2012/08/19

香港ヤクザが尖閣諸島へ上陸

 
日本は領土に対してあまり重く考えたことがなかった国家なのかもしれない。古くからは北方領土のことでロシアと対決しているが、最近のところだと竹島だろう。そして、南西では沖縄の尖閣諸島の問題と、どれもこれも国境に関して、海に囲まれているから、ちょっと領土が減ったといってもそれはたいしたことが無いというような考えが前からあるに違いない。陸続きのような国家の場合は、どこが自国領であるかということは非常に重要だと考えている。そこまで土地があるということは、それだけその土地を自分たちの好きにできるからである。農業として使っても良いし、工業地帯としても使っても良いわけだ。日本の場合の国境というのは海であり、国境は他国から攻められてきたときの防御線でしか考えておらず、それを自然にやってくれる海はありがたいし、金をかけなくても勝手に国防ができるものとおもっているところがあるのが甘かった。海の重要性は漁業だけには関係するとしてしか思わなかったので、住民が住める・住めないに関わらず沖合いにある島の存在意義について今まで深く考えたことがなかったのだろうと思う。

石原都知事の生涯の政治目的である尖閣諸島の問題排除は、東京都が尖閣諸島を購入するという宣言まで飛び出すことになった。国家がなにもしないなら尖閣諸島は東京都が買い取るという政治意図は素晴らしい。飛び地に東京都ができるのがだめなんじゃないのか?と意味不明なことを言うのだが、飛び地のことをいうんだったら、全国あちこちにある飛び地の問題のことを先に解決してから文句を言えと言いたいところだ。

さて、そんな状況に飛び出してきたのが香港人活動家による尖閣諸島への強制的上陸だろう。日本政府がいくら主張したとしても「行く」と聞かなかった活動家の行動は、どこまで本気なのかというよりも、これで香港政府は本当のところはどうなっているんだろう?ということだろう。日本政府は、彼らの上陸と同時に逮捕した。これは最初から警告をしていたとおりであるし、それを日本政府は実行しただけである。それはテレビ中継されていたし、日本および香港のテレビ局が双方ですべての事実を報道していた。

だが、報道の仕方と後処理が酷かった。まず、日本政府は上陸したメンバーを逮捕し、そのあと事情聴取をして、そのあとどうしたかと言うと、そのまま帰国させた。沖縄から帰国させたのは良いのだが、これは前回の尖閣諸島領域に侵入してきた漁船に対するビデオを「なかったことにした」処理で海上保安庁職員を懲戒免職にした問題があるために、今回は全部見せたことになるのだが、日本政府は「帰した」とだけ主張した。が、実際には香港政府によるチャーター便により、特別帰国をさせ、さらに彼らはビジネスクラスに搭乗して帰国したというのが本当のところだ。事実、彼らは帰国時に、大々的な大歓迎を受けて「よくやった」と国家をあげての大宣伝に使われたからだ。おまけに、同行取材をしていた香港のテレビ局が香港で流したテレビ放送の内容が早速Youtubeにも流れていたが、香港側の主張だけを一方的にレポートしていた。香港の漁船が日本の海上保安庁の船に暴力的なことをしたことは一切報道ではカット。しかし、それを今度は日本側がリークした。事実は香港側の船からレンガ等々の物が投げ込まれてきたという主張だ。香港は「無抵抗の自分たちに放水で妨害した」と言っているが、これが大間違いなのである。

そこまでしてまで中国になってしまった香港が尖閣を欲しいと思う理由は、全く分からない。実際に香港政府は「出航したら逮捕する」とまで主張していたのだが、あっさりとそれを掻い潜って海上に出してしまった。おまけに香港に戻ってきたときの大歓迎をさせたという事実を作ったこと自体を形式化させた罪は大きい。それだけもう香港政府は独自の政府ということではなく、中国政府の言いなりになってしまっていることの現われだ。中国に返還された後は、香港の独立性は失われるだろうという大方の見方はここでも正解だったということが改めて明白化されたことになる。香港政府がNOでも、中国がYESと言えば、それはYESが正当性のある主張であるということがこれで証明されてしまったことになる。

香港政府としては尖閣があってもなくてもどっちでもいい。なぜなら尖閣があったことで儲けになることがないからだ。香港に住んでいるひとの大半が漁民で、尖閣諸島のあたりを漁場としていて生計に関わってくるというのであれば、それは香港は金儲けができなくなるので必死になって略奪に来るだろう。しかし、いまの香港はそんな第一次産業に従事している人の数を探すほうが皆無に近いということと、金儲けにならないことに命をかけることは全く意味が分からないという根本的な血があるから、尖閣の上陸に対して強い主張をする必要がないのだ。金儲けできるかできないかが、香港の人の判断基準であるのだ。これに該当しないのだから、尖閣に突っ込む必要が無い。しかし、香港は既に中国政府に牛耳られている独立地域なのである。中国がその主張を替えない限り、香港は中国の言いなりである。これが今の香港の経済的な地位の低下にもリンクしてくることになる。中華世界の経済界および芸能界は、香港がその中心地だったのだが、いまではすっかり荒廃化してしまった。芸能界は台湾を中心に移ってしまったし、経済界はシンガポールと上海だ。香港は単なる中国国内の金を世界に出すための洗浄地帯になっているだけである。まだまだ香港に対する世界の信用度は高いからで、中国の金をそのまま世界に出したのであれば、信用度が低いところを香港を通すことで価値あるものにするためにしか使われていないのだ。

そんな香港のところで、金儲けになるのであれば何でもするということと、金儲けのために金づるになってくれるひとに尻尾を振るというのは香港人の悪いくせだが、金がすべての香港人に、主張が一番大事とか宗教が一番大事と言っても「それで飯が食えるのか?」といわれたらそれでグウの根も出なくなる。そこで今回、一番笑える現象は、今回の上陸に参加したメンツを見ればそれはすぐに分かる。今回の上陸メンバおよびそのほか追随してきた人たちは以下の通り。

■上陸したひと

・楊匡(団長):香港の政治団体「人民力量」メンバ
・曾健成:前香港特別行政区立法会議員であり、社民連常委、民主救港力量召集人、保釣行動委員會召集人及で民間ラジオの社長
・伍錫堯:マカオ五邑郷親同盟会会長
・古思堯:香港の街頭示威活動家
・盧鬆昌:專科學校教師
・方暁松:河南人,深圳個體戶
・羅堪就:船主、民間電台及世界華人保釣聯盟成員

■そのほかの人たち

・王化民:香港公民党新界西支部執行委員
・張金満:香港長州地方の漁民
・郭容明:漁民
・張偉民:香港長州地方の漁民
・張偉強:香港長州地方の漁民
・梁培錦:香港フェニックステレビのカメラマン
・蒋暁峰:香港フェニックステレビの記者

この中で上陸した「古思堯」という髭面のオッサンが一番笑える。ここまで特徴のある顔を見れば、一度みたら忘れないと言う人が多く居てもおかしくないのだが、このオヤジ、香港では有名なデモ主宰者の1人であり、デモするためなら標的はなんでもいいというような主張の人。過去には天安門事件に対して中国の国旗は燃やすわ、批難ごうごうな主張はするわで、てっきり中国に対して敵対心むき出しのオッサンと思われていたのだが、今回、中国の言いなりになって率先して船に乗り、さらに上陸もしやがったというおっさん。つまり、デモをするにもバックからの資金が無いとこれは実現できないのだが、今回もバックに中国政府という金づるができたことによって、デモをもっと派手にして、中国のためならなんでもしてやるという宣伝家特有の活動をしたのだろう。金のためならなんでもするという中国人気質そのままである。このおっさんが上陸したことにとって、当の香港人も「なんかおかしい」という風潮があっという間にネット上を駆け巡ったのは当然だ。

尖閣諸島の領有権は、中国が絶対的に分が悪い。分が悪いが、いつものように声をデカくして言ったほうが勝ちだという戦略で来るだろう。NGのものをOKに無理やり使用とするのが昔ながらの中国の戦法。このあたりのやくざ的やり方には、日本をはじめとする東南アジアの国々もへきへきしている。台湾はそう考えると、よくもあの小さい体で巨体と立ち向かったと本当に感心する。中国が何を言ってきても、正統性をいろいろな角度で世界的に日本もアピールする必要があるのは必須なのだが、そこは外務省のチャイナロビーを中心として「事なかれ主義」を貫いているようで、波風が立たないように仕向けていることなのだろうが、いまさら日本が無口になったところで、世界中には情報が配信されているわけなのだが、黙っているほうが悪いという世界的風潮からすると、黙っていることが得策と考える日本はおかしなことをしていると思われる。

また個人的な意見だが、日本はもっと台湾を見方につければ良いと思う。台湾は台湾としてあの島が欲しいといっているわけじゃない。宜蘭から基隆の漁民が魚場としてあのあたりにもいけたほうが彼らの生活が向上するからという理由で主張をしている。尖閣が日本のものであることは百も承知であるのが台湾。敢えて主張しているのは魚場を開放して欲しいからだけのこと。だから、台湾籍の漁船だけがあのあたりで漁業をやることを許可するようにすればいい。しかし、日本は1972年に台湾とは国交断絶しており、さらに台湾は中国の一部という主張にしてしまったから、台湾と仲良くすること自体がなかなか表向きできないと言うことなのだろう。しかし、そうは言っても、台湾を見方にしておいたほうが良い。台湾はあの巨体の中国と対等に渡り合える唯一の国家だからだ。台湾を表に出してしまえば、日本は真っ向勝負しても勝てるはずである。向こうはヤクザでくるわけなのだから、中台の昔の闘争に仕向ければ、必然と日本は尖閣領土は自分たちのもののままになるし、争いに全面的に立つ必要がなくなるのだ。経済的にもまともに日本の企業が中国に工場やら現地事務所を作って、片っ端からだめになっていっているが、これもそれも台湾を仲介しなかったのが悪い。台湾人は中国人の扱い方をよく知っている。台湾人を見方にしたほうが絶対得策だ。

さて、尖閣諸島に対する中国の出方は、今後行われる中国共産党大会における総書記の入れ替わりの時期にもあるために、権力闘争に使われているのは目に見て分かる。それに日本が巻き込まれるほど馬鹿馬鹿しいものは無い。中国の内乱は中国で勝手に揉めればいいわけで、自滅してしまえば良いくらいだと思えば良いのだが、日本は尖閣に対しては、中国内部の鬱憤の発散材料として使われるのは重々分かっているはずである。国民のガス抜きに尖閣を切り札に使ってきたのは明白だ。それに付き合っている必要は無い。

今後は尖閣領有権を、総書記の権力闘争に国民の関心を向けさせないようにするための材料に使ってくるのは必死だと思う。デモは全面的に禁止だとしている中国において、2005年の反日運動の煽動を今回も絶対やってくると思われる。その煽動にたいして乗ってしまう中国人も馬鹿だと思うのだが、日頃の鬱憤を祭りが少ない中国で行われるかのようにデモを祭りのようにわーわーさせるように仕向けてくるだろう。

中国当局が「急進派利用」 香港実業家、資金面で支援か(産経)
URL : http://sankei.jp.msn.com/world/news/120816/chn12081607070002-n1.htm

尖閣諸島上陸の中国人活動家が中国国旗を燃やしていたことが判明 / 中国人「えっ?」
URL : http://rocketnews24.com/2012/08/20/241750/

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