. I Don't Want Your Love [Shep Pettibone 7' Mix]
15. All She Wants Is [45 Mix]
16. Electric Barbarella [Edit]
17. Serious [Edit]
18. Skin Trade [Radio Cut]
19. Come Undone [Edit]

世界王室最新マップ

世界には王様と呼ばれる人達が、実は今でもまだ健在している。日本でも天皇がまさしくその地位にあるわけで、王様だからその人が統治しているのかどうかは別問題だ。日本の場合は象徴天皇として、日本を代表とする「顔」になっており、それは有名どころではイギリスのエリザベス女王と同じ扱いである。しかし、第1次世界大戦前までは、ヨーロッパには、ほとんどの国で王様が君臨していたわけだし、それに従っていた貴族の人達がたくさん存在していたことは、歴史を知っている人なら誰でも常識となっていることだろう。

書物の中では現存する王室のうち、比較的有名なところをいくつか紹介している。タイやベネルクス三国の王室は、テレビでもたまに出てくるので知っている人は多いと思うが、ブータンやサウジアラビアの王室のことについては、なかなかメディアでは知ることが出来ない。ということで、かなり謎のように思われるところなのだが、知ってみれば大したことが無いというのが分かる。それを美味く説明しているこの本はとても有効だと思う。

また、現在は消滅してしまったが、かつては世界を轟かせていたロシアのロマノフ王朝、オーストリアのハプスブルク家や中国や沖縄の王朝も、その翻弄された歴史を簡単ではあるが集大成として要約しているところは参考になるものだろう。しかし、過去の王朝はいろいろな書物に書かれるが、現在の王朝については、現存しているのでいろいろ記述に規制がかかったりするのが定番だから、現存している王朝のことを書いているこの本は、有る意味貴重だともいえる。

日本の天皇家も同じだが、王室は常に一般庶民または海外の人たちからも、注目の的になっているため、すべての行動が色々な方面に影響を与えていることも多い。当然スキャンダルの対象としても、どの有名人よりも注目を浴びてしまう存在である。それを苦と思わないか、エンターテイメントとして演じられるかによって、王室の世間への門戸解放になるのだろう思う。日本では、天皇家の人が、その辺のデニーズでご飯を食べ、スーパーで買物をするということはまずありえない。北欧やベネルクス三国の王室では、普通に見られることもある。この違いはなんだろうという問いも、もしかしたらこの本は解決してくれるかもしれない。国民とその王室に対する距離感をどのように感じているのかどうかである。日本の場合は、昔ほどではないが、やはり天皇家=現人神という考えがあるので、近寄りがたい存在として、一種の威厳を持ち続けなければならないという意識があるのだろう。


「世界王室最新マップ」

時事通信社編

新潮OH!文庫

2001年12月10日発行


兼高かおる世界の旅

兼高かおると言えば、小さいときに「兼高かおる・世界の旅」という番組が確か日曜日の朝に放映されていたことを思い出す。今では世界各地の情報が身近に見られたりするのだが、海外旅行に行くのが結構金がかかる時代に、ありふれた映像ではない海外の映像が見られたので、幼心にも衝撃的だった気がする。そのせいで、いま狂ったように旅行に行っているというわけではないのだが、クイズ番組でもなければドキュメンタリ番組でもなく、兼高かおるという人を通して、その町で観た・感じたものを単に伝えているという、ほとんど個人の趣味の番組とも言ってもいいほどの番組が放映されていた。

世界中のいろいろな場所を旅行した兼高かおるが「私の好きな世界の街」という本を出しているのを、ブックオフで発見したときに、一体どこの町を「好き」と思っていたのだろうというのがとても気になってしまった。色々な場所を知っているからこそ、誰もが気にしないような場所を好みの場所として選んでいるものと勝手に期待したのは言うまでも無い。しかし、意外にも選択された街というのが、普通じゃんというところばかりだったので、結構それはそれで衝撃的だった。本の中で書かれている都市というのは次のとおり。

・サンフランシスコ(アメリカ)

・ヴェネチア(イタリア)

・パース(オーストラリア)

・パリ(フランス)

・マラケシュ(モロッコ)

・サルバドル(ブラジル)

・ロンドン(イギリス)

・カシュガル(中国・ウイグル)

・ケープタウン(南アフリカ)

・バーゼル(スイス)

・ストックホルム(スウェーデン)

・マニラ(フィリピン)

・ニューヨーク(アメリカ)

・ミュンヘン(ドイツ)

・サマルカンド(ウズベキスタン)

・アムステルダム(オランダ)

・ナポリ(イタリア)

・ニューオーリンズ(アメリカ)

・グアム

・デリー(インド)

この中で「なんでこの都市が好きなわけ!?」とおもうところもある。マニラやグアムなんかそうだろうと思う。逆に、あぁやっぱり兼高かおるっぽいなぁーとおもう選択された年端、カシュガルやサマルカンドだと思う。中央アジア地域は普通の人でもなかなか行かない場所だが、文化的には非常に高いものが残っているところであるのだ。一般日本人のウケを狙ったものだろうと思うのが、ニューヨークとかロンドンやパリだと思うのだが、これはこれで別に町を紹介するほどでもないと思うのに、本の中に入れている意味がやっぱりわからない。

しかし、兼高かおるの「好き」「嫌い」の視点というのが、この本を通してなんとなく分かった気がする。基本的には人が好きなのだと思う。それとその都市に自分を置いたときに、雰囲気が良いとおもっているところが好きなのだろう。見るところ、することが無いような場所は、訪れる意味が無いという意味では「嫌い」なのだと思う。それがわかりやすい。

本の中では参考になった場所も結構あった。モロッコの記事のところでは、有名なカサブランカのほうを選ぶのが通常だが、「あんなところは行く価値が無い」とばっさり切っているところがすごい。サマルカンドは情景が見えるような書きっぷりをしているように、一見見えるが、他の本でここの場所のことを知っている下地を自分は持っていたので、改めて、いつかは行ってみたいと思うような気にさせてくれたと思う。

「好き」と書いている都市は、何度も訪れているようなので、常宿があるらしい。頻繁に同じ都市を訪れるところがあるのはいいのだが、世界のあちこちにその都市があるというのはすごいと思う。個人の金ではないとはいえ、そんなに頻繁に海外に行けるのはとても羨ましい。旅行ジャーナリストというのはどれだけ儲かるのか分からないのだが、儲からなくても、海外に行く際に自腹を切らなくてもいいというだけで楽しいではないか。

テレビ放映されていたのが、なんと1959年から31年間も放映されていたという長寿番組の「兼高かおる世界の旅」ほど内容充実した旅番組は今後も出てくるかというと、なかなか難しいだろう。時代が昔とは異なり、気軽に海外に行けるようになったことが一番の違いだと思うし、情報もネットで仕入れることが簡単に出来るようになったために、あのようなたび番組の必要性が無くなったというのが一番の理由だと思う。

「私の好きな世界の街」

兼高かおる

新潮文庫

平成12年3月1日初版