2012/01/02

2012年新春顔見せ興行(末広亭)

今年もやってきました新宿末広亭の新春顔見せ正月初席。去年からは正月2日に行くようにしたこの正月寄席だが、やっぱり正月3日よりも質がいいということは改めて感じた。正月3日は、必ずNHKのテレビ中継が入るために、今年も3日に行われたようなので、通常出演する人ではない人が出てきて、つまんない芸をすることになるが、2日だと予定されていた芸人が出てくるので、楽しみをそのままキープできる。

しかし、正月3日のほうが待ち行列が絶対長いとおもうのだが、それはどういう理由なんだろう?ひとつは、正月も3日もすれば、だんだん行く所がなくなってきて、つまんないから、寄席でも見ようという気になって来場する人が多いのか、それとも、テレビの中継司会ではいる爆笑問題をみるためにやってくる人が多いのか、それがわからない。いずれにしろ、落語を心底から好きな人が見に来ているわけじゃないということは確かだろう。本当に好きなら1月3日を外して末広亭に来るべきだと思う。

今年は去年と同様、11時頃には新宿末広亭に到着するようにしたのは大正解。自分より早く来る人なんか居ないだろうとおもったら、更に早手の人がいたのには吃驚した。つまり自分たちのグループが2番目。しかし、入館するのは2時10分頃なので、ここから約3時間以上の待ち行列に耐えられるかどうかは、個人の忍耐による。一人で待っているのはとても辛いところだが、仲間がいたほうが絶対いいはずだ。一人でいると、一番困るのはトイレの問題。仲間がいると、誰かが順番を守ってくれているのであれば、その間にちょっと列から離れてトイレにいくことができるが、一人で待っているとそれが出来ない。だから、一人で待っている人は一体どうしているんだろう?と毎回思う。もしかして、オムツでもして来ているのだろうか?

そうそう、今回初めて知ったことがある。正月公演の場合、第一部と、第二部および第三部は、それぞれ入れ替え制になってしまうため、第一部で入館した人は、第二部をみるとき、一度外にでてから並びなおさないといけないのかと思っていた。ところが、今回並んでいる間に末広亭の人が言うには、第二部を開演するまで外で並んでいるのもいいが、別途第一部の料金を払ってくれれば、第一部は二階の末席になるかもしれないけど、そのまま外に出ないで第二部以降も移動してもいいから見られるというもの。これは、寒風吹きさらしになっているところで長時間並んでいるよりは便利なシステムだとおもった。しかし、それでも第一部に空き席がある場合にだけ有効であるため、正月3日のように、爆笑問題をみるためだけに来るような人が多い日の場合には適用されないんじゃないのだろうか?詳しくは末広亭のおじさんに聞いてもらったほうがいい。

今回の正月公演では、いつもと違うようなメンバが第二部で見れることができたのは嬉しい。通常、第三部には出てくる、唯一上方落語から参加している笑福亭鶴光が二部に出てきたことだ。鶴光だけにエロ落語でも出てくるかなーとおもったら、桂小枝が探偵ナイトスクープでよく行っている「小ネタ集」みたいに、短い駄洒落のオンパレードみたいなものをしゃべくっていた。そういえば、鶴光のときだけ、都都逸みたいに前に机を用意していたのは不思議だ。落語ならばあんな机はいらないだろうに、あんまり用意された机を有効につかっていなかったんじゃないのかなとおもった。

それと、予定では、もともと第一部に出てくる予定だった「ナイツ」が第二部にやってきていた。いつものようにヤフーネタでもやるのかと思っていたのだが、そうじゃなくサッカーネタをやっていたのには驚いた。しかし、顔が老けている分、他の落語家の人と変わらない堂々とした態度だったのが印象的。でも、内容の面白さは、それほど抱腹絶倒というわけじゃなかった。

奇術で見たかったのは、松旭斎八重子とプラスワンの手品。それほど落語みたいに、ドッというような笑いがあるわけじゃないし、ミスターマリックみたいに、誰もが驚くような芸を見せるわけじゃないのだが、これを見ないとお正月が来ないなというのは個人的はある。八重子と一緒にやっている助手の「プラスワン」さんが、いつも同じネタで失敗するような手つきをするのが面白い。あんな単純な技をうまくごまかせないとは、あれはわざとなのか!?

それと圧巻だったのは紙切りの林家今丸の芸。一枚の紙から、下書き無しで、鋏ひとつであらゆるものを作ってしまうというひとの芸である。最初は自ら御題を考えて作っていたのだが、そのほか2種は、会場のお客さんから御題を貰って作っていた。1つは「昇り竜」もうひとつは「凧揚げ」である。どちらも新年に相応しい御題だったとは思う。それを見事に作り上げた芸は芸所的だとおもった。作った作品はそのまま御題をだした人に差し上げていた。

それと、今回の公演で一番良かったのは、夫婦漫才の東京太・ゆめ子を見られたこと。なかなか最近夫婦漫才というのをテレビも含めてみることがなくなったのだが、舞台でそれを生で見られるとはいい経験だった。どこまで本気でボケているのかわかんないし、酒が入って単なる酔っ払い状態になっているのか、正月だから全然わからない。でも、いいのだ。お正月だから、楽しい話を舞台でしてくれれば、観客としてはそれで楽しいのである。そして、拍手喝さいは出るし、それで大きな口を開けて笑えればいいのである。

やっぱり忘れてはならないのは桂歌丸。第二部の主任を務めている彼は、落語協会の会長。副会長は笑点でもおなじみの三遊亭小遊三だが、ベテラン真打の落語家は、この会長に関することを結構いじっていた。「まだくたばんないんですよねー」とか。特に、歌丸の一番弟子の桂歌春が面白い。「早く死んで、歌丸の名前をくれ」とか、「歌丸の師匠である米丸の名前でもいい。どっちでもいいから、早く死んでくれー」といっていたのは笑えた。毎年桂歌春は似たような歌丸ネタをしてくれるのだが、今年が一番面白かったと思うし、お客さんもそれに合わせてすごいノリで笑ってくれていたのは、高座にいる落語家にとっては、こんなにやりやすい観客はいなかったんじゃないのだろうか?

過去の記事
2011年新春顔見世興行(末広亭)
末広亭での新春落語(2010)
末広亭の新春落語(2008)
新宿末広亭(2007)

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