2011/11/23

香嵐渓の紅葉

愛知県東部にある香嵐渓は周辺地域の人なら紅葉の名所として名高いところなのだが、正直この場所を全くこれまで知らないでいた。名前を聞いたときに、どういう字を書くところなのかも全く想像できないところだし、場所ももちろんどの辺かも検討ができない状態でいた。そんな香嵐渓への旅行会社によるバスツアーがうちに郵送されてきたのを両親が見て「行ってみたいわねー」と言うのはかなり時間が短かった。旅行会社にさっそく両親が申し込みをしてみたところ、紅葉の一番人気になるだろう11/23前後の日程では全く予約が取れないことわかり、空きもでる様子もなし。結果的にショぼーんとしているところへ「自分勝手に手配していけばいいじゃん」と軽く一言言ってしまったのが運のつきだった。案の定「日程は好きに決めて良いから連れて行け」ということになる。

だいたい場所もわからないし、どういうところなのかも全く知らないような場所に、計画を立てて連れて行けという横暴な振る舞いをされたのでは困るのだが「あんた、旅行に頻繁に行っているんだから、チョイチョイと手配すればできるでしょー」と言われちゃ立つ瀬がない。行き方やだいたいの場所をこれから調査する。

香嵐渓に行くには東京からだとかなり面倒くさいことになるということがわかった。だいたい新幹線で豊橋に行かないといけないというのがまず厳しい条件だ。豊橋なんかこだましか止まらないんじゃないのか?と思っていたのだが、1日に数本はひかりが止まることを発見。こだまでチンタラ豊橋までいくのはとても辛いので、すべての予定は豊橋に止まるひかり号に併せて行動することにしようということになった。

往路の旅程は下記の通りである。

東京 ひかり505号 8:33発 → 豊橋 9:59着
豊橋 名鉄特急 10:15発 → 東岡崎 10:36着
東岡崎駅 名鉄バス 11:10発 → 香嵐渓 12:16着

東京からの新幹線は「行く」と本当に決心したのが前日だったので、もちろん事前予約はしていない。ひかりだからこんなもの乗るやつはいないだろうと甘いことを考えていたのだが、切符の購入をする手間があったり、あとは東京駅で昼ごはん用の駅弁を買っていこうと思ったので、7:50頃には東京駅に到着しているようにしようとした。これが結果的には正解だったのだが、豊橋から先、新大阪まですべての駅を止まる列車だったため、特に北陸地方への電車に米原に乗る人が多いためか、東京駅で指定席券を購入しようとしたら満員だといわれて買えなかった。自由席券で行くことになる。ということは、早くホームに行って並んでいないと、良い席は取れないということになる。急いで駅コンコースで弁当を買って、8:00にはホームの自由席車両の列に並んだ。前から3人目。ラッキーである。最終的には乗り込み時には30人くらい並んでいたことを考えると、早めにホームに来て正解だった。

新幹線の中では、新大阪方向だと右側、椅子の番号で言うと、D席/E席のほうに座るのが良い。1つは南側から眩しい太陽の光を気にする必要がないということ、もう1つはこれが重要だったのだが、富士山を拝みたかったからだ。富士山はこの日厚い雲に覆われていたために見えなかったのだが、肝心の富士山が一番きれいに見える富士川の鉄橋付近のところでは、なんと爆睡してしまっていた。ハッと気づいたときには、牧の原台地を悠々と新幹線は走っていたのである。不覚だ。

さて、豊橋に到着したのだが、豊橋なんて全くこれまで降りたこともないところだったので、駅の様子が全くわからない。ここから名鉄特急に乗り込むのだが、乗換えに時間が架かるのかなと思っていた。意外にも豊橋の駅ターミナルは結構でかくて、JRおよび名鉄のターミナルになっているようだった。JRと名鉄の改札口は共通であり、これ自体がすごい不思議だった。豊橋からの特急列車は、平日の朝だからということもあるが、あんまり人は混んでいる様子はなかった。ただし、椅子という椅子を1人で座っている人たちばかりであったため、結果的には空き席がほぼ無いに等しかった。それでも空いているところがあったので、そこに座って20分くらいの電車のたびを楽しむ。距離はそこそこあるとおもうのだが、ほとんど止まらず東岡崎駅まで来てしまい、途中のぶっ飛び状態は、本当にあっという間の出来事だった。

行楽シーズンである香嵐渓に行く人は、きっとツアーじゃないひともかなりいることだろうと思っていたので、バスに座れるのかどうかというのはかなり不安要素の1つだった。事前に時刻表で確認してみると、香嵐渓までは1時間以上かかるのである。これをずっと立っていろといわれたら、到着前に疲れてしまって大変なことになることだろう。それだけは嫌だ。行楽シーズン特別便がバスも運行するようで、普段なら発車しないような時間帯に今回は出発するバスに乗る。このバスがなかったら、何も無い東岡崎駅で1時間以上も待たないといけないという悲惨なことになるのだ。そう、香嵐渓までいくバスはそれほど多くないのである。トイレ等にいく時間は全くあったので、バスが出発するまでの間に駅でトイレを済ませることができた。さらに言うと、ひっきりなしにバスが駅のターミナルブースにやってくるため、お目当てのバスに乗るまで結構待たないといけなかったのだが、香嵐渓に行く人たちが乗るバスが来るのを待っている人も結構いることになり、最終的には長い列になった。ただ、自分たちはちゃんと座って行きたいと思ったので、誰か1人は必ず並ぶような形にしていた。先頭から2番目のグループとして乗り込むことができたのでラッキー。バスは本当の路線バス。後ろのり前降りのバスで、香嵐渓までの片道は1人800円。香嵐渓近くの山道までは本当にスムーズに進むことができた。途中うとうとしてしまったので、どういう道を通ったのか全くわからないが、香嵐渓近くに来た途端、バスはぴたーと止まってしまった。いったいバスはどこにいるんだろう?とスマホを取り出し、自分たちの要る場所をGPSを使って確認する。これまでだったらこんな芸当はできなかったが、さすがスマホである。情報として何でも出てくるのだ。どうやら片側1車線の道なので、右折車両がいると、それだけでもう後ろは身動きができないというものに遭遇したようだ。

終点香嵐渓でバスを降りたが、本来ならバスはもっと先にある足助バスターミナルまで行く。臨時便は香嵐渓のメインバスターミナルまで。

バスを降りて即効で絶景ポイントに行こうとする人はバスの進行方向に進んで橋を渡り、そのあと道路を横断すれば良い。その前にちょっと小腹が空いたから何か食べてから行こうというような人の場合には、バスの後ろのほうに行き、道路を渡って向こう側が、ちょうどお土産エリアになっているので、そこで買っても良いだろう。しかし、ど田舎村のありふれたお土産エリアであり、また、追加として正月に神社や寺の近くに出店を構える屋台程度だったりするので、特にこれは!というようなものが目に付くことは無かった。
まずは、川沿いをどんどん上流方面に進んでみよう。いきなり香嵐渓の石碑が出てくるのだが、その石碑に書かれている書体があまりにも立派過ぎるので、最初の「香」という字がなぜあんな崩し方をするのかというのが全く理由がわからなかった。ただ、ここからが香嵐渓の見所のメインの場所ですよーというのを敢えて紹介するような場所なんだということがわかる。このゲートを潜るときにかなり紅く色づいている葉で充満の木があったのだが、実は全部の木が色づいているのではなく、紅くなっているのもあれば、黄色くなっているのもあれば、緑のままの木もあったりと、一番景色としてはおもしろいバリエーションの場所だろうなーと思った。特に途中でお寺があるのだが、そのお寺に上る階段の手前にある鬱蒼とした森のような場所から川側のほうに向いてみると、その色とりどりの紅葉の風景が一層きれいに見える。たまたまここを通りかかったときに、カメラマンのひとが訳のわからないところから写真を撮っているので、どういう映像になるのかなと自分で試してみたところ、あまりにもきれいだったからそれに真似してみただけだ。さらに上流に行ってみる。香嵐渓のパンフレットに出てくる有名な赤い欄干の橋が目の前に見える。この橋をバックに手前で紅葉している木をメインに、川の流れもわかるようなアングルで写真を撮るところが、ここに来ている観光客の中では一番競争率が激しい写真ポイントになっていた。このあたりの紅葉は一番見ごろの時期だったため、紅い葉と赤い欄干がとてもよくマッチングされていたことに、写真に収めたいと思っている人たちがたくさんいたんだろうと思う。悪く言えば「私もパンフレットみたいな写真が撮りたい」を実践してみたかったひとが多かったというだけだろう。最初は天気が曇っていてあんまり写真としては良くなかったが、帰りに同じ場所を通ってみると、青空が見える晴れになったので、写真にするとなお一層映えることになった。
もっと奥に行ってみる。今度はつり橋が見えてくる。このつり橋、たくさんの人が一緒に乗ると、訳のわからない横揺れが発生するために、振り落とされるのではないか?という恐怖を味わうことができる。下が丸見えの板ではないところだけが唯一ありがたいところだが、高所恐怖症のひとにとっては、この揺れは嫌なのだろうなと思う。吊り橋自体、多少大きな揺れになってもここから落ちることは無い。というのも、それを計算の上で作られているし、欄干部分も横からはみ出るようなつくりになっていないので、振り落とされるということはまず無いのである。
それにしても、広場のところで演歌歌手がやってきて何かの歌を歌っていた。この寒いところにご苦労様と思っていたのだが、最初はプロの演歌歌手ではなく、足助町の素人のど自慢大会でもやっているのかと思った。しゃべりの達者な素人が観光客を煽ったり、乗せたりして、盛り上げているのかと思ったからである。しかし、実際にはセミプロ程度だということだ。高音部分のところが全く声が出ておらず、音ずれしていたのだから、これではプロじゃない。ダメだ!、やり直し!帰りは香嵐渓から帰ろうかと思っていたのだが、同じような時間帯に帰ろうとする人が絶対多いだろうと思ったので、それだと帰りのバスで立って帰らなければならないと思い、無理して足助のバスターミナルまで行ってみることにした。これが大失敗。数少ないバスが歩いている途中で走ってしまい、それに乗っていけば、1時間早く家に到着できたのにと悔やむ。それでも、乗れなかったのだから意地でもバスターミナルまでは歩いてようかと思った。距離としては2kmもないんじゃないのだろうか?途中、足助の街中を通ったので気分転換になったとおもうが、決して遠い道のりのように見えなかった。足助の町は夕方に行くとしーんとしているのだが、祭りの時期になると活気が出てくるようだ。

足助のバスターミナルには、お土産・軽食が買える乗客待合室みたいなのがあった。そこを仕切っているおばさんの見事な三河弁が脳裏から離れない。元気一杯で、いろいろと知りたいことを教えてくれたりする。足助の生き字引みたいなものだ。バスの時間もちゃんと知っており、まだバス乗れないよーとか、じゃ、そろそろ出発するからどこどこ行きのお客さんは準備してーと、仕切ってくれる。寒風のなか突っ立っていなければいけないのかと思っていたので、風除け場所があるだけうれしい。

始発のターミナルを出発し、帰りは全く渋滞なく東岡崎駅へ時間通りにたどり着く。そのあと、豊橋に出るのではなく、新幹線の本数が多い名古屋に出ることにした。名古屋までは特急で約40分。平日の帰宅ラッシュ時間帯に重なってしまったので、名古屋まで全く座れなかったのは辛かった。名古屋からはのぞみに乗って品川まで。しかし、名古屋からの指定席を取ろうとしても、3列の真ん中席だけは残っているが、まとめて取れるところが全く無いので、そんな席はいやじゃーとダダをこねて、18時30分に出発する3列席で仲良く座って帰る。

弾丸ツアーこの上ないものではあったのだが、日帰りでよくもまぁ香嵐渓にいったものだと後から考えると感心する。ちょっと季節的には1週間くらい早かったかなーとおもったのだが、どのような紅葉を見たいかは個々の主観によるところなので、あまりこの時期、この場所、これを見よー!というのは言及しないことにしたい。

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