2009/08/02

陸羽茶館(Kuala Lumpur)


マレーシアに関する本をみていたときに、どうしても行きたいなとおもっていた中華料理屋がスターヒルギャラリーにあると書いていたので、早速スターヒルギャラリーに行ってみた。ところが、レストランエリアになっている場所には、たくさんレストランがあるのだが、探していたレストランがどこを見ても見つからない。レストランの入口には、いかにもここがレストランですっという看板があるし、店と店の間は仕切りがあるのが普通なのだが、それらを一軒一軒探してみても見つからない。

どこじゃい!と思っていたところに、遠目でみると飲茶の煙が見えたので、あそこかー!!!と、ようやく探しだすことができて行ってみた。その店は全然看板が出ておらず、こんなところにレストランがあるなんていうのは全然普通では分からない。たまたま、入口にウェイトレスが客待ちのためにスタンディングしていたので入り口がわかった。

店の名前は「陸羽茶館」という香港系の中華料理屋である。

高い店なのかもしれないのだが、客はご飯時だというのに全く人がいなかった。自分たちが食べている間も当然だが、終わってからも客がいなくて、これで儲かるんだろうか?というのを他人ながら心配になってきた。しかし、店の雰囲気はとても良い。まず調度品が良い。質素なところに、19世紀のヨーロッパと中華世界の融合のような家具と内装で作られているところが良い。店の中央に厨房があるという変わった作りになっているのも面白い。食器類も、全く模様のない味気のない食器ではなく、ごてごてしてもなくシンプルな模様の食器類で統一されているところも感じが良かった。また、レストランからスターヒルギャラリーの内部の煌びやかさが見えて、レストランの内部とのギャップがあまりにも離れているので、まるで古い家からスモッグのない夜空を見ているような感じに見えるのは面白い。
ここで食べたのは下記の通り。

茶:阿里山茶 RM28.00
鮮蝦帯子餃 RM9.80
上海小龍包 RM7.80
四川酸辣湯 RM12.00
迷你仏跳濇 RM90.00
揚州炒飯 RM26.00
杏仁豆腐 (値段忘れた)
楊枝甘露 (値段忘れた)

まずは頼んだ茶は、マレーシアであるために茶は期待していなかった。地元の茶でも出てくるのかと思ったのだが、いちおう中華料理屋なので、まじめな中国茶が用意されているところにも感心した。でも、なぜ台湾がメイン!?

蝦餃子(鮮蝦帯子餃)や小龍包は、ありがちながらの味なのだが、安心して食べることができた。酸辣湯は、思っていたほど辛くもなく酸っぱくもなく、もうちょっと極端になっていたほうが楽しい味だと思ったのだが、上品に作ってしまうと、このようなものになるんだろうと思った。
仏跳濇は前から試してみたかったが、値段が高くて絶対手が出ないものだと思っていた。ここのマレーシアは物価が安いので、こういうときしか手が出せない。試しに食べてみようと思って食べてみた。坊主がぶっとぶほどという名前の由来がわかるほどの味ではなかったのだが、濃くもなく薄くもなく、日本人にはちょうどいい味付だと思う。こういうのをたくさんマレーシアで食べてみたかった。
その他、お腹を膨らせるためにご飯類を取ったのだが、これが特徴無しの揚州炒飯を選んだ。しかし、ちょっとだけお腹を膨らせるためと頼んだのだが、これがまた予想以上に量が多くて、人数が多いとちょうどいいのかもしれない。
以上で帰ろうと思ったのだが、どうせならデザートも食べちゃえと選んだのが、杏仁豆腐とマンゴープリンの一種である楊枝甘露。杏仁豆腐は、神保町の四川厨房には適わないが、それに匹敵する味だと思った。

関帝廟(Kuala Lumpur)

チャイナタウンからヒンズー寺院に行こうと思って歩いていたところ、ガイドにも載っていなかったのに、屯しているおっさんたちが「見ろ、見ろ」と誘うので、ふらっと除いてみたところが関帝廟だった。世界中のチャイナタウンには絶対といっていいほど存在する関帝廟は、商売の神様になってしまった関羽を神様とする寺院であるのは言うまでもない。中に入ってみると、香港辺りに見られるような、とぐろを巻いた線香が天井からぶら下がっているのがあった。天井からぶら下がっている線香は、ここでは火がついていなかったのだが、火がついていたら結構灰が上からボロボロ落ちてくるので、真下を歩くときには注意が必要である。
ご本尊の関羽は、真ん中に鎮座しているのだが、それが建物の大きさの割りにはなぜか小さく見えた。そのかわりに、あちこちに関羽に関わるものや絵画が掛かっているので、それを見ているだけでも楽しい。よくわかんないのは、たぶん「絵馬」に相当するものなんだろうとおもうのだが、壁一面に、決して可愛くない子供をモチーフしたデザインのシールみたいなのがたくさん貼り付けていた。最初は遠目で、変なデザインの壁だな-と思っていたのだが、近づいてみたときに、1つ1つががきんちょのデザインだったので、気持ち悪いーっとおもったのは言うまでもない。絵馬に相当する願いごとを記載したものを壁に入っているものなのか、それとも、千社札に相当するものを貼っているだけのことなのかは、この手の寺院の文化に詳しくないので、だれか教えて欲しいー。

チャイナタウン(Kuala Lumpur)

陳氏書院も大きな意味ではチャイナタウンにあるのだが、それは中国系の人が多く住んでいるエリアと言う意味であるだけで、横浜中華街や神戸の南京街みたいな、食い物屋と服やと雑貨屋がごちゃごちゃに並んでいるような所謂「チャイナタウン」というようなものをさすとすると、ここではない。更に広義のチャイナタウンのなかの中心部に行かないとダメだ。

狭義のチャイナタウンに向かうまでには、殺風景な街並みが広がる。これといって特徴のあるような風景ではないし、単なるコンクリートの家並みみたいなのがあるだけだ。たまに「中華新報」という中国系の人たちが読む漢字の新聞を発行している建物が見えたのだが、それが新聞社の本拠地なのか、それとも販売・印刷所なのかはよくわからない。おっさんが、新聞の束を運んでいたのが見えた。
余談になるのだが、マレーシアの新聞はいろいろ見ていると、大部数を発行しているのは英字新聞がよく読まれているようだ。しかし、それはマレー系・中華系・インド系が共通として読める新聞だから売れているのであって、中身は政府の動向や政府の意見をそのまま反映しているように見える。ところが、各言語でも発行されている新聞はあるようで、中でも中華系の新聞は、英字新聞で書かれている内容とは全く異なるので面白い。異なるというのは、話題として載せている内容であって、例えば、英字新聞で1面記事にしているような内容は中華系の新聞ではどこを探してもなかったり、載せていても、「こんなことがありました」と後ろのほうのページに載せているだけである。中国系の人たちがどういうことをしたかとか、中国系の人たちにとって重大な事件と思われるものだけが載っているため、たまに政府批判の記事が載っていたりするからおもしろい。金は持っているがマレー人優遇政府のせいで中国系は、常に不満をくすぶって持っているというのが新聞を通して分かった。

話はチャイナタウンに戻す。

チャイナタウンの入口は、どこかの地方都市にある商店街にきてしまったような入口だ。中華系の特徴である、赤・青・黄色の原色を使った門構えがあると、だいたい中華系だーというのがわかるが、この入口もご多望に漏れずにその特徴どおりである。そんな色キチガイの入口を入っていくと、期待通りのごちゃごちゃした店の並びが出てくる。雑貨屋があったと思ったら、野菜を売っていたり、メインの店かな-と思ったら、実はそれらは全部屋台で、建物として存在する店は屋台がずらっと並んでいる裏側にちゃんと構えていたりしている。こういう二重駐車のようにして存在している商売根性の現れが、中国系の人たちの特徴なのだなとおもった。このアーケードスタイルのチャイナタウンは全天候型になっているので、雨が降っても買物は楽しめる。長さとしては300メートルくらいはあるんじゃないかなとおもう。その長い通りを全部天井が覆っている。天井からは、12支のそれぞれの人間像が説明として蚊かがげられて居るのだが、そんなのをこんなところで見せても仕方ないとおもうのだが。そういえば、このチャイナタウンですごいホテルを見つけた。「StayOrange.com」という名前のホテルなのだが、値段がなんと、1泊RM8.80。日本円で1泊300円以下である。怪しさ満点のホテルで、バックパッカー御用達なんだろうと思うのだが、きっとこんなところに荷物を置いて遊びに出かけたら、戻ってきたときにはすべての荷物は誰かに採られているんじゃないかと思うような怪しさはある。しかし、ウェブサイトを見てみると、内装は値段の割りには結構綺麗なので吃驚した。外面と内面ではこんなに違うものなんだろうか?これだけ綺麗だったら、ここに試しに泊まってもいいかなとおもった。それと、チャイナタウンには、なぜか結構菜食主義者用のレストランが結構ある。その特徴としては、看板に「斎」の字が見えたら、それがベジタリアンレストランの店である。

陳氏書院(Kuala Lumpur)

観音寺から歩いてすぐ傍にある種の一族の誇りのような建物がある。陳家一族の祖先を祭っている寺院が陳氏書院(Chan See Shu Yuen)である。広東省の広州にも同名の寺院があるのだが、それと何か関係あるのかわからない。あと、クアラルンプールを初めとする中国系の陳さんたちが、ここに自分たちの先祖を祀るためにやってきているのかどうか不思議だ。もっと不思議なのは、陳家以外の中国系でも同じように祀った寺院があるのだろうか?でも、建物の名前として聞いた事がない。たまたま陳家が金持ち一家だったというだけなのだろうか?さて、そんな陳氏書院なのだが、100年以上も前に作られて建て直しや追加した部分も合って、今に至っているのだが、これがまた内装がとても綺麗で、見事だ。特に目線を上の方に持っていくと、建物の入口の上のほうには、たくさんの陶器でできた武将や宰相のような人たちを飾っている。それが兵馬俑のように、一体一体が全く違う顔になっていることに驚かされる。でも、大抵の人はそんな上のほうの装飾については、全然気付かないだろうと思う。中に入ると、右手には、神様なのかそれとも祖先の人なのかわからないが、木でできた像が恭しく鎮座している。中央には「陳氏関族歴代祖宗之神位」と書かれた看板が立っているし、その奥に関羽や媽祖のような感じで神様がガラスケースの中に入っているのが見て取れる。が、その看板の隣に立っているマスコットみたいなのが、どうも気持ち悪い顔をしていてならない。中国人の美的感覚的にはOKなのかどうか不明だ。左側のところには陳氏の歴代の偉い人か人物が写真で掲げられている。写真がとられているということは、そんなに昔のひとたちがいるわけではないとおもう。でも、これだけ並んでいると、まるで行方不明者のリストとか、新聞に掲載されている残留日本人子女のような紹介みたいに見えてならない。

観音寺(Kuala Lumpur)

KLモノレールのマハラジャレラ駅(Maharajalela)から歩いて10秒のところにあるのが、観音寺(Kuan Yin Teng)である。いかにも中華街に近いところにある中華系の寺だなというのが分かるところである。

訪れたときは平日の午前中だからかもしれないが、誰も訪問する人は他に居なかった。しかし、普段からこの寺は、福建省出身の中国系の人たちがたくさん参拝するためにきているところなのだということだ。

レンガ色の壁に「南無阿弥陀仏」と書かれているところが、なんだか俗世間っぽくてイヤらしい。まぁ、こういうのが中国風の寺の典型的だとおもうので、格式高さを感じるような寺は似合わない。マレーシアの中国系の寺も同じで、格式よりもどちらかというと、生活密着型で、自分たち住民の願いなら何でもかなえてくれる便利屋というのを寺として表現したようなものが多いのだが、この観音寺もその1つだと思う。狭苦しい門を潜ってみると、高台に立っているからだとおもうのだが、それほど広いスペースがなく、すぐにメインの祠にぶち当たる。祠の中には観音様が金色の姿でニヤニヤしながら座っている。だいたい観音様に何をお祈りするためにきているのだろう?それを聞いてみたかったのだが、あいにくここにきている中国系のマレーシア人が居なかったのが残念だ。祠から出て、表を見てみると、なんといま通ってきた門構えの裏側の絵に注目してしまった。その絵がほとんどマンガじゃないかと思うような図柄の神様たちがかかれているのを見つけてしまった。それも真ん中にある腹がタプタプ状態になっているハゲの神様には笑えた。まさか、目指せこのおっさんとして中華系のマレーシア人がやってきているわけじゃないよな?!

又一村香港茶餐庁(Kuala Lumpur)

夜にちょっと小腹が空いたな-と思い、ショッピングモールのタイムズ・スクエアに行った帰りに、ロット10とマレーシアホテルの間にある通りのブラン通り(Jalan Bulan)を歩いていると、24時間営業の香港系のレストランを発見。その名は「又一村香港茶餐庁」というところである。夜10時を過ぎていたのにも関わらず、店の中は、まるでデニーズの店内のように、若い子達がわいわいやっているし、ご飯も食べていた。

閑散としている店内であれば入るのも止めようかと思っていたのだが、これだけ人が入っているのであれば、それなりに人気のあるところだろうと思って入った。入ったのはいいが、結構がっかりしたこともある。

ここで頼んだのは、ワンタンメンと海鮮チャーハン。炭水化物のオンパレードであるが、別にこれを一人で食べていたわけではなく、友達らと一緒に食べていたのである。これまた店内は、デニーズのようなベンチスタイルのセパレート型のテーブルがあったので、そこに座ってみる。でも、なんとなく床がネチャネチャしているのが気になる。うーむ・・・昔ながらの町の中華料理屋の床みたいなところだ。

料理を待っているところに、なにか目に入ってきたものがある。食べ物を扱っている空間であると、どうしても避けられないモノが、「ゴキブリ」である。ここの店でも、定番のようにゴキブリが這いまわっていた。うげぇ・・食べる前からゴキブリだよー。しかし、目障りにもゴキブリは、見えるか見えないかの位置で、じっとしている。こちらの出方を待っているのかどうかは、気持ちが通じないので分かりかねない。そうなったら、もう、ゴキブリを殺すしかない。でも、手で触るのは絶対イヤ。じゃ、どうしたかというと、椅子の上にいたのだが、ここは行儀悪くも、靴のまま椅子に足を持ち上げ、そのままゴキブリを捻り潰す。潰れたゴキブリをそのまま目障りのところでご臨終されているのも気に食わないので、そのまま足で床に蹴落とす。後から店にやってきたひとで、その椅子に座った人は、知らずにゴキブリの死んだ上に座るんだろうとおもうのだが、自分も良く考えたら、以前の客が同じようなことをしているのだろうという意識をした途端に、それからまともに椅子に座る際には、一度椅子を拭いて座るようになってしまった。

さて、運ばれた料理は、甲乙つけ辛いものだった。良くもなく悪くもなくだ。
人気があるから人が入っていると勘違いしたのだが、そうではなく、夜遅い時間でも大勢がわいわいとやれる場所だから、単に人が集まっていただけという、よく考えればデニーズと同じと思えばよかったのだが、海外にいると、どうしても色眼鏡が入ってしまって、店を良い感じに見えてしまうのがいけないのだと思った。