2014/05/10

メトロポル・パラソル(セビリア)

イスラム建築が残っているセビリアに新しくイスラムモザイク風の建築物が加わったが、これはどちらかというとアート作品。それは、メトロポール・パラソル(Espacio Metropol Parasol)という巨大モニュメントである。

2003年に行なわれた広場再開発計画のコンペで勝利したドイツ人のユルゲン・マイヤー・Hによる設計で、工事は2005年から始まった。当初の予定では4000万ユーロ程度の予算だったのだが、結局かかった費用は8600万ユーロだったというから、予算なんか本当に適当なんだろうなと思った。2011年3月27日にオープンしたこのオブジェは、もうオブジェとは言えず、十分大きな建築物としてセビリアの新しい観光スポットに参入した。そして、形式は現代アートの結集みたいな形で展示されていると思って良い。

昼間に行くのも良いのだが、絶対夜に訪れたほうが良いと思う。なぜならモニュメントの形式と光がとても神秘的に見えるから不思議だからだ。
 
テレビの事前映像やウェブサイトを観ていたら、このモニュメントの上に上がれるようなことがかかれていたのだが、一体どこから入れるのかまったくわからなかった。もしかしたら、夜間は展望台としては無理なのか!?それとも特殊の場所から入るのか?これは今でも謎である。

当日は、なぜかローラーブレードの練習をしているひとたちの集団がいて、おもしろそうだった。まだまだ初心者のひとたちだったようである。このときには、バック走行の練習をしていた。がんばれー。

フラメンコ舞踏博物館(セビリア)

セルビアにきたら、南スペイン独特の文化はできるだけ吸収したいとおもうのが旅心に思うことだろう。代表的な文化の1つはフラメンコ。フラメンコと言っても、実はスペインのフラメンコにはいくつか流儀があることを後で知るのだが、その中でもセルビアのフラメンコは、日本人が考える典型的なフラメンコだと思う。

そのフラメンコを見るためにはセルビアのサンタ・クルス地区にたくさんフラメンコバーが存在し、客はそこでアルコールを取りながら熱いフラメンコを見ることが可能である。それは大人の社交場の1つとしてフラメンコバーがあるのであって、子供が入って見ることが出来る場所では決してない。だけど、子供でもフラメンコを見ることが出来る場所は存在する。それがフラメンコ舞踏博物館(Museo del Baile Flamenco)である。

普段はフラメンコの歴史や文化についてを解説してくれる博物館だが、毎晩19時からフラメンコショーが行われていると聞いていたので、ここの博物館にいってみることにした。夕方からのショーも兼ねて観るのが良いだろうと思ったので、17時くらいにホテルを出て博物館に行ってみた。

博物館がある場所は、フラメンコの店が結構たくさん存在しているサンタ・クルス地区に存在しており、このサンタ・クルス地区自体が迷路のように細い路地とぐにゃぐにゃになっている道から成り立っているから、地図無しでは博物館には到達ができるものではなかった。道中はフラメンコに関係するような衣装関係の店やら、化粧道具の店やらが結構存在する。それを見ているだけでもフラメンコの気分が感じられるところだろうと思われる。
 
 
フラメンコショーなんて、行けばすぐ見れるんでしょうと思っていたのだが、実はそうではない。博物館に到着してみたところ、受付のところで「今日のショーはもうソールドアウトよ」とあっさり断られる。しかし「明日の分だったら、まだ大丈夫」とのこと。そこで最初の日は、翌日のショーも兼ねた入場券を購入することにした。値段は1人あたり、博物館見学料も含めて24ユーロ。だけど、「地球の歩き方」を持っていると、実は読者割引で10%オフになるので、1人あたり21.6ユーロになる。ところが地球の歩き方を見せれば良いと地球の歩き方に記載されているのだが、なにをどうみせればいいのかわかんない。そこで「この日本語のガイドに読者割引があるって書いているんだけどー」と話をしたら、係員が「あっ、そうなの?じゃ10%オフね」という対応をしてくれた。結構緩い。なお、チケットには名前と人数を記載されるので、転売なんかは出来なさそうだ。当日は、このチケットを見せれば入場できるようになっている。

ショーは自由席になっているので、どこに座ってもいい。が、そうなると良い場所を確保したくなる。人によっては鞄を椅子において館内をうろうろしているひともいるのだが、貴重品が入っているかもしれないとおもうと、盗難にあってもおかしくない。これはいいなとおもったのは、スタバあたりのテイクアウト用の飲み物のカップを椅子においておくという方法だった。これだと誰も片づけをしないので場所取りは便利だろう。
 
場所なのだが、ステージを囲むように漢字の「凹」の字のように椅子が数列ならんでいるのだが、できれば正面側の前のほうを確保したほうが良い。前のほうというより、一番前に座ったほうが良い。客いじりなんかは無いし、かぶりつきで見られるので絶対いいし、なにしろ、椅子が階段状になっているわけじゃないので、前に背の高い人が座った場合には、前がまったくみられなくなるので、絶対一番前に座ったほうが良いのである。ちょっと奥ゆかしく、前から三番目くらいでいいかなとおもったのが今回は間違いだった。前に頭を頻繁に動かす座高の高いおばさん、その前にはデブの座高の高いおっさんが座ったのが失敗だった。

ショーが始まる前には、博物館の中で時間を潰しておけば良いと思う。ショーが行われるのは1階の中央部分。そこには常にステージが作られているので、まぁ、普段は意味が無い場所だ。そして、少し離れたところに、なんとフラメンコ教室用のスタジオがあるし、当日もスタジオ内で練習をしているひとたち、といってもおばさんたちがいたのをみた。
2階から博物館は始まる。2階はインタラクティブ形式で、フラメンコの種類や歴史というのを映像と選択画面で体験できる。もちろん、その画面には日本語の選択画面があり、日本語の文字と音声で説明を聞いて見ることができるのは嬉しい。
 
 
フラメンコも地域性によって特徴があることを今回初めて知った。それもスペイン国内での特徴が違うことに驚きだ。ただ、フラメンコはもともといまのような芸術的な領域になるものではなく、単なる地域住民がたのしみのときに踊る盆踊りや祭りの余興みたいな位置づけだったようである。それを藝術の域にさせたのは、やはりフラメンコを「見世物」としてショーを始めたカフェからの始まりだろうとおもう。ウィーンでいうところの社交場としてのカフェは有名だが、フラメンコの店も当時は最先端のクラブのようなものだったと考えて良いとおもう。それも店に来た人たちが全員参加するというものではなくあくまでも見るために来ているという意味だ。当然こういう店は当時の政治権力者にとっては「目障りなもの」になるために、何度も排除されることになる。そのあとの藝術領域になり、自分たちが今知っている激しいタップのようなものになっているのは、あえてそういう動きにしたという商業的な要素のせいであることもよくわかった。

フラメンコの衣装についても、博物館内には展示されている。男用の衣装と女用の衣装があるので、どちらについても興味がわく展示エリアだとは思う。
 

 
フラメンコのショーは、全部で5つのパートから分かれて演じられる。

 ①ギターと男女フラメンコダンサーによる演技
 ②フラメンコギター演奏者によるソロ演奏
 ③女性フラメンコダンサーによる演技
 ④フラメンコ歌手とギターによる音楽の演技
 ⑤男性フラメンコダンサーによる演技
 
 
 
 
 どのパートも大枠の「フラメンコ」という意味では必要なジャンルではあるのだが、個人的には踊りが無いショーはもう観ているだけで苦痛でしかなかった。

間近で見られるショーは結構興奮なのだが、ここに出ている人たちの演技が、正直めちゃくちゃ巧いものかというと、全然そうではなかった。もうちょっと巧いダンサーが演技してもいいんじゃないのだろうか?まぁ毎日行われているようなものなので、たまたまそんなに巧いひとではなかったのかもしれない。

ショーは1時間であるため、厭きることは無いのだろうとは思う。

<フラメンコ舞踏博物館 - Museo del Baile Flamenco>
URL : http://www.museobaileflamenco.com/
Open : 10:00 - 19:00
Address : Calle de Manuel Rojas Marcos, 3, 41004 Sevilla (Map)
Phone : +34 954 34 03 11

アルカサス(セビリア)


セビリア観光の見所の1つとして有名なのがアルカサル(Real Alcazar de Sevilla)。アルカサルは元々はスペイン語で「城」を意味する言葉なのであり、特定の場所を示す言葉ではない。ただ、セビリアでアルカサルというと、それは1つの建物を示すことになる。

この建物は、カスティーリャ王国のブルゴーニュ王朝のペドロ1世によって、レコンキスタあと、残留イスラム教徒の建築様式とキリスト教建築様式が融合したスタイルであるムデハル様式で建てられたもので、建物の壁面に幾何学文様の装飾を施しているものだ。決して旧支配者のイスラム教国の人たちが残した建物を利用して建てたというわけじゃない。

ペドロ1世といえば「残酷王」というあだ名がついているのは実は有名。だけど、もう1つあだ名がある。それは「公正王」だ。ん?なんだ、この矛盾する2つのあだ名は?と思って調べてみた。ペドロ1世は、自分を取り巻く貴族たちには厳しくあたったことから、貴族たちからは「残酷王」と呼ばれることになったし、民衆からは貴族を引き締めたことから「公正王」と呼ばれるようになったわけである。

さて、アルカサルの入口のほうに行ってみると、入場するまでに長蛇の列が出来ていて、全然その列が進まないので、長い時間並ばされた。まるでディズニーランドのアトラクションの入場待ちに匹敵する。アルカサルの入口が良くわかんないという状態であっても、列の最後尾を探して、そこに並んでいれば良いだけだ。そして、その列を終えたら、広大な敷地が広がっているところを楽しむことが出来るだろう。

じゃ、なんでこんなに人が並んでいるのかというと、要はチケット売り場の処理の遅さだというのが後で分かる。敷地内に人がたくさん入って、内部が混雑しないように別に入場制限を行っているというわけじゃないのだ。もっと正確に言うと、売り場の人たちが事務処理が遅いというよりも、窓口の前でチケットを買おうとしている観光客が遅いのである。多くの観光客が文字が読めないという文盲なら分かるのだが、多くの人はそうではないはずだ。販売窓口の前に来る前に、1人あたりの入場料というのが書かれている看板があるんだから、それに人数分をかけあわせれば料金が事前に出てくるはずである。ところが窓口の人がいくらですと話をしてから、サイフから金を出すようなことをしているので、それが遅いのである。中には、窓口の人が値段を言ってからやっと自分のサイフをかばんから出し始める馬鹿も結構いるので、積み重なってなかなか先に進まないわけである。
 
切符を買ったあとに、すぐに音声ガイドを配布している場所が出てくるのだが、残念ながら日本語の解説をする音声ガイドは存在しないので、英語をあまり解さないひとにとっては、単なる雑音にしかならないだろう。だったら借りなくて良い。

アルカサス自体、結構広い。最初から気合を入れて写真を撮る事や、全体を廻ってやろうと思っていた場合、おそらく途中で脱落すると思う。しかし、アルカサスの内部にはカフェも併設されているので、疲れたらそこで休憩をするということはしたらいい。また、アルカサス内に入る前には、必ずペットボトルで良いので水分が取れる容器と十分な水を持っていったほうが良い。ウォータークーラーなんか設置しているわけがないので、水に関することは自ら補給する努力と準備はしておかないといけないと思う。

 

それにしてもイスラム建築の名残がわかるモザイクと、イスラムコーランから引用された文字列を装飾化した文字群をみると、改めで頭が探す気がしてきた。しかしイスラムの世界では、モザイクの意味はとても重要であり、これは「神は永遠である」ということを意味する。キリスト教にとっては、モザイクは全く意味を持たない。後から支配した人たちはキリスト教徒であったため、モザイクは単純にデザインとして考えられたから、いかなる場所でも受け入れられることができたわけだ。
 
 

 

 
 
アルカサスには庭園もあるが、それはヴェルサイユやシェーンブルン宮殿のような庭園とは違う美しさがある。それはこれらの後年できた庭園が真似をすることにもなるが、幾何学模様でつくられた低い樹木で作る迷路型の庭園である。一時期、郊外地域にできた巨大迷路が出来ていたが、あれにも通じるものだと思う。これを1000年も前の人が考えて取り入れていたという発想がすごいなあと関心する。

 
 
なお、アルカサスは敷地内にトイレが少ない。おそらく汗で出るものも出なくなるかもしれないが、それでもトイレが近い人は、トイレの位置は事前に確認しておくべきである。
そして、音声ガイドで日本語版が無いということは、それに代わるガイドブックがあったほうが実はアルカサスは楽しめると思う。なにしろ敷地内の建物とその構成されている部屋は似たようなところばかりだし、装飾に付いても細かいものが結構あったりする。なにも予備知識がない場合には、ガイドがあったほうが絶対便利だと思うからである。

自分の家はマンションだが、一軒家を建てるのであれば、アルカサルで使われているモザイクの壁を使ってみたいと思う。

アルカサス - Real Alcázar de Sevilla
URL : http://www.alcazarsevilla.org/
Open : 09:30 - 17:00 (Summer) / 19:00 (Winter)
Ticket : 9.50ユーロ

黄金の塔(セルビア)

救済病院がある場所からさらに川のほうに向かうと、川沿いのランドマークにもなっているのが黄金の塔(Torre del Oro)というところだ。もともとは、リスボンにもある塔と同じように、川を航海する船の通行を検閲し、税関の役割として存在していたものである。そして名前に「黄金」と付いているくらいだから、建物は金色だろうとおもわれるが、それは昔のことであって、いまは単なる石造りの塔である。川の対岸に、それこそ「銀の塔」というのがあって、その間は鎖で繋がられていて、船の侵入を防いでいたらしい。今では銀の塔がないので、どうなっていたのかは不明だ。

この黄金の塔付近は、ヨーロッパの観光都市に最近存在するHop-on Hop-off バスの乗り場があり、そのバスに乗せようとする勧誘のひとたちが結構たくさん点在しているので、その勧誘を振り切って塔にいきたい。なかなかのセクシー女性とイケメン男性が勧誘してくるので、顔で寄って行ってはいけない。彼らは商売でやっているのだ。だからHop-On Hop-Offバスに全く興味が無い顔をすると、この人たちの対応はかなり冷たい。

この塔は、月曜日だと入館は無料。ちゃんとガイドブックにも書いてあるのだが、それに気づかず月曜日に行ったら無料で入れたのでとてもビックリしてしまった。行く前にはちゃんとガイドを見ておくべきだと思う。

塔に入館したら、まずは塔のてっぺんに上がってみることから始まるほうが良いだろう。そこまではエレベータで一気に上がることが出来るので、それを利用すれば楽勝だ。ただ、てっぺんに上がると、その狭さはビックリするくらいだと思う。東京タワーのような広さを想像していたらビックリするだろう。

天気が良いから青い空と白い塔のコントラストが素晴らしい。ここからの景色はまた特別に良い。決してすごい高い塔というわけじゃないのだが、すぐ傍の川を挟んで見える景色が見晴らしがいいので、どういう船が通ろうとしているかは一目瞭然である。

 カテドラルがある方向を見ると、それなりに高い建物があるので、カテドラルも上のほうしか見えないのが残念だ。
塔の上にいくと、さらに階段でちょっとだけ上がれるところがある。ここから見ても、その下から見てもたいして景色が変わらないのだが、なぜか大人気なのですごい列が並んでいた。塔の上になにか特別なものがあると考えちゃうからなのだろうか?
ちょうど地元の小学生が社会科見学みたいなものでやってきている団体に出くわしてしまった。塔のてっぺんに行ったら、引率の先生を含めて、大群衆でやかましく騒いでいた。
 塔のてっぺんは360度、屋外型の展望台になっているのだが、そのなかでもさらにちょっとだけ高いところがあるが、そこはサルが高いところを好きなように、なぜかみんな上ってしまう。でも、景色はあんまり変わらないので、なんでそんなに人気なのかというのは、上ったあとに後悔してまうものだ。そして、セビリアはずっと天気が良いところなので、ここの塔に雨が降っているときに上ると言うことは無いと思うのだが、風雨が強いからといって塔に上るのが禁止になることは無い。ここはヨーロッパだ。なんでも自己責任で行うことになるのである。それに塔から飛び降りようとしても、高い壁を越えないといけないので、まず難しいだろうと思う。
塔の上から景色を堪能したら、下に下りてみよう。内部は小さな海洋博物館もどきになっており、いろいろな展示物が閲覧できるようになっている。スペインが誇る大航海時代が始まるあたりからの歴史や、そのときに利用されていた船の様子、それと船団を組んで冒険したひとたちの顔写真入りの紹介があるので、スペイン国家、当時だとカスティーリャ王国になるだろうかの代表として冒険をした人たちを是非知るためには行っておくべき場所だろうと思う。ここでは、イタリア人ではありながらスペイン国王の金でアメリカ大陸航路を発見したコロンブスよりも、純スペイン人であるマゼランの功績が大きく紹介されている。マゼランについての紹介はここでは省略するが、世界一周をした人で歴史上では有名な人だ。
 
 
 
黄金の塔(Torre del Oro)
Address :  Paseo de Cristóbal Colón, s/n, 41001 Sevilla
電話:+34 954 22 24 19
Open : 10時30分~19時00分