2012/11/01

川幅うどん(鴻巣)

会社の出張で出かける場合には、頻繁にいくところだと全く興味が無いとしても、ほとんどこれまで行った事がないような場所だったら、なにか記念になるものを買って帰る、またはそこで体験したくなるというものである。その1つとして、現地での食べ物を食べるというのが体験として、あとで話しができるという意味でも一番楽しいものだと思う。なので、出張前には仕事のことはどうでもよくて、現地のご飯屋検索を時間をかけて調べ上げるということをたまにする。

しかし、大都市ではなく地方都市、それも小規模の地方都市だった場合には、その情報検索のパイが小さいため、なかなか、どこにしようかーと迷うことがなくなるために、どんなところがあるのかというドキドキ感が少なくなってしまうのは否めない。鴻巣に行くことができたときもたぶん、当地には何にもないんだろうなー、旨いところと評判の店は大した店じゃないだろうなーなんていう気持ちで調べてみたのだが、検索の結果、全く違うトキメキが現れてしまったので、恐るべし鴻巣と思った。

鴻巣に最近名物として登場したのが「川幅うどん」というものである。埼玉県全体として、最近流行のB級グルメを推奨している地域のようなのだが、各地域でなにか新しくグルメとなるようなものを考え出して、それを地域振興のためにどんどんアピールしようというのがきっかけだったらしい。鴻巣という埼玉中部の小規模都市においても同じようになにもないためになにか考えたのだろうが、そのときに考えられたのがこの川幅うどんというものだ。

そもそもこのネーミング、なんで変なのだろう?と誰もが思うところだろう。これもちゃんと理由はあるのだ。鴻巣市と隣りの吉見町の間を流れる荒川の幅が日本一であることにちなんで誕生したとのこと。日本一なんていうからにはどんだけ広いんだ?とおもうのだが、それが本当に広い。実質、普段水が流れているところの幅としては、数10メートのようなのだが、国土交通省は河川敷を含めた堤防の間を「川幅」と定めており、河口より上流62キロメートル地点の両堤防間の幅がなんと2,537メートルもあるとのこと。そこを渡る橋の長さはこれを超える長さがないといけないわけである。つまり、体育測定の1500m走は橋の上を直線走行で実現できるというものだ。

川幅うどんを鴻巣の名物にするために鴻巣の商工会のひとたちがタッグを組んで、麺を提供している店では積極的に川幅うどんを出していた。どこの店で川幅うどんが食べられるかは「こうのす川幅グルメ」というサイトに記載されているので、そこから探してみることにした。

まず行ってみたのが、川幅うどんの考案者が営業している「久良一(くらいち)」というところ。考案者の店にいかないと、まずは川幅うどんに失礼だというもの。このときに食べたのは、「冷製 川幅うどん(750円)」というもの。名物の川幅うどんと、普通のうどんがミックスされたものであるが、川幅うどんというものがどういうものかわからないので、運ばれてきてから詳細を調べてみようかと思った。
運ばれてきた器の中に入っているうどんを見ておどろいた。きしめんや山梨のほうとうのようなものだろうと思っていたものが、ワンタンの幅くらいあるうどんだったことを知って、よくもまぁ、こんなわけのわからないものを作ったものだと感心した。それも1つのうどんを箸で摘むと、結構重くて、手がプルプルしてくる。おまけに長いので、噛み切るのが大変だ。これならナイフとフォークで先に切り刻んでしまいたいと思うようなものだが、やっぱりうどんなので箸で食べたい。うどんとしてのこしは讃岐うどんのようなものではないのだが、あんまりこしがないものだと形にならないようなので、実は見た目以上にこしがあるのはびっくりした。
別の機会に鴻巣に行ったときにも、やっぱりここでは川幅うどんを食べようということになって、前回行った店とは違う店で食べることにしてみた。鴻巣の駅を挟んで西側にある店「小山屋食堂」というところにしてみたのである。名前からすると、別に麺屋さんというわけではなく、レバニラ炒めでも出しそうな店のように思うが、ここもちゃんと川幅うどんが出てくる。
こちらで選んだのは「鴨汁川幅うどん(800円)」というもの。漬け麺タイプの川幅うどんなのだが、鴨肉とその出汁から出来ているスープの中に、川幅うどんをつけて食べるというものだ。これがすごい美味しい。鴨肉のスープだけでも美味いのだが、そこのあの食べにくいうどんをつけて味を馴染ませるというスタイルが、まろやかな味になる。普通の汁系うどんではなく、こういう漬け麺にするのもなかなか面白いなーとおもった。さすが漬け麺ブームの影響がこちらにも波及してるんだろう。

埼玉B級グルメにも常連にもなっている川幅うどん。前からちょっと気になっていたのだが、実際に食べて、その幅の広さにはびっくりした。たぶん久良一の主人が、中途半端な幅だと誰もびっくりしないからと、あのサイズにしたんだろうというのは想像できる。たしかにインパクトはある。こういうくだらないアイディアを考えた町の人たちのユーモアが面白いではないか!

こうのす川幅グルメ
URL : http://www.city.kounosu.saitama.jp/9,7527,83,497.html

店舗名:久良一(くらいち)
住所:鴻巣市人形4-1-36
電話:048-542-5542
定休日:木曜日
営業時間:11:30から15:00
       17:30から21:00

店舗名:小山屋食堂
住所:埼玉県鴻巣市本町5-9-2
電話:048-541-0064
定休日:日曜・祝日 第2土曜
営業時間:11:00~14:00
       17:00~19:00

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