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バロック建築の巨匠エアラッハ親子の傑作のうちのひとつで、ホーフブルグ宮殿の中にあるのが、世界で最も美しい図書館と言われる国立図書館プルンクザール(Naationalbibliothek Prunksaal)である。
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外観は単なる建物としてしか見えないのであるが、ヨーゼフ広場の方に入り口があるので、そこから入ると、入り口で切符を買うことができる(一般は7ユーロ。ウィーンカードを持っていれば6.3ユーロ)。無愛想なおばさんから切符を買い、階段を上っていくと、目の前に「なんじゃこりゃぁー」と圧倒される広さとその豪華絢爛な空間が広がる。
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大理石の柱と天井画が優美な空間に、貴重な写本や初期印刷本を含む膨大な蔵書が収められているのだが、それを中から見ていると、その本棚と蔵書のすごさに圧倒されるばかりだ。どの蔵書も貴重なものばかりであり、直接触って見ることは不可能である。ただ、二階立てのように作られ、天井まで届かんばかりの高さにある本棚にぎっしり様子をみると、一体ここにはどういう内容の本が保存されているのだろうっと想像してしまう。
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ただ、嬉しいことに、蔵書の中の一部の内容は、展示物として見ることが出来る。ただし、展示物の写真は撮ることはできない。入り口にいる管理人に駄目押しの「禁止」通達を与えられる。ただし、図書館の内部の写真を撮ることは可能。たまに、図書館の管理者が書物を出し入れしている様子をみることができるのは、保管されている蔵書が全部本物であることの証拠だろう。螺旋階段を使って上部の本は取ることができるらしいが、一般観光客はこういう上部のところの傍まではいくことができない。
図書館中央部にくると、円形のサロンのようなところに出てくる。憎い演出とおもったのが、実際の蔵書が収められている本棚のさらに上に、まるで本棚を川と見立てて、その川を上から、つまり橋の上から見ちゃおうとしている様子をフラスコ画でかかれていることだろう。ぱっとみたときに、本棚の上にもひとがいるのか?とおもったくらいであるが、これは図書館という閉鎖的空間を、より無限の空間に見立てようとして設計したものだといえる。
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たまたま、公開されていた蔵書の一部は、ハプスブルグが買い集めたかまたはどこかからか入手した世界各地のエンサクロペディアを地域毎に詳細に説明したものであった。ヨーロッパから近い植民地大陸となったアフリカは、その地形と動植物についてかなり詳細に、そして正確にかかれていることに吃驚した。ところが、東洋に行けばいくほど、まだまだ未知の世界のところのようで、まず地図がいい加減。いわゆる昔の地図なんかをみると、日本は列島になっているわけではなく、大きさなんか適当だし、地名は適当だし、場所は間違っているしというのが当然で、さらに日本の近くに大きな大陸があるらしいみたいな書き方をしているのを見たことがあるはずだ。それがまかり通っているくらいの情報しか東洋のことは書かれていない。従って、そこに住んでいる人たちの生活習慣や服装、そして動植物というのが、ほとんど妄想の世界なんじゃないのか?といわんばかりの代物だ。もっと笑えるのがアメリカ大陸。ヨーロッパ人がイギリス・フランス・スペインが挙って進出したはずなのに、その情報の無知ぶり、適当振りというのは笑える。でも、当時は最高の参考書として使われていたのだろうとおもう。想像のものとはいえ、どれもかなり丁寧にかかれているところが「いい仕事をしている」と言えなくも無い。
たまたまこういう地図や地域に関する図鑑しか見えなかったが、形而学や宗教学などの蔵書は当然あることだろう。しかし、一般人はそんなのを見ても理解できないので、しずや図鑑のようなものを参考例で示しているのは納得だ。
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