2013/09/01

陽明春天(台北)

川湯温泉に行ったときに堪能したベジタリアン料理(素食)が忘れられなくて、台北最後の晩は1人で過ごすことになっていたが、ここは意を決して1人でベジタリアン料理屋に行ってみることにした。だいたい中国語もそんなにできるほうではないので、料理の名前を見ても全くわかんないのは当然だが、それでもチャレンジするような意味で行くのもいいかなと思っていた。でも、実は、寸前までは、お気に入りのひとつの店である「極品軒」に行こうと思っていたのだが、全く趣向が違うところに行くのも、今回の旅行のテーマのひとつである「やったことがないことをする」に合致するかなと思ったので行くことにした。

今回選んだ店は「陽明春天」というところ。いくつかの最近創刊されたようなガイドには載るようになった店で探したのだが、店の雰囲気と料理の繊細さは定評があるということが書かれていたので行ってみた。店は陽明山に本店があるのだが、忠孝復興駅から忠孝東路沿いを忠孝敦化駅方面に歩いていくと、ちょっとしたシャレたビルが建っているところに出くわす。その建物の10階にある「忠孝店」に行ってみた。お店が入っている建物はほとんど食べものやばっかり。特に若い人がワイワイ騒げるような店が多く入っているので、落ち着いた雰囲気の店とはなんとなく違うのか?とガッカリするかもしれないが、それは下の階にある喧しい店たちのこと。日本でもしゃぶしゃぶの店として店舗拡大している「モーモーパラダイス」なんかも実はここの建物に入っている。
透明のエレベータに乗って10階まで行くと、落ち着いた雰囲気のレストランが現れる。しかしメニュをみてビックリした。なんとアラカルトは存在せず、1人680元または880元のセットメニュしかないのである。どちらのコースも、サラダ、前菜、メイン、スープ、付け合せ、飲み物、デザートの各ジャンルから、指定されている選択権のなかで1つを選ぶ形式になっている。これは季節によってメニュが異なるので、訪問するたびに異なるので、その場にみて考えるしかない。または事前に店のサイトにアクセスして、どういうものがいまは旬のメニュとして提供されてるのかというのを知った上で行くというのが良いだろう。選択肢の中で選ぶに値しないようなものしかなかった場合には、現地に行ってガッカリするよりは事前に知っていたほうが安心するとおもう。

この時に食べたメニュは以下の通り。

・繽紛田園四季沙拉
・朴葉焼
・豆腐咖哩鍋
・有機花草醋
・北茄燉津白
・鮮果汁
・五目御飯
・羊羹
 
 
 
 
 
 
他の席にはどういう人たちが来ているんだろうか?と思って様子をみていたら、ちょっとした正式の会食の場に使われてたり、金を持っているが、どうみてもデブでベジタリアン料理なんか食べても意味が無いだろうというような人なんかも来ていた。カップルなんかだと、シャレた店だから、ちょっと背伸びしてみようかなというようなデートコースに使っているようだ。だから、その中で1人でポカーンとしていると、こいつは一体何しに来たんだろう?というような怪しい顔をされるのは当然だ。だが、幸いなのか、隣りのテーブルに座っていた人も、1人でこの店にやってきたような人で、似たように料理の写真は撮るわ、終始落ち着かない様子でスマホをいじっているようなことをしていた。

料理全体は本当に美味しくて、見た目は肉料理のようにも見えるものだったりするのだが、全然肉食料理では全くないのは当然のこと、すべての料理が日本人のような繊細な舌に合うようなものばっかりだったので、煙草で舌が麻痺しているような人だったら、全く味の違いがわからないだろうが、大抵の日本人だったらこの美味しさはすごく堪能できることだろうと思う。1つ1つの説明はあえてやらないようにしようとおもう。毎季節ごとに違う料理が出ているため、同じ料理が出てくるとは限らないから、参考にならないだろうから。

蔬食創意料理 陽明春天 忠孝店
URL : http://www.ymspring.com.tw/
住所:台北市忠孝東路四段98號10樓   
電話:(02)8772-1829   
FAX:(02)8772-4703

故宮博物院2013年(台北)

朝から台風の影響で土砂降りになっていた帰国日の前日は、久しぶりに故宮博物院にでも行こうと思っていた。故宮に行くのはもうだいぶ前に行ったきり、ご無沙汰になっていたので、また新しい展示物でも展示しているだろうと思っていたことと、これだけ大雨になっているときであれば、外を歩いているのも嫌なので、屋根のあるところで1日過ごすのもいいだろうと思っていたからである。ところが、実際に故宮博物院に行ってみると、同じようなことを考えている観光客が想像以上に多くいたために、邪魔!と思うくらい邪魔なひとたちで館内はごった返していた。これまで故宮博物院には何度か来た事があるが、ここまで激混みの状態には出くわしたことが無かったので、到着した途端にもう帰りたいと正直思った。

今回の訪問時には、清の三大皇帝のうち、雍正帝の時代のことを特集していた。たまたま、以前、乾隆帝と康煕帝の時代の特集をしていたときにも故宮博物院に行っていたので、偶然にも三皇帝をすべて見ることが出来たということになる。もちろん特集として組まれているということは、お土産のところに雍正帝の特集を組んだ展示物カタログがあったりする。しかし、ここで売られている本は本当に価値あるものではあるが、めちゃくちゃ重いので、持って帰るのが嫌になる。台北に住んでいるんだったら欲しい本がめちゃくちゃたくさんあるのだが、今回もやっぱり持って帰るのは辞めた。

雍正帝の特集のほか、今回は石に関する特集も組まれていた。石といっても、その変に転がっている石というわけじゃなく、いわゆる宝石に該当するものの事を指す。翡翠や瑪瑙などもこれに含まれる。中華の世界では石は身につけておいたり、飾っておくだけでも、守ってくれたり、金がたまるというようなことを言われているので、かなり身近にあるものだ。でも個人的にはどうでもいい分野なので、今回の特集に対してはそれほど興味がわかなかった。その代わりに、書の特集のほうは、だいぶ興味を持って眺めることにした。

毎回思うのは、故宮で鑑賞をする際にはある程度、中華の文化と歴史について知っていないと、なんにも面白くも無いと思うことだろう。単なる塊が展示されているようにもみえるし、似たようなものが陳列していると、途中で厭きてくることになるだろう。しかし、展示している側からすると、似たようなものでも、それぞれは全然違うものであり、価値あるものだから見せているようなものなので、その歴史的価値に付いては、あとでもいいので書籍で確認して欲しいところだ。ただ、故宮の場合には展示する際にはできればイヤホンガイドを借りて欲しいと思う。そのほうが解説がよくわかるからである。だからなんの知識も無くここで時間を潰すような感覚になるのであれば、巨大な博物館が苦痛でしかなくなる。

昼ごはんの時間帯になったので、4階にある食堂の「三希堂」に行ってみた。お昼の時間帯ではあったのだが、幸いにも団体客がゴッソリ抜けたあとだったみたいだったので、1人で行ったのにもかかわらず、さっさと席に就くことができたのは嬉しい。今回はここではベジタリアンメニュと阿里山蜜茶を頼んでみた。全部で460元。

 
 
 
 帰りはいつものとおりスで帰ろうと思って、外に出てみたのだが、あまりにも大雨だったし、なんといっても建物からバス停までの間がめちゃくちゃ離れているので、歩いているときにも傘を差しているのに、ほとんど傘を差していないのと同じようなくらい濡れた。幸いにもすぐにバスが来たのでラッキーだった。

また、今回は故宮博物院で前に買おうと思っていたのに買いそびれていた「これだけ観ろ100選」というのと「故宮の展示物をいかに奪ってきたか」という本を買ってみた。どちらも読み応えがある本である。正確の書籍名は以下の通りである。

・故宮100選 皇帝の至宝
・新訂 故宮博物院物語
 

杭州小籠湯包(台北)

台北在住の人と夕御飯は一緒に食べることになって、普段はあまり行ったことがないような場所でご飯を食べようかと思って、金魚の糞のように付いていった。中正記念堂と新しくできたMRT駅である東門駅の間くらいにある小籠包の店に行ってみた。

店の名前は「杭州小籠湯包」という店。小籠包と言ったら、鼎泰豊が有名なのだが、それでも他にも実は結構小籠包の店はあり、この店はリーズナブルな値段で、そこそこ本格的な味が楽しめるというところだ。だから、昼になると、地元のサラリーマンがこぞってここで食事を取るというひとがかなり多いらしく、その昼食時間帯になると長蛇の列になるらしい。なにしろ、値段が激安だし、それにおなかがめちゃくちゃ一杯になるという、台湾にとっては願ったり敵ったりというところだから、人気なんだろうというのは理解できる。
ここで食べたのは以下の通り。

・小籠湯包:110元
・元蟲鶏湯:100元
・蟹黄湯包:180元
・角瓜蝦仁湯包:200元

 
どれもこれもぺろっと食べてしまうものばかりだった。注文は、鼎泰豊のように、テーブルに掲げられているメニュに、自分で鉛筆で食べたいところにチェックを入れて、店の人にもっていけばいいだけ。あとは勝手に料理が出来た順番にテーブルに持ってきてくれる。お茶や生姜やソースのようなものは、自分で店の真ん中あたりにあるところから持ってくることになる。

杭州小籠湯包
住所:台北市中山區杭州南路二段17號
電話:02-2393-1757
営業時間:11:00-23:00
定休日 :無休

内湾老街の風景(台湾)

山奥の客家の村である内湾にまで来てみた。内湾のほうがなぜか北埔より人がたくさん来ていることにビックリした。なんでこんなド田舎村に遊びに来ているんだろうというのが正直不思議に思った。だいたいこの人たちは一体どこから現れてきたひとたちで、どこの出身の人たちなんだろうか?それだけ人がたくさんいるということは、街のなかもそれなりに楽しいところなんだろうと、駅を降りたときにとても期待する。

終着駅の内湾駅を降りると、駅は高台の上にあるようで、街のメインストリートに行くには、少々の階段を下りないといけないようになっている。そして、駅の入口は、このあたりに住んでいたであろう原住民の像が守り神のように立っているのがおかしい。
 駅前に広がっている商店街を、中心地のほうではなく郊外のほうにいってみることにした。中心地ではないほうは、実は川があり、そこにはつり橋がかかっているところがあるのを見つけた。つり橋なので、結構たくさんのひとが渡ると、その人の歩みで橋が揺れるのが面白い。そして、橋は下が丸見えの状態の板を張り合わせた形式であるため、高所恐怖症のひとにとっては、オシッコちびりそうになる体験になることだろう。
 
 

意外に広い川幅の上にかかっているつり橋を渡りきると、これが一体どこがおもしろいのか教えてほしい寂れた遊園地があることを発見した。ひと昔前のデパートの屋上にあったような遊園地だったのだが、これまた誰も遊んでいるひとがいないというオチが着いていた。
 
商店街のほうに戻ってみる。道沿いには、台湾が凝縮したような屋台が両側を埋めていた。その屋台は台湾国内ではどこでも見ることが出来るようなばかりのもので、面白いみが全くない。中にはだれがこんなもんを買うんだよーというキャラクタの店もあったりするから、こういう街並みは面白いではないか。
 
 
 
 
三叉路のところに出くわしたのだが、内湾戯院と言われた昔の映画館跡。ここではかつての映画館として機能していた歴史の紹介と、中では昔の映画を観ながら食事が出来るところがある。しかし、併設としてお土産屋もあるのだが、これがつまらないものばかり。まぁ、ここまで来たのだから、どんなくだらないものでもいいから記念として買って帰ろうと思っている人たちを狙って売っているのだろうか?
街並みとしては、どこが客家の村なんじゃいっというくらい、全く客家語も客家らしい店を見つけられなかった。店員は北京語を話している人ばっかりだったのだが、これは観光客としてきている人たちが台北あたりから来ているひとたちなので、必然的にえ近後を使っているということなのかもしれない。山奥のほうだから、北埔よりもっと客家臭いところなのかとおもっていたが、期待はずれだった。というより、台湾はどこにいってももう特長があるという場所はなくなってきたのかもしれない。
 

内湾へ(台湾)

北埔へ客家の文化を堪能したついでに、通り道として竹東駅にもバスがいくことから、内湾線に乗って内湾にまで行ってみようかと思った。たぶん二度とこんな田舎の町にはこないだろうと思っていたから、初めて特集の台湾で当然行ってみたいとおもったところではある。

竹東から終着駅の内湾駅までは電車で25分。のんびり各駅で2両編成の電車で行くという風情がいい。内湾までの路線は田舎道を走っているみたいで、景色がとてもいい。街並みにを走っているのだと、コンクリートジャングルばっかりで面白くもなんとも無いのだが、田んぼあり、林ありなどの風景が車窓から見られるというのは、ボーっとしているだけでも楽しいものだ。

途中に大きな川を渡る場所に出くわすのだが、この鉄道用の橋に、欄干は存在しない。雨が降ったり、風が強くなったりした場合、すぐに列車が運休してしまいそうな気がするのだが、実際はどうなのだろうか?おそらく橋に欄干がないというのは、大水が出たときに橋は水没するだけになって、欄干に材木やらごみやらがたまって、ちょっとしたダムにならないための工夫なんだろうと思う。でも、欄干がないので、窓から覗くと、すぐ真下が川の流れっていうのは、なかなかスリルがあるものだ。
 
内湾までの道のりはいくつかの駅を止まって、最終的には終点までいけばいいので、ついうとうと寝てしまった場合でも、終点についたら人の流れで目が覚めることだろう。

行きの電車はちょうどお昼時間になるときの列車に乗ってしまったためか、台北あたりから遊びに来ているひとたちがちょうど新竹で乗り換えて電車で来たんだろうという時間帯に遭遇してしまったので、この田舎電車のくせに満員だった。しかし、帰りは実は滞在時間がそんなに長く居なかったこともあり、同じようにさっさと帰る人が居なかったから、内湾から竹東駅にいく電車はそんなに混んでいるわけじゃなかった。

実は内湾線は高鉄新竹駅と六家駅で繋がっている。駅名は異なるのだが、双方の駅は歩いていける範囲であるために、素直に内湾から六家駅までいき、そこで高鉄の電車に乗り換えるというのが一般的だ。しかし、せっかくバス1日乗車券を持っているので、これを使っていたいということもあり、一度竹東駅で降りて、ちょうどいい時間帯にやってくる高鉄新竹駅に向かうバスに乗り換えてみた。
高鉄新竹駅からは、台北に向けてささーと帰る。あっという間に台北に到着するというのがいいのかわるいのかわからないが、時間がない旅人にとってはとても便利な交通手段だと本当に思った。

竹東駅(台湾)

高鉄新竹駅から北埔にいくバスは、途中の駅である竹東駅を通るということは以前記載した。竹東駅は、台鉄の盲腸みたいになっている路線の1つ、内湾線のなかの中間駅である。その内湾線だが、終着駅の内湾も客家の村としても有名だし、ぷらっと日帰りで行くような場所としても結構人気だ。
しかし、以前、この内湾にいくには、台湾鉄道の新竹から電車に乗り、内湾まで1時間くらいのローカル線でいくことができたのだが、その本数がほぼ1時間に1本程度しか走っていない電車に乗らないといけないという大変さがあった。新竹からの電車は実は30分に1本くらいは出発していたのだが、途中駅である六家までしか行かない電車が多かったので、内湾までいくのには、台北あたりのひとだとかなり大変な旅であった。
 
 
 
竹東駅自体は別に無人駅というわけじゃなく、実は結構駅として大きい。駅前ロータリーもちゃんとあるし、貨物駅としても使われていた名残があるのか、同じプラットフォームに上りとくだりが一緒になっているという、ど田舎の駅とは異なる。しかし、駅舎は乗降者数の数の割りには大きいので、不釣合いのような気もするのだが、その不釣合いさが風情があっていいじゃないか。

ちなみに竹東から内湾までの間は片道16元。自動販売機で買えるのだが、台北のMRTなんかで使っている非接触カードの旅遊カードを持っていれば、実は切符を買わなくてもここでは乗ることができる。改札口のところにピッとカードを触れさせれば、それで改札されたのと同じことになる。もちろん降りるときには、同じように改札口のところにあるカード読取装置にピッと触れればよし。
電車が来る寸前までは乗客は改札を通ることができないので、待合室でボーっとしていよう。でも、それだけでも結構絵になると思う。その時間が止まったような空間を楽しむのが良いのではないだろうか?