2013/02/02

海外ローミングサービスの末路

以前は、自分の携帯電話を持っていってもそのままでは利用できず、空港や現地で、その地で使える携帯電話に取り替えて利用するという方法しかなかったのだが、あるときから自分の携帯電話をそのまま海外に持って行っても、自分の日本での電話番号のまま渡航地で受けることが出来るし、渡航地からも日本や渡航地の国内に電話することができるという仕組みができるようになった。これは携帯電話を現地での連絡として使うときには非常に便利になったことは言うまでも無い。ただし、携帯電話の普及はできたのだが、なぜか日本で使っているときには電話よりも携帯電話会社のメールでやりとりするというメッセージ主体のコミュニケーションを海外で行おうとした場合には、海外では携帯電話会社のemailサービスというのが皆無に等しく、携帯電話でメッセージのやり取りをしようとした場合には、SMSでしかやりようがなかった。これではSMS自体、めちゃくちゃ電話代がかかるし、海外渡航先でSMSを受け取ったり送信したりする場合、一度日本を経由してやりとりするわけだから、1通送受信するだけですごい値段が掛かっていた。これでは使い物にならない。

そのうち携帯電話でもブラウザが使えるようなタイプの携帯電話が海外でも出てくるようになった。日本ではimodeが出てきたときにとっくに出来たことが、あとから海外のほうがそれに追いついてきたということなのだ。だが、海外ではなかなか携帯電話でのブラウザを経由したメールのやり取りというのはほとんど普及しなかった。なぜなら画面が小さいし、それに打つのが面倒くさいというところなのだろう。

ただ、携帯電話ではなかなか普及しなかったのだが、メールの文化と言うのは海外でも普及する。もちろんフリーメールなのだろうが、その発展版として MSN Messenger や Yahoo Messenger というのは普及した。これにより海外の人たちとは随分身近に会話が出来るようになったと思うし、もちろん海外にいながらにして国内の人と会話ができるようになった。その延長として出てきたのがSkypeだ。Skypeは文字メッセージはもちろんのことだが、どちらかというとアプリケーションを使った音声通話というのがメインとなるツールである。これが抜群に音声がいい。MSN Messenger でも Yahoo Messenger でも音声通話はできたのだが、途中のサーバが重いと全くこれが使い物にならないくらい音質が激悪になる。携帯電話の世界で既に音声通話が悪くても仕方ないということを考えるようになった下地は世の中出来上がっているとはいえ、MSN や Yahoo の音質は悪すぎた。音声が通ることができるという程度でしかなかったわけだ。Skypeの場合は、どんな環境でもこれが十分耐えうるくらいの音質になっていたので、人間のような耳では特に不都合には思えないくらいの音質で会話ができるのは便利だった。ただし、これはSkypeに登録している人同士でしかできなかった。

状況が変わってきたのは、SkypeがそれまでSkype同士のツールだったのに、Skypeから一般電話番号との通話が可能になってしまったことによる。Skypeはルクセンブルグの会社であったが、その国のゲートウェイまではインターネットを使うために、実質どこの国からかけても、相手の国がどこであろうとも、そこの国のゲートウェイまでは無料のインターネットであり、そこから国内料金で通話ができるというのがメリットになる。これで海外から電話をかけようとした場合には、自分の携帯電話で自国の人たちに電話するということが無くなり、PCを経由してSkypeから電話するというのが増えてくるようになる。

そこへ登場したのがご承知の通りiPhoneだ。iPhoneの普及により、iPhoneに搭載するアプリの豊富さ、手軽さ、操作性というのが人気の拍車をかけるようになった。もちろん先のSkypeもiPhoneに搭載できるアプリとして世の中にリリースされる。PCだと、その場所でノートPCとはいえ、一度OSを起動してそこで会話を開始しなければならないという面倒くさい状態ではあったのだが、これが携帯電話ならぬiPhoneにアプリが入ってしまうということは、常に手元にある端末から会話が出来るということになる。これにより、海外だけじゃなく、国内での通話についても、相手の電話番号にかけるのではなく、相手のskypeを呼び出して移動中でも会話をするということが可能になった。もちろん、このとき携帯の世界は3G回線であるために、通常のデータ通信の回線を利用して会話をしているということになるのだ。ということは、これまで電話をかけるには料金が従量制で掛かるという状態だったのに、アプリを使って音声通話をすれば、パケット定額料金に加入している限り、どんなに会話をしても無料ということになるわけである。

ただし、ここまで移動性とアプリの融合というのが出来たとしても、海外からの通話の場合には、海外の3G回線を利用して通話をしなければならず、海外の3G回線を使うときには、国内の定額性料金が全く通用せず、Skypeを利用しようとした場合、結局は3G回線を掴んでいる間データ通信をしており、その使用時間に比例して値段がかかるという制約から逃れられない。海外でも3G回線が使える状態は、前から自分の携帯電話で通話ができるという環境でもいえるのだが、これをローミングサービスという。つまり、日本で使っている環境を別の環境でも利用できるようにするサービスのことを指す。

iPhoneよりも前に世界では普及し始めたのが、公衆Wi-Fiサービスである。これを使うと、無線LAN経由でインターネットに接続できるというものだ。最初は携帯電話会社主導ではなく、ホテルやレストランが、集客のために無線LANのAPを自前で用意して、そのAP経由で無線が使えるよーということを宣伝したら、意外と街中にWi-Fiが使える環境が広がったというのが実情で、その環境に通信会社が自前でAPを置くようになったことで、ほとんど海外の主要都市ではあらゆる場所でWi-Fiを捕捉できるという環境は出来上がったということだ。しかし、通信会社が作ったAPだと、その通信会社と契約していない限りにおいてはその通信会社が払いだしているSSIDをなんらかの方法で知ったとしても、IDとパスワードではじかれてアクセスできないということになる。日本ではなぜかWi-Fiの環境の普及は非常に遅く、たぶん通信会社のほうが態と普及させないようにしていたとしか思えない。なぜなら3G回線を利用しない環境は、通信会社にとってはなんのメリットも無く、むしろ回線利用が無いということはおまんまの上がりがないことと同じであるからだ。

しかし、世の中の動きは止められない。特に海外のほうでは、Wi-Fiは無料で一般的に使われるのが当たり前だという風潮が出来上がってくる。特に人が集まるようなデパートや空港を中心に、ショッピングモールはもちろんのこと、レストランや駅なんかも当然無料で使えるWi-Fiが出てきた。旅行者は持っているPCまたはiPhoneそしてスマホを使えば、Wi-Fi経由でコミュニケーションが気軽にできるという環境が出来上がってしまうわけである。となると、ツイッターやフェイスブックなどのツールを使って、文字と画像、なかには動画をその場でアップロードできるという環境ができるわけだから、表現の広がりは大きく広がった。そして、それまではタイムリーに情報が取れなかったのに、いつでもどこでも必要な情報を無料ですばやくゲットできるようになったわけだから、ガイドブックさえも持ち歩かなくても旅行ができるということになるわけだ。これが旅行者目線ではなく、一般住民にしたとしても、ネットにつながるアプリはすべてWi-Fi経由で利用可能であるということは、携帯電話のこれまで頑張って作っていた3G回線を利用せずとも、ネットにつなげられ、ネットを楽しめるということになる。

つまり、海外からの渡航者が自国のモバイルフォンを持っていたとしても、それはローミングで渡航先の通信会社の回線を利用してコミュニケーションをするということから、持っているいかなる端末からもその場所のWi-Fiを利用して気軽に無料でコミュニケーションができるという環境が出来上がってしまった。日本の場合は、通信会社が主導として通信環境を作り上げてきたということがあるが、これまたガラケーの世界と同じように、世界の動きから完全に乗り遅れてしまった。たまたま、ソフトバンクがiPhoneの爆発的な売り上げによって、自社の3G回線を圧迫するからという理由から、レストランや美容院やあらゆる場所にソフトバンクの携帯電話と契約しているひとたちだけがアクセスできる無線APをめちゃくちゃたくさんばら撒いた。これによって、ソフトバンクは自社の3G回線の圧迫を回避することができたのだが、ドコモの場合は自社回線に余裕があったので、Wi-Fi+有線回線を使って無線の回線圧迫を回避するという考えが全く出てこなかったのは言うまでも無い。

海外のひとが日本にやってくると、「なんで日本はWi-Fiの環境がすくなく、そして無料じゃないの?」というのはちょっと前によく聞いた話だ。アジアだけじゃなく、ヨーロッパのほとんどの街でも最近は無料アクセスAPが街中に吹いており、それを渡航者が自由に利用することができる。これでは無線通信会社は商売あがったりだ。でも、この流れは変えることは出来ない。日本でもようやくWi-Fiが普及したのだが、それは日本の環境だけの変革にすぎず、日本の通信会社としては、日本のユーザが海外に行ったときに、海外からローミングを使って海外で自国で通話しているかのような通信をしてくれなくなったことで、ローミングサービスによる通信会社間の手数料収入が全くといいほど少なくなってしまったというのが現実である。

ローミングサービスによる収入が激減したことによって、日本の通信会社は次に「海外に行ったら1日1480円でデータ通信は使いたい放題にできます」というサービスを開始した。ところがこれは最初は「ほっほぉー」と思われて飛びついたユーザは多かったかもしれないが、上述の通り、海外では無料で吹いている無線APがあらゆるところにあるために、この1日あたりの定額データ通信というサービスは、言われるほど使われていないのではないかと思われる。だいたい1日1480円って高すぎだろう。1日あたり100円だったら使わなくも無い。1480円って、国際的チェーン展開しているホテルでもよく24時間15USドルでネット環境を利用できるというふざけたところも結構あったりするが、そんなのは金持ちの道楽でしかなく、金持ちは金をバンバン使えばいいわけだ。みんながみんなそんな金持ちであるわけじゃない。だけど、街中に無料の無線APがあるというのであれば、ほとんどの人がその無線APを使ってネットにつなげたいと思うのは当然である。通信会社の国際的戦略はもろくも崩れた。これを元のようにユーザが通信に金を払うという構造は戻ることは無い。

ますます無料の無線APの数は世界的には増えてくるし、日本でも増えるとは思われるが、やっぱり日本ではどうしても通信会社の縛りというものから逃れることができないようで、APの数は増えてきたとしても、その通信会社と契約が無い限りにおいては吹いて捕まえたAPは利用できないという状態になっている。完全に日本は世界から動きが遅れた。これは海外からやってくる観光客に対して悪いインパクトを確実に残した。観光庁が発表する訪日外国人旅行者の受け入れ環境の章に、「平成23年度第2回訪日外国人旅行者の受入環境整備に関する検討会(平成24年1月30日) 」というのがあり、そのなかで【資料3参考1】外国人旅行者アンケート調査結果がある。これのなかに「旅行中困ったこと」という質問があるが、その答えとして、一番の答えが「無料公衆無線LAN環境」が約37%の人が答えているものである。そう、海外では無線LANは無料で使えるのは当たり前ということになっているのに、いまだに日本では通信会社主導の下で無料では使えないという環境になっているのが、観光客の不満を助長させていることに繋がっているのである。いまは観光客が即座にその場からネットにアクセスして、あらゆる情報をダウンロードするとともに、自分から情報発信するのが一般的になっているのだが、その場という瞬間的なことに無料AP利用ではないことから活動をそがれた印象を訪日外国人は思うのである。これでは観光立国の道は遠いに決まっている。

しかし、通信会社としても商売があがったりになる事業に、わざわざ金をだしてまで整備するのかというとなかなか難しい。ここはやっぱり行政が主導として、街全体にWi-Fiを吹かせて、それを誰でも無料で使えるという環境を整備するということが緊急的な課題なのではないだろうか?これが観光客を呼び込むためのツールの1つであるのは言うまでも無い。もうなんでもかんでも金でやらせるということの時代ではない。無料でどこまで客を喜ばせるかというところに時代は向かっているのである。通信会社もインフラつくりの限界が来ているところだし、これ以上、ユーザから金を取るという時代ではなくなったのは確かだ。あとは、いまだに従量制課金として徴収している音声通話を早く定額化するしかなく、これをしない限り、どんどん国内でさえも音声通話はLINEなどのアプリケーションによる通話にユーザは逃げるのは当たり前である。無料に勝つためには無料で対抗しないと無理だ。

さて、日本の通信会社の正念場が来たことだろう。MBA保有者はどの通信会社もたくさんいるんだろうから、そういう人たちがマーケット動向と今後の通信会社はどうあるべきかということを、フル回転で脳みそを使って考えればなんとかなるんじゃないのだろうか?そのために彼らは会社の金を使ってMBAを取得していたわけだから、今こそ会社に対して恩返しする時代なのだろうと思う。

観光庁 - 訪日外国人旅行者の受入環境整備
URL : https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/ukeire.html

PM2.5とは?

中国からの大気汚染が話題沸騰中だ。PM2.5と呼ばれる微粒子が風に乗って日本にもこれから普通にやってくるというのが問題になっている。そもそもPM2.5っていうのは、粒子の大きさが2.5マイクロメートル以下の微粒子のことで、花粉症対策のマスクでは全然効果が無く、PM2.5は花粉よりも数千分の1しか大きさがないので、あんなマスクなんかささーっと通り抜けてしまうというためである。

なぜ中国からこんな物質がやってくるということになったかというと、中国のこれまでの急激な経済成長による環境破壊が原因であるのは言うまでも無い。でも、これは日本が経済成長する際に公害問題という絶対避けて通れないところを経験した時と同じように、いまの中国がまさしく日本の1960年から1970年代で経験した状態を短期間で行っているだけのことだ。しかし、あまりにもその成長が急激すぎるために、中国政府としては、公害を抑えて経済成長が止まると、今度は経済成長のストップによる国民の不満が政府に跳ね返ってくることをただ恐れているから、公害は出ても経済成長のストップは絶対に止められないという、もうほとんど病的な縛りに勝手に陥っている状態であるのが現状だ。

PM2.5の原因は石炭などの燃焼で生じる細かいちりのことであり、これは肺に入るとそのまま肺に張り付いて喘息になるきっかけである。中国の場合は、工場の煙突から有害物質は出ているのは当然なのだが、実は一般家庭からもバンバン排出しているのも原因である。なぜかというと、石油ストーブだけじゃなく、まだまだ石炭による暖房をとっているところが多いわけで、人口が集中している上海・北京はもちろんのこと、内陸部も含めて全面的にPM2.5の発生はどこから出てもおかしくない状態なのである。そして、中国政府はこのPM2.5の発生する原因を押さえ込むようなことは全くしていない。これをすると、中国国民の生活に支障が出てくるのは当然分かっているからである。だからといって、急激に原発をバンバン作って、全部電気でまかなえるかというと、そこまでの投資はどうやら中国ではやらないらしい。さすが、公共に関しては全く金にならないために、金にならないことには働きもしないという考えがある国だ。日本の場合は公害問題を期に「公を守ることが重要」という風潮が整っている環境がある。中国はまだそれが無い。

PM2.5の重大な発生源になっている中国だが、今後はPM2.5だけじゃなく黄沙も一緒にやってくる。黄沙とPM2.5が一緒にやってきたら、もう日本人は手の施しようが無い。少しは分散されて、日本に不時着するときには少しは拡散していると思われるが、それでも無しになるということはない。PM2.5が黄沙にくっ付いて、風に乗って日本にやってくるというのがこれからの季節に行われる。しかし、PM2.5のことは今年になって始まったことではなく、こんなのはもっと前から飛んできていたことだと思う。だから、今年になって中国からPM2.5の飛来に対して恐怖があるというのは、ちょっと不思議な話だ。ただ、去年よりは確実に北京の空は酷いことになっているのは事実である。青天の日でもほとんど真っ暗な状態になっている空になっているのが北京。昼間でも車のライトを点灯しないと全く前が見えない状態は、もうほとんど火山灰が降ってきたのと同じときだ。これでは昼間に外を歩いていると、いきなり車がやってきて車に轢かれるということになりそうだ。さらにいうと、こんなに真っ暗になるくらいの空気の中を歩こうなんていうのは思いたくも無いのだろう。

花粉症の時期になると世の中はマスクをしている人たちが結構いっぱい見かけることになるのだが、テレビで映る北京の街中では、普段使用しているマスクではPM2.5は全く役に立たない。なぜなら花粉よりも全然小さい大きさのPM2.5の物質はあの程度のマスクじゃ普通にマスクを透過して口の中に入る。それじゃ、日本では対応の方法がないのか?というと実はある。医療用のマスクとして使われているもので、N95規格マスクというものがあり、これだと対応可能だ。N95という規格は、アメリカで作られたものではあるが、フィルタの細かさを表す指標のこと。空力学的質量径でおおよそ0.3μmの粒子が95%以上捕集できるという意味のことである。PM2.5はこの粒子よりは大きな粒子であるために、マスクとしては対応可能であるというのは、この規格で対応可能だからだという意味である。

ただし、N95規格マスクは結構高い。それに一般の薬局ではなかなか日本では見つからないのだが、香港あたりだと実は前から騒がれているために、結構お手軽に手に入る。というのも、やはり鳥インフルエンザの発生と拡大にその起因があるのだと思われる。日本でも大々的に鳥インフルエンザのことが流行ったときもそうだが、福島原発がぶっ壊れたあとの空気上に放射能が一気に漏れたときにも、騒がれ始めたときに香港から「マスク送ってあげようか?」という連絡が結構あった。なので、N95マスクの存在は前から知っていたのだが、原発爆発による放射能拡散の時には眼に見えないものであるからということもあるのだが、半分諦めていた。特に呼吸が困難になるわけじゃなく、徐々に放射能に犯されるということは分かっていたからである。ところがPM2.5の場合は、肺の中に付着すると息苦しくなることは分かっているので、だったら先にN95マスクを買って、これを口の中に入ってくるのを防ぎたいと思ったのである。

薬局やドラッグストアに行ったら全然商品が置いてなかったので、仕方なく楽天のサイトにアクセスしてみて、商品検索をしてみる。もともと楽天ポイントは結構持っていたのだが、これは溜まるだけ溜まって、まったく使っていなかったので、このときに使うのも良いだろうとおもって調べてみたこともある。しかし、調べてみて分かったのだが、3M社製のN95マスク 9010N95(1箱50枚入)の値段が1箱あたり6,825 円。結構高いじゃないか!でも、ポイントを使うにはこういうときにしか使うことが無いので使ってみた。そして、どういうものかフィット感もわからないし、効果もよくわからないので、1箱だけ買ってみることにした。まだ楽天は在庫があったのだが、そのうち楽天でさえも在庫がなくなる可能性がある。それは世の中にN95マスクが知れ渡って、ドラッグストアにも存在しないからネットで買おうとするひとが増えるだろうということが考えられるからだ。

N95マスクはカップ型のマスクであり、普通の綿のマスクに比べると、本当になにか空気を塞いでいるというのがよくわかるものだった。しかし、このマスク、ちょっと難点があった。普通のマスクは耳に紐をかけるような形で口を塞ぐのだが、このマスクは上下に分かれたゴムを頭の後ろに回してつけるものだ。ちょうど、感覚としては、ふた股に分かれている水中眼鏡の紐が頭蓋骨で固定するようになるのと同じである。だから、一度マスクをつけると、しばらく外すのはいやになるくらいだし、第一髪の毛をセットしている人は、マスクをつけるときに、一度髪の毛がめちゃくちゃになるという欠点があるのだ。ただ、これをガマンすれば、マスクによってどんな汚い空気も全部防いでくれるという安心感は絶対ある。

マスクのほかに、家でやるべきことは、花粉症の家には絶対存在する家電製品として、空気洗浄器があるのだが、これを買うことだ。中国では、シャープのプラズマクラスタ機能がある空気洗浄器が爆発的に売れているということが知られている。1台だけじゃなく、同じ部屋に数台の空気洗浄器を使って良い空気にしているという中国人家庭が多いようだ。日本でも空気洗浄器はいまや必須になったものだと感じられる。うちでもエアコン兼空気洗浄器があるので、今の家では空気洗浄器に特化した家電は自分の部屋だけにおいているが、リビングではエアコン兼の空気洗浄器で稼動している。しかし、この空気洗浄器でどれだけ空気を綺麗にしているのかというのは本当のところ微妙だ。

日本でもPM2.5の空気については話題になっているのだが、どれだけ地元の空気が汚れているのか、良い状態なのかというのは環境省のサイトからみることが可能だ。ニュースで「今日はヒドイ」ということが流れると、すぐにこのサイトが重くなって、ほとんどリプライが出てこないというくらいの盛況になる。しかし、PM2.5の濃度がどの程度になっているのかは注目していたほうが良い。それよりも、一般的に、光化学スモッグが発令された場合には、地域の防災アナウンスで「発生しました」というのが流れるが、PM2.5の濃度があがったというときには、まだどの地方自治体も「発生しました」というアナウンスを流すルールが作られていないように思われる。となると、住民自体が自主的に調べて、外出しないとか、家の空気の状態を努力して良いものに保つということをしなければならないわけだ。行政の対応が遅いといわれればそのままだが、なかなか行政側も年間費用というのが最初に決められているので、その範疇外の目的で金を使うのはなかなか難しいのだろう。

微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
URL : http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html

東京都の大気汚染地図情報
URL : http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/cgi-bin/bunpu1/p101.cgi




初めてのポルトガル行きを計画中

今年のゴールデンウィークはどうしようかと考えてみた。今年のゴールデンウィークは中3日お休みすれば、なんと10連休が取れるというスペシャルな日並びだ。これだけ長い休みを取れるのであれば、やっぱりヨーロッパに行きたい。昨年はゴールデンウィークも夏休みもなぜかオランダに行ってしまったのだが、まだまだヨーロッパには行くべき場所がたくさんあり、行ったことがないところもたくさんある。だから、今年は行ったことが無いところばかり行ってみたいと思った。ポーランド、フィンランド、スイス・・・。オランダに行ったときに、プロテスタントの地域は街並みが綺麗かもしれないが、あまりにも簡素しすぎてつまらないし、教会なんかも公民館化しているために、宗教的施設というイメージが全くなくてつまらないなという印象はあった。だから、今度行くのであれば、カトリックかまたはオーソドックスのところの場所なら行きたいと思ったわけである。

そんな未踏の地として今度行こうと思ったのが、イベリア半島の端っこのポルトガル。ポルトガルと日本の関係は昔はかなり濃密だったのは歴史を勉強したことがある全日本人ならわかること。だけど、ザビエルがやってきたとか、種子島に銃を持ち込んだというようなことは知っていても、それ以降、ポルトガルと日本の関係がなにか親密的になっていたかというと、全くその事実は知らないし、ポルトガルの位置と国があることは知っていても、ポルトガルには何があって、なにか特色のあるものがあるのか?と言われると全く知らないところである。最近ではサッカーブームであることも手伝って、フィーゴのような大スターを輩出したサッカー強豪国であるということは知られるようになったが、ポルトガル語を話すブラジルは注目度が高くなったとしても、その本国であるポルトガルなんかは全く誰も注目していないし、PIIGSと呼ばれるヨーロッパの経済的にダメな国の1つに名を連ねているくらいどうしようもない国として注目されているところだ。

しかし、この国、かつてはスペインと世界を二分するくらい勢いがあった国であり、あちこちにポルトガルの息が掛かった土地を作り上げた土壌の本丸である。特にアジアにはポルトガルと密接があった場所が結構多い。台湾を「イラ・フォルモーサ」と呼んだことも有名だし、マカオは中国に併合されるまでポルトガルの植民地だったし、港町のマラッカもポルトガルの土地だったし。インドの西海岸もポルトガルの植民地として君臨していたところである。アジアはポルトガル、南米はスペインがその領土獲得のために大航海時代を駆け巡ったところだ。

そういう歴史は知っていても、ポルトガルのことは全く知らない。知らないからには是は行ってみないとどういうところなのか判断も出来ないし、変な偏見だけが入って、正しくその国を知ることも無いだろうということと、カトリックの国であるからには、絶対ご飯が美味いし、派手好きだし、荘厳な様子も絶対街角には普通にあるだろうと期待する。

ポルトガルには興味は前からあったとしても、行くきっかけが全く無かった。だいたい日本からの直行便はないし。必ずヨーロッパのゲートウェイ都市を経由しなければならないという面倒くささがあるから、ちょっと遠のいたのだが、そうはいっても、直行便が存在しないがハンガリーやチェコにもいったことがあるわけで、直行便が存在しないから行かなかったというのは理由にならない。どうも、昨年のプロテスタント国・オランダの簡素すぎる雰囲気があまりにも拍子抜けしたからかもしれないが、その反動でコテコテのカトリックの国に行きたかったのかもしれない。

今回のポルトガルに行く方法としては、直行便がないために、どこの都市を経由しようかまずは迷う。フランクフルトやバルセロナとかパリなんかも考えたのだが、いつものごとくヨーロッパまではシンガポール航空で行くことにしているので、そのヨーロッパ到着都市をどこにするかで決まる。しかし、ロンドン以外の都市の場合、結構乗り継ぎが面倒くさいくらい掛かるということと、ロンドン行きの飛行機は結構便数が多いために、これに乗れば結構便利にいけるということがわかったから、今回は一度も経由地として使ったことが無いロンドンを経由することにした。

ロンドンを経由地にしようと思った理由はもう1つある。イギリス料理のマズさについて徹底的に調べようと思ったからである。イギリス料理のマズさは世界的に有名だが、それでも最近ロンドンにはうまいレストランができたという。でも、それはイギリス料理ではなくて、フランス料理やイタリア料理などイギリスではない料理を提供しているところであり、純粋なイギリス料理はイギリス人でさえも不味いと言わしめるものだから、きっと味にきびしい日本人からからするとすごい不味いんだろうと想像していたからだ。名探偵ポアロがドラマの中で「イギリスには料理はありません。食べ物しかありません。」という名セリフを口走っていたが、まさしくそのとおりなのかを調べてみたかったのだ。おまけにポアロは「イギリス人がチーズを作ったら、あたしは本国のベルギーに帰りますよ」と言わしめるくらい、料理に対してイギリス人は未開の土地の人間以下のようなところなのだとポアロは言っているのだ。せっかくロンドンを経由するなら、1泊してそのクソ不味いと言われる料理を食べて「やっぱりまずいね」と納得してみたいところなのだ。

行きにロンドンで1泊するか帰りにするかは悩むところだったが、ポルトガルでお土産になるようなものが無かった場合には、ロンドンに後で行けば、なにか見つかるだろうというと思ったので、そのためだけの理由であとにロンドンで1泊するような旅程を計画する。そのロンドン滞在時に不味い料理を提供するレストランを探して、そこにいってみたいのである。

よって今回の旅程としては下記の通りで行こうと思っている。

■往路

04/27 SQ633 HND 00:30 → SIN 06:30
04/27 SQ308 SIN 09:05 → LHR 15:30
04/27 TP357 LHR 18:30 → LIS 21:10

■復路

05/04 TP352 LIS 10:10 → LHR 12:50
05/05 SQ317 LHR 11:30 → SIN 07:20+1
05/06 SQ12  SIN 09:25 → NRT 17:30

行きは羽田から、帰りは成田到着という航路にしてみた。連休の前日に会社から帰ったらそのまま羽田に行って、高飛びするという理想的なことをしてみたかった。それが出来るのは、実は今回ロンドン経由にしたからであり、シンガポールからロンドンへの路線は1日に数本あるから、乗り継ぎが便利だったわけである。他の都市経由だとすると、シンガポールを夜中に出発する便しかないために、羽田から出発すると、早朝の何の店も開いていないシンガポールの街並みをみてもつまんないだけだし、普通に成田から行くということのほうがまだマシだが、成田にいくのが面倒くさいといういい所と悪いところが重なるものなのでいつも不満に思っていたのだ。帰りも羽田にするとすごい楽になるのだが、羽田到着になる場合には、ヨーロッパに滞在している時間がちょっと短くなるという難点がある。さらに日が変わる寸前の夜に羽田に到着する便を選ぶということもないことはないが、それだと羽田から家に帰ってくる場合、空港バスがなくなってしまうという難点があるから、それだったら、帰りは時間を気にする必要がない成田でいいじゃないかとおもうわけだ。車で羽田にいくなんて、疲れているのに運転するなんてバカバカしくていやだからである。また、初めて、スターアライアンス系列のエアー・ポルトガルにも乗ることになるので、これも楽しみだ。

泊まるところは滞在中はリスボンだけしか選ばなかった。リスボンからいろいろな街に行くことにしようと思ったからである。荷物を持って移動する事自体がイヤだからだ。リスボンから第二の都市ポルトまでも片道3時間半程度でいけるわけで、朝早い便の電車で行けば何の問題もない。結構調べるとリスボンの周りも日帰りで行くべき場所がたくさんあったからだ。ポルトガル初めての回なので、まずはリスボン周辺だけでもいいからじっくり回ろうとおもったし、これで気に入ったら、今度はポルト中心に回ってもいいかなとも思うわけだ。たぶんポルトガルは気に入ると思う。そういう国だということは想像できるので、あのつまらないとおもっていたオランダさえも連荘で二回も行ってしまったのだから、たぶんポルトガルは何度も行く場所の1つになることだろう。

従って、今回のリスボン滞在は1つのホテルにしたわけだが、これもいつも使っているホテルチェーンである、シェラトン・リスボン・ホテル&スパというところにした。部屋などのついては実際に泊まってからこれは報告したい。

ポルトガルに関する本は実は結構出版されている。こちらについても渡航前には片っ端から情報収集のために読みこなしておきたいと思う。ただ、それと同時に全く知らないポルトガル語についてもちょっとは勉強してみようかとは思うが、間に合うだろうか?そこは、ポッドキャストの「地球の裏側ニュース」でポルトガル語を少し知ってみようかと思う。

Sheraton Lisbon Hotel & Spa
URL : 公式サイトはこちら

地球の裏側ニュース
URL : 公式ブログ

TAP Portogal Airline
URL : 公式サイト

急激な円安とアベノミクス

2012年12月の下旬、3年半くらい続いていた暗黒の時代がようやく終わった。民主党政権が自滅崩壊して、自民党に政権が移ったわけである。安倍内閣の誕生を産む土壌が出来た瞬間だ。それまでの民主党は、自民党から政権を奪取し、脱官僚・国民目線なんていう奇麗事のような文句を並べまくっていたのにも関わらず、彼らが政権を採ってみると、これがクソ政権であったことがすぐに一般国民であることにバレてしまう。脱官僚どころか、何も知らない田舎モノが先端的な知識を持っているひとたちに洗脳されていくのと同じように、官僚に委ねることばっかりして、自分たちの頭では働かないようになる。でも、さすがに最初だけは頑張って脱官僚で実行していったが、疲れていくのか、官僚の言いなりになっていたほうが楽だということに気づいたわけである。さらにこのクソ政権がやったことは、売国奴のようなことばかりで、一体誰に対して政治をやっているんですか?中国と韓国にいい顔ばっかり向けてなにか日本にいいことがあるんですか?ということばっかりやってきた。おかげで、彼らは図に乗ってさらに日本いじめにやってきたわけだ。

そんな嫌気をさした政権に対して2012年10月ごろから「もうこの政権の無能ぶりには早く政権崩壊したほうがいい」というムードが漂うことにより、民主党がダメなら次は自民党だし、自民党になったほうがまだマシだということの期待が経済界を中心に生まれてくる。これによって、低迷しきっていた株価が7000円台からじりじり上がっていく結果になる。こういうちょっとした市場の動きが見えてきたところに政権交代が始まり、安部政権が誕生してきたことは周知の通り。その安部政権、外務大臣の麻生大臣もそうだが、なにかやりそうなひとたちばっかりの集まりだということは顔ぶれを観ても分かる。これまでの民主党の無能大臣、口だけワーワー言っていて、行動が伴わないやつらと違い、考えと行動をもっているひとたちが政権に就いたわけである。こうなると、日本国内は「もう低迷なんかやっていられない」という期待ムードが出てくるわけである。

これを世間では「アベノミクス」と呼び始めた。株価がちょっと好調になってくると、今度は為替レートも変化が現れてきた。それまでは日本がなにかやったからというわけじゃなく、ドルとユーロがダメな状態だったために、相対的に日本円が強くなってしまったという円高状態に長くなっていた。ドルも76円くらいになっていたし、ユーロも95円くらいになっていたし、海外旅行大好き人間としては、多少高くても円高の影響でそんなに高いとは思えないような値段でホテルに泊まることが出来たというありがたい恩恵を受けられた。しかし、商売人をやっているひと、特に輸出企業に勤めている人たちは、円高になっていることで全くモノが売れない状態になっていて、会社はジリ貧になってしまったということだったが、株高+円安傾向になったことによって、なにか儲かっているかもしれないという全く実体の無い金の動きが始まり、景気は好調というような風潮が生まれてきた。

ただ、間違っても安部政権は「何かをした」ということや「何かを宣言した」というよなことは何もしてない。麻生大臣も「なにもしていないのに、なんでこうなっちゃったんだろうね?」とコメントを残しているくらいである。国民の期待は高い。それに便乗して、海外の投資かも日本の市場にまた戻ってきて、実体のない市場の動きに加担してきたから面白い。なにか安部政権がやってくれるのだろうという期待ばかりなのだろう。しかし、なにもしていない状態でもあるが、なにかしてくれるだろうという期待が大きすぎて、開けてみたらなにも出来ていない人たちの集まりだったというガッカリ感が出てきたときには、その反動がどうなるのか考えると結構怖い。

たぶん2012年度の年度末、それも3月の利益確定の時期までは上昇機運で株買え買えモードが充満してくるだろう。そのあと2013年度になったときに安倍政権がどのような方針を出すかによって、日本経済が本気でどっちの方向にいくのかが決まるものだと思う。ただ、それも帳簿上の儲けを騒いでいるだけじゃなくて、サラリーのような一般庶民に対してわかりやすい利益還元が無い限りにおいては全く日本国民にとってはなにが景気がよくなったのかという不満が出てくることだろう。一番良いのは、投資ファンドをやっているとレーダーたちがバンバン日本で金を使って、その金をまた別の形で金を廻すということをしなればならないことだ。帳面上の儲けたというだけのことや、ファンドマネージャだけが儲かって、それを全部貯蓄や別の投資に廻すというではなく、無駄なものに金を使うということをしない限りにおいては、日本経済の再発展はないわけで、一部の富んでいるひとたちだけが裕福になるという中国式のやりかたを短期間で日本でも実現してしまうというクソみたいな現象になることだろう。そうなると、日本国民は不満と期待はずれのために、今度は自民党さえもぶっ潰そうということなるし、ますます政治離れになることだろう。そうなると、今度は信者でカバーしている公民党がのさばってくることになるので、それもイヤだ。

さて、アベノミクスがどのように変化するのか注目に値するところだが、この動きに便乗しないで、ただ指をくわえているだけで外野から見ているだけじゃおもしろくない。もちろん、自分もこの動きに金が無いなりに便乗してみた。どのように動くかは日本の政治家次第ということもあるが、そのミラクルな動きにしばらくは注目をしていたいと思う。

サイパン全体の印象

クリスマス時期にサイパンに初めて行ってみて思ったこと全般に付いてここでは記載したいと思う。
ハワイより日本に近くて海が綺麗な場所として、一時期、グアムやサイパンに行く人と言うのは多かったと思う。確かに、まだまだグアムはその人気は続いているようだ。ハワイまだいくには6時間半、グアムまでは3時間だということを考えると、街の大きさは別にして近くて綺麗で暖かい場所というのを求めるには、ちょうど良いところなのだろう。しかし、グアムはミクロネシアエリアでは一番の都会であるのだが、そうではなくサイパンへの渡航はどうなのかと個人的な印象を見てみると、確かにいまでも日本人はそれなりに来ていると思う。が、グアムほどの人気はなくなっていると思うし、サイパンにわざわざいくというメリットが全く無いのである。海の綺麗さは海岸があまりよくなく、浜辺ではなく磯辺のところばかりだからということもあるのだろうが、あまり子供づれでサイパンに来ているという人は多くないように感じた。だいたい一番の繁華街についても「これが繁華街?」と思うくらいどうしようもないくらい寂れている。寂れているという意味では鬼怒川温泉駅近くほどではないとは思うのだが、いちおうDFSはあるとしても、10分もあるけば繁華街の端から端まで歩けるという程度であるのだ。

それくらいの小さいな場所であるため、わざわざサイパンに行くというのは、グアムに厭きたからとか、グアム便の飛行機に空きがなかったので、似たような場所であるサイパン行きでもいいかという理由で選んできているひとなのではないか?という印象が拭えない。グアムの場合は、空軍基地もあるために、そこで働く地元の人、または空軍に従軍しているひとたちが結構いるために、そのひとたちの遊び場としても発展しているのだろう。ところが、サイパンは空軍基地もそうだが、海軍基地もない。だから、単なる小島なのである。しかし、ロタ島に比べると島の大きさがちょっとは大きいから、それなりに街になっているだけだということと、国際線の飛行機がちょっとは就航しているということだけがメリットなのだろうと思う。

日本人だけじゃなく、韓国人も結構サイパンに来ていることは分かった。しかし、まだまだ英語表記以外としては日本語以外の言語はここではあまり目に付かない。つまり、サイパンの経済発展は、日本人による渡航が命となっているということなのだろう。韓国人もさすがに渡航熱が出てきたとしても、やっぱり近隣にグアムという大リゾート地があるために、ミーハー的にそちらに流れていくのは否めない。だから、グアムでは一時期、日本人が来るよりも韓国・中国人が来るほうが多かったので、日本語よりも韓国・中国語のほうを優先するような店もあったみたいである。客が来なければそれなりのニーズは生まれてこないので、サイパンでの韓国・中国人のための設備が全くないことから考えると、それほどまだまだ来ていないのだろうというのは想像できる。

グアムに比べるとサイパンは確かに田舎だ。背伸びしようとしてそれが実力に伴っていないという地方都市に良く似ている。だから、人が良いという印象はある。南国の人はフレンドリーというのはどこでもそうだが、ここでもそれは該当するし、もしかしたら、それはホテルの従業員だけを見ているからそう思ったのかもしれない。なにしろ、宿泊客は動く財布としてしか観ていないかもしれないからである。そして、サイパン特産になるようなものは正直ここにはない。グアムも何も無いところなのだが、あそこは外からの物資を全部一括集中して輸入するところであり、サイパンはグアムから物資を供給して貰っているということもあるので、物流的にコストがかかって、結局物価がそんなに安くも無いところでもある。田舎であるうえで物の値段がそんなに安くないというところに、観光客としてなにが魅力があるのだろうか?

じゃぁ、自然か?文化か?というと、同じチャモロ系統の住民が住んでいるグアムとサイパンは、アメリカ信託統治以前から交流はあるために、グアムの文化もサイパンの文化もたいして変わらない。そして、戦前はどちらも日本が信託して統治していたところなので、どちらも日本語が結構通じるところである。見るべき自然や遺跡がどうかというと、サイパンよりグアムのほうが自然も遺跡もたくさんある。サイパンは何も無いに等しい。戦時中の戦車や戦闘機の残骸なんかも、グアムのほうが断然多い。海の方にいくと、ダイビングポイントはグアムのほうが結構深いところが近くにあるので、ポイントとして初心者から上級者までいろいろな人が楽しめる。サイパンは浅瀬のところしかないようなものなので、上級者のひとは来そうもない。こう考えると、まったくグアムにしか軍配があがらず、なんでサイパンに行かないといけないのかという理由が全く分からないのである。ださらに住民に目を移すと、チャモロ文化なんかどこにも見当たらない。見世物小屋のようにナイトショートして、ファイアダンスをやったりするような大型ホテルのショーはあるけれど、それは文化として継承しているのではなく、単なる見世物としてやっているだけ。

二度目のサイパン渡航があるのか?というと、値段が安ければ別に行っても良いかなという気がする。それはグアムみたいに人ごみで溢れているというところではないからという点だけだ。あとは、また友達に付き合って、ユナイテッド航空に年間4便乗らないといけないという修行の旅に付き合うという目的以外には行かないと思うからだ。

必死になってサイパン内でサイパンの良いところをケーブルテレビを経由して宣伝していいるチャンネルがあったのだが、あれをサイパンで宣伝したところでどうしようもないと思う。なぜ日本のTVで必死になってアピールしないのだろうか?既にサイパンにやってきた人たちに、サイパンにはこういう魅力あると説明したところで、すでにサイパンに来ている人たちで、渡航の理由はそれぞれまちまちだろうが、納得の上でサイパンに来ているんだから、そういう人たちに触れ込みを入れても意味が無い。渡航してきた人たちがサイパンの宣伝活動をしてくれるための期待を込めて行っているのか?だったら、そういう宣伝よりも丁重におもてなしをしたほうが、よっぽどサイパンに対して好印象を持ってくれて、リピータとしてサイパンに来てくれることだろうとおもうし、そこから友人たちに宣伝されるということも考えられるのだ。

サーチャージをゼロ円に近いくらいの値段で航空会社が用意すれば、サイパンに行く人たちはめちゃくちゃ増えると思う。いくら航空運賃が安いといっても、サーチャージが航空運賃と同じ値段だったりすれば、渡航者にとっては2倍の料金を払っているのと同じである。アメリカが石油大国の維持でアメリカの航空会社のサーチャージはとりませんっていうことを宣言したら、アジアに流れているひとの流れをミクロネシアに戻すことは可能だろう。このまま何の発展も無いままミクロネシアの地域が、ただ口をあけて渡航者が増えることを待っているというのでは、没落するだけであると思うし、鬼怒川温泉郷と同じ運命になることは目に見えている。

サイパン空港

サイパン渡航のところで書き忘れていた点があったので、追記の意味で記載することにしよう。ここではサイパンの空港のことに言及する。

2012年のクリスマス時期に行ったサイパン渡航は、勝手にサイパンがある場所は「北マリアナ連邦共和国」でアメリカ統治下であるグアムとは違う国扱いだと思っていたのを間違っていたということに気づいたのは、「サイパンに向けた入出国審査 」の項目で記載したとおりであるが、サイパン到着時は既にアメリカ領土内に来ているため、単なる国内移動と同じ扱いになるから、全くと言って良いほどなにもなくすんなり外に出ることができた。

サイパンの空港はサイパン島の南西部に位置するのだが、空港と市街を結ぶ道はそんなに混むことは無いので、自分たちが泊まったマリアナ・リゾート&スパあたりからタクシーなどの車で移動したとしても20分もあれば到着する。それも渋滞なし。バンコクのように時間を気にして移動するということはないことは幸いだ。

サイパンの空港自体はそんなに大きくない。一度に乗り降りするひとの数も少ないからなのだろう、空港の設備として飛行機に乗り降りするときにはタラップを使うことになる。ボーディングブリッジはここにはない。だから、飛行機と搭乗ゲートの間は歩くことになるので、昔ながらのタラップを使って乗り降りするということを経験できるのは楽しいと思う。
出発の時には、チェックインカウンタはそんなに広いわけじゃなく、出発2時間前くらいにならないと開くことは無い。あまり早く行っても仕方ないので、ここはホテルを出発するのを乗る飛行機が出発する2時間前くらいに出るとちょうど良いかもしれない。事前座席は登録していたようなものなので敢えて早く行く必要は全く無い。

サイパンからグアム経由で日本に戻るとき、パスポートのチェックはこのサイパンで行われるサイパンとグアムはどちらもアメリカで管轄しているから、アメリカ領土内から最終的に出て行くときにチェックを受けるという仕組みではない。グアムは単なる経由地であるということは情報としてもっているために、出発時のところでチェックを受けることになる。でも、サイパン便を運行している飛行機はなぜか夜中や早朝の便ばっかりなので、空港職員のひとたちもその時間帯に対応しなければならないから結構大変だなーとは思った。

チェックインを受けたらあとは飛行機が飛ぶまで勝手に時間を潰すことになる。サイパンの空港にもいちおうラウンジは存在する。が、それはデルタ航空のラウンジだけだ。ユナイテッド航空のラウンジはこのサイパンには存在しない。だから、普通の乗客と同じように時間つぶしとしては空港内のそんなに大きくないDFSで買い物をしているか、早朝に出発するためにすごい眠い状態になっているだろうから、仮眠を椅子の上でするなどをして時間を潰すしかないだろう。でも、いちおう一番大きい待合エリアにいくと、コーヒースタンドもあるし、アメリカらしくドーナツスタンドもあったりするので、飲み食いするのに困ることは無い。朝早い時間であっても、ちゃんとそこは開店してサービス提供しているから素晴らしい。

そういえば、サイパンのDFSで見つけたのだが、変なキャラクターがあるのを発見した。絶対そのキャラクターは日本人が付けたんだと思うのだが、名前は「サイパンだ」。角を持ったサイとパンダ柄のミックスをした、ナメてるでしょ?というようなキャラクターである。サイパンはこれを全面的にリラックマみたいに押し出しているみたいなのだが、残念ながらサイパン自体の地位が日本人にとって落ちているので、さっぱりその人気は一向に上昇する予定がなさそうである。だいたい、こういうキャラクターを作ったところで日本人には「オヤジギャグに近い」と笑って飛ばせるようなものでも、同じように観光客として来ている韓国人や香港人、台湾人のような人にとっては、キャラクターは認識したとしても、なんで「サイパンだ」と言うのか?ということの可笑しさにはきっと気づかないことだろう。正直、このときこのサイパンだの存在には気づいたとしても「なに、これぇ~?」と可笑しいものを発見した声は上がったとしても、それを敢えて買おうとする人は見なかった。サイパンだ、いまいち人気なしだ。