地方に行った時のお土産として有名な和菓子は、やっぱり「安倍川餅」のほかに無いだろうと思う。小さい頃、地方に出張に行った父親がお土産として買ってくるとき、安倍川餅だった場合は、とても喜んだものだ。新幹線や駅の売店で売られている安倍川餅は「やまだいち」の安倍川餅。あのパッケージを見たことがある人は多いと思う。
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安倍川餅がこれだけ長い間人気があるのは、おそらくその単純な味だからだろうと思う。日本の「餅」の代表的な味付である、「黄な粉」と「餡子」だからだろう。それが一口サイズで1人分として入っているところに、その食べやすさと愛着感を継続的に持たせる魅力があるのだろうと思う。
ところが、今日、その安倍川餅は「元祖」ではないことを初めて知った。安倍川餅の元祖は、安倍川沿岸にある「石部屋(せきべや)」というところなのだそうだ。十返舎一九の有名な「東海道中膝栗毛」にも出てくるこの店は、安倍川餅の元祖といっていいだろう。文化元年(1804年)創業というこの店は、「家康に献上したところ”安倍川餅”と名づけた」という店とは異なる。おそらく、この近辺には元来から現在の安倍川餅に近いお菓子が既にその頃から売られていたのだろうと思われる。
この店は、店内でも食べることができる。
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「安倍川餅」と「からみもち」という2種類しかない。安倍川餅は、有名な餡子と黄な粉の餅の組み合わせ、からみもちは、餅をわさび醤油につけて食べるもの。どちらも1人前500円。
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もちろんここでは持ち帰りとして持って買えれる安倍川餅がある。からみもちのほうは持って買えることはできない。2人前、3人前、4人前の3種類があるので、これをもって帰るといい。
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目の前で搗き立ての餅を丸めて、あんこや黄な粉をつけて差し出される安倍川餅は、キオスクで売っている安倍川餅とは全然違って、本来の安倍川餅っていうのはこういうものだったのか!と感激するに値するものだ。それだから、芸能人もたくさんやってきて、ここに自分のサインと一言コメントを残しているのだろうと思う。
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ところが、この店、知っている人じゃないと絶対場所がわからないと思う。もっと分かりやすい建物かと思っていたのだが、全然そうではない。その辺にある田舎の木造家屋という感じでしかない。他の建物に比べると、全く異質な感覚を放っている木造建築であるため、一見さんはどこまで見つけられるか試して欲しいものだ。
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住所 静岡県静岡市葵区弥勒2-5-24
TEL 054-252-5698
時間 10~17時(売り切れ次第閉店)
休み 木曜(祝日の場合は前日)
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