2012/06/16

まろやかタイ読本

タイに関する本は、もうくだらないものもたくさんある。観光ガイドという目線で読むのではなく、タイ全体の怪しさやタイ文化の暗黒な部分を穿り出して、それを面白おかしく書いている本は、脳みそゼロにしても読めるので楽しくなる。それが、もうアングラ世界でひっちゃかめっちゃか旅行記を書かせたら、もうこの人のような人は他には居ないと思うのがクーロン黒沢だろう。

クーロン黒沢が共著とはいえ書いているということは、もう中身がめちゃくちゃなんだろうというのは想像できた。たぶん、タイに関するめちゃくちゃな部分を、読者の期待通りにめちゃくちゃぶりを表現してくれるし、実際にタイの街並みの裏にいくとそんなのばっかりだと宣言しているところがすばらしい。期待通り、またはそれ以上の内容で書かれているから、即こんなめちゃくちゃな街に行ってみて、本当にそんなやつらがいるのか?本当にそんな環境なのか?というのを確かめたくなってしまいたくなるような1冊である。

「仏都バンコクを歩く」はバンコクに特化した内容だが、こちらの本はタイ全国を網羅したもの。だから、変なものや変わった習慣などなどは、タイ独自のオンパレードのために1冊では収まらないくらいの馬鹿馬鹿しさは満載だ。タイも半島のほうからバンコクのような都市、それから北部のほうと、まったく文化が異なっているので、そこからB級ニュースを探すのは簡単だが、ありすぎて困ったことだろう。その中から馬鹿馬鹿しさを選びに選んだのか、それとも分かりやすいものを集めたのかどうかは不明だが、まぁ、最初からこの本の中身を見るとぶっ飛びすぎているし、そんな変な奴らばっかりあったら、国としてまともにならないだろうと思ってしまったりする。が、そこはタイ人のことを面白く書いているだけであって、そんな人たちしかタイには居ないという錯覚を起こしてしまうような本だ。

決してガイドブックには書かれることが無いことばかりなので、観ることがすべて「へぇー」と言うようなことばかり。そして、内容がびっくりするようなものばかりだが、ジャンル別に紹介されているので、いちおう頭の整理ができそうだ。笑えるのは顔面歌舞伎旅行会社代理店の「アンナ・トラベル」の章だろう。まぁ、これが売れない新宿二丁目のオネエが旅行代理店をやっているような感じのところで、本当にそんなものがまともに商売をやっているのか?と思えるような内容だ。詳しくは書かないが、こんな旅行代理店には絶対頼みたくないよーと絶対感じるだろう。

いろいろな紹介のなかに、いくつか挿絵のように、体験レポートが書かれている。ここのレポートがどれもこれも爆笑物。病院に関する体験レポートのところはヒドイ医者ばっかりとうんざりしたくなるほどだ。どこまで本当のことなのかかなり???になるところもあるのだが、たぶんほとんど本当の事。ウソのようなことが本当にあるのがタイなのだろう。

バンコクの放送・通信の分野に付いては結構興味を持った。前にもいっておもったのだが、誘拐されたひとの顔写真が街のあちこちに貼られているのもびっくりだが、犯人が逮捕されているにも関わらず、その犯人に対して、警察に捕まりながらインタビューされているのとか、死体の写真は当然写っているし、普通にテレビ放送もされるし、ボカシが無い。日本だったら見せてはいけないと、どこかのPTAの馬鹿が文句を言ってくるため、放送自制してしまうようなこともあるだろうが、そんなのはタイには無い。全部ありのまま伝えるのがメディアであるという、メディアとしてはすごく当然のことがここでは行われているので、素直に読めた。日本の場合は、記者クラブが主導になってインタビューなどを放送しているが、そんなのは馬鹿馬鹿しい。

タイに対して息抜きとして読むにはちょうど良い本だ。ただし、電車の中で読んでいたら、きっと「あいつ何を読んでいるんだ?」というような顔つきで見られても仕方が無い。しかし、決してタイのお姉ちゃん情報は出てこないし、もちろんセックス産業の情報については全く出てこないので、そういうのは「裏情報」のようなサイトか雑誌、または本を読んだらいいとおもう。

まろやかタイ読本
著者:皿井 タレー、クーロン黒沢
出版社: 太田出版
発売日: 2004/2/29


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