2008/09/20
秩父鉄道のSLに乗る(2)
車輌の中は冷房が効いていたので窓を開けることはなかったが、どこかの人が窓を開けて、先頭の機関車からでる煙を見ようとしていたのだろう、その煙がたまに車輌の中に入ってきて気分が良くなる。あの炭素が燃える匂いは結構好きだ。しかし匂いはしてもその煙は想像するような真っ黒な煙が出ているわけではなく、近隣住民の迷惑にならないような煙、つまり一酸化炭素状態でもなければ過酸化状態でもない、透明な煙が出ていた。昔の小説のように、窓をあけると、黒い煙で顔が煤けるというようなのが体験できるかと思ったが、そんなことはないみたいだ。よくかんがえたら、トンネルに入ればありうるが、普通のところを走っている機関車で真っ黒になるわけがない。
車内はというと、ホームで騒いでいたがきんちょたちが、さらなるテンションを揚げて騒ぎまくっている。親が注意しても無駄で、さらに騒がしさの勢いは増す。追いうち掛けて、車内では車内販売が来るのだが、通常の弁当・飲み物のほかに、子供用の記念玩具も売られているから「あれ買ってくれ」と騒ぐ子もいれば、手に入れた子は玩具のうちの1つである笛をぴーぴー吹きまくっているのである。火に油とはこのことかという状況である。のんびり車窓でも眺めていようかと思うのだが、そんな気分にもならない。車窓も車窓で、もっと景色がいいものかと思っていたら、これがまたつまんない景色で、もっと森林地帯を走っているような風景とか、または民家のところを走っているというのであれば厭きはこないが、中途半端な農村地帯を走っていたために、あくびがでてくるくらいのつまらなさである。たまに沿線でSLを撮影している人が現れて、三脚にすごいカメラを用意しているのが窓越しに見えるくらいである。あとは沿線のひとがSLに向かって手を振っているという景色がみるだけだ。景観があまりよくないので、最初は往復でのろうかと思ったSLではあるが、片道しか乗らないことに決定したのはこのときである。
騒々しい車内も、途中駅「長瀞」に到着すると、客の2/3が降りた。その代わりに今度は長瀞駅から、今下りた客と同じくらいの数の人が乗り込んできた。結局車内はまた満員状態である。長瀞駅に着く前に、いくつかの駅も到着しているのだが、そこから乗ってくる人はしばらく立っていなければならないので、できれば始発駅からのるべきだろう。一番分かりやすいのは、東武線とJR線との交差する寄居駅だろう。ここの到着した段階で既に満員の車内なので、寄居から乗ったほうが便利という人にとっては、乗り込んだ車内で幻滅することになる。
当初の計画では、長瀞駅で降りて川くだりをして、それから今度は秩父鉄道の終点である三峰口まで行き、復路のSLに乗ろうとしたのだが、長瀞で降りる人の数を見て、きっと川くだりでもたくさん待たねばならないのを考えると、それだけで嫌になった。おまけにSLからの車窓が良くないので、同じところをまた乗るとするとつまらないと思ったからである。そこでいま乗っているSLで終点まで行き、それで引き返そうと思ったのだ。
終点の三峰口に到着したとき、熊谷駅で見た光景と同じような光景がプラットフォーム上で見ることが出来た。つまり、機関車の写真を撮ろうとしているひとたちが集まっているのである。しかし、機関車はそんな写真を撮ろうとしている人たちには目もくれず、客車と離され、石炭の積み足し清掃のために機関車は無像にも自分たちのところから離れていった。カメラを持っている人たちは溜息がでるだけだったのだが、遠くで機関車が止まった。どうやらそこで機関車の清掃が行われるようで、機関車を間近に見られるというものであった。
三峰口では一旦改札口を出て、機関車のところに大変たくさんの人達が行く。三峰口の駅前は、山岳登山をする人用にとっては普通の駅の感じだろうが、とても寂しい気がした。駅前にはバス停と2軒の店があるだけだ。あとは何もない。SLから降りてきた客が一服できるように、お茶のサービスも用意されていたのだが、そういえば、ここまできた乗客は一体この後何をするのだろうか?たぶん多くは、またSLにのろうとするのだろうが、それ以外のひとは何をするのか不明。三峰神社までバスにのってお参りしようという人は居なかった。
さて、長瀞に向かう際には、普通電車で移動する。SLが超遅い運行だったのに比べると、なんとこの普通電車が速く感じるのだろうか。あっというまに長瀞についてしまったのだ。
長瀞駅を降りた途端に、すごい人の数が駅を中心にうようよと漂っている。多くは川くだりをしようとしているひとか、またはしおわったひとだろうとおもうのだが、それにしてもこんなド田舎のところに、原宿顔向けの客数が来ているのは驚きだ。川くだりも最初は1時間コースを堪能したかったのだが、駅前にいた申込書臨時所で聞いてみたところ、1時間コースはかなりたくさんの客がいるために、乗るまでに時間がかかり今日はもう受付しないということ。なんだとー!それじゃ、30分コースしかないではないかとおもうのだが、長瀞駅を中心に、その上流から始まる場合と、長瀞駅から始まる場合の2種類がある。どちらが楽しそうかがわからないので、おもわず、長瀞駅から始まるコースを選んでしまった。あとで考えると、上流のほうが激流がありそうなきがした。
有名な川くだりの乗り場までは、お茶屋さんや食べもの屋さんが並ぶ、ちょっとした商店街になっている。ここでのんびりするのも良い。川くだりを終えた客がたくさん昼ご飯や休憩をしているのを見ることができた。そんな店には目もくれず、じゃんじゃん川のほうに降りていくと、砂利ではないが大きな石が並ぶ川原に出る。そこから川くだりの船がでているのだ。
川くだりの船は1艘で20人分を乗せて出発する。子供の場合はだいたい0.7人分のスペースとして考えるようで、場合によっては人間の数で22人とかになっている場合もあるようだ。この場合、一番最後に乗り込むことができたらラッキーだと思う。というのも、一番最後に乗り込むところが先頭になるので、前に人がいないから前が見やすい。座るのは、船の縁を背中にして乗るかたちになるため、前を向こうとすると、どうしても横向きになる。だから、隣に人が居ると、よく前が見えないということになるのだ。
数箇所、急流が早いところがあるのだが、激流というわけではなんともない。はっきりいって拍子抜けする。しかし、ここはいちおうラフティングが出来る場所でもあるようなので、本当はもっと急流なところもあるのかもしれない。
川くだりもSLも「言うほどじゃないな」という感想を残し、帰りは西武池袋線経由の直通電車に乗って東京へ戻る。
秩父鉄道
http://www.chichibu-railway.co.jp/
秩父鉄道のSLに乗る(1)
なんとなくSLに乗りたくて、パラパラと関係する本を見ていたら、なんと秩父鉄道にもSLが走っていることを発見。てっきり大井川や山口のほうまで行かねばならないのかとおもっていたところ、もっと身近にSLが走っているとは、これまた盲点だった。1日に1往復だけ、秩父鉄道にもちゃんとSLが走っているのだ。ただし、夏の期間だけ、それも週末だけ走らせてくれる。
そういえば、秩父鉄道と考えただけで、西武線の向こう側にある山奥を走っている鉄道というイメージがどうしてもある。都内から近いといえども、なんとなく遠いところだなと思っていると、秩父鉄道はJRとは、ど田舎の寄居は知っていても、熊谷まで延びているとは知らなかった。ずいぶん横長の路線だったことが改めて発見。それに西武線と繋がっているところの駅が秩父鉄道の始発だと思っていたのだが、これも大きな間違いだったことに気付く。もっと山奥につづく線が実はあったようだ。
SLに乗るといっても、往路だけまたは復路だけ、または往復乗るかでとても迷う。また、路線上には、川くだりで有名な「長瀞」もあるので、これも定番の観光として行ってみたい。しかし、時間を考えると全部を行くのは無理そうだということがわかる。そこで早起きをしててでも、熊谷発のSLに乗り、秩父方面に向かうのを体験し、終点まで行ったら、普通電車で長瀞まで行き、そこで川くだりをして、熊谷までいくか秩父までいくかは川くだりを終えた段階で決めることにした。
横浜方面に住んでいる友達と合流するために、湘南新宿ラインで熊谷方面まで1本でいける電車で合流する。それにしても、湘南地区と高崎エリアが1つの電車でいけるなんて言うのは、なんだか可笑しい気がする。
熊谷から出発するSLは朝の10時10分発で、ギリギリに行ってもきっとたくさんの人がいるだろうから、もう少し前に到着しようと思い、9時40分頃に到着する電車で熊谷に到着。もっと前にSLにのることを決めていたのであれば、指定席を購入することも出来る。ところが指定席を購入するには3日前までに予約を入れなければならない。不思議なことに、予約は秩父鉄道の電車なのに、JRのみどりの窓口でしか行わないというから、これも妙である。じゃ、当日の場合はどうするかというと、盆暮れの新幹線のように自由席の取り合いになるわけだ。秩父鉄道を1日乗り放題券というのが1400円で売られているので、それを熊谷駅で購入。SLに乗るためにはさらに1回につき500円払わないといけない。このSL乗車料は、改札口を入ってすぐのところの臨時窓口でしか購入できない。なんで一緒に買えないのだろうと納得が行かないが、そういうシステムなのだから従おう。
ホームに下りてみて驚いた。まずは、チビッ子の多さだ。やっぱり普段乗れない列車に乗るからと、気分が高揚しているのだろう。もうぎゃーぎゃー騒いでうるさい。こいつらと一緒に乗るのかと思うだけでゲンナリだが、その前に席をゲットできるのかどうかが問題である。幸いにも乗り口の前に長い列が作りにくい場所を発見したので、そこの乗り場あたりで待つ。前には8人の2家族の組が待っているだけだから、まぁなんとか席はゲットできるだろう。しかし、秩父鉄道のどちらの車窓が綺麗なのかは全然チェックしてこなかったので、適当に座る。入り口付近は混むだろうから、車輌の真ん中辺りまで移動する。これはこれで成功だった。
機関車と客車がホームに入ってきたとたん、カメラを持った人達が、いっせいに機関車のとまっているところで記念写真や機関車自体の写真をとっている。電車オタクもいれば、単なる家族連れの記念写真として撮っているのもいる。電車オタク風のひとのなかでは、機関士に質問をしたり、車輪や水蒸気を出すところのマニアックな場所を写真としてとっているひともいる。出発10分前にホームに入ってきたので、10分間の間の光景ではあるのだが、もうデパートの催しもの会みたいな状態で、それを観ただけで疲れた。
萬年屋(草津)
お食事処 萬年屋
草津町大字草津386番地
電話 0279-88-4649
ぬ志勇旅館
バスターミナルからは近いように書いているのだが、ぬ志勇旅館の公式サイトでは、湯畑の近くと書いているので、湯畑の方向に行けばいいのだろうと思っていたため、バスターミナルから湯畑方向の坂道を下りて行ったのはいいが、それらしいものがない。目線を上のほうにむけると、高台の上にお目当ての旅館があるのを発見。湯畑の傍じゃないジャン!!!とそのときに憤慨するが、なんとぬ志勇旅館は、高台の崖に沿って立っているために、入り口が2箇所にある。最初はわからず高台に旅館を発見したため高台の入り口を使って入館したが、そこにフロントがないのに気付いて「あれ?」とおもう。正式の入り口は、公式サイトに書いている通りに、湯畑から本当に近いところにあったのだ。建物の構造を言葉で説明するのはとても難しいのだが、旅館の中では本館と別館と建物を分けているようなのだが、そこは滞在者にとっては全然分からないようになっている。一番高いところにある部屋と正式の入り口がある1階との間には、普通の建物の5階分くらいの高さがあるのだ。でも、5階もあるからといって、ホテルのように部屋数がたくさんあるわけでもない。部屋数はたった13室しかないから驚きだ。自分たちは入り口から本当に一番遠いところ、つまりもうひとつの入り口にはとても近いところの部屋をあてがわれた。ウェブサイトにも「体力があるかたは、一番いい眺めの部屋をご利用ください」と書いてあった。この文句を見たときに、なんじゃこれ?とおもったのは当然だろうが、泊まってみてそれは納得である。というのも、5階分も離れたところへの移動は、すべて階段を使わねば成らず、エレベータなどの現代的なものは全くなし。だから、宛がわれた部屋にはあまり年配の客は泊めないのだそうだ。だが、この部屋にはメリットがある。それは部屋から湯畑が見えることと、部屋にトイレとお風呂がついているところだろう。あと2部屋分が1室になっているために、数人で泊まった場合でも便利だと思った。
ご飯を食べるのは1階にある大部屋で全員が一緒になって食べることになる。部屋出しはない。しかし、ご飯はこれまた大満足だった。3泊泊まったのだが、毎日の朝晩は毎回違う料理を提供するところも手が込んでいる。たぶん、1日目はこの料理でと、数日間泊まる客用で何を提供するのかはあらかじめ決めているのだろうと思う。毎晩隣の膳をみると、客が異なるために同じ膳を提供しているみたいだし、女中さんも言わなくてもいいのに「2泊目だからね、今日は○○ですよぉ~」と紹介してくれるからである。貧相なご飯だったら、そう言われるとウザイなとおもうけど、別に貧相でもないために、他の人から見ると連泊なんだ、あのひと・・・と言われているみたいで、ちょっと楽しい。
1日目の晩
2日目の朝
2日目の晩
3日目の朝
3日目の晩
4日目の朝
旅館の中には温泉場が2箇所ある。1つは室内のお風呂、もう1つは露天風呂である。内風呂のほうは、湯元に近いために、浴槽が2つもあるくせに、1つには「絶対に入らないでください。火傷します」と書いてある。確かに触ってみると、こりゃ死んでしまうかもしれないとおもわれるくらいの熱さだからびっくりだ。たぶん55度くらいはあると思う。お湯が溢れてもう1つの浴槽のほうに溜まるときに、自然に温度が下がるような原始的な仕組みになっている。決して水増ししているわけではない。そして、露天風呂のほうは、湯畑が見えるようなつくりになっている。夜に入ると、湯畑を照らしているライトアップが綺麗なので、個人的には好きだ。きっと冬に入ると、外気の寒さが湯の熱さとあいまってとても気持ちがいいだろうと思った。
旅館内は最近新しく改装したようなので、どこかのウェブサイトに書いているようにボロいということは全くなかった。旅館の従業員のひとたちもとてもフレンドリーだし、無駄に客に入り込むようなことはしないし、客と従業員とのちょうどいい間を感じることができたので、好印象だったのだろう。
ぬ志勇旅館
http://nushiyu.kusatsu.org/
群馬県吾妻郡草津町大字草津446
TEL 0279-88-2477