2011/01/11

向島 志”満ん草餅

スペーシアの電車の中で弁当を食べたあと、おやつとして買ったのは、松屋浅草店に入っていた「向島 志”満ん草餅」である。こんなにも有名な草もちはほかにないと思う。単純な草餅なのだが、これが止められない。防腐剤が入っていないので、早く食べないと堅くなって食べられなくなるというのは良い餅だ。防腐剤が入っていると酸化するので不味く感じるからだ。

本当なら餡子が入ったものだけ買いたかったのだが、どうやら松屋では「予約しないとダメです」と言われてしまった。その代わりに買ったのは、あんこ無し4個と、あんこが入ったもの3つが入っている7個入りの草餅である。値段は1100円。
おまけに黄な粉が入っているので、草もち単体で食べても良いし、味付けとして黄な粉をつけて食べても良いと思う。

向島 志”満ん草餅
URL : http://jimankusamoti.com/


深川太郎の「深川めし弁当」

下町は東京の中でもかなり食べ物が美味いものが揃っている場所ではある。スペーシアの出発する浅草は、その下町の中心地みたいなところである。ということは、食べ物に関しては事欠かさない場所であるのは言うまでも無い。少し場所が離れているのだが、深川のあさり飯も十分名物に値するだろう。

「深川めし」と言えば、言わずもがな、アサリのご飯である。単純明快な漁師ご飯であり、東京の深川は昔は漁港だったということがずばりそのままの名残である。貝の汁で炊き込んだご飯に、さらにメインのアサリを散りばめたもので、単純ながらこれほど美味いものはないとおもう。ジャンルは違うが、シンガポールの海南鶏飯と似ていると思う。

また、深川めしのもう1つの特徴として、玉子焼きがある。この玉子焼きに使う出汁も貝の汁を使うために、ちょっとそのへんの玉子焼きとは味が全く異なる。しかし、玉子焼き自体はそんなに量が多くないので、もっと食べたいと思うかもしれないが、これがまた趣が有ってよいのではないか。

厚焼玉子・深川めしの「深川太郎」
URL : http://www.fukagawatarou.co.jp/

浅草田甫の草津亭弁当

浅草田甫草津亭の弁当は綺麗だ。ちょっと贅沢な弁当を持参したい場合には、ここの弁当は良いと思う。特に今回は「浅草12ヶ月」というシリーズの弁当にしてみた。毎月違うメニュになるのだが、基本的には12分割されたおかずが、ちょっとずつ入っているので、たくさんの種類を少しずつ食べたい人には一番良い弁当だとおもう。

Amarone della Valpolicella

実は酒は弱いほう。だけど、人が飲んでいるのを見ていると、飲めないのに飲んでしまうというどうしようもない意地汚い性格なのだが、それで飲んだ後に大抵は「はぁ・・飲まなきゃ良かった」という脱力感と後悔と頭痛と吐き気で、酒を飲むのが嫌になるのがオチである。だから、あんまり酒を飲むのは好きじゃない。

だけど、これが美味い酒を飲んだときには全然変わってしまうから不思議だ。というのも、美味い酒に出会うと、全然頭も痛くならないし、あんまりがぶ飲みは出来ないけど、飲んでも全然気持ち悪くならないし、酒飲みのように、だんだん気分が良くなってくる。そして、飲んでいる酒自体の味が最初からあんまり変わらないように感じるのも不思議だ。

そんな酒にもまた出くわした。海外に行くと結構そういう酒に出くわして、普段は飲めないくせに、結構飲んでしまうから、友達からはかなり不思議がられてしまう。今回のお酒はワインであるが、イタリアはヴェローナの赤ワインである「Amarone della Valpolicella」である。通称「アマローネ」で呼ばれているワインである。
このワインは、2001年にイタリアの最高ランクである D.O.G.C に昇格してから、ぐっと値段が上がったようである。というより、それまでこの味のワインがあまり世の中に知られずランクが下だったというのが不思議である。

横浜そごうのイタリア物産展というのが開催されていたときに、偶然ワインコーナーで試飲したときに発見した。そのときに薦めてくれたのがモンテ物産の鈴木さん。おっかさんみたいな人だったのだが、「このワインがこの値段で手に入るなんて、もう絶対無い」と大絶賛。向こうは売る気満々で薦めてくるのだが、それも1万円くらいのワインだったので、結構最初は躊躇した。試飲させてもらったのだが、そのときに赤ワイン独特にアルコール臭さが全く無くて、変なワインだなと思ったが、ここは騙されたと思ってとりあえず買っちゃえとおもい、思い切って買ってみた。
飲む機会がなくて、せっかくだから、湯西川温泉に行った際に飲めばいいかなとおもってもって行ってみた。ワイン1本を持っていくのは結構重くてしんどいものだが、ここは温泉宿でほかにやることは無いから、それでもいいのでもって行ってみた。

今回のアマローネは2001年ものだったので、10年経過している。2001年のワインの生育については全然知識が無いのだが、実際に飲んでみて思ったことは「うまい!もう一杯!」である。アルコール臭いのと、赤ワイン独特の渋みというのが全く無いのがとても飲みやすく、かといって、味が無いかというと、全然そうではなく、金を出して買ったのは正解だったと思われるようなワインだった。だいたいワインを飲むとそのまま酔っ払って寝ちゃうのだが、そういうのは味が悪いものだったりする。だから、飲み会なんかで飲み屋で出るワインなんかを飲むと、気持ち悪くなる。今回のようなワインを飲むと、他のワインが飲めなくなってしまうから困る。

またどこかで売られていたら、絶対買おうと思う。

湯西川温泉で見つけた猫

かまくら祭りを見に行ったその足で立ち寄った平家そばの店はいつもながら飾り気の無い田舎の蕎麦屋なので大好きである。その店に今年も寄ってみたのだが、今年はなぜか珍客が居た。

店内は田舎の木造作りなのでとても寒いため、強力なストーブが店の真ん中にある。その堂々と一番前の良い位置に猫が寝ているのである。飼い猫なのか、それとも湯西川の野良猫なのかはよくわからないが、客が入れ替わり立ち代りやってくるのに、それには全く興味なく、暖かいところでずっと寝ているのである。その猫、客が「かわいいぃ~♪」と撫でていても、我関せずで寝続けている。猫の顔を拝もうと思ってカメラを近づけると「なんじゃい、ワレぇ~!?」というような目つきを一瞬にして、「なんじゃ、カメラか。好きにせい」とその後瞬時にまた寝てしまうようなしぐさをする。堂々としているではないか。根性が座っているぞー。やっぱり猫は寒いのは苦手のようである。それにしても、ストーブに近すぎなのではないか?熱くないのだろうか?餅みたいに焼けちゃうぞー!

かまくら祭り(湯西川)

冬の湯西川温泉のお祭りと言ったら、やっぱり「かまくら祭り」だろう。しかし、2011年のかまくら祭りは地元でも期待できないものだったらしい。というのも、日本海側では、連日大雪が降っているというのに、その大雪が越後山脈を越えないで、単なる冷たい空気しか降りてこなかったため、全然しばらくは大雪が降らなかったらしい。雪が降ったとしても、あまり積もるような雪にならず、これではかまくら祭りを開くほど雪が足らないというようなことを地元の人は言っていた。そこで採った対策は、雪をかき集まること。単純だが、これが一番。ところが、雪を集めるというのもまた大変な作業で、汚い雪は集められない。さらに山奥なので、道があんまりよくないため、大雪をもってくるのが大変なのである。
個人的にはかまくら祭りにはなんの魅力も無いのだが、このかまくら祭りも年々有名になってきているようで、それを目当てに日帰りでも来ている観光客がいるようである。

かまくらの形が、そういえば、妙に筒状になっているのが気になった。もともとかまくらは、雪かきをした余った雪で作っているものなので、どうしても、山盛りした雪を繰り縫いた形だから、山型になっているのが普通だと思う。ところが、ここでは、堅めに固めたものだから、なぜか筒状だ。表面に水をぶっかけて、一気に寒さで凍らせているので、なかなかこのかまくらは溶けにくく、壊れ難くなっているのがすごい。
かまくらの中はそこで生活できるようなものではなく、かまくらの中はこんなものだよーという宣伝みたいな感じにしかなっていない。もっと大雪が降る場所だったら、そこでご飯を食べられたりするような設備はあるが、湯西川温泉では安全性の問題からやめているらしい。常に氷点下の気温の場所でなければ、そんな遊びが出来ないだろう。

東武鉄道が必死になって宣伝しているので、東武沿線の人にとっては、湯西川温泉でのかまくら祭りは結構なじみの祭りのようである。


湯西川温泉・かまくら祭り
URL : http://yunishikawa-kawamata-okukinu.jp/110.html

平の高房(2011)

もう何度目になるのだろう。今年も年始の3連休に湯西川温泉にやって来た。それもいつもお世話になっている「平の高房」に行った。実は最初からこの旅館にお世話になったのではなく、初めて湯西川に行ったときには違う旅館だった。しかし、もっと人気(ひとけ)の無いところに行ってみたいと思ったのがきっかけ。平の高房は、湯西川温泉のメインストリートからかなり離れた山のほうにある。だから、秘湯の会にも属しているような温泉宿になれたのだろうとおもう。

今年の平の高房への旅行は、湯西川に到着する前から少し変だった。「湯西川温泉までの交通機関」でも記載したが、妙に観光客が多い。地元にとってはありがたいことなのだろうが、あまりにぎやかになったのであれば、人気の無さを求めてやってきた自分達のわがままな願いをかき消すことになってしまうのである。バスが最終地の湯西川温泉に到着するときも、いつもなら誰もほかに客が乗っていないのに、今年は妙にたくさん客が居た。みんなどこに行くのかと思ったら、自分達と同じ平の高房だったのには吃驚。平の高房は、バス停から送迎のマイクロバスでしか行けない。そのマイクロバスが満員に成ってしまった。

宿に着いたら、いつものように手続きをする。毎度ながら、この宿は元々材木屋だっただけあって、立派な材木を使った建物になっている。既に築30年は経過しているのだろうとおもうのだが、手入れと樹木が良いために、最近完成したような建物に見えるのは凄く立派だとおもう。

チェックインの手続きをしていたら、若女将が出迎えをしてくれた。他のお客様のてまえ、自分達に掛りっきりになるのはさすがに失礼にあたるのを承知だったが、できるだけ長い時間、「またいらっしゃってありがとうございます」と顔を見るなりに言われたことは、細かい心遣いの1つとして、宿泊客としてはとても嬉しいことだ。ただ、いつも言われるのは「いつも冬ばかりにいらっしゃるけど、夏の湯西川もいいですよ」というさらっとした宣伝を入れるところだろう。別にそれを聞いて嫌ではない。夏の湯西川を一切知らないので、知らないのに「あぁそうですか。」と無視するのは失礼だ。是非、一度行ってみたいとは思う。
案内された部屋も、だいたい2階のいつも同じなのだが、角部屋になっている「知盛(201号室)」である。ここだと、南と東側に窓があるため、結構光がたくさん入ってくる。なにしろ、角部屋なのが一番嬉しい。室内は、トイレと洗面台があり、別室になっているけどほとんど使うことが無い浴槽がある。大浴場にいくことを主とするので、この浴槽はほとんど使わないが、他人と一緒に入るのは苦手であるという人にとってはいいだろう。なにしろ湯泉は、大浴場と全く同じである。プライベート風呂なのだ。部屋は12畳くらいの部屋なので、2人部屋としては広いと思う。ネット環境は無し。無いほうが良い。テレビもいまだにアナログのブラウン管である。こういう設備も、宿としてはそろそろデジタル化に向けて変更しなければならないのだろうとおもうが、おそらく、テレビ施設はそのままにして、ケーブルテレビと契約することになるのだろうと思う。部屋着は当然浴衣。デフォルトだと中サイズが出てくるが、背の高い人用に、大・特大があるので是非申告したほうが良い。もちろん毎日取り替えてくれる。

客として残念なのは、たいだいのひとがこの良い旅館を1泊しかせずに帰ってしまうということ。1泊じゃなく、連泊でこの宿に泊まるべきだと思う。泊まっている間に湯西川温泉の街中に出てもいいのだが、それよりもせっかく泊まっているので、昼間もこの旅館に居座るというのがいいことだ。なにしろ、外にある露天風呂は、別に予約しなくてもほとんど自分達だけの占有風呂として使うことができるからだ。こんな贅沢は無いだろう。小さい露天なら出来ても、大きな露天を占有ということほど楽しいものは無い。そして、いくらたくさん入っていても、外気は寒くてお湯は暖かいので、何時間でもこのお風呂に入ることが出来るのは嬉しい。体がふやけるくらいずっと入っていられるのは楽しい。さて、今回の旅館のご飯は下記の通り。

■1泊目夕ご飯■1泊目朝食■2泊目夕ご飯■2泊目朝食1日目の夕ご飯は、何を思ったのか普通の料理に鴨鍋を追加オーダーした。これが結構美味くて、これだけでも十分満足というくらいの量と味。しかし、これだけ食べてもデブってしまうくらいの量だったから、普通の料理にさらに食べていると、もうその夜は、腹がはちきれるくらいの量を食べてしまった感覚があった。

1日目の朝は、8時からの朝食時間に眠い眼をこすって、人々は集まるのだが、やっぱりここは朝食前に一度お風呂に入って食べてみたいところだ。朝食は胃に優しい魚料理と茸料理である。朝からがっつり食べたい人にとってはちょっと足らないと思うかもしれない。ところが、そんな人にも、少し腹持ちできるものがある。それはお汁粉のサービスである。この時期だけしか提供されていないのだが、朝に食べるお汁粉はとても元気が出る。

2日目の夕ご飯は、豚しゃぶ。1日目の食事がめちゃくちゃ多すぎたのだが、この日の食事量はちょうど良し。ところがここで若女将が突然やって来た。理由を聞いたら、「浴衣のサイズを間違って出してしまったので、お詫びです」と言う言葉と一緒に日本酒を持ってきてくれた。えーっ?そんなことしてくれなくてもいいのにーとおもったのだが、ありがたく頂戴した。確かに替えの浴衣が用意されていたときには中サイズだったのだが、自分達は大サイズの浴衣を着るので、フロントに行って違うのをくださいとお願いしたことはお願いした。でも、どこの部屋のものかなんて一言も言わなかったのに、よく若女将はわかったなーと感心した。こういう客がびっくりするような小さいサービスをしてくれるととても嬉しい。
明けた朝は、昨晩飲んだワインが良かったからか、全くすがすがしい気分で起きた。しかし、前日にたくさん歩いたので疲れている模様。それでも朝食は食べられる気分はある。ブリの照り焼きをベースとした朝食が提供される。

それにしてもいつ食べてもここのご飯はとても美味しい。基本的には山奥なので山のご飯なのだが、季節に沿った素材を使ったものしか提供されないので、いま何が一番美味いのかをよく知っている料理長のご飯なのだ。だから、季節によって全然提供されるので、それを堪能するためそれを求めて訪問する旅行者も中にはいるんじゃないだろうか?でも、若女将の話だと、そんなお客さんは居ない模様だ。

ちょうど泊まっているとき、大雪が降り始めて、帰京する朝にはすっかり窓からの景色は真っ白になっていた。屋根からのつららもかなり大きい。こういう景色を見るために来ている人も多いことだろうが、個人的には雪国で住んでいたことがあるので生活するには嫌だなと思う。そういえば、今年も大女将は元気そうだった。いつも友達と話題にしてしまうのだが、大女将はいつくたばってしまうのだろうと。足腰が悪くなってしまったらしいのだが、それでも朝食時にお客さんを食堂まで見送ったり、朝のお土産売り場には立っているのである。その姿を見て、生き仏を今日も拝めた、ありがたやぁ~とおもったのは言うまでも無い。
さらに今までは泊まっていても見向きもしなかったのだが、宿の敷地内にある神社にも行ってみることにした。おそらくこの館の主人が立てたものだろうと思う。あとは、夫婦樹木があり、それが妙に男性・女性の性器にそっくりなので結構卑猥だ。でも、それも見ようによってはそうみえるのだが、言われなければわからないものである。湯西川温泉 上屋敷 平の高房
URL : http://www.takafusa.jp/
住所:栃木県日光市湯西川1483
電話:0288-98-0336
FAX:0288-98-0860 
MAIL:info@takafusa.jp 

湯西川温泉までの交通機関

湯西川温泉までは先にも記載したが、電車とバスが基本。ところが数年後には、湯西川温泉はこれまでの鄙びた温泉町というイメージから、都会から近いところにある山里に完全に変わってしまうことだろうと思う。というのも、いま、湯西川温泉までの道路が抜本的に変えてしまうような大掛かりなバイバス道路が建設中だからだ。最終的にはどこまで繋げるつもりなのかは全然分からないが、とにかく湯西川温泉までは、道幅が広く、ほぼまっすぐな道路ができることで、運転が苦手な人でさえも楽に行ける場所になってしまう。現在は、山あり谷あり、道幅もバスが一台やっと通れるという場所があったりするような細くてうねった道であり、道を外れると、一方が谷底、一方が崖の壁というような場所なのである。そして、鬼怒川温泉からバスで1時間かかる道中も、道ができると半分以下に短縮できるのだろうと思う。

道路建設というのは、周辺地域に富をもたらすという典型的な風景も見ることができた。何も仕事が無い田舎の場合、どうしても金になるような仕事というのは土建屋の仕事。鬼怒川温泉から湯西川温泉あたりは、住民がほとんど住んでいないのだが、それでも住んでいる人は居る。ホテル業に携わっているひとではなく、一般的な仕事をしていたりするひとなのである。道路ができることで、いままで住んでいた場所から立ち退きさせられたりするときに、家を建て替えたり綺麗にしたりすることができるのは、ほとんど無料で金が入ってきたのと同じ。そういう家が建設現場の傍のところの集落で発見した。なんだかそういう工事成金をみると、幻滅してくる。田舎の人には悪いのだが、世の中の動きは知ったこっちゃ無く、いつまでも囲炉裏と薪で生活しているような風景を残しておいて欲しいのである。

題名が「湯西川温泉までの交通機関」というものだったのに、全く関係ない道中の車窓の風景を書いてしまった。どうしても上記の工事成金のことは書きたかったので、場所をわきまえず記載してしまった。

さて、話は戻す。

今回の湯西川温泉までのバスは、鬼怒川温泉駅から乗った。自分達よりも先に中国人カップルが鬼怒川温泉駅のバス停でバス待ちをしていた。始発なので、早くから待たなくても実は十分座れると思う。ただ、時間帯によっては鬼怒川温泉駅からでも混んでしまうかも知れない。普通の路線バスなので、それほど座れる椅子は少なく、1時間も乗るのだから、絶対座りたいところである。

通常、途中の湯西川温泉駅で一度休憩が入る。そこで時間調整の意味でトイレ休憩が入るのだが、今年の行きのバスはちょっと異常だった。湯西川温泉が人々に知られるようになってしまったからなのか、湯西川温泉駅からバスに乗り込んできた人たちがめちゃくちゃたくさん居たのである。これまでは、鬼怒川温泉駅から乗り込んだ人数に、数人、湯西川温泉駅から乗り込んでくる人が居たとしても、それでも立ち客が出てくるようなほどは無かった。今年は思いっきり奥まで人が立って、ぎゅうぎゅう詰めになっていた。これで湯西川温泉駅を出発後、ほとんどどこにも停まらず終点まで運転されるバスの中を立ちっぱなしでいくとは、大変だ。なにしろ、道中は、山道なので、道なりにバスが移動する際に、左右に揺れまくる。体力がとてもいる道中なのである。おまけに、鬼怒川温泉駅を出発する際にトイレに行かなくても、湯西川温泉駅で休憩するから、そこで行けばいいやーと鷹を括っていたのだが、思惑が外され、客が乗り込むための時間で、時間調整の時間が終わってしまったということが起こった。だから、湯西川温泉に到着するまでのトイレの我慢は半端じゃなかった。最近、バスとトイレの相性が、個人的には合っていないような気がする。

湯西川温泉までの道中は、いちおう電波が届く。ただし、ドコモなら。ソフトバンクの携帯を持っている人は、この湯西川温泉駅を出発した途端に、電波の許容から外れてしまうので、単なる携帯は邪魔なツールでしかなくなってしまう。ドコモはほぼ人間がいける場所は100%カバーをしているので、こういうところは便利だ。バスに乗っているときに、立っていた人が、あまりにも暇だったから、iPhoneで何かウェブでも見たいと思ったのだろうか、iPhoneからアクセスしようとしたところ、アンテナが全く立っていないことに気づいて、「ソフトバンク使えん!」と騒いでいた。iPhone ではないのだが、こちらはドコモの携帯なので、携帯からツイッターへアクセスしたりして遊ぶことは可能だったが、人が降りはじめる温泉街に到着するまでは、いつの間にか寝てしまった。

そう、湯西川温泉にいくと、ドコモのユーザは電波が届くので東京都内にいるのと変わらないことができるのだが、ソフトバンクユーザの場合は、全く携帯を保有している意味が無くなる。会社や友達からの連絡をすべて断ち切って、のんびり湯西川温泉で過ごしたいというひとにとってはお勧めできるところだ。なにしろ、湯西川温泉のほかのホテルでもネットを完備しているところは無い。ということは、ネット生活から完璧に脱却してしまうことが可能なのである。ドコモユーザはネットが繋がるので、PCからの接続よりは不便を感じるだろうが、それでも繋げられないことは無い。

湯西川温泉から鬼怒川温泉へ戻るバスは、観光バスタイプだった。湯西川温泉の始発バス停は、お土産屋の前にあるのだが、バス停のポールが立っている場所で待っていても全く意味が無い。そんなところにバスは停まらない。対向車が来ても避けていられるようにするために、隣の旅館の駐車場に停まるのである。それを知らないと、せっかくバスに乗ろうとしても良い場所が取れないというオチになる。もう何度も来ていて、勝手を知っているので、もちろんバスには先頭で乗り込むことができ、一番先頭の運転手が居る側ではない反対側を占拠することができた。これだと、前と横で景色が見えるし、左側は湖側なので景色がいいのである。それに、足元もちょっと他の席に比べると広い。これが嬉しい。しかし、ちょうど鬼怒川温泉に戻るバスも、これは立ち客が満員になるほど超満員になっていて、バスが左右に揺れるたびに、車内ではきゃーきゃーいう悲鳴が聞こえた。

行きは湯西川温泉駅から乗り込んできた人が多かったのだが、帰りは湯西川温泉駅で降りる人がめちゃくちゃ少なかった。なぜこんなに少ないのだろうというくらい少ない。きっと、行きのときに「ここから電車に乗らなくても、フリー切符があるんだったら、最終的には鬼怒川までバスで行けばいいんじゃないの?」と思った人が多かったのだろうと思う。実際に、1時間に1本あるかないかの電車に合わせて駅から電車に乗らなくても、バスで鬼怒川まで行くのであればそれで行ったほうが楽に決まっている。

鬼怒川フリーパスを使うと、この路線バスも、鬼怒川温泉から先の一部区間もすべて乗り放題になる。それも3日間有効だから、今回のような三連休の場合、とても重宝する。だいたい、バスは片道1750円なので、それだけで往復3500円。さらにこれに浅草から鬼怒川温泉までの往復電車賃が入るわけで、このパスを持っているだけで十分元が取れるのだ。買うときには、東武の駅でも東武トラベルでも買えるが、うちのように東武線から離れたところに住んでいる場合には、JTBで買うのもいいだろう。ただし、1つの事務処理につき315円の追加料金を払わないといけない。まぁ、この程度の値段はゴミみたいな誤差だろう。

鬼怒川温泉から浅草に戻るスペーシアの場合も、鬼怒川温泉から乗り込むひとがすごい多くて、駅の構内は集団帰省者が溜まっている場所のような混雑振りだった。こんなに人がやってきているのは、景気が良くなってきたからなのか、それとも鬼怒川や湯西川の魅力が増えてきたのか、それともまた全然違う理由からなのか全然分からない。ただ、以前よりは格段にここの駅を利用している人は増えているというのは明らかに分かった。出発までの時間をどのように過ごすかは人それぞれだとおもうが、駅近くのお土産屋でぼーっとすることだけでも楽しいだろうし、狭い待合室でボーっとするのもよし。

車で移動するよりは、湯西川温泉に行くには絶対公共の移動手段を使ったほうが便利だ。

湯西川温泉へ(2011年)

正月明けの3連休は、ここ数年、湯西川温泉に行くことにしている。日本秘湯を守る会のメンバであり、毎年お世話になっている「平の高房」に行くことがそのお決まりのパターンである。1月の3連休に行くことはもう早いうちから分かっていたので、11月頃に予約をした。そのころに予約をした場合は、すんなり予約が出来たので、人気が無いのかなと思ったのだが、実際に宿泊をしてみたら、全室満室になっていたようで、早めに予約してよかったなーと思った。

ここ数年、ひっそりと山奥にある温泉町だというのが売り物だったのだが、なぜかどこかで話題になったためか、結構観光客が来るようになってしまって、雪の季節になると温泉と雪というスキーをしないひとでも楽しめるような環境が揃っているためか、騒がしくなってきたような気がする。おまけに、何を思ったのか、湯西川温泉まで続く山道を、バイパスが通るらしく、そんなことしたら、めちゃくちゃ車がやってくるんじゃないのかとおもって、心配している。

いつもの行きかたとしては、浅草から特急列車のスペーシアに乗って鬼怒川温泉まで行き、そこから湯西川温泉までバスに乗っていくというもの。特急列車は別途予約しなければならないが、乗車券と鬼怒川近郊のバスが乗り放題のフリーパスを使うのが一番である。いちいちお金を払わなくても良いからだ。特に、湯西川温泉と鬼怒川温泉間のバスは、片道1750円もするので、それをいちいち現金で払うとなると、降りるのが面倒くさいものだ。

乗る電車の時間もバスもだいたい同じ時間に出発しているものを利用している。今回も、浅草を12時ちょうどで出発する電車に乗っていくことにした。初めて鬼怒川温泉に行ったときには、当日に切符は買えば全然大丈夫だろうというナメた考え方で行ったのだが、これが大はずれ。ほとんど空席がなかったという経験があるので、それ以降は絶対に早めに列車の予約をすることにしている。バスは、電車の湯西川温泉駅から乗ることもOKであるが、座れない危険性がある。なぜなら路線バスだからだ。鬼怒川温泉駅から出ているので、それなら最初から鬼怒川温泉駅からバスに乗ったほうが良い。これについては別途記載したい。

電車の中ではちょうど昼ご飯の時間なので、乗る前に購入した弁当を広げて食べる。いつも使っているわけじゃない私鉄路線を、それも特急で乗っていると、やっぱり旅行をしているような気分になれるのは楽しい。もし、自分の会社や家が東武線沿線だった場合には、いつもの通勤通学路のような気分になるだろうから、少し高揚する気分が下がることだろう。

それでも、約2時間の電車の旅は楽しいものだ。

今年の湯西川温泉は去年に比べて雪の積雪量が少ないような気がした。寒さは変わらないと思うのだが、雪の量は少ない。でも、予定通り「かまくら祭り」は開催だということ。きっとたくさんの雪をどこからか引っかき集めてきたことなのだろう。とはいえ、湯西川温泉の街中にバスが入ってきたら、ほとんど雪で埋め尽くされている風景がやってきた。やっぱりここは雪が結構降ることなのかなとおもう。そして、雪の降る中を温泉に入ってのんびりするためにやってきたのである。