2012/01/19

5時に夢中

東京の民放の中で1局だけどうしても下に見られてしまうのがTOKYO MX TV。東京地方ローカル局であるため、基本的には東京都内の人しかみないが、やっている番組がどれもこれもパッとしないものばかりだと思われがちだが、実は大間違い。他の民放では、いろいろなしがらみがあって放映できないだろうというようなものをバンバン放映している。ノリとしては、ちょっと前の深夜の民放番組のようなものが結構多いのだ。

その中でも最近特に個人的に注目をしているのが「5時に夢中」。でも、この番組を最初に知ったのは、土曜日の午前中に放送している「5時に夢中サタデー!」のほうだった。5時に夢中サタデーが放映していた時間帯は、以前は、「談志・陳平の言いたい放題」が放映されていた時間帯であったが、この番組はもうずっと前に終わってしまっている。たまにボケていて、まだ放映しているのを間違ってMXTVをつけてしまうときがあるのだが、そのときに5時に夢中サタデーの存在を知った。

1時間番組のこの番組は、月曜日から金曜日の夕方5時に放送している本放送のアーカイブ版という役割と、土曜日独自の番組内容というのを放送している。笑っていいとも!の平日版と日曜版の役割みたいなもんだという感じだろうか。その中で、各曜日でどういう爆弾的発言があったかというのをダイジェストで放送しているのだが、それを見たときに「こんなものが、毎日夕方の5時に生放送されているなんて」と衝撃を受けたのは言うまでも無い。他の民放では、絶対ピー音ばかり入って放送にならないようなものも、ここでは堂々と暈かし無しで放送しているところがすばらしい。ほとんど、出演者全員が酔っ払っているんじゃないのか?というようなことを言っているのが面白い。

ここの番組に出演しているひとのほとんどは女性だ。司会をやっている逸見太郎は別にして、あとは個性の強い女性ばかりだ。あっ、全部女性ではない。女性まがいもいる。マツコとか。それぞれの人たちのコメントは過激なものばかりで、ウソではないし、誰もがそう思っていることを平気で口にしている。他の民放ではしがらみがあるのかないのか知らないが、だいたい爆弾発言が出来ないようにほとんど録画になっているのにも関わらず、この番組では怖いもの知らずで全部生放送。これは素晴らしい。やっぱり生放送の緊張感から生まれる発言ほど一番面白いものは無い。

それと見逃せないのが、「黒船特派員」と呼ばれる外国人または外国人風にみえるタレントの存在だろう。毎日、入れ替わりで出演するこのタレントたちも、なかなかの個性溢れる人たちばかりだ。個人的に好きなのは、木曜日レギュラーのジョナサン・シガーと、金曜日レギュラーの杉山ハリー、そして土曜日レギュラーのティアナさんだ。何と言っても、ティアナさんは、他の出演者に負けず劣らず、結構発言が過激だ。誰かに媚を売っているような発言をする人が多い芸能界では、過激な発言をすることを避けたがる人たちが多すぎる。外国人タレントはそんなしがらみが全く無いので、好き勝手に言いたい放題ではあるが、それは素直に日本を見ているからの発言なので、こういう改革的な意見をじゃんじゃんいってくるひとは素晴らしいと思う。杉山ハリーとジョナサン・シガーは、もう外人の領域ではなく、日本人的感覚を持って日本人と同じような綺麗で流暢な日本語を話すタレントだ。法外な講演料を取っているわりには、いまだに日本語がへたくそなアグネス・チャンに聞かせてやりたいくらいだ。

しかし番組は夕方の5時からであり、これをリアルタイムで見るにはまず無理がある。午後年休を取るか、それとも祝日の日かしかない。そうじゃなければ、録画をして見ることになるのだが、毎日録画しても観ていたいくらい楽しい。実際に、いまも毎日録画している。が、まとめて深夜か土日に見ることになるので、結構時間がなかったりする。でも、録画してでも観たい番組だとおもう。平日のゴールデンタイムに数時間の枠を使って、内容が薄く、「衝撃」なんて書かれていても、「どこがじゃ?」と疑問に思うような愚番組が多かったりするのだが、そういう愚番組をみているんだったら、録画した5時に夢中を観ていたほうがよっぽど楽しいし、精神的にも気持ちがいい。

パーソナリティもこれからどんどん替わって行ったりするのだろうが、番組のスタンスとして、本音で暈かしなくズバズバ斬っていってほしいものである。

5時に夢中
URL : http://www.mxtv.co.jp/goji/
放送時間:月曜日から金曜日 17時から18時
     土曜日 11時から12時

2012/01/17

弁護士放送(Podcast)

インターネットの使い方というのは、年々発展していって、使用者によってインターネットとはどういうものかというのは違っているのではないだろうか?生活基盤になっている場合もあるし、商業基盤になっていることもあるし、学習基盤になっているかもしれない。利用途に千差万別、取捨選択が出てきているということはとてもいいことだと思う。随分昔に、まだブログと呼ばれるより、単純に詰まんない個人サイトが乱立していたときに、自分も個人サイトとして、そのときに感じたことなどを記載していたのが、その中で偉そうにも、ネットに関して書いていた記事を再発見した。もうこのサイトは全然使ってないのだが・・・。

そこでも言及していたのだが、ネットの一番いい所は、情報の集積箱として利用できるところだろう。ウソかホントか情報提供者の能力次第ではなく、情報取得者の能力次第であることは言うまでも無いのだが、一度アップロードされた情報は、サービス提供者が破産宣告を受けてサービス停止をしない限りにおいては、ネット上に永久に蓄積される。検索して引っ掛かかるか、引っ掛からないかも、検索をしている人の能力次第だが、それでも情報が削除されることはない。つまり、容易にアクセスできる膨大な量の情報集積装置がインターネットであるという利用方法はこれからもずっと変わらないだろう。

前書きが長くなったのだが、ポッドキャストの「弁護士放送」は誰もが気になっている法律全般のことや、弁護士って一体なにをしているひとなのか、気になる事件や犯罪に関して本当のところはどうなっているか、裁判ってなんなのかなー?と、普通に生活しているとあまり気にしないが、いざとなったときには絶対お世話になってしまうだろうという、一般市民にとっては結構未知の部分だと思われるところを、誰もがやらなかった方法で解りやすく番組提供しているポッドキャストである。番組の企画をしたのは、トリカゴ放送のヤマモトさん。この人の脳みそ、企画だらけでどうなっているんだろうと、頭の中を見てみたいと思う。そして、何と言っても、この番組では弁護士のヨシカワさんがメインだ。この方抜きでは法曹界および一般市民と法との間を取り持つ翻訳家は居ないと思っている。

冒頭のインターネットアーカイブ論というのと、この弁護士放送の役割というのは、非常に大きく関わっていると思っている。日本に住んでいて、日本政府が転覆されたり、他国に侵略されて、あるときから他国の法律が適用とならない限りにおいては、現憲法・法律が日本国民には適用されることになる。日本に住んでいるのであれば、これが絶対的規範になって行動しなければならないことになる。ただし、法律とは言っても、新しい解釈が有効になったり、新しい法律が成立されたりしているのは当然なのだが、それを一般市民が常にウォッチできているかというと、そんなのは無理だ。そして、百科事典のように分厚い量になるすべての法律を一般市民が全部把握するのも無理だ。だから弁護士や検事や裁判官が居るのである。しかし、弁護士や検事や裁判官というのは、一般市民にとっては知り合いが居ない限りにおいて、取っ付きにくい人たちの分類に入るものだと思う。情報の膨大さと、従事している人たちへの接近の敷居の高さを、一気に身近にしてくれている役割がこの弁護士放送の役割なのだと思っている。

ヨシカワさんの言葉を通して語られる法律に関する話は、現在の法曹界で解釈されれいる法律の話題から、法曹界の裏話まで幅広い。もっとも、これは一般市民目線で「これって、どうなの?」というのを根掘り葉掘りと聞いているヤマモトさんの役割が大きいところだとは思うが。そして、ポッドキャストにしてアーカイブ化するということは、それがいつ聞いても内容が通用するものであることになるわけだし、文字で見るよりは大量の情報量を音声には含まれているので、聞いているだけで勉強になる。ヤマモトさんがすごいなとおもったのは、この情報を参考書のようにできるネタを見つけてきて、それをエンターテイメント性に換えてしまったところだろう。もちろん、お二人のパーソナリティとしての可笑しさが番組を盛り上げているところの1つであるのは言うまでも無い。

ヨシカワさんは、ヤマモトさんの過激な質問に対して、実は結構淡々と説明をしているし、考え方に全くブレが無い。弁護士という人たちは、すべての起こっている事象を冷静に分析して、それが法律に則ったときに、どう解釈すればいいのだろうかというのを常に考えている人たちなんだろうなというのはとてもよくわかった。まったく心情や思想というのを、解釈の中に入れることをしてはいけない人たちなのだということ。だから、そう考えると、最近一般市民が法廷に参加する裁判員制度は、どうしても一般人の心情が入ってしまうような気がして、本当に法を裁くということが出来るのかどうかが、この弁護士放送を聴けば聞くほど怪しいものだというように個人的は思うようになってきた。

ヤマモトさんの下劣な質問には、賛否両論があるとは思うのだが、実は誰もが思っている弁護士に関すること、法律に関することを、代理として法曹界にいるヨシカワさんに鋭い質問をしているのではないだろうか。下劣と思ったのは、「弁護士って儲けているんでしょ?」という金に絡んだことで聞いていることだ。これが悪いと言っているわけじゃない。むしろ聞いて欲しいところの1つの話題である。しかし、ヨシカワさんはズバリいくらですというような断定はしない。一般的解釈的なことを返答する。煽られてもそれに答えない。そのやり取りが楽しいのだが、ヤマモトさんのツッコミが過激になってくるところが結構下劣や下品になっていくところも聞いていて面白い。そこまで言わなくてもいいんじゃない?とおもわれるところを、もっと踏み込んで聞いてくれるところがいい。

たぶん、これからはいろいろな判例をネタにして、こうなったらどうなるか?という点が増えてくるのではないかと思う。判例というのは、人間が生活、いや、動いているのあれば様々な事象が出てくるわけで、それについて法律的解釈をいろいろ照らし合わせることができる。この番組、エンドレスでネタは転がっていることになるのだが、どこまでそのネタをオールジャンルで提供できるのか、今後に期待したい。すごく知識になる番組の1つだ。

弁護士放送
http://bengoshihoso.com/

地球の裏側ニュース(Podcast)

日本の真反対にあるラテンアメリカの情報というのは、興味がある人、または関係の職についている人以外はなかなか接する事もないし、積極的に情報を取りにいこうということは無いだろう。最近では、日本でも南米のサッカーの中継を見る人が増えてきたし、BRICsの1つであるブラジルの景気の動向で、南米には関心を持っている人も増えたんじゃないのだろうか?

とはいっても、南米はスペイン語とポルトガル語の世界であり、一般的には英語で動向を見るという世界ではない地域だ。だから、サッカーや経済の成長への関心をトリガーに、この地域のことを知りたいがためにスペイン語やポルトガル語を勉強するきっかけになっているひとが多くなっているのではないだろうか。もっと日本の糞報道機関もアメリカばっかりのことを報道するのではなく、全世界の地域全体を対象にニュースを拾ってきて報道するべきだとは思うのだが、やっぱりまだまだ南米への関心はないようだ。それだけ、日本人があまり世界を見ないでも経済活動や生活できちゃっているという環境がいけないのだろうと思う。

世界一周たびたびニュースを主宰しているやすやすさんと、スペイン語・ポルトガル語の翻訳をやっていらっしゃるヒロさんが2人で行っていて、あまり日本では取り上げられていないラテンアメリカ全般の出来事について、ニュース記事から紹介していることと同時に、重要なスペイン語またはポルトガル語の表現というのを紹介していたりする。

前からそうだったかもしれないが、最近の傾向としては、やっぱりサッカーに関わる内容が本当に多くなったのではないだろうか。南米の経済状況というのは実はあんまり良くわからないし、興味を持てるものなのだろうか?ということもあるのだろうが、日本人にも伝えてもわかりやすいところという意味ではサッカーだけになってしまうのだろうと思うし、これがちょっと悲しい結果だとは思う。日本経済はよくわかんないが、フジヤマ・サクラ・ゲイシャだけは知っているという諸外国人と同じ考えだろう。

ヒロさんが南米のニュースを拾ってきて、それを紹介し、やすやすさんがヒロさんのコメントやニュースの背景についてを聞くという手段なのだが、個人的な感想からいうと、やすやすさんが他の番組をやっているときには、主でしゃべっているということもあるのだろうが、聞き役になっているこの番組の中では、すごい冷たい対応をしているひとのような印象がある。ヒロさんがそんなに嫌いなのか?と半分思ってしまうほどだ。それとも、どこかでヒロさんの不甲斐なさに関して「ダメだなー」と常に思っていることが、声の表現に現れてしまっているのかというのか、実態はわからない。ヒロさんのほうも、やすやすさんの言葉としては表現しない無言の圧力をどこかで感じているのかしらないが、これまで何回かこの番組をアップロードされているのにも関わらず、やすやすさんへの会話がおどおどしているところが可愛い。やすやすさんって、実は怖いのか?と勘ぐってしまう。

あとは、両者ともスペイン語が堪能な方なので、表現を聞けば、これは原文はこうだよね?というような会話をしているところが、スペイン語またはポルトガル語学習者には勉強になるところだろうとおもう。語学的な見地から言うと、スペイン語もスペインのスペイン語とラテンアメリカのスペイン語では少し表現が異なっていたりするし、ポルトガル語にしては、もうすっかり本国ポルトガルとは違う発音になってしまっているという驚きの事実をこの番組を通して知った。英語が世界各地に伝わったあとに、各地の英語の発音がめちゃくちゃ変化してしまったというのと似ているのかもしれない。

約1時間の番組については、内容が豊富なので飽きることは無いだろう。たまにゲストとしてスペイン語・ポルトガル語に関係するひとがこれからも登場することになるのだとおもうが、あまりスペイン語やポルトガル語に特化したポッドキャストの日本語放送がないだけ、これは価値のあるポッドキャストだと思う。


地球の裏側ニュース ~ラテンアメリカはじめました~
URL : http://www.voiceblog.jp/uraglobo/

食育の時間(Podcast)

普段なにげなく毎食のご飯については、調理師免許や栄養学を学んだことがあるひと以外については、特に気にせず、食いたいものを食ったり、あとはダイエットとして食べないということくらいしか、何を食べるかということについては考えていないのではないだろうか?

なんやかんやと賑わせていて、最近ではすっかり権威が落ちてしまっている服部幸應氏による日本の食に関する全般を、食文化や食事事情の面から説明しているのが、ポッドキャストの服部幸應の『食育の時間』である。

日本の食糧事情というのは普段の生活をしていると、実は全くわからない。スーパーにいけば、いろいろな食材が売られているし、スーパーじゃなくコンビにでも素材は買えるし、もっというと、素材だけじゃなく加工品についても金を出せば容易に手に入ることができるのが日本の一般的な事情だと思う。ただし、これは都会だけの事象というのではなく、ド田舎に行ったとしても、そんなに食料に困ることは、この日本にいる間ではないと思う。食糧事情にちょっとだけ気にするとすれば、スーパーに行ったときに売られている価格が、同一食材にも関わらず、あるときに行ったときと別の日に行ったときでは違うときに感じるだろう。前はもっと安かったと思ったのにーとか、今日は安いなーとか。それくらいだ。ただし、世界的な視野にたって食糧事情を覗いてみると、実はそうではなく、食うに困っている人たちがたくさん世の中には存在するということを知る。

また、たまに食中毒の報道があったりするのだが、それもニュースからの短い報道だけであり、その食中毒の原因になったものがどういう毒素を吐いたことにより人間に影響を及ぼしたとか、そういうのは実は知る由も無い。このポッドキャストには、食に関する「あれは何かなー」とか「これってどういうことかなー」という点を1回ずつ丁寧に教えてくれるところがいい。

それと、服部幸應も言っているのだが、学校給食が単なる昼ごはん提供の場になっていることの認識は間違っていると思ったほうが良い。モンスターペアレントがよく学校を相手に「うちの子は○○が食べられないのを無理やり食べさせた」というようなことを怒鳴りつけるのが居るというのをよく聞く。学校給食は「食を通じた教育」の一環であり、栄養的にも偏らず、集団でご飯を食べることで、心と胃を豊かにするというのが目的の授業の1つなのである。授業なのであるから、それに対して「子供に無理やり食べさせた」ということを文句言う親というのは、算数の授業のときに「うちの子は計算するのが遅いのに、むりやり計算させた」と怒鳴り込んでくるのと一緒である。給食を「母親が1回分楽して、学校に託して子供にご飯を食べさせる機会」だとおもっている親であればあるほど、食育に対する理解が全く無く、モンスターペアレントとして学校に殴りこみに来るのである。これは親が悪いし、親が食育というのがあるという事実を知っていない無知な馬鹿だということが原因だ。

栄養学からの見地からも、このポッドキャストでは、たまに食べ合わせのこととか、お酢の効能とか、料理好きなひとにとってのミニ知識としても役立つ情報も出てきたりする。たが、それは服部幸應の趣味の問題かもしれないが、この番組ではあまり料理好きのひとが聞くような番組には出来ていない。料理をもっと経済的なレベルに引き上げてみているところで説明をしているからである。

しかし、「あなた作るひと、僕食べる人」だと思っているひとも、この番組を聴いて、自分が普段食べている食生活について一回見直しをしてみるのも良いかもしれない。いま口に入れているものがどこからどう流通しているのか、食べているものが体にどのように影響してくるのか、などなどだ。

服部幸應の『食育の時間』
http://www.jfn.co.jp/shokuiku/

週刊日経トレンディ(Podcast)

雑誌「日経トレンディー」のは、毎週月曜日更新されている。雑誌を見ても十分楽しいと思うのだが、雑誌編集長自らが出演して、現在または近未来的にどういう商品が世の中にあふれてくるかというのを、雑誌を見ずしてもわかるように紹介している。雑誌を読む時間が無く、新製品だと映像があったほうが実はわかりやすいというところ、ポッドキャストなので音声しか伝わらないというデメリットはあるとせよ、登場する方たちの説明がわかりやすいので、脳みその片鱗にで考えたとしても想像しやすい内容になっている。ちょっと間違えると、ジャパネット・たかたの宣伝みたいになってしまうところが難点だが、それは「この商品は絶対買うものではない」というのを雑誌者としてはいえない立場だからだろう。

日経トレンディは雑誌を読んだ事があるひとならわかると思うが、毎回趣向や焦点を当てるポイントが多岐にわたっているので、全然飽きが来ない。しかし、雑誌は1ヶ月に1度しか出版されていないので、その間の情報補完としてはポッドキャストがあるのだろう。

番組の中では、編集部員のかたたちも登場する。たぶん担当しているジャンルによって、いま注目のものというのが違うんだろうけど、その都度、趣向を変えて紹介しているのもいい。各人は、本名で登場するのではなく「1号さん」「2号さん」とまるで編集長の使いっぱしりロボットのような呼び方になっており、「1号さん」が推薦や紹介するものだった場合には「1号's チェック!」というコーナーで紹介されることになる。これも事前に編集長にはチェックを受けている内容なのだろうと思うのだが、紹介されているその場で「へぇー、そうなの?」と編集長が述べていたりするのは、きっとサクラ的な役割なんだろうなと思っている。

番組の中で紹介されるジャンルに対して、全部が全部気になるというわけではないのだが、雑誌者の目線で、何を注目しているのか、そして各製品・サービスの比較をする際に、どういう点を基準にして互いに比較をしているのかというのは、その名のとおりトレンドを知る上ではなかなか有益なポッドキャストだと思う。もちろん、雑誌なんかでとりあげられるより先に情報を知っているひとたちも世の中にはたくさんいることだろうし、でもそれは、そのジャンルに精通しているひとが先に知っているだけであって、一般人にはまだ知られていないだけだから、日経トレンディとそのポッドキャストを通して、一般人にもわかるという意味では頼みになる。別に番組を聴いて、紹介されていりうサービスや物品をいち早く取り入れてみようという気は毛頭無い。

取り上げられるジャンルは、全ジャンル・全対象者に関するサービスとモノであるため、ある趣向のひとに特化したものではないため、聴いている人の中では「何だよ、今日はその内容かよ、つまんねーなー」というような話題の場合もある。継続的に聞いていれば、そのうち自分の趣向にあったないようのものが紹介されるときもあるので、そこはお気楽に聞いてもらったほうが良いだろう。所詮、25分から30分くらいの番組だし。


週刊日経トレンディ
http://trendy.nikkeibp.co.jp/podcast/

さくら通信(Podcast)

トリカゴ放送のヤマモトさんと、旅行作家のさくら剛さんの2人で行っている「さくら通信」は、毎回、朝の通勤時間に聞いていると、顔がにやけてきてしまって大変なことになる。寒い時期だとマスクをしているので、ニヤニヤしているのが他人にバレ難いと思っているのだが、夏は本当に困る。とはいえ、朝のボーっとしている段階でさくら通信を聞いていると、だんだんおかしさから眼が覚めてくるので、こんなにいい番組は無いと思っている。

ヤマモトさんが絡んでいる番組だから聴いてみようと思ったのが、さくら通信を聞くきっかけであるのは言うまでもないが、さくらさんとの番組なので、てっきり旅行関係の話になるのかと思っていたら、全然違った。旅行作家から見た、海外旅行に関する情報が出てくるのかと思っていたら、さくら剛さんが日頃から思っている鬱憤・疑問・問いあわせについて、ジャンルを問わず、1つのテーマに関して、毎回ヤマモトさんにぶちまけているという流れになっている。

自称「引きこもり作家」のさくら剛さんが、暴れん「棒」(「坊」ではない)のヤマモトさんとの会話って、成り立つんだろうか?とは少し気になっていたのだが、この両者正反対の性格の人が会話をすると、こんなに笑える内容になるんだというのがよくわかったし、この両端な2人で1つの雑談番組を作ってしまおうとする、またしても策士・ヤマモトさんの企画力には驚かされてしまった。

ヤマモトさんはトリカゴ放送での中でも、実はメインキャスターではあるのにも関わらず、ゲストで来る人が会話をしやすいように、終始聞き役としているのだが、これはさくら通信の中でも変わらない。さくらさんが思いのたけをぶちまけているのに対して、ヤマモトさんが「それはこうでしょう?」と反論したり、「まぁまぁそこまで言わなくても」と流れを作っている。

しかし、どちらの方の意見も、たぶん一般の人が思っている意見とはまるっきり違うんじゃないのかなという気がする。あまりにも二人は、静と動、ポジティブ・ネガティブの両極端の関係であるため、各々の意見が極端すぎる。これがまた聞いているひとにはおもしろさを倍増しているところだろう。そして、さくらさんのほうがたまにヤマモトさんが述べる意見に対して、「それはヤマモトさんだからでしょー」というツッコミを随時入れているところがこの番組の中でのクライマックスだと思う。一見すると、さくらさんがヤマモトさんの意見には全く同意できないというような結論に終わったかのように見せているこの演出が良い。あくまでも演者はさくらさんなのであって、ヤマモトさんがさくらさんの歪んだモノの見方を引き出しているという仕組みだ。どちらの意見に賛同するのかは聞いている人の主観によるところだとは思う。実際に、自分でもさくらさんの意見に同意するときもあれば、ヤマモトさんの考えのほうが絶対まともと感じるときもあるからだ。

さくら剛さんといえば、なんといっても中国のトイレの話が面白い。全然違う話題のときにもこのトイレの話が比喩で出てきたりするくらい、中国のニーハオトイレの嫌いな気持ちはよく伝わってくる。当人の著書「中国なんて二度と行くかボケ!」を読めば、そのイヤイヤ病の気持ちがよくわかる。

ヤマモトさんもヤマモトさんで、さくらさんが意見に対してぶちまけることを煽るようにしているところも随所楽しいのだが、おそらく番組始まる前に、大方のストーリは二人の中では事前に作っていて、それに基づいて実演をしているようには思うのだが、たまに話の順番がめちゃくちゃぶっとぶ時があり、このときに予定通りの進行にならないことに対して、さくらさんがまたぶちきれるという場面も出くわす。これ、絶対わざとヤマモトさんが煽ったでしょうー?と傍にいたら絶対突っ込みしたくなるような構成に成っているときもあるので、その場面を見つけるというのも、リスナーとして聞きどころの1つだと思う。

さくら通信~ひきこもり旅作家・さくら剛の泣き声ネットラジオ~
URL : http://sakuratsushin.com/

猫に情報文化論(Podcast)

「猫に精神分析入門」を作っていらっしゃる、沖縄在住のIT関連のエキスパート・沖田さんがやっている番組「猫に情報文化論」は、ITやインターネットが社会をどのように代えていくか、どのように影響を与えていくかというのを、あらゆる面から紹介している番組で、実は雑誌なんかで小難しく書かれている内容よりは、とても解りやすく、IT事業に従事していない人でも、なんとなく言っていることは肌で感じる!ということができる番組だと言えよう。

通称「ねこじょ」と番組の中では言われているが、沖田さんとなぞの女性ピスタチオさんとの2人トークによる番組は、前に記載した「猫に精神分析入門」というのと変わらない。「猫に精神分析入門」のほうでは、フロイトが記載した内容をわかりやすい内容に砕いて、沖田さんが説明し、それに対して、ピスタチオさんが聞き入るという方式になっているのだが、それと比較すると、「猫に情報文化論」でのピスタチオさんのテンションの高さと発言の多さには大きな違いがある。というか、元気が良い。2つの番組を比較するとその違いには笑ってしまうくらいだ。沖田さんはどちらの番組でも進行と説明をされている立場なので、あまり変わってない。もちろん、精神分析入門のほうは、小難しい内容を変換してしゃべっているという点ではあまりしゃべりに自由度が無いと思うのだが、猫に情報文化論は、現にお二人が従事している仕事と直結、または生活スタイルに見える形でこれから出てきそうなものを自由に話しているという点では、フランクさが豊富だと思う。

実際に「ねこじょ」のなかで紹介される事項というのは、「これって、こうなったら楽しいよねー」とか「ちょっと前までは誰もが思っても見なかったものだったのに、今ではその辺のおばさんでも使っていたりするでしょう?」というように、ITと自分たちの生活スタイルとの関係性について、未来型・および回顧型の両面から斬っているところには、頭の整理になるし、情報整理という点ではすごい重宝をしている。

個人的にはこの番組の中で「ねこじょ・雑」となっている、特定のテーマに沿って話が展開していくというのではなく、テーマ無しで雑談形式であれやこれやと、いろいろな話が出てくる回のほうが好きだ。もちろん1つのITのテーマに沿って深く掘っていくほうは教養と知識を豊かにするという意味では有効だが、雑のほうは広範囲に過去・現状・未来の情報と生活スタイルがどう変わり、変わっていこうとするのかというのを気楽な気持ちで聞けるところが楽しくなる。特に、眠い電車の中では、朝の心地よいトークを聞いているようだし、あまり頭を使わなくても聞けるのは良い。経済番組を聴いていると、情報整理を眠い頭で整理をしながら聞いているのは、朝から鞭でシバかれながら奉仕作業を無理やりされているような感じになるので苦痛に繋がってしまうが、この番組はそんなことは全く無い。

でも、やっぱり気になるのは番組最後の沖田さんが作った曲が流れること。以前、猫に精神分析入門の論評を書いたときにも触れたのだが、これ、場合によっては4分くらい聴かされることがある。正直、最近番組のエンディングに入った途端、別の番組に切り替えるか、次の回に飛ばすようにしている。あれ、なんとかならないのかなー。イヤ、下手っていうのじゃないんですよー。でも、番組の途中で聴かされるよりは良いか。

猫に情報文化論
URL : http://okitachio.sakura.ne.jp/nekojo/

世界直送インタビュー(Podcast)

世界一周たびたびニュースを主催しているやすやすさん大阪のふみえさんと埼玉にいらっしゃるながしましんさんの3人でやっているポッドキャスト「世界直送インタビュー~なるほど海外暮らし旅~」は、あまり他のポッドキャストでは見られない海外情報をお届けしている番組である。実際にその土地に住んでいる人を数週間にわたってインタビューをし、現地の情報や現地に渡ってみて感じたこと、なぜそこの土地を選んで生活をするようになったのか等々、その土地に関する環境・観光情報のほかに、インタビューされる人の懐まで入って生活体験を聞いてしまおうというものである。ここで、ほかのポッドキャストでは見られない方式と記載したのは、次の理由からである。

1つは、現地に暮らす日本人とのインタビュー形式が数週間に渡って継続して行われていること。ほかの番組では、その土地に住んでいる人が定期的に出演するという形式はあるとおもうのだが、まとめて集中して登場するということはあまり見られない。編集の問題かなということも考えられるが、聞いている側からすると、神経分散型のように毎回違うところを紹介されるよりは、集中して話題が聞けるということはありがたい。

もう1つは、野次馬根性のように「なんで、そこに住むことになった?」という点を鋭く梨本勝バリにジャンジャンインタビューされる人にツッコんでいることであろう。たぶん、聞いている人たちにとっては、この人がなぜそこに住むようになったのかという経緯というのは、実は一番知りたいところだと思う。特に海外に移住してみたい人にとっては、移住先の選択として決定弾がほしいと思うはずなのだ。単に現地の情報だけならば、いまならガイドブックも豊富にあるし、ウェブサイトも豊富にあるのでそれを見ればいい。生の声、それも現在の姿というよりもそこに落ち着いたという、ある種、その人にとってのちょっとアンタッチャブルな部分にまでメスを入れているところが良い。ツッコミとしては、ここはふみえさんによるところが一番強いと思うのだが、よく「そこそこ!そこが聞きたかったのだよ!」と番組内容を聞いているときに思うことがあるが、一般リスナーを代表してインタビューしてくれているところに関心がある。

番組に出演している各国から登場するかたたちのバックグランドがとても豊かなのには驚きを隠せない。仕事で滞在しているひと、勉学のために滞在している人、放浪の末にたどり着いた人などなど、なぜ?という疑問には、各種各様の答えがあるもんだということがわかった。

観光旅行をするのとは違い、異国で生活をするという意味では、制約やら暗黙の常識やら日本ではわからないことがたくさん出てくる。バックパッカーとして長期滞在しているのも生活と言われればそうかもしれないが、税金をその土地に消費税以外のものを払っていないという点では生活をしているとは言えない。生活基盤ではないのである。生活基盤を海外拠点にしている人は、ビザや医療や法務や財務に関する「知らなければならない事項」というのは、渡航前におそらくすごく調査されていることだとは思うのだが、やっぱり現地に行ってないとわからないという点もたくさんあると思う。そういうブラックボックス的な要素で隠れている事象を、この番組ではどんどんほじくり開けてしまって、生活のしやすさ・不便さというのを聞けてしまうという点では面白い。

まだ実際に「こんなところに住むのはやめたほうがいいですよー」というような答えが返ってくるようなゲストは登場していないのだが、そのうち出てきてもおかしくない。否定的な回答が出てくるというのも、その人が感じた生の声だとは思う。それを知らないで行くのと、知っているうえで敢えて行ってみるというのでは大違いだろうとは思うのだ。

また、現地の情報というのは、人間が生活しているのであれば、刻々と変化するのは当たり前である。昨日までOKだったものが明日になったら逮捕対象になってしまうこともあり得るのだ。だから、時間が経過したあとに出版される書物では知り得ることができない情報を、声という多量伝達媒体を使って聞けるというのはありがたい。個人のウェブサイトに載っているものも、記載した当時は最先端だったのかもしれないが、時間が経過したら情報の陳腐化がされるのは当たり前だし、google 先生による検索で引っかかってしまえば、検索者からみると、最新なのか古い情報なのかわかったものではないのである。「いま」を知り得るという意味ではおもしろい番組なのではないだろうか。

メインパーソナリティの3人のかたは、どの方も豊富な海外旅行の経験者なので、ゲストとして登場する方たちが住んでいる場所に関する情報は多少なりともご存じであるというのがまた良い。全くの無知の状態でインタビューするのと、観光旅行者で見た目線ではこうだったが、居住者から見た目線ではどうですか?という聞き方をするのとでは、内容に大きく違いが出てくる。No Info で聞いた場合には、ガイドブックを見たら載ってるという情報になるだけがオチで面白みがない。

今後も各国いろいろなところに住んでいる人が登場することだろうとは思うが、えー?そんなところから?というびっくり仰天するようなところにお住いの方が登場しないかなー?と少し期待している。

世界直送インタビュー~なるほど海外暮らし旅~
URL : http://tabitabi-podcast.com/sekaichokusou/

ヴォイニッチの科学書(Podcast)

ポッドキャストのヴォイニッチの科学書は、難しいなと思うような科学分野を解説してくれる科学バラエティ番組である。毎週更新されているし、1回あたりの内容の時間が8分以内という短いものであるので、「科学と聞いたら、俺、文系だから、だんだん嫌気がさしてくる」という人でも、さすがに8分くらいだったら聞いていられる範囲だと思う。内容としては、科学全般なので、化学・宇宙・医療・生物などなど特定の分野ばかりを取り上げているということは無い。毎回、その幅広い分野のなかから1個だけ話題を取り上げて、その内容を説明するというスタイルである。

このときに説明をするのが科学技術コミュニケーターの「オビオ」こと中西貴之さんとアシスタントBJさん。BJさんってどこを見ても名前が載っていないので、結局誰なんだろう?といまだにわからないのが悔しい。さて、ここでメインで説明するのはオビオさんなのだが、この人がとうとうと解説をしていく内容に対して、「これって、こういうものだよね?」と素人目線で相打ちを入れてくれるのがBJさん。だから、2人の言葉の掛け合いで説明内容についてを解説されるというものである。

取り上げられる内容は幅広いのだが、これがまた奥が深いものばかり。薄っぺらな、ちょっと物知りなひとなら知っている内容をしゃべっているというものではない。最先端科学をここでは取り上げられているから、昔研究した内容を発表しているというのではないことだけが注意だ。やっぱり最先端の内容が聞けるというのはワクワクする。そして、それを説明しているオビオさんはすげえ学者さんなのかなーとおもったら、実は専門は有機化学の専門家。だけど、個人的には結構宇宙と医療のことについて取り上げていることが多いんじゃないのかな?という感じがするので、そういう意味ではぜんぜん専門的分野じゃない。しかしながら、オビオさんから語られる内容を聞いているうちに、自然としゃべっている内容が「解った気になる」というところが不思議だ。聞き終わったあと、いったい内容はなんだったのかと自問すると、正直、全然頭に残っていない。たぶん、興味が無い範囲だったからかもしれない。が、聞いている間は、「それで?それで?」とのめり込むような感覚に陥る。あのしゃべり方は洗脳なのか?いや、たぶん途中でBJさんが入れる相打ちによって、自分と同じ目線でわかり難いようなところを補ってくれているのが、ハッと内容に関して意識を戻してくれているのだと錯覚しているだけだと思う。

別のポッドキャストの番組「中学生さくらのインターネットらじお『さくらじお』」との共同公開収録が行われたときに出てきた質問の中で「どうして、そんなに詳しいんですか?」ということを、さくらじおのメインパーソナリティの「さくらちゃん」がオビオさんに聞いていた。その回答として「NewtonやNatureのような雑誌をよく読んでいるから」というものだった。なるほど。これらの雑誌なら最先端科学のことはよく掲載されている。しかし、基礎知識がないと書かれている内容については理解できないと思われるのだが、それについては「ネットで補完して調べている」とのこと。要は、オビオさんの興味はとても広く、自分の専門外のところについても「知りたがり」のひとなのであり、人に説明できるくらいの内容は理解されているという方のようである。

定期的に講演会も開いているようなので、生のオビオさんとBJさんをご覧になりたいひとはそちらまで。あと、オビオさんは結構執筆もされているようなので、どういう内容のことを記載しているのか興味があるかたは、著書をお読みになるのも良いだろう。

いずれにしろ、科学の世界というのは常に進歩しており、常に新しい発見が発表されている分野だ。だから、なかなか一般庶民にまで内容が伝わらなかったりすることもあるのだろうが、こういうポッドキャストを通して、最先端科学がどういう傾向になっているのかと素人でも知ることができるというのはありがたい。結構聞いていると「えーっ?そうなの?」というような内容が放映されてたりする。

ちなみにポッドキャストの題名になっている「ヴォイニッチの科学書」のヴォイニッチとは、イタリアで発見された何語で書かれているのかも解らず、何が書かれているのかもわからないが、挿絵がすごい見事なことと、暗号っぽい内容が230頁も書かれており、いまだにその内容が解明されていないという「ヴォイニッチ手稿」からの引用であるのだろう、と勝手に解釈。

ヴォイニッチの科学書
URL : http://obio.c-studio.net/science/
Twitter : @bot_obio
@cradiobio