2007/12/02

ジャニーズの欲望


毎日のテレビでジャニーズのタレントが出ていない日というのはまずありえない。しかし、ジャニーズのタレントが出ている番組ほど、全然面白いと思わないのは何故だろうか?メディアに露出しすぎだから、飽きてきたからなのだろうか?それとも、元々能力も無いのに、ジャニーズの営業があまりにもテレビ局に入り込んでいるために、否応なしにテレビ局もジャニーズのタレントを使わざるを得ず、そのために視聴者無視でジャニーズを儲けさせるための番組が作られているからなのだろか?そんな疑問を全部解消してくれるのがこの著作だろう。

ジャニーズの悪口を言うマスメディアはまず存在しない。ジャニーズを敵に廻すと仕事が廻ってこなくなるとも言われているくらい、ジャニーズ事務所は事務所自体がヤクザ的な役割を演じているからなのだろう。ジャニタレが事件を起した場合の揉み消し方が上手いのは有名だが、そのタレントの復活劇も見事に仕組んでいるというのも良くある。しかし、上手く行かなかったのは最近の例では、KAT-TUNの赤西仁だろう。言い換えれば、ジャニーズの思惑としてはポストSMAPとして大々的に売り込みたいKAT-TUNだが、上にSMAPが居るために、その座が空かないからいまいちまだKAT-TUNが、芸能界では無くてはならない存在になれない証拠なのだと思う。いまだにKAT-TUNの6人のメンバーが、10代以外の人に「他の人はだれ?」と思われているのがその証拠だろう。しかし、ジャニーズ事務所はたくさんの露出を使って彼らの存在をアピールしているのだが、SMAPを消さない限りにおいては無理だろう。しかし、ドル箱のSMAPを消すことは、ジャニーズ事務所にとっては土台無理なことだろうし、SMAPのメンバーが自らジャニーズ事務所を辞めるということはまずありえない。しかし、30歳も過ぎて、未だに「アイドル」なんて言っているジジィアイドルであるSMAPよりは、ジャニーズ事務所として早く後継者として若いタレントを売り出して、SMAPなみに長期間長持ちさせたいという気持ちもあるため、その葛藤に苛立っていることは確かだ。

しかし、何故ここまでどこのチャンネルを捻ってもつまんないジャニーズタレントが出てくるようになったのか、そして、ファンはどうジャニーズ事務所と絡んでいるのかというのかが、熱狂的なファンじゃない人間にとっては、どうも納得がいかないところがある。まぁ、どの宗教においても、そのグループにどっぷり嵌ってしまうと、その泥沼の存在自体も、ましてや周りのことも見え難くなるのは当然だろう。

じゃ、こうも似たようなキャラクターが無いタレント集団に対して、熱狂的なファンがずっとついているのだろうかという疑問から、本は解消してくれる。売り出し中のタレントに対して、さも「賑わっています」とアピールさせるためのファン動員も仕組まれた創価学会の選挙戦と同じようなものだという理屈がある。ファンは、本当はSMAPのような超有名グループのコンサートのいい席を取りたいがために、どうでもいいようなジャニーズのこれからのタレントのコンサートやイベントに参加しているようだ。そうしないと、お目当てのタレントのイベントに参加する資格さえ与えてくれないのだ。これはジャニーズ事務所が自ら宣伝をする必要も無く、ファンを動員して無理やり、ファンを自らの代わりに宣伝部員として使っているのだ。

しかし、ジャニーズ事務所は常に成功をしているというわけでもない。過去に数々の失敗もしていることも明記されている。しかし、その失敗を土台にどのようにしたら解決できるかという底力も持っているところがジャニーズ事務所が、いまだに芸能界を君臨している理由なのだろう。反町隆史がジャニーズ事務所に元々居たことは有名だが、辞めたあと圧力をかけて芸能界に登場させないようにしても、実力がある芸能人なのでファンは黙っていないし、現に彼は今でも活躍している。しかし、ジャニーズ事務所との関係は良くない。DA PAMPについても同じで、ジャニーズ以外の男性グループは、絶対許したくないジャニーズ事務所にとっては、各方面に圧力をかけたのだが、DA PAMPは踊れるし、歌は本当に上手いし、本当に実力があるので、ジャニーズ事務所の圧力は「あほ」と一般人に認識させてしまったのも分かりやすい例だ。どんな大舞台でも口パクしか演じないし、中途半端な踊りしかできないタレントよりも、本当に上手い演技をするタレントに対しては、一般人はファンとしてちゃんと根付くのである。

何を演じても「キムタク」キャラから脱することが出来ない木村拓哉だが、いちおうドラマは過去は「当たっていた」と言えようが、ここにきて、あのワンパターンな演技に嫌気を指している一般視聴者は多いだろう。ちょっと前にあった「華麗なる一族」では、キムタクだけが現代人の風貌と演技をしており、「お前は少し前の時代を演技できないのか?」とそのタレント性の限界をのぞかせるようなドラマがあったことは記憶に新しい。しかし、昔からのファンは多い。雑誌an-anが毎年「抱かれたい男1位」にしているのは、あれは本当のファンが1位として投票していないのは誰が見ても分かることで、ジャニーズ事務所が裏で金を積んでいるということと、an-anの雑誌編集者がジャニーズ事務所に傾倒しているからなのだ。どうでもいいようなジャニタレが上位に出ているのを観れば、一目瞭然だろう。なぜ、当時は超ブレークしていた速水もこみちより、ブラウン管を通してわがままぶりと育ちの悪さを露呈しているバカ・自称アイドル中居正広のほうが上位なのか、未だに理由がわからん。顔も悪いし、能力ないし、声は汚いし、作り笑い丸出しの気持ち悪い顔をたまに雑誌に出ているのを見ると腹立つのに、なぜあんなのが上位?とおもう。

音楽CDに関しても、ジャニーズ事務所が総力をかけて発売最初の週は1位になるように金を積んでいるのも分かりやすい。しかし、1位を取ったという事実だけは残るので、ファンを騙すことは容易だ。次週になったらランクが圏外になっている場合の多くは、まさしくこの金で買ったランクなのである。本ではその仕組みを詳細に書いているので、興味があるひとは是非読んで貰いたい。

あとは、ジャニーズ事務所に関連する全ての会社とその会社が何を行っているのかが克明に書いているのも反ジャニーズの人間にとっては面白く読める。ジャニーズエンターテイメントを設立したいきさつや、そういえば、いままでavex traxを使っていたのに、いつの間にジャニーズエンターテイメントになったんだっけ?という理由がこれを読めばわかる。金をいかにジャニーズ以外のところに落とさせないかという戦略的なところは勉強になる。まさに、西武王国が過去に君臨していたときと同じような構造なのが面白いのだが、西武の例を見ていると、所詮、化けの皮が崩れたときに崩壊するのだろうというのが想像できる。

サクサクっと読める本なので、是非ブックオフとかの本屋で見つけたら買うことをお勧めしたい。自分もブックオフで100円で買って知った本だが、ジャニーズ事務所の圧力によってこの本は絶版になっているはずなので、見つけたら買っておこう。

ジャニーズの欲望―アイドル資本主義の戦略と構造
鹿砦社編集部
鹿砦社 1998年12月出版

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