2013/02/02

PM2.5とは?

中国からの大気汚染が話題沸騰中だ。PM2.5と呼ばれる微粒子が風に乗って日本にもこれから普通にやってくるというのが問題になっている。そもそもPM2.5っていうのは、粒子の大きさが2.5マイクロメートル以下の微粒子のことで、花粉症対策のマスクでは全然効果が無く、PM2.5は花粉よりも数千分の1しか大きさがないので、あんなマスクなんかささーっと通り抜けてしまうというためである。

なぜ中国からこんな物質がやってくるということになったかというと、中国のこれまでの急激な経済成長による環境破壊が原因であるのは言うまでも無い。でも、これは日本が経済成長する際に公害問題という絶対避けて通れないところを経験した時と同じように、いまの中国がまさしく日本の1960年から1970年代で経験した状態を短期間で行っているだけのことだ。しかし、あまりにもその成長が急激すぎるために、中国政府としては、公害を抑えて経済成長が止まると、今度は経済成長のストップによる国民の不満が政府に跳ね返ってくることをただ恐れているから、公害は出ても経済成長のストップは絶対に止められないという、もうほとんど病的な縛りに勝手に陥っている状態であるのが現状だ。

PM2.5の原因は石炭などの燃焼で生じる細かいちりのことであり、これは肺に入るとそのまま肺に張り付いて喘息になるきっかけである。中国の場合は、工場の煙突から有害物質は出ているのは当然なのだが、実は一般家庭からもバンバン排出しているのも原因である。なぜかというと、石油ストーブだけじゃなく、まだまだ石炭による暖房をとっているところが多いわけで、人口が集中している上海・北京はもちろんのこと、内陸部も含めて全面的にPM2.5の発生はどこから出てもおかしくない状態なのである。そして、中国政府はこのPM2.5の発生する原因を押さえ込むようなことは全くしていない。これをすると、中国国民の生活に支障が出てくるのは当然分かっているからである。だからといって、急激に原発をバンバン作って、全部電気でまかなえるかというと、そこまでの投資はどうやら中国ではやらないらしい。さすが、公共に関しては全く金にならないために、金にならないことには働きもしないという考えがある国だ。日本の場合は公害問題を期に「公を守ることが重要」という風潮が整っている環境がある。中国はまだそれが無い。

PM2.5の重大な発生源になっている中国だが、今後はPM2.5だけじゃなく黄沙も一緒にやってくる。黄沙とPM2.5が一緒にやってきたら、もう日本人は手の施しようが無い。少しは分散されて、日本に不時着するときには少しは拡散していると思われるが、それでも無しになるということはない。PM2.5が黄沙にくっ付いて、風に乗って日本にやってくるというのがこれからの季節に行われる。しかし、PM2.5のことは今年になって始まったことではなく、こんなのはもっと前から飛んできていたことだと思う。だから、今年になって中国からPM2.5の飛来に対して恐怖があるというのは、ちょっと不思議な話だ。ただ、去年よりは確実に北京の空は酷いことになっているのは事実である。青天の日でもほとんど真っ暗な状態になっている空になっているのが北京。昼間でも車のライトを点灯しないと全く前が見えない状態は、もうほとんど火山灰が降ってきたのと同じときだ。これでは昼間に外を歩いていると、いきなり車がやってきて車に轢かれるということになりそうだ。さらにいうと、こんなに真っ暗になるくらいの空気の中を歩こうなんていうのは思いたくも無いのだろう。

花粉症の時期になると世の中はマスクをしている人たちが結構いっぱい見かけることになるのだが、テレビで映る北京の街中では、普段使用しているマスクではPM2.5は全く役に立たない。なぜなら花粉よりも全然小さい大きさのPM2.5の物質はあの程度のマスクじゃ普通にマスクを透過して口の中に入る。それじゃ、日本では対応の方法がないのか?というと実はある。医療用のマスクとして使われているもので、N95規格マスクというものがあり、これだと対応可能だ。N95という規格は、アメリカで作られたものではあるが、フィルタの細かさを表す指標のこと。空力学的質量径でおおよそ0.3μmの粒子が95%以上捕集できるという意味のことである。PM2.5はこの粒子よりは大きな粒子であるために、マスクとしては対応可能であるというのは、この規格で対応可能だからだという意味である。

ただし、N95規格マスクは結構高い。それに一般の薬局ではなかなか日本では見つからないのだが、香港あたりだと実は前から騒がれているために、結構お手軽に手に入る。というのも、やはり鳥インフルエンザの発生と拡大にその起因があるのだと思われる。日本でも大々的に鳥インフルエンザのことが流行ったときもそうだが、福島原発がぶっ壊れたあとの空気上に放射能が一気に漏れたときにも、騒がれ始めたときに香港から「マスク送ってあげようか?」という連絡が結構あった。なので、N95マスクの存在は前から知っていたのだが、原発爆発による放射能拡散の時には眼に見えないものであるからということもあるのだが、半分諦めていた。特に呼吸が困難になるわけじゃなく、徐々に放射能に犯されるということは分かっていたからである。ところがPM2.5の場合は、肺の中に付着すると息苦しくなることは分かっているので、だったら先にN95マスクを買って、これを口の中に入ってくるのを防ぎたいと思ったのである。

薬局やドラッグストアに行ったら全然商品が置いてなかったので、仕方なく楽天のサイトにアクセスしてみて、商品検索をしてみる。もともと楽天ポイントは結構持っていたのだが、これは溜まるだけ溜まって、まったく使っていなかったので、このときに使うのも良いだろうとおもって調べてみたこともある。しかし、調べてみて分かったのだが、3M社製のN95マスク 9010N95(1箱50枚入)の値段が1箱あたり6,825 円。結構高いじゃないか!でも、ポイントを使うにはこういうときにしか使うことが無いので使ってみた。そして、どういうものかフィット感もわからないし、効果もよくわからないので、1箱だけ買ってみることにした。まだ楽天は在庫があったのだが、そのうち楽天でさえも在庫がなくなる可能性がある。それは世の中にN95マスクが知れ渡って、ドラッグストアにも存在しないからネットで買おうとするひとが増えるだろうということが考えられるからだ。

N95マスクはカップ型のマスクであり、普通の綿のマスクに比べると、本当になにか空気を塞いでいるというのがよくわかるものだった。しかし、このマスク、ちょっと難点があった。普通のマスクは耳に紐をかけるような形で口を塞ぐのだが、このマスクは上下に分かれたゴムを頭の後ろに回してつけるものだ。ちょうど、感覚としては、ふた股に分かれている水中眼鏡の紐が頭蓋骨で固定するようになるのと同じである。だから、一度マスクをつけると、しばらく外すのはいやになるくらいだし、第一髪の毛をセットしている人は、マスクをつけるときに、一度髪の毛がめちゃくちゃになるという欠点があるのだ。ただ、これをガマンすれば、マスクによってどんな汚い空気も全部防いでくれるという安心感は絶対ある。

マスクのほかに、家でやるべきことは、花粉症の家には絶対存在する家電製品として、空気洗浄器があるのだが、これを買うことだ。中国では、シャープのプラズマクラスタ機能がある空気洗浄器が爆発的に売れているということが知られている。1台だけじゃなく、同じ部屋に数台の空気洗浄器を使って良い空気にしているという中国人家庭が多いようだ。日本でも空気洗浄器はいまや必須になったものだと感じられる。うちでもエアコン兼空気洗浄器があるので、今の家では空気洗浄器に特化した家電は自分の部屋だけにおいているが、リビングではエアコン兼の空気洗浄器で稼動している。しかし、この空気洗浄器でどれだけ空気を綺麗にしているのかというのは本当のところ微妙だ。

日本でもPM2.5の空気については話題になっているのだが、どれだけ地元の空気が汚れているのか、良い状態なのかというのは環境省のサイトからみることが可能だ。ニュースで「今日はヒドイ」ということが流れると、すぐにこのサイトが重くなって、ほとんどリプライが出てこないというくらいの盛況になる。しかし、PM2.5の濃度がどの程度になっているのかは注目していたほうが良い。それよりも、一般的に、光化学スモッグが発令された場合には、地域の防災アナウンスで「発生しました」というのが流れるが、PM2.5の濃度があがったというときには、まだどの地方自治体も「発生しました」というアナウンスを流すルールが作られていないように思われる。となると、住民自体が自主的に調べて、外出しないとか、家の空気の状態を努力して良いものに保つということをしなければならないわけだ。行政の対応が遅いといわれればそのままだが、なかなか行政側も年間費用というのが最初に決められているので、その範疇外の目的で金を使うのはなかなか難しいのだろう。

微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
URL : http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html

東京都の大気汚染地図情報
URL : http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/cgi-bin/bunpu1/p101.cgi




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